今回は『おしゃれな注文住宅を建てるポイント7選』というテーマでお話をしていきます。
せっかく家を建てるのであれば、少しでもおしゃれな家をつくりたいと誰もが思うと思います。
しかし、実際におしゃれな家がつくれるかどうかはわからないですよね。
例えば、ユニクロやGUでもおしゃれに着こなせる人もいれば、同じユニクロやGUの服を着ているはずなのに、全然おしゃれにならないという人もいるはずです。
それと同じで「どうして同じハウスメーカーで家を建てているのに、ネットに掲載されている家はおしゃれで、自分達の家は普通なのだろう?」というようなことが起きるのです。
ですので今回は、これからハウスメーカーで家づくりをしようとしている皆さんが、少しでもおしゃれな家をつくれるようにするために、工業化住宅のデザインとは何たるかを1から全てお話していきます。
本記事を読んでいただければ、間違いなく皆さんは建物のデザインにおける本質の部分を理解できるはずです。
一方で本記事を最後まで読んでいただけない方は、運任せ、担当者任せの家づくりになってしまい、運否天賦に身を委ねた家づくりをすることになります。
もちろん、優秀な営業担当者、優秀な設計担当者が自分の担当であればそれでもいいかもしれません。
ただそういうハイレベルな人達は、全国に数えるほどしかいません。
そして、そういったハイレベルな人ほど仕事を抱えています。
そういう方々が運よく自分の担当になる可能性はかなり低くて、それこそ砂漠でコインを見つけるくらい難しいことなわけです。
ですので、しっかりと注文住宅のデザインについて学んでいただき、自分の身は自分で守れるくらいの知識を身につけてもらえればと思います。
今回は、デザインに直接関わるいわゆる各論的なノウハウよりも、全体的なルールを大枠から掘り下げて説明していきます。
ハウスメーカーの本質と工務店との違い
家のデザインに関する話の前に、まずは『ハウスメーカーの本質とは』ということについてです。
実はこの根本的な部分を理解することで、ハウスメーカー各社のデザインの得意・不得意が見えてくるようになるのです。
というのも、恐らく多くの方がハウスメーカーと聞くと「注文住宅で自由に家をつくってくれる企業」というざっくりとしたイメージをもっていて、「ハウスメーカーだったらなんでもできる!」と思っていると思います。
しかしそれは違うのです。
なぜなら、ハウスメーカーがやっているのは、工業化住宅だからです。
つまり、ユニクロやGUのように同じものを大量生産するというのがハウスメーカーの本質になってくるのです。
そのため基本的に、住宅の工業化率が高くなればなるほど量産しやすい形状でしか家をつくれないため、思ったようなデザインの家にならないということもけっこう起きてくるのです。
例えば、ハウスメーカーの中でも有名な一条工務店やセキスイハイム、トヨタホームは、住宅の工業化率を極限まで高めている企業であるがゆえに、間取りの自由度が低めであったり、他のハウスメーカーでは入れられるものが入れられなかったりと、もろもろの不自由さがデメリットとしてどうしても出てきてしまうのです。
しかし当然、工業化を突きつめることによるメリットもあって、それが、大量生産や仕組み化によってコストを抑えられた質の高い住宅を短い工期で手にできるということです。
つまり『工業化率』、これをどれだけ高めているのかによって、そのハウスメーカーが実はデザインが得意なのか、それとも不得意なのかが何となく見えてくるということなのです。
間取りの自由度を意識したい方やおしゃれな外観・内装にしたい方は、必ずこのハウスメーカーという業態の根本的な部分を覚えておいてください。
一方で、ハウスメーカーとは対極の位置にある存在として工務店があります。
正直、工務店の世間的な印象はあまりよくなくて、どうしてもハウスメーカーで家を建てた方がよくて、工務店で家を建てるのはあまりよくないというようなイメージをもたれがちです。
確かに工務店は、職人のスキルによってできる家にかなりばらつきが出ます。
これはどうしようもない事実です。
しかし、工務店がやっていることは手工芸なのです。
つまり職人が魂を込めてつくった究極の一点ものが、工務店での家づくりになるわけです。
ですので、技術力の高い職人さんのいる工務店で家を建てると、ハウスメーカーではできない細部にまでこだわった家づくりをすることができるのです。
そのため例えばですが、インスタグラムを見てみてください。
「おしゃれだな。」「これすてきだな。」と思う家の画像や動画をアップしているほとんどが工務店、もしくは地域の優秀な工務店を抱えている設計事務所のはずです。
