今回は『後悔する注文住宅オプション15選』というテーマでお話をしていこうと思います。
皆さんも何となくイメージできると思いますが、オプションは時代によって入れるべきものとそうでないものに分かれてきます。
例えば、昔の家でよくありそうな防犯性が皆無なガラス張りの玄関引き戸、断熱気密が求められている時代にこんなペラペラな玄関引き戸を入れたい人なんていないと思います。
できるならYKK APから出ているイノベスト D70のような高い断熱性能のドアを入れて、どこにいても室内の温度が均一になっているような環境を整えたいはずです。
あえて昔と今を比較するために極端な例を出しましたが、昔はこれが普通だったわけです。
要は何が言いたいのかというと、昔は当たり前だったが、時代が変わった今はいらない、もしくはいらなくなってきている住宅設備がちらほら出てきているということです。
ただし住宅は多くの人が一生に一度しか購入しないので、その流行り廃りがわかりにくいのです。
ですので、本来なら担当の住宅営業マンがきちんとお客さんに正しい知識を与えてあげればいいのですが、時代の流れを読み取れず、いつものテンプレートで設備仕様の提案をしている担当者も結構な人数います。
本記事を最後まで読んでいただければ、今何を考えて家づくりをしなければならないのか、そしてどのような設備仕様を入れなければならないのかがわかるようになります。
時代遅れの家をつくらないためにも、数百万円のお金をドブに捨てないようにするためにも、ぜひとも最後までお読みください。
「今の住宅に何が求められているのか」を考える
注文住宅オプションを紹介する前に『今の時代、住宅に何が求められているのか』、ここのベースとなる考え方を中心にお伝えした方が応用が効くと思います。
しかも今からお話しするこのベースとなる部分を説明することで、後悔する注文住宅オプション15個のうち9個をほぼ説明したのと同じになります。
ですので少し遠回りになりますが、『今の時代、住宅に何が求められているのか』というこの部分について少し説明させてください。
地球温暖化の現状
まずは『今の時代、住宅に何が求められているのか』、ここのベースとなる考え方についてです。
唐突ですが、皆さんはなぜストローがプラスチックから紙に、ビニール袋が無料から有料になったのかご存知でしょうか?
なんとなくイメージできる人はイメージできるとは思いますが、これはシンプルにCo2を削減して、地球温暖化などから人類を守るために行っています。
では、なぜ今になってそんなに躍起になって地球環境に配慮しよう!となっているのかというと、それはこのまま行くと、最悪世界で4億人の難民が出ると予想されているからなのです。
これがどういうことかというと、例えばこちらをご覧ください。
こちらはIPCCと呼ばれる国際的な地球温暖化の専門家たちによって作られた『RCPシナリオ』と呼ばれるものをまとめたものです。
簡単に説明をすると、これから2100年までの間で地球温暖化の影響を4つのパターンに分けられるとしています。
具体的には
- RCP8.5
- RCP6.0
- RCP4.5
- RCP2.6
この4つが存在しています。
それぞれ詳しく説明していきます。
RCP8.5は、2100年の世界で平均気温が最高で約5℃上昇するという最悪のシナリオです。
海面も45cmから82cm上昇するとされていて、それにより住めない地域が出てきてしまい、日本も含めて世界で4億人の難民が出るとされています。
RCP6.0は、2100年の地球の平均気温が約3℃上昇するというシナリオです。
世界の国のカーボンニュートラルへの取り組みが遅れて、技術開発の速度が速まらなかった場合のシナリオがこのRCP6.0になります。
影響としては温暖化抑制の効果は出てくるものの、降水量と気温の変化によって、深刻な食糧不足になります。
RCP4.5は、地球温暖化対策と大気汚染防止策が世界的に効果をみせた場合のシナリオです。
