今回は 『補助金はどうなる?2027年開始の新制度「GX ZEH」の概要』というテーマでお話をしていきます。
というのも先日国から、「GX ZEH」という新たな制度を2027年4月から開始するという告知が出ました。

このGX ZEHというのが今後の住宅のトレンドになりそうですし、そもそも「何のことか意味わからん!」という人も多いと思うので、今回はこの辺の情報について整理してお話しようと思います。
これから家づくりを始める人にとってはものすごく重要な制度になってくるので、時代の流れにマッチした家づくりをしつつ補助金をうまく活用できるよう、ぜひ最後までお読みください。
ZEHとは?
まずは簡単に 「ZEH(ゼッチ)」とは何なのかについて説明します。
「ZEH」とは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(Net Zero Energy House) の略で、高断熱・省エネ設備と再生可能エネルギーの活用によって、住宅が消費するエネルギーと創出するエネルギーを差し引きゼロ以下にすることを目指す住宅のことです。

何のことかよくわからないかと思うので、具体的に説明をすると、この制度は 2014年くらいから開始された制度で、住宅の断熱性能を高めつつ、省エネ性能の高い設備を導入する「省エネ」と、太陽光発電などでエネルギーを創り出す「創エネ」、これらを組み合わせることで、年間のエネルギー消費量を実質ゼロにすることを目標としてつくられた制度です。

ただ、これまでのZEH基準は、正直レベルが低すぎて「ZEH基準に該当したからって何?」という感じでしたし、実際にZEH基準で家を建ててみたらわかりますが、全くと言っていいほどゼロ・エネルギー・ハウスになっていなかったわけです。
普通、ゼロ・エネルギー・ハウスと聞いたら、ゼロ・エネルギーなわけで、光熱費がプラスマイナスゼロになりそうな気がします。
しかし実態は全然そうなっておらず、ZEH仕様にしても夏は暑く、冬は寒い家だったのです。

そんな時代がずっと続き、2020年10月におよそ20年ぶりに断熱等級の改正があり、そして2025年、ZEH基準の新しい制度としてGX ZEHが発表になったという流れです。
これが、ざっくりとしたZEHの概要です。
GX ZEHの4つのカテゴリー
今回発表されたGX ZEHですが、大きく分けて4つのカテゴリーがあります。
- GX ZEH+
- GX ZEH
- Nearly GX ZEH
- GX ZEH oriented
以上4つが新たに設けられることになった、ZEH基準のカテゴリーです。
GX ZEH+
こちらは
- 建物の断熱等級が「6」であること
- 再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギーから35%以上の一次エネルギー消費量の削減
- 再生可能エネルギーの導入
- 再生可能エネルギーなどを加えて、基準一次エネルギー消費量から115%以上の一次エネルギー消費量の削減
これら4つの条件をすべて満たしたものをGX ZEH+とします。
これも意味がわからないと思うので、簡単に言い換えると以下のような感じです。
- 建物のUa値を0.4以下にしてください
- 基準となる一般住宅と比較して、基準一次エネルギーとして換算される冷房・換気・照明・給湯などのエネルギーを35%以上減らしてください
- 太陽光発電を入れてください
- 基準一次エネルギーとして換算される冷房・換気・照明・給湯に太陽光を加えて基準一次エネルギー消費量から115%以上の一次エネルギー消費量を削減してください

ということです。
GX ZEH
条件はGX ZEH+とかなり酷似していて、①〜③はGX ZEH+と同じで、④のみが少し違っています。
- 再生可能エネルギーなどを加えて、基準一次エネルギー消費量から100%〜115%未満を削減

となっています。
Nearly GX ZEH
こちらも①〜③はGX ZEH+と同じです。
- 再生可能エネルギーなどを加えて、基準一次エネルギー消費量から75%〜100%未満を削減

となっています。
GX ZEH oriented
これは
- 積雪量が100cm以上の多雪地域
- 中高層住居専用地域
- 田園住居地域並びに地方自治体の条例において北側斜線が定められている地域かつ敷地面積が 85㎡未満の土地

のみで使える制度です。
要は、雪がものすごく降る、

土地が狭すぎて太陽光が乗せられない、乗せても意味がない

というエリアのために、制度として別枠を設けたというイメージです。
ですので、条件はGX ZEH+の①と②のみになります。
GX ZEH基準を満たすための条件
4つのZEH基準が 2027年4月からスタートになるという話でしたが、おそらくどのZEH基準に該当するかによって、補助金の金額が変わってくると思います。

