「いろんなハウスメーカーを調べていると、多くのハウスメーカーが全館空調を推しているみたいだし、自分達も導入した方がいいのかなぁ……。」「でも金額が高いし、どうにかして安く全館空調を導入できないかな……。」と思っている方に向けて、今回は『仕組みを理解して全館空調もどきをつくる方法【200万円コストカット】』これについてお話をしていこうと思います。
実は全館空調の仕組みさえ理解してしまえば、全館空調らしいものはつくれてしまうのです。
私にハウスメーカーの担当者の紹介依頼をしてくださった方には、すでに今回紹介するノウハウをお伝えして、全館空調もどきを導入してもらっているのですが、非常に快適な空間をつくれています。
さらに、全館空調の導入にかかる200万円くらいの金額を削減することも可能です。
昨今、住宅の価格がかなり高騰しているので、200万円近くも削減できて、なおかつ効果効率的に室内の温熱環境を整えられると考えると、非常に夢がありますよね。
ということで
- そもそも全館空調とは何なのか?
- 全館空調もどきのつくり方
- 全館空調もどきをつくる上でのポイント
この順番でお話をしていきます。
これから注文住宅の購入を検討される方はぜひとも参考にしてみてください。
全館空調の仕組みとは?
全館空調と聞くと「空調を使って家全体の温度をコントロールするんだろうな」というのは何となくイメージできると思います。
それはその通りなのですが、ただ空調を使って家全体の温度をコントロールするためには、空調室と呼ばれるものを家のどこかにつくる必要が出てくるというのが一般的です。
空調室の具体的な大きさのイメージですが、小学校にあった掃除用具入れを想像してみてください。
バケツやほうきなどが入っていた長方形の箱ですね。
全館空調の空調室というのは、その小学校の掃除用具入れくらいの大きさで、それを設置するスペースが家のどこかに必要になってくるのです。
大抵が2階部分に設置することになります。
なぜ全館空調を設置する場合、空調室と呼ばれるものをつくる必要があるのかというと、実は全館空調は3つの要素のかけ算から成り立っているのです。
そしてその3つの要素とは
- エアコン
- 第1種換気
- 風量
この3つです。
つまり『エアコン×第1種換気×風量=全館空調』だということで、これが全館空調の正体となります。
そして今お伝えした
- エアコン
- 第1種換気
- 風量
それら3つの要素を1つにぎゅっと凝縮して設置しているため、掃除用具入れくらいの大きさの空調室が必要になっているのです。
なるほど、という感じですよね。
ただここまでの説明を聞いた人の中には「そもそも第1種換気って何?」「全館空調の正体がわかったからって、実際にどうやって全館空調もどきをつくればいいの?」と思っている方もいると思います。
安心してください。
きちんと説明をしていきます。
次からは第1種換気とは何なのか、基礎的な話も含めて全館空調もどきの具体的なつくり方について解説をしていきます。
仕組みを理解して全館空調もどきをつくる方法
最初に結論からお伝えをしていきましょう。
先ほど『エアコン×第1種換気×風量』これら3つの要素をかけ合わせて1つにしたのが全館空調だという話をしたと思います。
ただ『エアコン×第1種換気×風量』これらをバラバラにして、それぞれで設置したらどうでしょうか?
はい、もうおわかりですね。
- エアコン
- 第1種換気
- 風量
これら3つの項目をそれぞれ分解して別々に設置することで、全館空調もどきをつくれるという話です。
全館空調もどきをつくるポイント
分解してそれぞれ設置するとはいっても、知っておかなければならないポイントが存在します。
ですので具体的に全館空調もどきのつくり方を説明するために、
- エアコン
- 第1種換気
- 風量
それぞれの項目に分けて順番に説明していきます。
エアコン
まずは『エアコン』です。
エアコンは普通の壁掛けエアコンを用意していただければ十分です。
ただし、今からお伝えする2つのポイントは守るようにしてください。
再熱除湿型の機能を備えているエアコンを買う
ポイントの1つ目は、再熱除湿型の機能を備えている、日立、三菱、富士通ゼネラル、ダイキン、この4つのメーカーからエアコンを購入するようにするということです。
再熱除湿機能とは、エアコンが取り込んだ湿った空気を冷やして湿気をとったあと、暖めて適温に調整し、カラッとした快適な空気を部屋に送る方式のことを言います。
この機能があるかないかで、夏場の快適性や湿度調整のしやすさが大きく変わります。
ただし、再熱除湿のデメリットとして、多少電気代がかかります。
夏場は太陽光発電がその分を補ってくれますし、個人的には問題ないと思っているのですが、一応そんなデメリットもあるのだということでご理解ください。
また、ハウスメーカーを通じてエアコンを購入する場合、再熱除湿型のエアコンを入れようにも入れられないと言われるケースも存在します。
これがどういうことかというと、ハウスメーカーの支店によってはパナソニックとダイキンしか取引をしておらず、それ以外のメーカーのエアコンは入れられない、というケースが存在します。
パナソニックとダイキン以外のメーカーのエアコンを設置する場合は、お施主さん自ら現金でエアコンを買い、建築地に搬入してもらうことで、ようやく他のメーカーのエアコンを入れられるようになるのです。
この辺り、実はけっこう闇が深くて、地域やその支店によってかなり差があります。
ハウスメーカーを通じてエアコンを購入する場合はご注意ください。
APFが高い6畳、10畳、14畳のエアコンを買う