森林が保護され再生に向かいます。
それでも、2100年に地球の温度は2℃以上上がり、サンゴ礁の2/3は失われる可能性があります。
RCP2.6は、ただちに世界がカーボンニュートラルを目指した政策に着手した場合のシナリオです。
地球の平均気温の上昇を2℃以内に抑えることができます。
以上の4つが2100年までに想定されているシナリオなのです。
ところが現在、2030年ごろまでに気温が1.5℃上昇することが確定してしまっていて、予定よりも10年早く地球の温度が上昇しているのが現状なのです。
そんなこともあって、2100年になるまでの後残り約80年の間で0.5℃の上昇に留めなければ、今まで通りの生活ができなくなってしまいます。
そのような状況なので、世の中ではCo2を削減するために躍起になってストローをプラスチックから紙にしたり、ビニール袋を有料にしてビニール袋を使わない環境をつくったりしているのです。
事実昨年の台風は進路が変速的だったり、地球温暖化の影響でサンマの漁獲量が減ったりもしていますからね。
決して他人事ではない状況なのです。
毎月の光熱費の上昇に影響
ただしこの話を聞いて「あれ?何だかちょっとヤバイ状況なんじゃない」と思った人もいる一方で「別に自分に直接関係ないし、誰かが何とかしてくれるでしょ」と思った人もいると思います。
それはそれで気持ちとしては理解できなくはないですが、実は私たちの生活に直接影響が出てくる部分も存在するのです。
それが毎月の光熱費です。
というのも、Co2を大幅に削減するためには、化石燃料と呼ばれる石油や石炭などを使用しないことが重要になります。
ですのでその代わりとなるエネルギーとして、そもそも環境負荷の少ない天然ガスや電気に注目が集まっているわけですが、ここでポイントになってくるのが
- 今後ガスと電気の需要が上がることにより、値上がりすることが予想される
- しかしガスは自分達でつくることはできない
というこの2つなのです。
つまり何が言いたいのかというと、今後、光熱費は上がる前提で今から家づくりをしておかないと、毎月の住宅ローンに固定資産税、2024年には消費税が15%になり、そんな状況にも関わらず、追い討ちをかけるように光熱費が上がり続けるという最悪な状況に陥る可能性があるのです。
これを聞いても「いやいやあおりすぎでしょ?何とかなるから大丈夫。」と思われている方がいるかもしれないので、今日本がどのような状況におかれているのか正しくお伝えをすると、実は今は日本人1人の生涯収入がだいたい2億4千万円くらいなのです。
それに対して2人世帯の生涯支出が2億7,368万円と言われているのです。
ここからもわかるとおり、足りないのです。
1馬力では生活がきつい、そんな時代なのです。
こういう状況が既に目の前にあると考えると、今まで説明してきた光熱費のなどの諸々のことが、他人事では済ませられなさそうですよね?
実際に、もうすでに4人家族での平均年間消費電力量をおよそ5,500kwhであると仮定した場合、2030年までに年間で4万円近く上昇する試算すら出ているくらいですからね。
ですので、光熱費は上がる前提で今から家づくりをしておかないと、後々の生活が今よりも厳しくなる可能性が高いのが今の時代なわけです。
後悔する注文住宅オプション9選(光熱費上昇の観点から)
まず、先ほどの話を前提にした時に入れて後悔するオプション(設備)は
- 床暖房
- エネファーム
- 大量のエアコンと隠蔽配管のエアコン
- 再熱除湿型以外のエアコン
- 断熱性能の低い玄関ドア
- 第3種換気
- 複合フローリング
- 理由もなく入れたアルミ樹脂複合サッシとペアガラス
- アクセントクロス/ビニールクロス
以上の9つになります。
それぞれ簡単に説明をしていきます。
床暖房
最初に床暖房です。
床暖房を入れるのが当たり前、というような風潮がありますが、そもそも断熱材を厚くして床暖房を使わない空間をつくった方がよくないですか?
