この記事はメグリエ運営事務局によって作成しました。
住友林業は、木の温もりと洗練されたデザインを特徴とし、多くの人気を集めています。住友林業の構造は、「BF(ビッグフレーム)構法」が有名ですが、「どんな特徴があるのだろう」と気になっている方も多いのではないでしょうか?
今回は、住友林業の構造「BF(ビッグフレーム)構法」の特徴や、メリット・デメリットを徹底的に解説します。住友林業で建築を検討されている方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
住友林業のBF(ビッグフレーム)構法の特徴
木造住宅には、大きく分けて3つの工法があります。それぞれの特徴をまとめると、下の表のようになります。
工法 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
軸組工法(在来工法) | 日本古来の工法で、柱と梁で構成 | ・間取りの自由度が高い・大空間のある間取りや大開口の窓をつくりやすくなる・後々の増築・改築や間取り変更にも対応しやすい | ・接合部に切り欠きができ、耐震面で不安がある |
枠組壁工法(ツーバイフォー、ツーバイシックス) | 面で支える構造 | ・耐震性に優れている・高気密高断熱の住宅をつくりやすくなる | ・構造上外せない壁などもできてしまうため、大きな窓などを付けることが苦手・軸組工法と比べて間取りの自由度が下がる |
次世代工法 | 各ハウスメーカーが独自に開発 | ・軸組工法の自由度と枠組壁工法の強度・性能を両立 | ・開発コストがかかり、採用メーカーが限られる |
住友林業の「BF(ビッグフレーム)構法」は「次世代工法」に分類され、軸組工法の自由度と枠組壁工法の強度・性能を兼ね備えた構造になっています。ここでは、住友林業のBF(ビッグフレーム)構法の特徴について詳しく解説します。
⽇本初の⽊質梁勝ちラーメン構造
住友林業のBF(ビッグフレーム)構法は、日本初の木質梁勝ちラーメン構造として特許(特許第3713256号)を取得しています。ラーメン構造は、柱と梁を強固に接合しフレーム全体で建物を支える仕組みで地震や風などの横からの力にも強い特徴があります。
通常の木造住宅は、横からの力には筋交いや耐力壁で補強する必要がありました。BF(ビッグフレーム)構法は、柱と梁がしっかりと固定されているため、フレーム全体で力を分散させ、優れた耐震性を実現しています。
「梁勝ち」とは、建物を支える横の梁と縦の柱が交わる部分で、梁を優先して通す設計です。梁勝ちにすると、上下階で柱の位置を揃える必要がなくなり、各階で自由な間取り設計が可能となります。木造住宅でありながら、設計の自由度と高い耐震性を両立できる構造となっています。
ビッグコラム

出典:住友林業公式ホームページ
BF(ビッグフレーム)構法の大きな特徴は、「ビッグコラム」という大断面集成柱です。ビッグコラムは、十分に乾燥させた板材を何層にも重ねることにより、高い強度と寸法の安定性を実現しています。一般的な105mm角の柱に比べ、ビッグコラムは約5倍(560mm)の太さがあり、地震に耐えるための耐力壁の役割も果たします。
メタルタッチ接合
BF(ビッグフレーム)構法のもう一つの大きな特徴が「メタルタッチ接合」です。メタルタッチ接合は、高精度なオリジナル金物同士を直接接合する技術であり、ビッグコラム、梁、基礎の一体化を図っています。
一般的な木造住宅は、接合部には木材を介した接合方法が多いですが、地震や強風などの外力が加わると、金物が緩んでしまうリスクがあります。メタルタッチ接合の場合、金属同士が直接固定されるため、長期間にわたって安定した強度を維持できます。また、この技術により建物全体の耐震性能が向上します。
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BF(ビッグフレーム)構法のメリット
続いて、BF(ビッグフレーム)構法を採用することによって、どういったメリットがあるのか解説します。
最大7.1mの大開口、高い天井高をつくれる
BF(ビッグフレーム)構法は、最大7.1mの大開口と高い天井高を設計できるため、開放感のある空間をつくれることが魅力です。柱や壁を最小限に抑えつつ、建物の強度を確保する「ビッグコラム」を採用しているためです。

