今回は、「遮音性能の高いハウスメーカーランキング」として、遮音性に優れたハウスメーカーをランキング形式で紹介していきます。
防音性能はつい後回しにされがちですが、実は注文住宅を建てる際にしっかり検討すべき重要なポイントです。なぜなら、マンションのような集合住宅と比べると、一戸建てはどうしても音が伝わりやすい傾向にあるからです。 特に木造住宅には『軸組工法』と『2×4(ツーバイフォー)工法』の2種類があり、それぞれで遮音性の特徴が異なります。

各ハウスメーカーは、『軸組工法』や『2×4(ツーバイフォー)工法』をベースに独自の工法へと進化させて家づくりを行っています。
その中で、『2×4工法』は、強度の高い建物を実現できるという大きなメリットがある一方で、音が反響しやすいというデメリットも抱えています。これは構造上、壁や床が太鼓のように音を響かせやすい形になってしまうためで、避けられない特徴なのです。
ただし、こうした特性を理解してハウスメーカーを選ぶのと、知らずに選ぶのとでは、暮らしの快適さに大きな違いが出てきます。もちろん各ハウスメーカーもその弱点を把握したうえで、さまざまな対策を講じていますが、それでもなお防音性能にはハウスメーカーごとの差があるのが現実です。 では、その違いを見極めるポイントはどこかというと、実は断熱材の厚さなのです。

どういうことかというと、たとえばマスクをつけた人と会話する場面を想像してみてください。声が少しこもって聞き取りにくくなりますよね。これは声の振動がマスクによって遮られているからです。
建物も同じで、壁の内部に断熱材を挟むことで音の振動を遮り、外部や隣室に伝わりにくくすることができるのです。

つまり、断熱材の厚さによって遮音性は大きく変わるのです。だからこそ、遮音性を重視するなら、まず確認すべきは断熱材の厚みということになります。 そこで今回は、遮音性能の高いハウスメーカーランキングを、断熱材の厚さとあわせて紹介します。このランキングは、私のYouTubeチャンネルで実施したアンケートの投票数及びコメント欄の反応を元にして順位付けした結果となります。つまり、「利用者が実際に選んだ遮音性の高いハウスメーカーランキング」というわけです。
総投票数は3,378票。投票してくださった皆さん、本当にありがとうございます!それでは、早速ランキングを見ていきましょう。
第9位:スウェーデンハウス

スウェーデンハウスはスウェーデンの住宅を輸入して家づくりをしているハウスメーカーです。

「輸入住宅」と聞くと、家そのものを空輸して運んでくるのかと想像する方もいますが、実際にはそうではありません。正しくは、「海外の設計思想をもとに、日本国内で建築される住宅」のことを指し、これを輸入住宅と呼ぶのです。

たとえば、スウェーデンハウスでは、日本ではあまり使われていない木製サッシを採用したり、北欧らしい独特のデザインを取り入れた外観の住宅を建てたりしています。


では、なぜスウェーデンにこだわっているのかというと、それはスウェーデンが「住宅先進国」と呼ばれているからです。このあたりを深掘りするととても面白いのですが、今回は割愛します。

要するに、住宅先進国といわれるスウェーデンの住まいを日本に広めることを目的に活動しているのがスウェーデンハウスなのです。
そのスウェーデンハウスの防音性能についてですが、80dBの音をおよそ48dBまで下げられるとされています。

これは例えるのであれば、
これは例えるなら、地下鉄に乗って窓を開けたときに聞こえる騒音が、図書館の中のような静けさまで抑えられるというイメージです。かなりの違いですよね。

それほどまでにスウェーデンハウスの遮音性が高い理由は、断熱材と窓にあります。実は、スウェーデンハウスは木質パネル工法を採用しており、構造的には『2×4(ツーバイフォー)工法』に非常に近い造りになっているのです。

そのため、本来であれば音が響きやすい構造なのですが、スウェーデンハウスではグラスウールという断熱材で家全体を覆うように施工し、遮音性を高めているのです。

具体的には、次の仕様になっています。
- 天井:グラスウール10kを300mm
- 外壁:グラスウール24kを120mm
- 床:グラスウール16kを200mm

特徴として挙げられるのは、1階と2階の間にも断熱材を入れている点、そして構造躯体のつなぎ目にまでグラスウールを充填している点、この2つだと思います。


こうした施工によって、断熱性能を確保しながら、断熱材が音の振動をしっかりと抑えてくれるのです。
さらに、スウェーデンハウスでは、窓にトリプルサッシを採用しています。