それもそのはずで、基本的にはハウスメーカーではできない小回りの利いた施工をしているからこそ、他の家にはないおしゃれですてきな家づくりができているのです。
ただし、今お伝えしたことはあくまでトップオブトップの工務店の話です。
工務店の中にも技術レベルの低い工務店は当然あります。
ですので、見極めるのが非常に難しいのです。
またいい工務店を見つけることができたとしても、結局のところ、職人さんのその時のコンディションによって、できるもののクオリティが異なります。
ですので、同じものは絶対につくれないのです。
それに工務店は、一つひとつ手作業で細部まで突き詰めて家づくりをする都合上、家が完成するまでにとんでもなく長い時間がかかりますし、工務店でクオリティの高い家をつくろうと思えば思うほど、ハウスメーカーと同等かそれ以上に金額は高くなります。
時間と労力と手間がかかっているので、当たり前ですよね。
そのため、工務店で家づくりをする場合は、手工芸ならではのデメリットがどうしても出てきてしまうのです。
ということで、簡単に話をまとめると、ハウスメーカーがやっているのは工業化住宅であり、その本質はユニクロやGUのような同じものを大量生産するということ、
そしてそれによるメリットが
- コストが抑えられる
- 施工の精度が上がる
- 工期が短い
ということで、デメリットが
- 工業化率を高めれば高めた分だけ、小回りが利かなくなる
ということになります。
一方で、対極の位置にある工務店は
- 小回りが利く
ということがメリットで、デメリットは
- 施工精度が不安定
- 工期が長くなる傾向にある
- 価格は工務店によってピンキリである
ということになります。
ただここまでの話を聞くと、「なんだか工務店の方がよさそうかも?」と思う方もいるかもしれません。
確かに最近では、力のある工務店がメキメキと頭角を表しているのは事実ですし、ハウスメーカーができないような施工をして、魅力的なデザインの家をつくっている所があるのも事実です。
ただそんな中でも、工業と手工芸の両立を図ることのできるハウスメーカーや、建築の歴史をきちんと踏襲してデザインをつくり上げているハウスメーカーもあります。
ハウスメーカー各社のデザイン面における傾向とポジション
続いて『ハウスメーカー各社のデザイン面における傾向とポジション』についてです。
今まで説明してきたことを前提に、業界全体を図化するとこのような感じになります。
縦軸が価格、横軸が工業化と手工芸、どちらに寄っているかを表しているものになるのですが、いくつかポイントを説明します。
工務店
まず、工務店に関しては先ほども説明したとおり、職人が魂を込めてつくった究極の一点もの、それが工務店での家づくりになるので、完全に手工芸に寄ります。
ただし、工務店はピンキリが激しいので、分布としては広範囲になります。
中堅・ローコスト系のハウスメーカー
続いて中堅・ローコスト系のハウスメーカーについてですが、中堅・ローコスト系のハウスメーカーは、基本的に工務店が進化した企業になります。
これがどういうことなのかもう少し詳しく説明すると、人気の工務店は自分たちのできる範囲内で、クオリティの高い家づくりをし続けるのか、会社の規模を大きくして、より多くの人たちに自分たちの家づくりを広めるのか、このどちらかを選ぶことになるのです。
そして、後者の会社の規模を大きくして、より多くの人たちに自分たちの家づくりを広める方を選んだ工務店は、家の質を担保するためにも、住宅の工業化に取り組み始めなければならなくなります。
この時点でハウスメーカー化することになります。
ただハウスメーカー化した時点で、どれだけ工業化率を上げられるのかの勝負になるため、軍資金が必要になるのです。
そして軍資金を得るためには、家を早くつくって、早く引き渡し、早くお金を回収する必要があるわけです。
中堅・ローコスト系のハウスメーカーは、その特徴として、標準仕様とオプション仕様を明確に定めています。
なぜなら、標準仕様とオプション仕様を明確に定めることで、契約後の打ち合わせにかかる時間を短縮できるからです。
そうすることで、結果的に早く資金を回収できるのです。
中堅・ローコスト系のハウスメーカーは、注文住宅とはいっているものの、標準仕様とオプション仕様を明確に定めている都合上、やっていることは規格住宅運用であることがほとんどなのです。
ですので、「あれ入れたいです!」「これやりたいです!」と言っても、遠回しに断られることもよくあります。
