最新のセキスイハイムの情報はこちらから
【2024年最新】セキスイハイムの特徴10選〜すべてがわかる!〜
今回は『セキスイハイム徹底解説(特徴・強み、商品のおすすめ仕様を紹介)【2023年版】』というテーマでお話をしていこうと思います。
本記事を最後まで読んでいただくことで、セキスイハイムがどういうハウスメーカーで、何に気をつけなければならないのかがわかるようになります。
これからハウスメーカーで注文住宅の建築を検討される方は是非最後までご覧ください。
過渡期を迎えた住宅業界
今まで私はYouTubeで、セキスイハイムやその他のハウスメーカーの解説動画は出してきたのですが、去年2022年10月から住宅業界は過渡期になりました。
これがどういうことなのかというと、建物には断熱等級と呼ばれるものがあるのですが、それが今までは最高等級が4でした。
しかし去年2022年10月から断熱等級の最高等級が7に引き上げになったのです。
このことをイメージしやすいように簡単にお伝えをすると、本州でも北海道で建てるような家を建てましょう!ということです。
要はそれだけ断熱材を分厚く入れ、家に空いている隙間を埋め気密性を担保することで、室内の温度を快適な状態でずっと維持できる地球環境に配慮した住宅をつくらなければならなくなったわけです。
そしてこの制度改正というのは住宅業界の中でいうと、例えるならガラケーからスマホに切り替わった時と同じくらいインパクトがデカいことなのです。
ですのでハウスメーカー各社もそのために今いろいろと対策をしているという状況でもあるわけです。
ただし、ここで問題になってくることが、担当の営業マンのアンテナの高さとリテラシーの高さ、これによって、皆さんが建てる建物の性能が大きく変わってしまうということです。
なぜなら、ハウスメーカー本体が用意するのは選択肢であって、その選択肢をチョイスするのは最終的に担当の営業マンだからです。
もう少し具体的に説明をすると、ハウスメーカー側は選択肢を用意しても「これが正解!」というのは決めません。
正解を決めてしまうと、それ以外が全てダメとなってしまい、リーチする客層の幅を縮めてしまうからですね。
だからこそ担当の営業マンがコーディネートできるように幅を持たせているのですが、先ほどもお伝えしたように今の住宅業界は過渡期なのです。
誰が担当になるのか、自分の担当の営業マンのアンテナの高さとリテラシーの高さで提案されるものが大きく変わってきてしまうわけです。
誰もがそうだと思いますが、せっかく新築を建てたのに後々になって性能の低い仕様だったと気がついたらショックですよね。
「なんで教えてくれなかったの?」となりますよね。
そうならないために、次の章からセキスイハイムについて詳しく解説していきます。
セキスイハイムの会社概要と特徴・強み
セキスイハイムは『あったかハイム』のCMで有名なハウスメーカーですが、似たようなハウスメーカーに『積水ハウス』というハウスメーカーがありますよね。
積水ハウスも『家に帰れば積水ハウス』というCMをやっているので、人によっては「何が違うんだろう?」と疑問に思うと思います。
私も最初の時はそう思っていました。
この話の結論なのですが、積水化学工業の住宅部門が独立するということで始まったのが積水ハウスで、その後積水化学工業で再度立ち上げられた住宅部門が今のセキスイハイムになります。
つまり元を辿ると一緒の会社ですが、今は完全に別の会社なのです。
そのため販売している商品もセキスイハイムと積水ハウスの商品とでは、系統が全く異なっているのです。
両者の違いを簡単に言い表すなら、積水ハウスは日本らしさを取り入れ、建物のデザイン性と機能性、両方のバランスを重視して家づくりをしているのに対して、セキスイハイムは完全に独自路線を突っ走っている、そんなイメージです。
そのためメリットも大きいのですが、デメリットも大きくあるメーカーになります。
その完全独自路線とは具体的になんなのか?セキスイハイムのメリット・デメリットとはなんなのか?これを説明していきます。
セキスイハイムの商品ラインナップ
セキスイハイムには鉄骨系商品と木質系商品、この2種類が存在します。
鉄骨系商品
まず鉄骨系商品についてですが、セキスイハイムの鉄骨系商品は『ユニット工法』と呼ばれる鉄の箱と鉄の箱を組み合わせて家をつくる方法を採用しています。
ユニット工法のメリット
ユニット工法で家をつくることで得られるメリットは大きく分けて2つあります。
施工の安定性
1つ目は『施工の安定性』です。