ポイントの2つ目は、6畳、10畳、14畳、このどれかのエアコンを買うということです。
というのも、エアコンの畳数の目安は1964年に制定されたまま、見直しがされることもなく、今もなおその制度が使われています。
リビングが20畳だからといってそのまま何も考えずに20畳用のエアコンを買ってしまうと、余計な電力を消費してしまい、痛い目をみることになります。
ではなぜ6畳、10畳、14畳のエアコンを買わなければならないのか、ここを説明するために、実際に日立のしろくまくんのカタログをベースにお話をしていきます。
まずカタログをじっくり見てみると、2つのグループができると思います。
具体的には
- 100V用のエアコンと200V用のエアコン
- 能力と消費電力の欄に記載されているカッコの中の数値がほぼ変わらないエアコン
ということです。
2つ目に関してはわかりにくいので具体的にお伝えをすると、100V用で言えば6畳用と8畳用、10畳用と12畳用、200V用で言えば12畳用と14畳用、18畳用と20畳用、といった感じで、能力と消費電力の欄に記載されているカッコの中の数値がほぼ同じになっていることがわかると思います。
ですのでエアコンのカタログの見方としては、100V用のエアコンと200V用のエアコンに分けて見るのと、あとは能力と消費電力の欄に記載されているカッコの中の数値がほぼ同じエアコンと比較していく、ということになります。
では、これを理解した上でカタログを読み解いていきます。
まずは100Vのエアコンで、能力と消費電力の欄に記載されているカッコの中の数値がほぼ同じ6畳用と8畳用を見ていきます。
するとわかるのですが、暖房の能力は全く同じで、冷房の能力は8畳用の方が0.1しか性能が良くないのです。
それにも関わらず消費電力は8畳用の方が多いのです。
つまりここでの正解は、6畳用を選択することとなります。
これと同様の考え方でカタログを読み解くと、100Vで言えば6畳と10畳が当たりだというのが理解できると思います。
ただ200Vで言えば12畳用から26畳用まで暖房の効率は最大で11.9と変わらず、冷房の効率だけ大きく変わっているのがわかると思います。
これではどれを選べばいいのかわからないですし、冷房の効きの良さだけを考えたら極端な話、29畳用のエアコンを買った方がいいのではないかという話になってしまうと思います。
それは大きな間違いなので、どうするのかというと、ここで出てくるのがAPFになります。
APFとはエアコンがどれだけ効果効率的に効くかを表している数値になるのですが、カタログを見てみると100Vでは
- 6畳用APF7.5
- 8畳用APF7.5
- 10畳用APF7.4
- 12畳用APF6.8
となっていて、200Vでは、
- 12畳用APF7.4
- 14畳用APF7.5
- 18畳用APF6.6
- 20畳用APF6.4
- 23畳用APF6.0
- 26畳用APF5.7
- 29畳用APF5.2
となっていると思います。
そしてこのAPFは数値が高ければ高い分だけいいのです。
100Vでは
- 6畳用APF7.5
- 10畳用APF7.4
200Vでは
- 14畳用APF7.5
この3つを選ぶのが正解で、それ以外を選ぶのは不正解、ということになってくるのです。
ですので担当者の言いなりにならず、くれぐれも部屋の大きさに合わせたエアコンを選ばないようにしてください。
これがポイントの2つ目になります。
ということで、全館空調もどきをつくるためにエアコンを選ぶポイントは
- 再熱除湿型の機能を備えているエアコンを買う
- 6畳、10畳、14畳、このどれかのエアコンを買う
以上の2つになります。
第1種換気
続いて『第1種換気』についてです。
そもそも住宅の換気には
- 第1種換気・・・住宅用
- 第2種換気・・・病院
- 第3種換気・・・住宅用
- 第4種換気・・・幻の換気
という4種類が存在します。
そのうち第2種換気は主に病院で使われる換気で、第4種換気は幻の換気と呼ばれる換気で、詳細は割愛しますがほとんど使われていません。
ですので住宅で換気というのは、第1種換気か第3種換気になるのです。
では、第1種換気と第3種換気、それぞれどんな違いがあるんだ?という話ですが、第1種換気はまずは機械で室内に外気を取り入れます。
そしてその後に機械で室内の空気を排気するタイプのことを言います。
そしてさらに第1種換気には2種類タイプがあって、それが『全熱型』と『顕熱型』です。
全熱型は機械で室内に外気を取り入れる際に、取り入れた外気を室内の温度に限りなく近い温度にすると同時に、加湿と除湿を行ってくれるもののことを言います。
顕熱型は外気を室内に取り入れる際に、取り入れた外気を室内の温度に限りなく近い温度にして取り入れてくれるだけのものを言います。
温度調整と除湿加湿を行ってくれるのが全熱型で、ただ温度の調整をしてくれるだけのタイプが顕熱型だということです。
一方で第3種換気は、こちらは外気をそのまま室内に取り込み、機械で室内の空気を排気するタイプのことを言います。
そのため自然吸気、機械排気と呼ばれていたりもしますが、要は除湿も加湿もしないまま、ただただ外気を室内に取り入れる換気のことなので、夏は高温多湿の空気を室内に取り入れることになりますし、冬は乾燥したカラカラの空気をそのまま室内に取り入れることになるわけです。
しかしこれは、外気をそのまま室内に入れているわけなので、室内の温熱環境を整えるのが難しくなるということは、皆さんもなんとなくイメージができますよね?