床暖房は入れる面積にもよりますが、40万円から50万円くらいするわけです。
だったらその金額を断熱材の厚さを厚くするのに回したり、あとは断熱材の厚さを厚くできないメーカーであれば、窓の性能を上げることに意識したりした方が有意義なお金の使い方になるはずです。
床暖房を入れなければ暖かくならない床がそもそもおかしいということに気がついてください。
床暖房は入れるのが当たり前、という考えはいったん捨てるようにしましょう。
そして床暖房を入れるのに40万円、50万円もお金を使うくらいなら、断熱材を厚くすることにお金を回すようにしましょう。
ちなみに余談ではありますが、日本の一般的な住宅は、外気温が5℃、室温が23℃の場合、室内の床の温度は15℃くらいになります。
15℃くらいの冷たい冷房の風を常に足元に受け続けているイメージをしてもらえれば、何となく床の冷たさをイメージできますよね?
ここから床暖房をつけてようやく床の温度が34℃くらいになるのが日本の住宅なのですが、一方でドイツなどの海外の住宅は、外気が−10℃、室温が20℃で床暖房無しの状態であっても、室内の床の温度は26℃くらいです。
要はそれだけ日本と海外とでは家に性能差があるということなのです。
何となくこの辺りがイメージできるようになると、断熱材の重要性がわかるかなと思い説明しておきました。
ぜひ、参考にしてみてください!
エネファーム
続いてエネファームです。
エネファームとは
エネファームは簡単に説明すると、ガスを分解して電気と熱をつくり出す装置です。
これによりエネファームで発電した電気は自宅で使えるようになります。
また、熱に関しては水を温めて温水をつくるために使えるのです。
そのため、エネファームを入れることで
- 節電につながる
- 太陽光発電の売電量がアップする
- 停電時でも電気を使うことができる
と言われているのです。
ガスを大量に使う
確かにこれだけ聞くと魅力的に感じはするのですが、ただ少し待ってください。
電気代は抑えられても、その分ガス料金を使っているわけですよね。
先ほどもお伝えしましたが、ガス料金は今後上がると予想できるわけですし、実際に今でもエネファームを入れたはいいものの、意外とガス料金が高くてトータルの光熱費では変わらないという方も多くいます。
節電できてもガスを大量に使っていたら意味がないのです。
それにも関わらず、今ハウスメーカーでは、床暖房とエネファームをセットで入れることがテンプレート化しています。
なぜなら、多くの住宅営業マンが
- 床暖房に頼らない家づくりを意識していない
- エネファームなどの給湯器は何を入れれば正解なのかわかっていない
この2つがあるからです。
そのため今ハウスメーカーでは、頭を使わずにとりあえず床暖房とエネファームをセットで入れることがテンプレート化しているわけです。
この点は要注意です!
時代に合った設備とは
では、今の時代はどうすればいいんだ?という話ですが、よほどの理由がない限り、電気だけのオール電化住宅にしてください。
そしてその上で電気料金の値上げに対抗するための設備を入れる必要があるので
- 太陽光
- エコキュート
- 蓄電池
これらを入れることを考えて家づくりをするようにしてください。
少し話がそれますが、重要なことなのでサクッと説明をしていきます。
太陽光
太陽光は今の電気料金の高騰を考えると、できるだけ多めに入れるというのが正解です。
エコキュート
これは電気でお湯を沸かす給湯器ですが、最近ではソーラーチャージという機能を持ったエコキュートが出てきています。
個人的にはこれが正解だと思っています。
そもそもエコキュートは、夜間の電気料金が安価な時間帯でお湯をつくってくれる画期的な商品なのですが、今までのエコキュートは夜にお湯をつくるので、結局電気代がかかっていたのです。
しかし、ソーラーチャージ機能付きのエコキュートなら、地域の天気予報を吸い上げ、
- 翌日が晴れる場合には夜間にはお湯をつくらず、あえて日中にお湯をつくることで節電
- 翌日が曇りや雨といった予報なら、夜間の電気料金が安価な時間帯にお湯をつくることで節電
といったことをしてくれるのです。
ですので日々の光熱費を抑えるなら、オール電化を検討してエコキュートを入れる、そしてエコキュートはソーラーチャージ機能付きのものにする、これが今の時代のベストです。
蓄電池
蓄電池に関してはまだ金額が高いので様子見でいいとは思いますが、それでも今まで説明してきた通り、今後の世の中の流れを見ると、どこかのタイミングでは確実に入れることになるはずです。
ですので将来、蓄電池を設置できるだけのスペースは想定しておくようにしてください。
ということで、今の時代の家づくりは間違いなく
- 太陽光
- エコキュート
- 蓄電池
これら3つを入れることです。
提案されるがまま、思考停止状態のままエネファームを入れるようなことだけはしないでください。
大量のエアコンと隠蔽配管のエアコン
続いて大量のエアコンと隠蔽配管のエアコンについてです。
こちらは百聞は一見にしかず、ということでこちらをご覧ください。
室外機が大量すぎですよね。
要はそれだけ何台ものエアコンを同時に稼働させないと室内の温熱環境を整えられないということでもあるわけですが、メーカーや担当者によってはこういう提案を普通にしてきます。
これだとエコと真逆な状態の家づくりになってしまいます。
ここまでの話を理解してくださった皆さんなら、これがどれだけ愚かな提案なのかはわかりますよね?