普通に考えて、GX ZEH+が最も基準が高いため、補助金としてもらえる金額が大きく、GX ZEH、Nearly GX ZEH、GX ZEH orientedの順で補助金が下がってくるのではないかと思います。
具体的な補助金の額の発表は今後出てくるはずです。
ここまでの話を聞くと「そんなことか。とりあえず性能の高い家をつくっておけば補助金が満額もらえそうだし、それでいいんでしょ?」と思われた方も多いと思います。
誰だってできることなら最高性能の家を建てたいはずですし、最初から性能の低い家を建てようと思う人はほぼいません。
しかし実は、これまで説明してきた条件をクリアすればGX ZEHの基準をクリアできるというわけではありません。
GX ZEH orientedを除くGX ZEH+、GX ZEH、Nearly GX ZEH、これらの基準に該当するためには、
- 高度エネルギーマネジメントシステム
- 5kW以上の蓄電池
この2つを必ず導入しなければならないという条件がついています。
高度エネルギーマネジメントシステムの導入
高度エネルギーマネジメントシステムは、エネルギー計測装置(HEMS)と呼ばれるものです。
これは、現在どこの工務店、ハウスメーカーであっても大体入っているので、問題ありません。
蓄電池の導入
蓄電池は問題です。
蓄電池を5kW以上入れなければZEHの要件を満たせないというのが、2027年からのZEH基準です。
そして、ZEH基準を達成できなければ、当然補助金ももらえないということになります。
蓄電池が普及しない理由
日本の家庭用蓄電池の普及率は、現在約5%前後と非常に低い状況です。

なぜなら、蓄電池の価格が高すぎるからです。
例えば、現在5kWの蓄電池を買う場合、価格にして150万円くらいする印象です。
いろいろなものの物価が高騰していて、ただでさえ住宅の購入がきつい状況ですが、最後のとどめのように、蓄電池を入れるのに150万円かかるとなると躊躇しますし、入れる人も少なくなります。

これは普及しないわけです。
しかも蓄電池は、後で入れることがかなり難しいのです。
なぜなら、蓄電池を後入れしようとすると、約300万円の追加費用がかかるからです。
どういうことかというと、蓄電池を設置するには土台が必要ですし、家の壁を壊して配線を通す必要があります。
そのリフォーム工事や設置費用に約150万円かかります。
さらに5kWの蓄電池を購入すると追加で150万円かかるので、蓄電池を後入れしようと思うと、合計300万円くらいかかってしまうのです。
時々住宅営業マンが、「蓄電池は安くなってから入れてもいいのでは?」と言うことがありますが、これはあまりよくありません。
なぜなら、余計なリフォーム費用が追加で150万円くらいかかってしまうからです。
蓄電池を入れるなら、最初から入れておいた方がいいのです。
ただ、いろいろな兼ね合いで最初から蓄電池を入れるのが難しいという状況があるのが今なわけです。
このような状態なので、蓄電池が普及するはずもありません。
これはあくまで私の予想ですが、今後は国が蓄電池を後押しする形になるので、何かしらの形で蓄電池を入れるための補助金が別枠で用意されると思います。
そうでないと、あまりにも現実的ではない補助金の制度になってしまいます。
実際に補助金の制度はどんどん煮詰まってくると思いますが、そのときに蓄電池に関する新たな補助金が出てくれたらうれしいなと思っています。
蓄電池の販売が有利なハウスメーカー
蓄電池の販売が有利なハウスメーカーとしては、
- 一条工務店
- セキスイハイム
- ヤマダホームズ
- ダイワハウス
があります。
多少ですが、これらのハウスメーカーが有利な時代になっていくのかなと思います。
これらのハウスメーカーでは、比較的割安で蓄電池を導入できます。
家づくりはなるべく早めに
今回の新しい制度が始まるのは2027年4月なので、それ以前に家づくりが終わる方は正直ラッキーかもしれません。
現行の補助金制度では、蓄電池の採用・不採用は求められていないので、とりあえず建物の断熱性能さえ上げておけばいいという比較的緩い条件で補助金がもらえます。
ただ、2027年4月以降に家が完成するスケジュールで動いている人、あるいはこれから動き始める人にとっては、先行きの不透明さは否めません。

物価の高騰も顕著なので、家づくりを考えている方はなるべく早めに動きましょう。
補助金どうなる!?2027年開始の新制度「GX ZEH」の概要のまとめ
今回は 『補助金どうなる!?2027年開始の新制度「GX ZEH」の概要』というテーマでお話をしました。
「現在の住宅業界はこんな感じになっているんだ」くらいに思っていただき、今後の参考にしていただければと思います。
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