つまりエアコンなどの冷暖房器具を酷使しなければ、室内の温湿度が調整できない環境を自らつくっている、ということです。
さらに第3種換気は家の外壁部分にたくさんの吸気口と排気口がつく形になるのです。
つまり、そこから家の中に外気が入ってきやすくなるわけです。
特に強風の時は室内にビュービュー風が入ってくるので、最悪なのです。
一方で第1種換気の場合ですが、ハウスメーカーが採用している第1種換気はダクト式の第1種換気というものになります。
これを採用することで、第3種換気と比較した時に、外壁部分の吸気口と排気口の数が大幅に少なくなるため、家の気密性を保持しやすくなる、という特徴があるのです。
ですので今の時代の換気は基本的には第1種換気で、かつ湿度調整をしてくれる全熱型を選ぶことがベストだということになります。
ここまでで、そもそも第1種換気とは何なのかという基本的なことはご理解いただけたかと思います。
では、どうやって第1種換気を使って全館空調もどきをつくるのかというと、第1種換気のRAをエアコンの近くに設置する、ということです。
RAとは室内の空気を取り込むための取り込み口を言います。
そもそも第1種換気は先ほども説明したとおりで、室内の空気と外の空気を足し合わせて、室内の温度に限りなく近くした状態で、新鮮な空気を各部屋に分配する、という仕組みです。
ですので室内の空気を取り込むための取り込み口であるRAをエアコンの近くに設置すれば、それだけで暖かい空気や冷たい空気を各部屋に循環させられるわけです。
これが全館空調もどきをつくる上での最大のポイントになります。
風量
最後に『風量』についてです。
風量に関しては残念ながら調整できません。
これが全館空調もどきがもどきたる所以なのですが、本来の全館空調はエアコンと第1種換気をうまく連動させ、さらにそこにものすごい風量を送り込み、各部屋で風量調節をする仕組みになっているのです。
だからこそ、掃除用具入れのような空調室と呼ばれるスペースが必要になってくるわけですが、今回はあくまでもどきです。
風量調節は当然のことながらできません。
ただし、この話を聞くと「えーだったらやる意味ないじゃん」と思う方もいると思うのですが、ちょっと待ってください。
実は第1種換気の換気風量は、ハウスメーカーによって違います。
当然、風量が強ければ強い分だけ空気が循環しやすくなるので、本物の全館空調により近づくことができます。
一方で第1種換気の風量が弱ければ、もどきレベルが向上して、本物の全館空調からは遠ざかることになります。
では、どこのハウスメーカーの第1種換気の風量が強いのか、はたまた、第1種換気の風量の弱いハウスメーカーはどこなのか、気になりますよね?
私が担当者を紹介した方には、この辺りの情報と、よりテクニカルなことを含めてお伝えをしますので、よかったらメグリエから面談の申し込みをしてみてください。
ただし、どんなに本物の全館空調に近づけようとしても、もどきはもどきです。
完璧な全館空調を求めるなら、きちんとした全館空調が必要になってくるので、そこはご理解いただければと思います。
仕組みを理解して全館空調もどきをつくる方法【200万円コストカット】のまとめ
全館空調もどきのつくり方とそれぞれのポイントをお伝えしてきました。
まとめると、全館空調の構成要素となっている
- エアコン
- 第1種換気
- 風量
これらを分解してバラバラに設置することで全館空調もどきがつくれますよ、という話で、
それぞれのポイントとしては
- 再熱除湿型のエアコンを採用すること
- エアコンは6畳用、10畳用、14畳用を選ぶこと
- 第1種換気は全熱型ダクト式の第1種換気を選ぶこと
- 各ハウスメーカーで第1種換気の風量が違うため、ハウスメーカーによって、もどきをつくっても差が出てくる
以上になります。
いかがだったでしょうか?
やらないよりはやったほうがいい、というくらいの感覚でいていただければと思うのですが、間違いなくもどきをつくった方が快適にはなるので、ぜひともトライしてみてください。
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