ユニット工法で家をつくる場合、約8割が工場で生産されます。
その後、できたパーツを現場で組み立てるという方式なのです。
そのため、工期も業界最速で建物の基礎が完成してからおよそ2ヶ月で家が完成します。
これにより、職人の腕によって家のできが左右されることがなくなるため、高品質で均一な質の家をつくれるのです。
さらに工期も短いため、建て替えの場合は仮住まい先に支払う家賃負担を少ない金額で済ませられますし、フラット35でローンを借りる場合は、つなぎ融資の金利も多く払わずに済みます。
これが1つ目のユニット工法から得られる『施工の安定性』のメリットになります。
構造躯体の強度が高い
そして2つ目が『構造躯体の強度が高い』ということです。
これはセキスイハイムを語る上でどうしても外せない部分です。
ですので大枠からきちんと説明していきます。
ハイブリッド耐震 GAIASS(ガイアス)
そもそもセキスイハイムの構造躯体は巨大地震は構造躯体で守り、中小規模の地震は外壁で守る、というすみ分けがされてつくられているのです。
そして外壁と構造躯体、双方の効果によって地震から家を守る仕組みをセキスイハイムでは『ハイブリッド耐震「GAIASS(ガイアス)」』と呼んでいます。
つまり簡単に一言でまとめると『構造躯体×外壁=ガイアス』だということですね。
ではなぜそのような仕組みになっているのかというと、それは構造躯体本体だけでは事足らない部分があるからなのです。
これがどういうことかというと、実は『鉄』でできた建物は地震が起こると揺れるのです。
そして揺れることによって、その地震のエネルギーを逃そうとする性質があるのです。
ですので鉄骨造の家に住む以上、ある程度の「揺れ」は覚悟しなければなりません。
ただしここで揺れの規模に着目してみてください。
例えば東北地方太平洋沖地震のような大規模地震であれば、住宅の倒壊や損傷を免れることが重要です。
ですのである程度の建物の「揺れ」は仕方ないで済ませられると思います。
しかし中規模程度の地震で住宅が必要以上に揺れるとなると、クロスなどの内装関係の損傷や、インテリアへのダメージが気になってくるわけです。
特に地震には周波というのがあります。
その周波の伝わり方によって、鉄骨住宅は中規模地震でも大きな揺れに感じることがあるのです。
ですので鉄骨住宅に住む場合は、油断できないのです。
つまり、全ての地震エネルギーをユニットの構造躯体のみで対応させることは、揺れによる内装へのダメージを考えると、あまりにもリスクが大きいということです。
ですので外壁である程度の地震波を受け止め、受け止めきれなかった地震エネルギーは強力な構造躯体で対応する、このすみ分けが必要であり、『構造躯体×外壁=ガイアス』という考え方がセキスイハイムの家づくりのベースを形成しているわけです。
では、更に深掘りして、ハイブリッド耐震「GAIASS(ガイアス)」を構成している『構造躯体』と『外壁』、それぞれをより詳しく見ていきましょう。
GAIASS(ガイアス)を構成する「構造躯体」
まずは構造躯体です。
これは冒頭でも説明したように、ユニット工法と呼ばれるものでつくられており、鉄の箱と鉄の箱を組み合わせて家をつくるつくり方になります。
そしてこの構造躯体の特徴は大きく分けて2つあり、
- 60kgの人間が800人乗っても耐えられる強度
- 塗装が140年持つ
この2つになります。
順を追って説明していきます。
60kgの人間が800人乗っても耐えられる強度
まずは60kgの人間が800人乗っても耐えられる強度があるということについてです。
実はセキスイハイムのユニットは『スポット溶接』と呼ばれる特殊な溶接が行われます。
これをすることで1箇所あたり40knの強度が出るとされているのです。
それが1つのユニットに平均12箇所行われるのです。
ただこの説明だとすごいのかイマイチなのかわからないと思うので、わかりやすく例えると、40knは約4tの重みを支えられるということです。
つまりそれが12箇所なわけなので、単純に1つのユニットで48tの重さに耐えられるという計算になります。
これは60kgの人間が800人、4,000kgのゾウが12頭乗っても耐えられる強度がセキスイハイムのユニットにはあるということです。
こうやって聞くと、いかにセキスイハイムのユニット構造が強力なのかがわかりやすくイメージできるのではないでしょうか。
実際にセキスイハイムでは『ユニット落下実験』なるものをやっていて、高さ5mのところからユニットを落とす、ということもやっています。