ただし、中堅・ローコスト系のハウスメーカーは完全に工業化できておらず、手工芸に寄っているので、工業化を突き詰めている大手ハウスメーカー各社と比べて小回りが利きやすい傾向にあります。
そのため例えば、中堅・ローコスト系のハウスメーカーは、大手ハウスメーカーよりも建物の断熱性能や気密性能がいいなどと言われているのですが、それは手工芸による小回りの利きやすさが主な理由になります。
また、小回りが利く都合上、基本的には無理であることがほとんどですが、超例外対応をすれば、デザイン的にも優れた家づくりができなくはありません。
ただやはり、会社がクオリティを追求した家づくりを求めていないため、そもそもクオリティを追求できる人、追求しようとする人を採用していない、仮にクオリティを追求できたとしても、工期が伸びたり、余計に人的リソースを使うことから、担当者が会社から評価されなかったりというような諸々の問題が出てきます。
それら諸々の問題を解決できるのであれば、下手な大手ハウスメーカーで家を建てるよりも、中堅・ローコスト系のハウスメーカーで家づくりをしてしまった方がよかったりもします。
ただ中堅・ローコスト系のハウスメーカーは工業化しきれていない以上、どうしても施工の質は均一ではないですし、家を早くつくって、早く引き渡し、早くお金を回収する必要があるビジネスモデルをとっている都合上、雑な仕事になりやすいというリスクはずっとつきまといます。
これはもう仕組み上仕方のないことなので、中堅・ローコスト系のハウスメーカーでの家づくりを考えている方は、施工の精度をいかにして高められるか、また、限られた範囲内でどれだけデザインを高められるかを考えてみてください。
大手ハウスメーカー
大手ハウスメーカーをさらに分類して説明していきます。
大手ハウスメーカー規格型住宅
中堅・ローコスト系のハウスメーカーと同じ運用形態で商品を販売しているのが、大手ハウスメーカーの規格型住宅になります。
大手ハウスメーカーの規格型住宅は、全体的に工業化率が非常に高いので施工精度が高く、価格も中堅・ローコスト系のハウスメーカー並に落とせるという特徴があります。
また、デザイン性にも優れたものがパッケージ化されていることが多いです。
ですので例えば
- ヘーベルハウスのmy DESSIN
- ミサワホームのSMART STYLE
- 三井ホームのMITSUI HOME SELECT
これらの規格型商品は、けっこう見た目もよかったりするのです。
ただし、中堅・ローコスト系のハウスメーカーと同様の運用形態をとっている都合上、大手ハウスメーカー各社の規格住宅も、標準仕様とオプション仕様が明確に決まっています。
また、大手ハウスメーカーは工業化率を高めている都合上、小回りを利かせにくいという弱点も存在します。
そのため最近では、断熱性能や気密性能に関しては、中堅・ローコスト系のハウスメーカーの方が高かったりもするわけです。
こういった構造であることから、価格を抑えて家づくりをすることを検討する場合、無理をとおす覚悟を決めつつ、多少のリスクは承知で、中堅・ローコスト系のハウスメーカーで家づくりをするのか、それとも施工の精度とある程度パッケージ化されたデザインを取って、断熱、気密など小回りの利かない大手ハウスメーカーの規格住宅にするのか、このどちらかを選ぶことになります。
一条工務店、セキスイハイム、トヨタホーム
工業化住宅を突き詰めているハウスメーカーである一条工務店、セキスイハイム、トヨタホーム、これらのメーカーは、先ほども説明したとおりで、住宅の工業化率を極限まで高めている企業になります。
そのため、生産効率が下がるようなことはできないため、大手ハウスメーカーの規格型住宅や中堅・ローコストメーカーとは別の意味で制限がかかってきます。
例えば無垢床が使えなかったり、天井面をきれいにできなかったり、巾木を無くしたり、余計な柱や梁が出てきてしまったりなどです。
そういった様々な制限が出てくるものの、コスパや家の質は高いといった感じです。
パナソニックホームズ、ヘーベルハウス、ダイワハウス(鉄骨)
一条工務店、セキスイハイム、トヨタホームほどではないですが、パナソニックホームズ、ヘーベルハウス、ダイワハウスの鉄骨も、元々は大量生産前提でつくられた商品なので、細かいデザイン提案は苦手ですし、会社自体もあまりその手の提案はできない傾向にあります。
一応、この中でヘーベルハウスは、後で説明するモダニズムという工業化建築のデザインを踏襲している都合上、おしゃれでデザイン的に見える工夫をしてはいます。
ただ、つくり込もうとすると実は意外と自由度がなかったりもするので、その点は要注意です。