ということで、建物の断熱性能、気密性能を高め、数少ないエアコンで家全体を温める、涼しくするような工夫を考えてみてください。
また最近ではSNS映えすることを優先してか、隠蔽配管を使った提案が増えています。
隠蔽配管というのは、建物の中にエアコンの配管を通して好きな位置にエアコンを設置するという方法なのですが、これは非常にメンテナンス性の悪いものになっています。
できれば隠蔽配管ではなく、取り替えのしやすさを重視して、普通の壁づけできれいにエアコンを設置できる方法を考えるようにしてください。
再熱除湿型以外のエアコン
続いて再熱除湿型以外の普通のエアコンです。
気密断熱を高めて室内の温湿度を一定にすると考えた時に、何も考えずにエアコンを入れてしまうと、夏場、意外と除湿できなくて悩むことになります。
それだけ夏場の湿度は厄介なのです。
実際に湿度が高いと
- 建材からの化学物質の放出がたくさんされる
- アレルギーになりやすくなる
- ダニ、ウィルス、カビが発生しやすくなる
と言われています。
そうならないためにも、しっかりと湿度を下げられる環境が必要です。
では、湿度を下げるためにどのような対策が必要なのかというと、きちんと気密性能を高めてその上で換気をするというのは大前提ではありますが、『再熱除湿型のエアコン』これを採用することが解決策になります。
『再熱除湿型のエアコン』とは、室内の空気をエアコンに取り入れた際に急激に空気を冷やして除湿し、その冷やした空気を温めて再度室内に放出する機能を持っているエアコンです。
この機能のついているエアコンは非常に除湿能力が高く、具体的には
- 三菱
- 富士通
- ダイキン
- 日立
この4つのメーカーが再熱除湿型のエアコンを出しています。
ですので皆さんもエアコンを選ぶ時は、この中から選んでみてください。
私のおすすめは、日立のシロクマくんになります。
これが一番使いやすい気がしますね。
そのほかのメーカーのエアコンを入れて無理に除湿をしようとすると、それこそ余計な電気代がかかってしまいます。
「夏場上手く除湿できない!」なんてことにならないようにご注意ください。
断熱性能の低い玄関ドア
続いて断熱性能の低い玄関ドアについてです。
最近、断熱等級の制度改正を皮切りに、構造躯体の断熱性能を上げる人が増えてきているわけですが、玄関ドアはそのままという人が結構多いです。
というのも、今ハウスメーカーが標準で入れている玄関ドアはYKK APから発売されているヴェナート D30という商品にかなり近くて、断熱材の厚さはだいたい42mmくらいである場合がほとんどなのです。
それに比べて壁に入れる断熱材は、150mm前後から200mm前後くらいの厚さです。
比較するとわかりますが、壁と比べて玄関ドアの断熱性能が劣ってしまうというのは明白ですよね。
玄関ドアは言ってしまえば壁の仲間のようなものです。
ですので本来なら壁と同じくらいの断熱性能があった方がいいのですが、そのためにはYKK APから発売されているイノベスト D50という断熱材の厚さが70mmのものや、D70という断熱材の厚さが82mmのもの、あるいは今お話ししたものと同じような性能のものを入れる必要があります。
構造躯体の断熱性能は上げたけど、玄関ドアの断熱性能を上げ忘れた!とならないようにしましょう。
第3種換気
続いて第3種換気です。
第3種換気は外気をそのまま室内に取り入れて、機械で室内の空気を排気する換気方法のことを言います。
これは外気をそのまま取り入れるので、夏は高温多湿の空気を室内に取り入れることになりますし、冬は乾燥したカラカラの空気をそのまま室内に取り入れることになります。
これは省エネという観点から考えると経済合理性が悪いですし、更には家全体の温湿度を一定にする高気密高断熱という家の考え方から外れる換気方法でもあるわけです。
事実、高気密高断熱の家に住むことで、年間の医療費が削減できるというデータがあるくらいです。