このトリプルサッシは、通常より1mm厚い4mmのガラスを3枚重ねた構造になっており、高い断熱性能を維持しながら遮音性も発揮してくれます。そのため、スウェーデンハウスは、断熱材と窓の工夫によって、80dBの音を約48dBまで下げられる遮音性能を実現しているのです。

実際に展示場で体感してみると、スウェーデンハウスの遮音性能の高さがよくわかります。個人的にはもっと上位でも良いのではと思うほどですが、今回は第9位という結果になりました。
第8位:住友林業

住友林業は、『木と生きる幸福』がキャッチコピーのハウスメーカーです。

そのため、多様な樹種のフローリングを選べたり、空間をよりおしゃれに演出するアイテムが揃っていたりと、特にデザイン性を重視する方におすすめのハウスメーカーです。

では、住友林業の遮音性能について見ていきましょう。主力であるBF(ビッグフレーム)構法では、断熱材として次の仕様を採用しています。
- 天井:高性能グラスウール24kを220mm
- 壁:高性能グラスウール24kを105mm

これにより、70dbの音を35dBまで下げることができるとされています。

これは、セミの鳴き声ほどの大きさが、深夜の住宅街のような静けさまで抑えられるということです。 さらに、1階と2階の間には、標準仕様として24kのグラスウールが50mm入っていますが、オプションで「遮音60」という仕様に変更することも可能です。


さらに、室内と室内の間仕切りにもオプションでグラスウールを充填でき、その結果、室内で発生する音を最大30dBほど軽減することが可能になります。

以前、私の紹介で音楽家の方が住友林業で家を建てたのですが、とても満足されていました。特にバイオリンやチェロのように木でできた楽器との相性が良く、無垢床を選ぶことで音と空間が美しく調和するのです。遮音性にしっかり配慮しながら、木の風合いを活かした内装にしたい方には、住友林業はぜひ検討する価値があると思います。
第7位:三井ホーム

三井ホームは、洋風デザインを得意とすることが大きな特徴のハウスメーカーです。

スウェーデンハウスと同様に、建物の外観の好き嫌いが人によってはっきりと分かれるハウスメーカーでもあります。
そんな三井ホームの遮音性能ですが、断熱材は次の仕様で、これにより80dBの音をおよそ35dBまで抑えられるとされています。
- 壁:ロックウール140mm
- 床:ビーズ法ポリスチレンフォーム80mm


たとえるなら、地下鉄で窓を開けたときの騒音が、夜の公園のような静けさまで抑えられるというイメージです。

落差がすごいですよね。 さらに、2階の床には制振バーやロックウールが施工されており、足音が下階に響かないようしっかりと対策が取られています。

加えて、室内の壁内部にもロックウールや制振遮音材が組み込まれているため、部屋と部屋の間で発生する音も効果的に抑えてくれるのです。

ここまで見ていただくと、三井ホームが遮音性能にかなり力を入れていることがわかると思います。では、なぜここまで徹底しているのかというと、これはあくまで私の推測ですが、三井ホームの構造が『2×4(ツーバイフォー)工法』をベースにしているからではないかと考えています。

というのも、冒頭でも触れたように『2×4(ツーバイフォー)工法』は、強度の高い家を建てられる一方で、音が響きやすいという弱点があるからです。この点については「2×4工法 音」などで検索すると多くの情報が出てきますので、気になる方は調べてみてください。 こうした背景があるため、三井ホームでは特に遮音対策に力を入れているのだと思います。
第6位 一条工務店

一条工務店は、「家は性能」をキャッチコピーに掲げるハウスメーカーです。

そのため、一条工務店は断熱性能に非常に力を入れていますが、実は採用される断熱材は商品ごとに異なります。具体的には、グラン・セゾン、セゾンF、セゾンA、百年、ブリアールでは、次のような仕様になっています。
- 天井:EPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)145mm
- 壁:EPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)120mm
床:EPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)90mm

次に、断熱性能が良いアイスマイル・アイスマイル プラスは次のような仕様です。
- 天井:EPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)235mm
- 壁:EPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)140mm
- 床:EPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)140mm

そしてさらに断熱性能が良いアイキューブⅠの仕様は次のとおりです。
- 天井:EPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)235mm
- 壁:EPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)190mm
- 床:EPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)140mm
になります。