セキスイハイムのユニットが本当に強いのかどうかを自分の目で確かめたい!という方は、一度工場見学に行ってみるといいかもしれません。
その他にも適材適所に鉄骨を加工して配置しているので、縦の柱に使用される100mm角の鉄骨の柱は、1本で4tもの重さに耐えられるものが使われていたり、後は、床梁と天井梁にはたわみの生じにくいC型形状の鋼管が使用されていたりするのです。
ですのでセキスイハイムの構造躯体は、とにかく強度につくられているのです。
これが1つ目の特徴です。
塗装が140年持つ
続いて2つ目、『塗装が140年持つ』ということについてです。
セキスイハイムの鉄骨には全てに『ZAMメッキ』といわれる防錆処理がされています。
この防錆処理はキズに強く、万が一鉄骨にキズがついても自らの自然治癒能力で修復するという驚きのメッキ処理なのです。
ですので例えば、施工現場で工事中に鉄骨に傷が入ってしまったとしても、自動で修復してくれるので錆びる心配がないのです。
これは安心ですよね。
一応仕組みとしては、ZAMメッキにキズが付くと、マグネシウムとアルミニウムの効果によりキズ付近のメッキ層が酸化して溶け出し、保護皮膜を形成するという仕組みです。
少し難しい話なので、とにかく『自動で傷を補修してくれるメッキを使っている』とさえ覚えてもらえれば大丈夫です。
これによりZAMメッキ鋼材の平均的耐用年数は屋内環境において推定約140年と言われています。
これが特徴の2つ目になります。
ということで
- 60kgの人間が800人乗っても耐えられる強度
- 塗装が140年持つ
これがセキスイハイムの鉄骨系商品の構造躯体であるユニットの特徴になります。
GAIASS(ガイアス)を構成する「外壁」
続いて外壁です。
外壁は、高性能外壁と呼ばれる鉄製フレームに下地パネルとタイルを貼り付けた壁を構造躯体に設置しています。
ただしこの壁は直接構造躯体に取り付けられるわけではなく、スプリングジョイントという鉄製クッションを挟んで取り付けられます。
そうすることで、鉄製フレームが受けた衝撃をスプリングジョイントで吸収し、吸収しきれなかった力を構造躯体で吸収するという、ハイブリッド耐震「GAIASS(ガイアス)」をつくり上げることができるのです。
この高性能外壁とスプリングジョイントの仕組みが、セキスイハイム独自の外壁構造なのです。
説明すると非常にシンプルですが、中小地震の揺れを軽減してくれるセキスイハイムの重要な核になるのです。
以上がハイブリッド耐震「GAIASS(ガイアス)」を構成している『構造躯体』と『外壁』についてです。
それぞれの特徴が、セキスイハイムの『構造躯体の強度』が高い理由になります。
少し長くなってしまったので、ここまでの話をまとめてみましょう。
セキスイハイムのユニット工法のメリットは『施工の安定性』と『構造躯体の強度が高い』ということ、この2つです。
そして、その中で構造躯体の強度を出しているのがユニットという鉄の箱と特殊な外壁の組み合わせ、通称GAIASS(ガイアス)だという話でした。
鉄骨系商品のラインナップ
『ユニット工法』のつくり方が全ての鉄骨系商品のベースとなっています。具体的な商品ラインナップとしては
- フラット屋根が特徴の『パルフェ』
- 自由度が下がるが価格が抑えられた『パルフェBJスタイル』
- 屋根に勾配があり、小屋裏をつくれる『ドマーニ』
- フラット屋根+深い軒が特徴の『スマートパワーステーションFR』
- 勾配屋根+深い軒が特徴の『スマートパワーステーションGR』
- 外壁タイルの磁器タイルが選べなくなり、自由度も少し下がるが価格も抑えられた『スマートステーションアーバン』
- 蓄電器、太陽光パネルとHEMSを採用し、エネルギー自給率を6割から7割にできる『グリーンモデル』
これらの商品ラインナップがあります。
ユニット工法のデメリット
これまではセキスイハイムのすごさについて語ってきましたが、実は他のメーカーに比べて大きく劣るところがあるのです。
これはセキスイハイムで注文住宅を建てる上で絶対に知っておかなければならないことですし、知らないと後々後悔する原因にもなります。
ですのでここからはセキスイハイムのデメリットについてお話をします。
セキスイハイムのデメリットは簡単に一言で言うと、『プランの自由度が他のメーカーに比べて低い』ということです。
これがどういうことなのか、大きく分けて3つのデメリットに絞って説明します。