「そんなデータが存在するの?」と驚かれた方もいると思いますが、実際にあるのです。
なんなら『健康チェックリストの暖かさに関する設問を活用した温熱環境評価法の提案』という学術誌で、高気密高断熱の家をつくると健康になるという論文も出ているくらいですからね。
気になる方は、少し小難しいですが読んでみてください。
ということで、医療費を削減して日々の生活を豊かにするためにも、温湿度を一定しにして快適な暮らしを手に入れるためにも、第3種換気は入れないようにしましょう!
入れるなら機械で温度と湿度を調整して室内に新鮮な空気を取り入れてくれる全熱型の第1種換気、これがおすすめです。
一方で顕熱型と呼ばれるものもあるのですが、これは温度調整をしてくれるだけのものになるので、選ぶなら温湿度調整をしてくれる全熱型、これ一択になります。
複合フローリング
続いて複合フローリングです。
床材には『無垢材単層フローリング』と『複合フローリング』という2つの分類があります。
更に複合フローリングには、3つのカテゴリがあって、
- 本物の木を厚さ0.3mm程度に薄くスライスし、それを合板に貼り付けた突板
- 本物の木を厚さ2mm程度に薄くスライスし、それを合板に貼り付けた挽き板
- 木目を印刷したシートを合板の表面に貼り合わせたシート系床材
この3種類が存在します。
そして多くの住宅営業マンが『複合フローリング』つまりは突板、挽き板、シート系床材、これをすすめてくるのです。
それがなぜかというと、
- 複合フローリングでないと床暖房を入れられないと思っているから
- 契約を取るために目先の金額を下げたいから
大きく分けてこの2つの理由があるからなのです。
ただし『突板』『挽き板』『シート系床材』これら『複合フローリング』は先ほども説明した通り、合板の表面に厚さ0.3mm程度もしくは2mm程度に薄くスライスした木や、木を模しただけのシートを貼ってあるだけなのです。
ですので表面に傷や凹みができた瞬間に、下の合板が見えてしまうのです。
しかし、その一方で『無垢材単層フローリング』つまり『無垢床』の場合は、一本の木からできている床材のため、えぐれても木しか出てこないのです。
そのため補修しやすいのです。
また無垢材は全て本物の木でできていることから、それ自体が薄い断熱材の役割も果たしてくれます。
そういう意味でも本当だったら複合フローリングではなく、無垢床を採用してほしいのです。
ただ予算の関係で、無垢床を入れることが難しい場合もあるとは思います。
その場合は営業マンの提案に乗って複合フローリングを入れてもいいとは思います。
いいとは思うのですが、でもその前に考えなければいけないことがあります。
それが床下の断熱材のことです。
というのも、大手ハウスメーカーのほとんどが『床下断熱』というつくり方で家づくりをしています。
これは外気を基礎の中に入れることによって、基礎の中を乾燥させ、シロアリに強い空間をつくり出すといったつくり方なのです。
ただシロアリには強い空間がつくれても、床の下に外気が通っているわけなので、外気が冷たい場合、床下の断熱材が薄いと床の底冷えの原因になるのです。
床下の断熱材を厚くすることにお金を使い、それで予算が厳しくなってしまったら『複合フローリング』を入れるというならいいと思います。
しかし床下の断熱材は厚くせずに、床材も『複合フローリング』を入れる、これだと確実に冬場床が冷たくなります。
そのため冬場冷たい床にしたくない人は、床材、床下の断熱材、おすすめはしないですが床暖房、この3つにかかるコストのバランスと発揮される断熱効果を考えながら最終的に床材を選ぶようにしてください。
そうしないと、
- 『複合フローリング』のメンテナンス費用
- 床暖房のランニングコスト
- 床材の冷たさによる日々の生活の不快感
これらがどっと押し寄せることになります。
理由もなく入れたアルミ樹脂複合サッシとペアガラス