そして、さらにさらに断熱性能の良いアイスマート・アイキューブⅡ・グランスマートは次のとおりです。
- 天井:高性能硬質ウレタンフォーム235mm
- 壁:内外W断熱、高性能硬質ウレタンフォーム 合計190mm
- 床:高性能硬質ウレタンフォーム140mm

このように商品ごとに4段階で断熱性能がグレードアップされており、それに応じて遮音性能にも違いが出ます。ただし、一条工務店としては、いずれの仕様でも70dBの音をおよそ40dBまで低減できるとしています。

これはたとえるなら、幹線道路の騒音が深夜の郊外のような静けさまで抑えられるというイメージです。

また、一条工務店の窓は3枚ガラスなので、それもあってさらに遮音性が向上しているといった感じですね。

ただし、一条工務店は発泡系の断熱材を採用しているため、音が反響しやすいという弱点があります。そのため、外部からの音はしっかり遮音できますが、室内の音が響きやすくなるため、吹き抜けを避けるなどの工夫が必要になるかもしれません。

さらに、発泡系断熱材には別のデメリットもあります。性能自体は高いとされていますが、法律上「家の断熱性UA値を算出する際には、部分的な欠損は『みなし計算』できる」と定められているのです。
つまり、配線や配管、階段施工などで断熱材を大きく切り欠いたとしても、存在するものとして計算に含められてしまいます。その結果、計算上の断熱性能と実際の性能に差が生じる可能性があるのです。これは意外と知られていない点なので、雑学程度に知っておくと良いでしょう。
第5位:セキスイハイム

セキスイハイムは、「あったかハイム」のCMで広く知られているハウスメーカーです。

断熱材の仕様は次のとおりで、特別厚いわけではありません。
- 壁:高性能グラスウール 100mm(16k)
- 天井:高性能グラスウール 200mm(16k)
それでも、セキスイハイムでは70dBの音をおよそ30dBまで軽減できるとしています。


ただ、セキスイハイムは外壁が特別厚いわけではないため、この数値がどこまで正確かは正直疑問が残ります。
一方で、たとえば寝室間の間仕切り壁には石膏ボードが二重に貼られ、その内部には40Kという高密度のグラスウールが充填されています。

また、ジョイント、ビーム、ダンパーと呼ばれる装置を2階の床につけて遮音性を高めています。

この点を踏まえると、セキスイハイムは室内から発生する音への配慮を重視していることがわかります。

元々、セキスイハイムは「ユニット工法」と呼ばれる、鉄の箱同士を連結して建てる工法を採用しており、比較的広い土地で家を建てるケースが多いのです。

広い土地ということは必然的に郊外や田舎が多く、外部の騒音自体がそこまで気にならない環境であることが多いでしょう。そのため、外部音よりも室内の音対策に力を入れていて、結果として今回のランキングでも5位に入ったのではないかと考えられます。
第4位:パナソニックホームズ

パナソニックホームズは、言わずと知れた大手メーカー・パナソニックのグループ企業です。

主力であるHS構法の断熱材は次のような仕様です。
- 屋根:ロックウール210mm
- 壁:ロックウール105mm(ハイグレード仕様では160mm)
この仕様で70dBの音を20dBまで低減できるとされています。

もう一つのF構法では、断熱材は次のような仕様になっています。
- 屋根:ロックウール200mm
- 壁:ロックウール75mm+フェノールフォーム20mm
この場合は70dBの音を30dBまで低減できるとされています。

これは幹線道路の騒音を木の葉が触れ合う音くらいまで軽減してくれるというレベルの遮音性能で、実を言うと業界でトップクラスの性能です。

また、室内の部屋同士の音へも配慮されており、遮音間仕切り壁の中にはロックウールを25mm入れることで、部屋同士の音は35dB軽減してくれます。

さらに、HS構法であれば2階の床のALCコンクリートが遮音性を高めてくれています。

それでもなお遮音性を高めたい場合には、オプションで「QON-50」という遮音複合システムを導入することも可能です。
ちなみに、私自身も現在パナソニックホームズが建てたマンションに住んでいますが、その仕様は戸建てとほとんど変わらないにもかかわらず、遮音性は本当に高いと感じます。家の中にいると雨が降っていても気づかないこともあるほどです。 今回のランキングで4位という結果でしたが、個人的には納得できる順位だと思います。
第3位:ダイワハウス

ここから上位のメーカーは、いずれも壁の厚さがしっかりしているため、「それなら遮音性が高いのも当然だよね」と思えるところばかりです。 ダイワハウスは、ダイワマンや松坂桃李を起用したCMでも知られる大手ハウスメーカーですが、80dBの音を30dBまで低減できるとされています。