ビッグコラムの使用により、柱や壁を最小限に抑え、最大7.1mの開口部を設計できます。また、天井高も標準の2.4mに加え、2.6m、2.8m、3.1mと調整可能で、さらに床を約42cm下げることで最大3.52mまで確保できます。
たとえば、リビングと庭をつなぐ大開口を設けることで、室内と屋外の一体感が生まれ、より開放的な空間の演出が可能です。また、天井を高くすることで、部屋全体に広がりを感じさせ、自然光を効果的に取り入れられます。
BF(ビッグフレーム)構法は、開放感のある広々とした空間づくりができます。従来の木造住宅にはない自由度の高い設計が可能となる点が大きなメリットです。
壁内に引き戸を入れられる
住友林業のBF(ビッグフレーム)構法は、壁の内部に引き戸を収納する「引き込み戸」を設置しやすくなります。引き込み戸は、壁の中に扉を入れる仕様のことです。

引き込み戸は、構造上なくしても問題ない壁にしか施工できないため、一般的な住宅ではあまり多くつくれません。しかし、BF(ビッグフレーム)構法の場合、構造上影響のない間仕切り壁を増やせるため、引き込み戸を設置できる場所が多くなります。
通常の外付け引き戸は、扉が壁の外にスライドするため、見た目のバランスが崩れたり、インテリアの邪魔になったりする場合があります。しかし、引き込み戸なら扉が収納されるため、すっきりとした空間に仕上げられるのです。リビングや寝室などの壁面を広く使えるため、デザインの自由度が増し、インテリアの統一感を損ないません。
オシャレな内装をつくるには、壁をできるだけスッキリとさせるのがポイントです。そのため、扉が露出しない引き込み戸を設置しやすい構造は大きなメリットといえます。
コーナーサッシを取り入れられる
BF(ビッグフレーム)構法は、コーナーサッシを取り入れることが可能です。コーナーサッシとは建物のコーナー部分に設置できる窓のことです。

コーナーサッシを取り入れると、空間をより広く感じられたり、視線が抜ける方向を調整できたりするメリットがあります。
一般的な木造住宅は、建物の強度を確保するためにコーナー部分は柱が必要とされ、サッシの設置ができませんが、BF(ビッグフレーム)構法は構造的な制約を受けずにコーナーサッシを設けられます。
たとえば、リビングのコーナーに大きなサッシを設置することで、庭やテラスと一体感のある空間を作り出すことが可能です。一方向でしか視線の抜けを演出できなかった窓が、コーナーサッシによって多方向に視線の広がりを持たせられるようになります。
このように、BF(ビッグフレーム)構法はコーナーサッシを設けることができ、開放感のある空間をつくることができます。
耐震性に優れている
住友林業のBF(ビッグフレーム)構法は、非常に優れた耐震性能を備えています。耐震実験では、実物大の3階建てモデルを使用し、東日本大震災を超えるレベルの揺れにも耐えられることが証明されています。