続いて、理由もなく入れたアルミ樹脂複合サッシとペアガラスです。
最近、多くの方がアルミ樹脂複合サッシではなく樹脂サッシを入れるようになってきました。
ただやはり樹脂サッシはアルミ樹脂複合サッシに比べて断熱性能はいいものの、窓枠が太くなるのでやぼったさも出てしまうわけです。
ですので南面の大開口にはアルミ樹脂複合サッシを使って、それ以外の北側、西側、東側の窓は全て樹脂サッシにするというような提案が増えてきている印象です。
また光熱費や室内の温熱環境を一定にするという意味では、ペアガラスではなく、トリプルガラスを採用する必要があります。
ですので担当者が大丈夫と言ったからという理由でアルミ樹脂複合サッシのペアガラスにしないようにしてください。
窓はそう簡単に交換できないので要注意です。
アクセントクロス/ビニールクロス
続いて、アクセントクロス/ビニールクロスです。
アクセントクロス/ビニールクロスは地球環境を考えると最悪の代物で、ここまでビニールクロスが普及しているのは日本だけです。
そのため交換前提で貼るビニールクロスの使用はあまりおすすめしません。
そしてアクセントクロスについてはシンプルに飽きます。
ということでそれぞれ深掘りをしていくのですが、こちらは『一般社団法人日本壁装協会』というところが出している、『2020年度上半期の壁紙の生産・出荷量』になります。
ここで注目するべきは『塩化ビニル樹脂系壁紙』つまりビニールクロスの生産・出荷数です。
なんと日本で生産・出荷されている全体の91%がビニールクロスなのです。
実はここまで普及しているのは日本だけで、世界では病院などでのビニールクロスの使用を禁止している国もあるほどです。
ではなぜ日本でここまでビニールクロスが普及しているのかというと、その背景には昭和の高度経済成長期の影響があるのです。
高度経済成長期は、戦後で住宅不足だった時代なのです。
ですので家の質よりも量が重視されました。
そのため、「安い」「工期が短い」「大量生産できる」この3つが重宝されていたわけです。
具体的に言うと、例えばそれが『シート系床材』だったり、今回メインでお話しする『ビニールクロス』だったりするわけです。
そしてこのビニールクロスは『水拭きができる』ことや、『手軽にはりかえられる』ということ、後は『安価である』というメリットがある反面、デメリットがかなり大きいのです。
そのデメリットこそが『健康被害』です。
これが、世界では病院などでビニールクロスを禁止している理由になります。
どういうことかというと、例えばビニールクロスは、ビニールというだけあって焼却時に多くの有害物質を排出するのです。
そのため環境に悪いですし、もちろん人体にもよくないのです。
更に近年ビニールクロスはシックハウス症候群と呼ばれる化学物質過敏症の原因にもなっています。
そんなこともあって、世界では病院などでビニールクロスを禁止しているのです。
また、ドイツやスイスではバウビオロギーという健康や環境に配慮した建築を考える学問があります。
そこでは『内装材は第3の皮膚である』と捉えているのです。
これをわかりやすく説明すると、例えば家は見方を変えると箱ですよね。
その箱の中に人間がいるわけなので、人間が触れている部分、つまり床や壁、空気が悪かったら、当然そこにいる人間も不健康になりますよね。
家の中が健康で暮らせる素材で囲まれていたら、
- 壁や床が湿気を吸ってくれる
- 空気をきれいにしてくれる
というように、健康な環境で暮らせるわけです。
ですので、できることなら自然素材が推奨されているというのが海外の住宅事情であり、『内装材は第3の皮膚である』と言われている所以なのです。
冒頭でお話しした地球環境のことを考えると、決してこのことは他人事ではないはずです。
あとアクセントクロス、こちらは飽きます。