そのため、これまで登場したどのハウスメーカーよりも高い遮音性能を誇ることになります。理由は明確で、ダイワハウスは壁の中に断熱材をびっしりと詰め込んでいるからです。
具体的には、ダイワハウスには3つの断熱グレードがあり、まず1段階目が「スタンダードV断熱仕様」と呼ばれるものです。次のような仕様になっています。
- 天井:高性能グラスウール14k 100mm
- 壁:グラスウールボード100k 12mm+高性能グラスウール14k 120mm(合計132mm)
- 床:高性能グラスウール67mm

そして、2段階目は「ハイクラスV断熱仕様」で、仕様は次のとおりです。
- 天井:高性能グラスウール14k 100mm+高性能グラスウール16k 100mm(合計200mm)
壁:グラスウールボード100k 12mm+高性能グラスウール14k 120mm(合計132mm)
床:高性能グラスウール67mm
つまり、スタンダードV断熱仕様と比べて屋根の断熱材が強化されているのです。

そして、3段階目が「エクストラV断熱仕様」で、現時点で可能な限りの断熱材を盛り込んだ仕様になっています。
- 天井:セルロースファイバー25k 300mm
- 壁:グラスウールボード100k 12mm+高性能グラスウール14k 172mm(合計184mm)
- 床:硬質ウレタンフォーム60mm

断面を見ると一目瞭然ですが、「これは遮音性も高いに決まっている」と納得できるレベルです。

特にこのエクストラV断熱仕様にすると、50dB以上の音を軽減できるのではないかと思うほどです。これまでさまざまなランキングを作ってきましたが、実はダイワハウスこそ最強なのではないかなと思いますね。
第2位:積水ハウス

積水ハウスの仕様を見ていくと、鉄骨造の場合は次のようになっています。
- 屋根:高性能グラスウール16k(200mm)
- 壁:高性能グラスウール16k(100mm)
- 床:ポリスチレンフォーム(80mm)

木造の場合の標準仕様は次のとおりです。
- 屋根:高性能グラスウール16k(200mm)
- 壁:高性能ロックウール16k(100mm)
- 床:ポリスチレンフォーム(80mm)

そのため、これだけ見るとそこまで遮音性は普通のように思えるのですが、積水ハウスにはダインコンクリートがあるのです。

ダインコンクリートは鉄骨造の家のみで使える外壁なのですが、厚さが60mmもあるのです。

一般的に使われるサイディングと呼ばれる外壁の厚さ15mm程度ですから、4倍も厚いのです。それもあって、積水ハウスの鉄骨の建物は遮音性が非常に高いものになっています。

実際に家の中にいると、いつ雨が降り出したのかわからないときがあります。 一方で、木造の遮音性能は作り方的に普通のレベルです。

そのため、遮音性能を気にする場合は、鉄骨を選んだほうが良いかもしれません。
第1位:ヘーベルハウス

第1位は、やっぱりヘーベルハウスでした。

ヘーベルハウスの外壁には「ヘーベル板」と呼ばれる建材が使われています。このヘーベル板は「軽量気泡コンクリート」とも呼ばれ、内部に無数の微細な気泡を含んでいることが特徴です。

そして、その微細な気泡が音を吸収するため高い遮音効果を発揮してくれるわけです。

さらに、断熱材についても、軽量鉄骨・重量鉄骨どちらの場合でも、次の仕様になっています。
- 壁:ネオマフォーム45mm(柱周りは20mm)+ヘーベル75mm
- 床:ポリスチレンフォーム60mm+ヘーベル100mm
ここまで壁が厚ければ、遮音性能が高いのも当然といえるでしょう。

私の体感では、ダイワハウス・積水ハウス・ヘーベルハウスの3社であれば、遮音性能に大きな差はないと思います。ただし、ヘーベルハウスならではの外観デザインや地震への強さといった特長を重視するのであれば、ヘーベルハウスをメインに検討してみるのも良い選択肢だと思います。

まとめ
「遮音性能の高いハウスメーカーランキング」をお届けしました。まとめると下の表のとおりです。
| 第9位 | スウェーデンハウス |
| 第8位 | 住友林業 |
| 第7位 | 三井ホーム |
| 第6位 | 一条工務店 |
| 第5位 | セキスイハイム |
| 第4位 | パナソニックホームズ |
| 第3位 | ダイワハウス |
| 第2位 | 積水ハウス |
| 第1位 | ヘーベルハウス |
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