地震の瞬間的な大きさを表す単位として「ガル」がありますが、目安として600ガル以上で震度7クラスの地震となります。東日本大震災の最大加速度は2,699ガルとされていますが、BF(ビッグフレーム)構法の耐震実験では、それを超える3,406ガルの揺れを加えても余裕でクリアしたとされています。
さらに、震度7の揺れを22回、震度4から6弱の揺れを224回繰り返し与えても、構造躯体の耐震性が維持され続けることを確認しています。住友林業のBF(ビッグフレーム)構法は大地震だけでなく、その後の強い余震にも耐えられることがわかります。
また、実験で使用された建物には大きな窓が設けられていましたが、それでも耐震性は損なわれませんでした。住友林業のBF(ビッグフレーム)構法は、大きな窓を取りながら耐震性も維持できる、デザイン性と安全性を両立した構造といえます。
尺モジュールとメーターモジュールの混合提案が可能
住友林業のBF(ビッグフレーム)構法は、「尺モジュール」と「メーターモジュール」を混合した提案が可能です。建築におけるモジュールとは、設計の基準となる寸法の単位を指します。
- 尺モジュール:910mm × 910mm のマスを積み上げてつくる
- メーターモジュール:1,000mm × 1,000mm のマスを積み上げてつくる
多くのハウスメーカーでは「尺モジュール」を使うことが主流です。また、ほとんどのハウスメーカーは、尺モジュールかメーターモジュールのどちらかでしか提案できません。
住友林業もメインは尺モジュールですが、メーターモジュールも使うことができます。さらに、尺モジュールとメーターモジュールを混合した提案が可能なのです。
尺モジュールとメーターモジュールのメリット・デメリットを比較すると、下の表のようになります。
モジュール | 尺モジュール | メーターモジュール |
---|---|---|
寸法 | 910mm × 910mm のマスを積み上げてつくる | 1,000mm × 1,000mm のマスを積み上げてつくる |
メリット | ・コンパクトな設計がしやすい・コストを抑えやすい | ・各スペースにゆとりを持たせられる・車椅子や介助が必要な場合にも対応しやすい |
デメリット | ・空間が狭くなる | ・コストが高くなりやすい・建物全体の面積が大きくなり、無駄が生じる場合もある |
尺モジュールを採用する場合、コンパクトな設計がしやすく、コストを抑えることが可能です。
メーターモジュールの場合は、各スペースを広く確保できます。ただし、メーターモジュールは建材の出荷量が少ないため、コストが上がる傾向にあります。
そして、尺モジュールとメーターモジュールとでは、トイレや廊下、浴室、階段などの「限られた空間」の広さが変わってきます。たとえば、トイレを設計する場合、尺モジュールでは910mm×1,820mm、メーターモジュールでは1,000mm×2,000mmとなります。幅は9cm、奥行きは18cmの違いがあり、この差が使い勝手に大きな影響を与えます。
メーターモジュールは、車椅子を使用する場合や介助が必要な場合でも、ゆとりのある設計が可能になります。
また、階段の勾配にも違いが出ます。尺モジュールの階段は傾斜が急になりやすいですが、メーターモジュールの場合は勾配を緩やかにできます。高齢者や小さな子どもがいる家庭では、階段の傾斜が緩やかな方が安心です。
しかし、メーターモジュールばかりを採用すると、家の総面積が大きくなり、コストが上昇するだけでなく、必要以上に広くなってしまう可能性があります。
そこで、住友林業ではリビングや寝室などは尺モジュールで設計し、トイレや階段などの限られた空間ではメーターモジュールを採用するといった設計ができます。
住友林業のBF(ビッグフレーム)構法は、尺モジュールとメーターモジュールを混合できる数少ないハウスメーカーの1つです。ただし、住友林業に限ったことではありませんが、営業担当者のリテラシーによって、適切に提案してもらえるかが異なるため注意が必要です。
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BF(ビッグフレーム)構法のデメリット
次に、BF(ビッグフレーム)構法にはどのようなデメリットがあるのか解説します。
断熱性能はそこまで高くない

BF(ビッグフレーム)構法は、断熱性能がそれほど高くないというデメリットがあります。構造上の特徴であるビッグコラムが壁側に設置されると、その部分には断熱材が入れられないため、断熱性能が落ちてしまいます。
木の熱伝導率は0.15前後ですが、高性能グラスウール24kの熱伝導率は0.036程度であり、約4.1倍の断熱性能の差があります。そのため、断熱材がない部分が多くなると、断熱性能が低下しやすくなります。
住友林業の家はすべてがビッグコラムで構成されているわけではなく、ビッグコラムの数自体は少ないため、大きな影響があるわけではありません。しかし、断熱材があるのとないのを比較すると、ビッグコラムの部分は断熱性能が下がる結果となります。
また、住友林業の標準仕様では、床下の断熱材の厚さも他のハウスメーカーと比べるとそこまで厚くありません。具体的には、東北・北海道仕様であってもポリスチレンフォーム3種100mmが採用されています。近年の断熱等級の変更に伴い、床の断熱材をさらに厚くしているハウスメーカーも増えているため、比較すると断熱性能が劣る可能性があります。
しかし、BF(ビッグフレーム)構法の断熱性を向上させる方法もあります。
東北・北海道の断熱仕様にする
一つ目は、壁の断熱仕様を「東北・北海道の断熱仕様にする」方法です。
住友林業の断熱材の標準仕様には、柱と柱の間に断熱材を入れる「充填断熱」が採用されていますが、東北・北海道仕様に変更すれば、充填断熱の弱点を補う「付加断熱」にすることができます。
外壁部分に断熱材を追加する付加断熱は、柱部分から熱が伝わりやすいという問題を解決できます。断熱材は厚ければ厚いほど断熱の効果が上がるため、付加断熱にすることで断熱性能の向上が可能です。
無垢床を入れる
二つ目は、「無垢床を入れる」という方法です。無垢床は突板や挽き板よりも厚みがあり、床下の冷気を遮断してくれるため、断熱効果を高められます。そのため、1階部分には無垢床を入れて対策をするのがおすすめです。
住友林業の断熱性能は標準仕様のままでも大きな問題はありませんが、断熱性能を重視する方は、上記の対策を検討することをおすすめします。
断熱性能についてもっと詳しく知りたいという方は、「【ハウスメーカー比較】断熱性能を比較する時の基本」をぜひ合わせて見てみてください。
価格が高い