前々からお伝えしている通り、壁は最大のインテリアでもあるので、それにも関わらず一時の感情に流されてアクセントクロスを選ぶくらいなら、壁面をいかにシンプルかつきれいに見せるかを考えた方がおしゃれな空間をつくりやすくなります。
ただそうはいっても「じゃあ、ビニールクロスに変わるもので更にはおしゃれな空間をつくれる建材って何があるんだ?」という話だと思います。
ですので個人的に今おすすめの壁紙を紹介すると『オガファーザー』という紙クロス、これになります。
こちらの壁紙は紙クロスではあるものの、施工現場を見てみるとわかりますが、塗壁と変わらない質感で、非常に硬いです。
それにも関わらず、調湿性も備えている、はりかえの必要のない壁紙なのです。
これから家づくりをされる方にはぜひとも採用していただきたいですね。
ちなみに企業案件ではありません。
純粋に私が実際に見て触れて良いと思ったので、皆さんに紹介しています。
ぜひとも調べてみてください。
ということで後悔する注文住宅オプション15個のうち9個
- 床暖房
- エネファーム
- 大量のエアコンと隠蔽配管のエアコン
- 再熱除湿型以外のエアコン
- 断熱性能の低い玄関ドア
- 第3種換気
- 複合フローリング
- 理由もなく入れたアルミ樹脂複合サッシとペアガラス
- アクセントクロス/ビニールクロス
これらを説明してきました。
前提の知識があると、見えるものもだいぶ変わったのではないかと思います。
後悔する注文住宅オプション6選(独断と偏見)
ではここからあと6個、独断と偏見で後悔する注文住宅オプションを紹介していきます。
勾配天井
まずは、勾配天井です。
勾配天井は最初は非日常感を感じられるので憧れますが、だんだんと普通の天井の方がよかったのではないかと思うようになります。
わかりやすく一言で言うなら、アクセントクロスと一緒で飽きるのです。
ですので勾配天井を検討しようとしている人、もしくは勾配天井がいいなと思っている人は、一旦立ち止まって冷静に考えていただくことをおすすめします。
お風呂の鏡
続いて、お風呂の鏡です。
これは本当にいらないですね。
私の家のお風呂にも鏡をつけていないのですが、なければないで特に気にならないというか、むしろ水垢で白く汚れ、曇って全然見えない鏡を見る必要がなくなったので、気になることが1つなくなってすっきりした気さえします。
家族内でお風呂掃除は私の役目でもあるので、余計に気になるからそう思うのかもしれませんが、できればつけないことをおすすめします。
勝手口
続いて勝手口です。
ここでお伝えしたいことは、勝手口というドア、あれがいらないということであって、勝手口の役割を果たす窓は間取りによっては必要だということです。
というのも勝手口のドアはそれをつけると家の断熱性能が落ちますし、室内の意匠性も落ちてしまいます。
そのため、わざわざあのドアを選んで勝手口をつくること自体が今の時代リスクなのです。
またこれは私の考え方なので賛否両論あると思いますが、これからつくる家がコンパクトな家であれば、正直何をやっても動線は短くなるので、わざわざ勝手口自体をつくる必要はないと思っています。
ただ家の大きさが大きくなればなるほど、どうしても動線が長めになる傾向にあります。
その場合は勝手口の機能を持った窓をどこかにつくっておいた方が便利だったりします。
ですので個人的には間取りの大きさによって、勝手口の機能を想定するしないというのを判断する必要があるように思います。
とにもかくにも、断熱性能が下がるだけなので、勝手口というあのドアだけはつけないようにしましょう。
シャッター
続いてはシャッターです。
これも今はほとんどの人がつけないですし、私の家もつけていません。
では、防犯面はどうするんだ?という話ですが、CPマークがついているガラス、つまりは防犯ガラスを採用することで、ある程度のセキュリティは担保できてしまいます。
というのも、ガラスを破って空き巣に入ろうとするほとんどの人が、5分以上窓が割れないと諦めるとされているのです。