工場生産がゆえに臨機応変さがない
まず1つ目のデメリットが『工場生産がゆえに臨機応変さがない』ということです。
というのも、ユニットで家をつくる場合、ある程度決められた種類や決められた寸法で規格化された部材の中から家をつくることになるわけです。
そのため例えば、階段は基本的に決められた規格の中から選ぶことになるので、臨機応変に階段の勾配をいじることができません。
やるなら特注で対応する必要が出てきます。
また、無垢床に関しても選べるものと選べないものがあるので、その辺りも制約を受けます。
ですので、どの部材は使えてどの部材が使えないのか、また変更できるのはどの部分で、どの部分は変更できないのか、詳しく聞いておかなければ後々「こんなはずじゃなかった」となってしまいます。
セキスイハイムならではの落とし穴が結構存在します。
間取りの小回りが効かず、場合によってはコスパが悪い
続いて2つ目のデメリットは『間取りの小回りが効かず、場合によってはコスパが悪い』ということです。
ユニット工法の特性上、鉄の箱をいかに少ない数で家を建てるのかが安く仕上げるコツになります。
ですので例えば小さなユニットを8個使って30坪の家を建てるより、大きなユニット3個で30坪の家を建てた方が金額が安くなるということです。
これだけ聞くと「安く仕上がるなら良いじゃん!」と思われる方もいるかもしれませんが、実はそんな単純な問題ではありません。
なぜならジャストサイズの間取りが提案しにくいからです。
というのも、大きめのユニットを使えば安く仕上がるものの、無駄に廊下が広くなったり、トイレがやたら大きくなったりと、その他にも空間に無駄な部分が出やすくなるのです。
またその逆で、小さめのユニットを使えば今度は小回りが効きやすくなるものの、使う鉄骨の箱が増えるので金額が上がります。
更に鉄骨の箱が集まった部分にできる柱の束、この数も多くなるのですが、柱の束をなくすためには更に追加で工事費用がかかります。
何よりこの後話す間取りの制約をものすごく受けてしまうのです。
ですのでユニットの数を多く使うのはとにかくコスパが悪いのです。
こういった理由からユニット工法は『間取りの小回りが効かず、場合によってはコスパが悪い』わけです。
間取りに制約がある
そして最後のデメリットが『間取りに制約がある』ということです。
実はユニット工法で家をつくる場合、『階段と水回りはユニットをまたいではいけない』というルールがあるのです。
これはイメージしてもらえれば誰でもわかるのですが、鉄の箱と鉄の箱が組み合わさった部分には『梁』と呼ばれる、横方向の柱の束が存在する形になります。
この『梁』を貫通させることができないので、例えばトイレやお風呂は配管の都合上、この梁を避けるように設置しなければいけないわけです。
また階段も同様で、変な位置に階段を設置してしまうと、階段を上がっている途中に梁が出てきてしまって頭をぶつける、もしくは2階に上がれない間取りが完成してしまうのです。
そのためユニットで家をつくる時は『階段と水回りはユニットをまたいではいけない』というルールが存在するのです。
考えてみれば誰でもわかることですが、それでも言われないと気がつかないポイントかと思います。
ということで
- 工場生産ゆえに臨機応変さがない
- 間取りの小回りが効かず、場合によってはコスパが悪い
- 間取りに制約がある
大きく分けてこれらの3つのデメリットがどうしても出てきてしまうのがユニット住宅です。
後は、
- 外観がどうしても箱っぽくなる
- ユニットの配置によってはやたらベランダが大きくなる
というちょっとしたデメリットなんかもあります。
ですのでこれらを一言でまとめると『プランの自由度が他のメーカーに比べて低い』ということです。
ただし最初にお話しした通り、セキスイハイムの構造躯体は非常に施工精度が高く、そして強固なつくりになっています。
そのため『家の性能を優先する』という方にはセキスイハイムの家はピッタリなのです。
今まで話してきたセキスイハイムの鉄骨系の商品の特徴とメリット・デメリットは、セキスイハイムを検討する上で非常に重要なベースの知識になります。
是非とも覚えておいてください。
ここまでがセキスイハイムの鉄骨系商品の説明になります。
木質系商品
続いてセキスイハイムの木質系商品についてです。
グランツーユーVの特徴
セキスイハイムの木質系商品は『グランツーユーV』という商品になります。
そしてこの商品は、予算は厳しいが良いものをなるべく安く手に入れたいという意向が強い、若い子育て層をメインターゲットとして開発された商品です。