住友林業のBF(ビッグフレーム)構法は、価格が高いというデメリットがあります。
住友林業の最新の坪単価は約115万円〜130万円が相場となっています。「高い」と思う方も多いかと思いますが、実は近年の物価上昇が続く中でも、住友林業は価格の上昇幅が抑えられており、検討しやすい価格帯を維持しています。
たとえば、坪単価ランキングでトップのハウスメーカーと比較した場合、同じ仕様でも住友林業の方が1,000万円ほどコストを抑えられる可能性があります。住友林業のBF(ビッグフレーム)構法は決して安価とはいえませんが、大手ハウスメーカーの中では比較的リーズナブルな価格帯に位置しているのです。高い耐震性やデザイン性を考慮すると、納得感のある価値といえるでしょう。
住友林業をはじめ、大手ハウスメーカーの坪単価についてもっと詳しく知りたいという方は、「まかろにお【2025年最新】大手ハウスメーカー坪単価ランキング」をチェックしてみてください。
他社でリフォームをしにくい
BF(ビッグフレーム)構法は、住友林業独自の特許技術を用いた型式認定構法であるため、他社でのリフォームがしにくいというデメリットがあります。
型式認定とは、国が構造の安全性を認めている証ですが、設計や施工に関する詳細な構造情報は住友林業とその指定業者以外には公開されません。そのため、他社や地元の工務店にリフォームを依頼する場合、必要な構造計算ができず、建築確認許可が下りない場合があります。
たとえば、将来的に費用を抑えられる業者にリフォームを依頼しようとしても、BF(ビッグフレーム)構法の場合は対応できない可能性があります。そのため、住友林業の指定業者に依頼せざるを得ず、リフォーム費用が相場より高くなることも考慮しなければなりません。
住友林業のBF(ビッグフレーム)構法は、安全性や品質が保証されている反面、リフォームの自由度が低い点は事前に理解しておく必要があります。
BF(ビッグフレーム)構法に関するよくある質問
最後に、BF(ビッグフレーム)構法に関して、よくある質問とその回答を紹介します。
BF(ビッグフレーム)構法で用いる木材は何?
BF(ビッグフレーム)構法で使用される木材は、「オウシュウアカマツ集成材」という外国産木材です。
オウシュウアカマツは、強度が高く腐りにくい性質を持っており、構造材として非常に優れています。湿気にも強く、木材特有の腐朽リスクを抑えられる点も大きなメリットです。
なお、オプションで国産ヒノキへの変更も可能ですが、国産ヒノキはオウシュウアカマツに比べて強度が下がるため、あえて国産木材を選ぶ方は少ないようです。また、国産ヒノキを選ぶと価格も上がります。
住友林業ではBF(ビッグフレーム)構法以外の構法は選べる?
住友林業では、BF(ビッグフレーム)構法だけでなく、「マルチバランス構法」も選択できます。マルチバランス構法は、日本の伝統的な木造軸組み構造(在来工法)に最新技術を取り入れ、耐震性や耐久性を向上させた工法です。
柱や土台には「スーパー檜」を使用し、含水率を15%以下にすることで、収縮や割れに強い安定した品質を確保しています。また、耐力面材「きづれパネル」を採用しており、高い強度で地震の揺れやねじれを防ぎます。
しかし、現状では住友林業で家を建てる9割以上の方がBF(ビッグフレーム)構法を選んでいます。
まとめ
住友林業の構造「BF(ビッグフレーム)構法」の特徴と、メリット・デメリットについて解説しました。
BF(ビッグフレーム)構法は、木造住宅の強みを活かしながらも高い耐震性と自由度の高い設計を可能にした独自の構法です。大開口や高天井、コーナーサッシなど開放的な空間をつくれる一方で、断熱性能について調整の必要性や、リフォームの制約といった課題もあります。
家づくりを検討する際は、構造の特徴を理解した上で、自分に合ったハウスメーカーを選ぶことが大切です。
住友林業についてもっと詳しく知りたい方は、「まかろにお【最新2025年版】住友林業の徹底解説!これさえ見ておけば大丈夫でしょ!」をチェックしてください。
『人から始める家造りの重要性を世に広める』をコンセプトとした住宅系YouTuber「まかろにお」が運営するYouTubeチャンネル「まかろにお【大手ハウスメーカー攻略法】」では、大手ハウスメーカーの特徴やメリット、デメリット、さらに注文住宅を建てるうえで知っておきたい知識などを定期的に配信しています。
理想の家づくりをするためのヒントが見つかるはずですので、ぜひチェックしてみてください。