その防犯ガラスであるCPマークのついているガラスは、様々な侵入攻撃に対して5分間以上防御することができるか実際に試験し、クリアしたものだけにCPマークが付与されるようになっているのです。
ですので皆さんが思っている以上に防犯ガラスは強いのです。
そのような理由もあって、ここ最近ではあえてシャッターをつけるという人は減ってきています。
もし今までの固定概念からつけようと思っていたなら、思い切って外してしまい、その代わりに防犯ガラスを入れることをおすすめします。
トイレ、お風呂の窓
続いてトイレ、お風呂の窓です。
これに関してお話をすると、必ず反対する人が一定層いるのですが、それでも私はトイレやお風呂に窓をつけるのは反対です。
その理由としてはうまく換気ができなくなり、お風呂やトイレがカビやすくなるからです。
これを聞くと「いやいや窓を開けたら換気できるじゃん、何言ってるの?」と思われると思うのですが、空気は気体なのです。
つまりはその空間から吸い上げてあげないと、汚い空気はしっかりと抜けないのです。
実は窓を開ければ換気になるというわけではないのです。
余計な掃除をしたくない、トイレやお風呂場をきれいで清潔な状態で保ち続けたい、そう思われる方は窓をつけるのはやめるようにしましょう!
ただどうしても外の景色を楽しみたい、窓がないと暗くなりそうで心配、そう思われる方はFIX窓と呼ばれる開けられない窓を入れるようにすれば、その辺りの解決が可能になります。
ただ性能の低い窓だと、今度はトイレ、お風呂場の断熱性能が下がってしまうので、きちんと性能の高いFIX窓を入れるということは意識してください。
縦型食洗機
最後に縦型食洗機です。
食洗機には日本式の縦型食洗機と海外製のオープン型の食洗機、この2つがあります。
私は両方とも使ったことがあるのですが、やはり海外の食洗機の方がいいです。
少し経緯をお話しすると、私は家を建てる際に元からミーレのG7514CSCiという商品を入れるつもりでいたのですが、コロナのせいで発注から実際に入れるまで1年半くらいかかる予定だったのです。
ですので新居に入居してからミーレが届くしばらくの間は、キッチンがパナソニックだったということもあって、パナソニックさんが食洗機を貸してくれたのです。
そのため、つい最近までパナソニック製の食洗機を使っていたわけですが、入る量が全然違うので、ミーレの方が使い勝手がいいです。
あと地味なポイントではありますが、パナソニックの食洗機の場合、皿がきれいに入らず、何度か並べ直して使うという場面もけっこうありました。
ですので、ネットでは日本製の食洗機でも十分!という意見がちらほら見られますが、両方使ったことがある私からすると、海外の食洗機一択だなと思ってしまいます。
少し金額はかかりますが、時間短縮にもつながります。
使ってみると後悔はしないはずなので、気になる方は入れてみてください!
後悔する注文住宅オプション15選のまとめ
今回は『後悔する注文住宅オプション15選』ということでお話をしてきました。
まとめると
- 床暖房
- エネファーム
- 大量のエアコンと隠蔽配管のエアコン
- 再熱除湿型以外のエアコン
- 断熱性能の低い玄関ドア
- 第3種換気
- 複合フローリング
- 理由もなく入れたアルミ樹脂複合サッシとペアガラス
- アクセントクロス/ビニールクロス
- 勾配天井
- お風呂の鏡
- 勝手口
- シャッター
- トイレ、お風呂の窓
- 縦型食洗機
以上の15個になります。
今の住宅業界は過渡期です。
きちんと時代をとらえた提案ができる人とそうでない人とでは、完成する家の性能やクオリティに大きな差が出てきてしまうのが今の時代の家づくりです。
しっかり勉強し、後悔しない家づくりをしていただければと思います。
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