特徴としては2×6 (ツーバイシックス)と呼ばれる38mmx140mmの木材を使って木の箱のユニットを形成して家づくりをするということで、鉄骨の商品同様に現場での施工工数を削減し、精度の高い家づくりができるのが強みです。
また断熱性能や気密性能も木質商品の『グランツーユーV』の方が取りやすいため、最近ちょっとばかり人気になってきている、そんな商品でもあるのです。
注意点:プランの自由度が低い
ただし、このグランツーユーVという商品は、恐らく大手ハウスメーカーの中で一番プランの自由度がありません。
なぜなら、鉄骨ユニット工法のプランニングルールにプラスして耐力壁を考慮して間取りをつくらなければならないからです。
これがどういうことかというと、例えば鉄骨ユニット工法であれば4つのユニットを配置した場合、特に余計な壁が出てくることなく、大きな鉄骨の枠の中で間取りをつくることが可能になります。
また鉄骨の箱が重なることによって出てくる真ん中の鉄骨の柱も、場合によっては抜くことが可能なので、余計な壁が出てきて間取りが制限される、ということは比較的少ないのです。
ただし『グランツーユーV』の場合は、ユニットが集合した時に出てくる真ん中の柱、これは簡単になくすことができるものの、その代わり上部に梁が出てきます。
具体的にはこんな感じですね。
更に1つの耐力壁線上に1/4以上の壁が必要というルールが存在するのですが、これは簡単にお伝えをすると、縦でも横でも3.64mの幅を取るためには91cmの壁が必要というものです。
この辺りの詳細な説明は具体的なプランニング方法の話になってきてしまうので割愛しますが、とにかくユニット工法ならではの制限と、耐力壁によるルールの制限がある中で間取りをつくらなければならないわけです。
また最近では吹き抜けがほとんどできないようなルールの制限が追加されてしまったり、大屋根の仕様が廃止されたりと更にプランのルール制限が増えてきています。
大手ハウスメーカーの中で一番プランの自由度がない、というのはこういった理由があるからなのです。
そのため実は『グランツーユーV』のプランが書けない・理解できていない営業マンが多いのも事実です。
ですのでセキスイハイムの『グランツーユーV』は、あくまで予算は厳しいが良いものをなるべく安く手に入れたいという意向が強い、若い子育て層をメインターゲットとして開発された商品だということは覚えておいてください。
ということでセキスイハイムの鉄骨系商品と木質系商品、この2つの説明がここまでになります。
セキスイハイムのおすすめ仕様
セキスイハイムで私がおすすめする仕様は3つあります。
- 新・断熱仕様3点セット
- 快適エアリーT-SAS
- 磁器タイル
これらになるので、それぞれ説明していきます。
新・断熱仕様3点セット
まず1つ目の『新・断熱仕様3点セット』についてです。
これは断熱等級の改正に伴い、鉄骨系商品で新たに登場した仕様で
- 壁
- 基礎
- 開口部
これらをそれぞれ強化し、断熱等級6を獲得するための仕様のことを言います。
壁
壁に関してはハイグレード(HG5a)仕様というものにすることで、今まではグラスウール16k100mmだったのですが、これをグラスウール20k130mmに変更することが可能になります。
基礎
続いて基礎です。
セキスイハイムは基礎断熱というつくり方になるのですが、その基礎部分の断熱材を寒冷地仕様の『XPS2』という仕様にグレードアップすることで、断熱性能を向上させることができます。
基礎断熱ってなに?という方は『【ハウスメーカー比較】断熱性能を比較する時の基本』というこちらの動画を合わせて見てみてください。
開口部
最後に開口部です。
開口部は今まで標準で使われていたアルミ樹脂複合サッシのペアガラスではなく、樹脂サッシのトリプルガラスを採用します。
セキスイハイム側もこれには積極的で、今まで鉄骨系の大手ハウスメーカーは都市部で住宅を建築する場合、防火の関係で樹脂サッシは使えないとしてきました。
ただセキスイハイムは2023年4月から防火仕様の樹脂サッシを導入する予定でいます。
そして今お話しした
- 壁
- 基礎
- 開口部
これらを強化することで、セキスイハイムでも断熱等級6が獲得可能になるのです。
しかもこれは私が勝手に『新・断熱仕様3点セット』としているわけではなく、セキスイハイム側としても
- 壁
- 基礎
- 開口部
これら3つの強化を推奨しています。
そのためもうマストで選ぶべき仕様といった感じです。
正直、今までセキスイハイムはお世辞にも断熱性能が良いとは言えなかったのですが、ここまでガラリと変わるとセキスイハイムの印象もだいぶ変わりました。
やはりそれだけ冒頭でお話しした断熱等級の改正は、業界に大きなインパクトを与えたということかなと思います。
ただし私が今お伝えした『新・断熱仕様3点セット』は採用するのに約90万円かかります。
もちろんプランの大きさによってもこの辺りの金額は前後しますが、参考までにこのくらい追加でかかるんだなと思っていただければと思います。
快適エアリーT-SAS
続いて2つ目の『快適エアリーT-SAS』についてです。
これは以前にあった『快適エアリー』というシステムが進化したものです。
どう進化したのかというと、従来あった
- エアコン機能
- 換気機能
- 空気清浄機機能
これらに加えて抗ウィルス機能が追加されたものになります。
簡単にいうと、これが『快適エアリーT-SAS』なのですが、この説明だけだとなんだかぼやっとしているので、少し深掘りをしていきます。
そもそも快適エアリーは、床に空いた穴から冷暖房を行いつつ換気をすることで、室内を快適な温度かつきれいな空気の状態にするというのがベースの機能です。
ですのでそれらを行うために床下に
- 熱交換換気扇
- ヒートポンプ式冷暖房除湿ユニット
という2つの装置が設置されているのです。
それぞれ説明します。
熱交換換気扇
まず『熱交換換気扇』は、冷暖房によって調整された室内の空気を85%の熱交換率で換気してくれるシステムです。
ですので例えば室内の温度が20℃で、外気が0℃の場合、外気の温度を17℃にまで上げて空気の入れ替えをしてくれる、ということです。
これは他のメーカーに比べていい方です。
更に外気を取り入れる際に、プレフィルター、HEPAフィルター、No2フィルター、これら3種類のフィルターを通った空気が熱交換される仕組みになっています。
ですので空気中の花粉、PM2.5などを99.97%ブロックした状態で空気の入れ替えがされるのです。
ヒートポンプ式冷暖房除湿ユニット
続いて『ヒートポンプ式冷暖房除湿ユニット』ですが、これは室内の床に吹き出し口と吸引口を設置して空気を循環させながら、空気を冷やしたり、温めたりするシステムです。
ではなぜ、床に空いた穴から冷暖房を行うのかというと、暖かい空気は上に上がる性質があるため、上から温めるよりも下から温めた方が効率がいいからです。
ですので床に穴が空いていて、そこから冷暖房を行うのです。
そして吸引口部分に、『抗ウイルス対応フィルター 』というのが設置されます。
これが新しくなった部分で、室内空気に含まれるウイルスが吸込口を通過する際、『抗ウイルス対応フィルター 』の力でウイルスの活動を抑制することが期待できるというものです。
- 熱交換換気扇
- ヒートポンプ式冷暖房除湿ユニット
これらの効果によって、常にきれいな空気が循環し続け、更に室内の温度を一定に保てる仕組みが『快適エアリーT-SAS』なのです。
CMであったかハイムとうたっているのはこのシステムから来ているのですが、これは体感してみると本当に暖かいです。
ただし、床に吹き出し口や吸引口が付く形になるので、掃除はしっかりしなければいけませんし、何か飲み物などをこぼしてしまってもアウトです。
見た目もけっこう目立つので、性能を取るのか、それとも意匠性を選ぶのか、この辺りは皆さん自身で判断してみてください。
磁器タイル
そして最後に3つ目の『磁器タイル』についてです。
セキスイハイムで家を建てるなら意匠的にも性能的にも磁器タイル一択かなと思います。
ただしセキスイハイムの磁器タイルは、形状もそうなのですが、ユニット工法独自の特殊性というのがあります。
ですのでこれについても触れていきます。
種類
まずタイルの種類ですが、
- レジデンスタイルG
- レジデンスタイルN
- ラスティックタイル
- Sラスティックタイル
- スクラッチタイル
以上の5種類があります。
それぞれのタイルが建物の商品ごとに使える使えないが決まっているので、そこは注意が必要ですが、とくかくここではセキスイハイムには5種類のタイルがあるということ、後は特徴的な四角いタイルがあるということさえ覚えてもらえれば大丈夫です。
メリット
このタイルには
- メンテナンスフリーで将来かかる塗装工事費用を削減できる
- 汚れがつきにくく、目立たない
- 衝撃に強い
- 防火性能が高い
といったようなメリットがあるのですが、これらは一般的なタイルにも言えるメリットです。
ではセキスイハイムでタイルを使うメリットは何なのかというと、それは『工場内で貼り付けるのでズレがない』ということなのです。
もうこれに尽きます。
やはり外壁は通常現場で施工するので、どうしても人の手で作業することになります。
いくら腕の良い職人であったとしてもヒューマンエラーは起きる可能性があるので、工場で寸分の狂いなく外壁を設置してくれるというのは非常に魅力的ですよね。
デメリット
その反面、デメリットも存在します。
それが『早めにタイルの種類を決めなければならない』ということです。
というのも、構造躯体であるユニットの発注と同時に外壁の発注もしなければいけないので、のんびり外壁の種類や色を選んでいられないのです。
内装やインテリア、外構の詳細を決める前にユニットを発注することになるため、トータルでのコーディネートが難しくなったり、後戻りができないことから外壁にお金をかけ過ぎて、外構やインテリアに予算をかけられなくなったり、といった状態も起こりやすいのです。
これはユニット工法独自のデメリットになるのでご注意ください。
またセキスイハイムで建てる場合によくある落とし穴として、外壁でタイルを選択しても、全てタイルになるわけではないということです。
これがどういうことかというと、実はバルコニーの内壁部分、ここもきちんと変更しなければ、標準仕様のサイディングのままになってしまうのです。
しかもなぜかセキスイハイムのバルコニーの内壁部分のサイディングは白しか色がないのです。
これを知らないと、例えば外壁は黒のタイルなのにバルコニー内側だけ白のサイディングというような、なんともチグハグな状態になってしまうわけです。
自らの意思で選んだなら話は別ですが、知らなかったら悲惨な目に遭うので、この点もご注意ください。
磁器タイル以外の選択肢「ジオマイト外壁」
私のおすすめは磁器タイルです。
しかし、予算にある程度の余白を確保しておくために、タイル外壁とSFCボードと呼ばれる外壁の中間価格帯である『ジオマイト外壁』を選択する、という手もあるにはあるかなと思います。
ジオマイトとは地質学のジオロジーと幾何学のジオメトリー、それと力強さを表すマイトを掛け合わせたセキスイハイムの造語です。
積水ハウスのダインコンクリート、へーバルハウスのヘーベル板の競合商品という位置付けだと思いますが、深い彫りと陰影が特徴的な外壁です。
価格的には
- 磁器タイルが松
- ジオマイト外壁が竹
- SFCボードが梅
という感じで、ちょうど中間なのです。
ですので磁器タイルは高い、でもSFCボードだとちょっと安っぽいかなという方は、ジオマイト外壁を選んで、ある程度予算に余白を持たせておくのもアリかと思います。
ただし、ジオマイト外壁はメンテナンスフリーのタイルと違い30年に1度、塗装が必要です。
SFCボードが20年に1度塗装が必要なので、ちょうど中間のメンテナンス性能という感じですね。
更に保証もタイルが30年なのに対して、ジオマイト外壁は10年になります。
ここに関してはSFCボードも保証は10年なので同じです。
価格以外にこのようなちょっとした違いもあるので、セキスイハイムで検討される場合は、この辺りも最初のうちから詳しくなっておくことをおすすめします。
ということで、セキスイハイムで私がおすすめする仕様
- 新・断熱仕様3点セット
- 快適エアリーT-SAS
- 磁器タイル
以上の3つについての説明でした。
セキスイハイムの注意事項
セキスイハイムの注意事項は
- 断熱性能は向上しても気密性能はそこまで高くない
- 建物を大きくした方が得の場合がある
- 建てられる地域が限られる
- 外観が箱っぽくなる
この4点になります。
それぞれ簡単に説明していきます。
気密性はそこまで高くない
まずは断熱性能は向上しても気密性能はそこまで高くないということについてです。
これは先ほども説明しましたが、セキスイハイムは『新・断熱仕様3点セット』を新たに実装して、時代に合わせた提案ができるように対応をしてきています。
ただし断熱性能を上げるだけではダメで、その後に気密、換気、空調の順番でととのえていかなければ、高気密高断熱の住宅にはならないのです。
このことに関する詳細な説明は「【一生役立つ】注文住宅で最初に抑えるべき超キホンを解説!」という動画で詳しく説明しているので、そちらをご覧いただければと思います。
セキスイハイムなのですが、気密を表す数値であるC値、これが一応カタログ上では2くらいになると書かれています。
この数値は一般的にはあまりよくない方です。
鉄骨系の住宅はもともと気密性能を確保するのが難しいので仕方ないことではあるのですが、やはり気密性能は劣るという点は覚えておいていただければと思います。
建物を大きくした方が得の場合がある
続いて2つ目、建物を大きくした方が得の場合がある、ということについてです。
実はセキスイハイムは他のハウスメーカーと異なる特殊ルールがかなり存在しています。
例えば鉄骨系のスマートパワーステーションFRという商品の場合、『太陽光を8kw以上のせたら100万円前後の減額』といったルールが存在するのです。
ですので建物を大きくしてでも、その減額を獲得した方が得なのです。
こういった独自のルールが存在するので、建物を大きくすれば金額が上がるとは一概に言えないのがセキスイハイムです。
この点は注意事項であり、セキスイハイムの魅力でもあるので抑えておいていただければと思います。
建てられる地域が限られる
続いて3つ目、建てられる地域が限られるということについてです。
セキスイハイムは鉄骨系の商品も木質系の商品も、ユニット工法という箱を積み上げて家づくりをする方法をとっています。
これは説明した通りですね。
そのため大型の重機を使って工事現場にユニットを運び、ユニットを吊るして現場で家を組み立てることになるわけですが、
- 道幅が狭く大型の重機が入れない場所
- 敷地上空や建築地界隈に電線がある場合
- 重機を駐車するだけのスペースがない場合
これらに該当する地域では建築不可となることもよくあります。
そのためセキスイハイムは都内や奥まった土地で家を建てるのが非常に苦手なのです。
セキスイハイムはどちらかというと郊外向きのつくり方なのです。
建てられる地域が限られるというのは、こういう理由があるわけです。
一応、今お話しした弱点を克服するべく、最近、大阪産業大学自動車部と共同で、細い道でもユニットを運べる電動手押し車を開発したようですが、ただそれでも完璧に弱点を克服できたわけではありません。
セキスイハイムで家を建てようとする場合は、そもそもセキスイハイムで建築できる土地なのかどうかを判断するようにしましょう。
外観が箱っぽくなる
そして最後に4つ目、外観が箱っぽくなるということについてです。
これは今まで説明してきた中でも少し触れましたが、もうそのまんまの意味ですね。
ユニットという箱を使って家を建てる都合上、セキスイハイムはどうしても箱っぽい外観の家になってしまいます。
ですので言い方を選ばなければ、ダサい外観になりがちです。
この点はどうしようもないのですが、かっこいい外観の家を建てたいという方は、最初からセキスイハイムを検討から除外した方がいいかもしれません。
ということで、セキスイハイムの注意事項は
- 断熱性能は向上しても気密性能はそこまで高くない
- 建物を大きくした方が得の場合がある
- 建てられる地域が限られる
- 外観が箱っぽくなる
以上4つになります。
是非参考にしてみてください。
セキスイハイムの坪単価
最後にセキスイハイムの坪単価についてです。
去年1年間で集めた各ハウスメーカーの資金計画書、合計1,600枚の中から値引き後の建物本体価格と建物の坪数、これを割って坪単価を算出し、中央値を出しています。
もちろん地域の特性や家族構成、中に入っている設備仕様によって金額は大きく異なります。
そのため、あくまで参考程度にしかなりませんが、それでもネットに掲載されているどこの情報よりも正確な情報になってくるとは思います。
その中でセキスイハイムの坪単価は87.3万円でした。
セキスイハイム以外の坪単価も含めた坪単価ランキングについてはこちらをご覧ください。
【2023年最新】 大手ハウスメーカー坪単価ランキング
セキスイハイム徹底解説(特徴・強み、商品のおすすめ仕様を紹介)のまとめ【2023年版】
今回は『セキスイハイム徹底解説(特徴・強み、商品のおすすめ仕様を紹介)【2023年版】』というテーマでお話をしてきました。
そのほかのハウスメーカー解説の記事も出しますので、いろいろと見比べてみて自分達にマッチしそうなハウスメーカーを是非とも見つけてもらえればと思います。
これから注文住宅の購入を検討したいという方は、わたくし、まかろにおが提供している注文住宅オンライン相談サービス「メグリエ」で大手ハウスメーカーの優秀営業担当を無料でご紹介しています。
是非、無料会員登録の上で地域の優秀営業担当を探してみてください。