三井ホーム、ミサワホーム
三井ホームとミサワホームです。
三井ホームとミサワホームはポジションが定まらないハウスメーカーで、商品によってはものすごい工業に寄っていて、反対に手工芸に寄るケースもあるので、ハウスメーカーが誇る遊撃隊のような感じです。
特にミサワホームは、見た目は工業、中身は手工芸というような家づくりをよくします。
そのため、建物の外観が「家!」というような外観で、あまりカッコよくなかったりするのですが、建物の中身はデザイン的にきれいにつくられているケースが多いです。
積水ハウス、住友林業、ダイワハウス(木造)
積水ハウス、住友林業、ダイワハウスの木造GranWood、これらのメーカー・商品は、大手ハウスメーカーの中でも、工業と手工芸の両立を図ることができます。
つまり、デザインと機能の両立が図られた完璧な家づくりをしたいのであれば、必然的にこれらのハウスメーカー・商品になってしまうわけです。
「いやいや、本当かよ。」と思われる方もいるかもしれませんが、実際に積水ハウスや住友林業に関しては、SNS上に実例物件の写真やら動画やらがたくさんアップされていて、そのどれもがおしゃれな物件です。
ダイワハウスの木造は、ここ数年で力を入れはじめた商品です。
そのため、まだまだ施工事例は多くないですが、断熱性能・気密性能、これらの性能も高く、さらには設計の自由度もかなり高いです。
ですので、工業化による建物の施工精度を得つつ、手工芸によるデザインとの両立を図りたいのであれば、積水ハウス、住友林業、ダイワハウスの木造GranWood、おのずとこの3社に絞られてきて、さらにその中でも、積水ハウス、住友林業が強いというのが今のこの業界の現状です。
ただしあくまでデザインと機能の両立を図りやすいのがこの3社というだけで、自分の担当者によって、この3社を選んだとしても工業化住宅全振りの提案になる可能性も十分にあります。
それだけ担当者は重要になるのでご注意ください。
おしゃれな注文住宅を建てるポイント7選
デザインのいい家づくりをするポイントを7つ紹介します。
モダニズムを意識する
まず、『モダニズムを意識する』ということについてです。
先ほどの『ハウスメーカー各社の傾向とポジション』という話を読んだ人の中には「それって積水ハウス、住友林業、ダイワハウスの木造GranWood、これらのハウスメーカーにしろってことかよ。それ以外のハウスメーカーでもデザイン性の高い家は提案できるし、適当なこと言ってるんじゃねぇ!」と思われている方もいると思います。
確かにそのとおりです。
積水ハウス、住友林業、ダイワハウスの木造GranWood、これら以外のハウスメーカーでもデザイン性の高い家を提案することは可能です。
例えばヘーベルハウスを見てみてください。
人によって外壁や内装のデザインに好き嫌いはあると思いますが、おしゃれな家ではありますよね。
しかし一方で、ヘーベルハウスは間取りに制限が出てくることもよくありますし、細かいつくり込みをしようと思ってもできることに限界があるのも事実です。
ではなぜヘーベルハウスはおしゃれに見えるのか、それは先ほどのパートでもチラッと触れましたが、ヘーベルハウスはモダニズムを意識しているためおしゃれに見えるのです。
裏を返せば「モダニズムとはなんなのか」、ここさえ理解してしまえば、積水ハウス、住友林業、ダイワハウスの木造GranWood、これら以外のハウスメーカーでもおしゃれに仕上げることが可能になります。
ではいったい、モダニズムとは何なのか、少し歴史の話になるのですが、この部分を掘り下げていきたいと思います。
ちなみに建築の歴史を知るということは、先人の知恵をそのまま借りるということに等しいわけです。
ですので「家を建てるのに歴史なんて知る必要ない!」と思っていると、何がよくて何が悪いのか、自分の目で判断できなくなります。
そして判断できないということは、最悪、設計士ではなく知識のない営業マンが我流で書いた間取りで契約をしてしまい、後々引き返せなくなる可能性もあるわけです。
そういう万が一のことを回避するためにも、今から私が話す建築の歴史は、最低限おさえておいてください。
一応要点のみを伝えるために、究極にざっくりと、かつわかりやすく説明していきます。
まず人類はヨーロッパを中心に発展していくのですが、18世紀中頃にイギリスで起きた産業革命以前は、装飾をすることがデザイン的にいいとされていました。
そして装飾こそが、そのものを所有する人の権威や威厳性を表すものになっていたのです。
例えば、王様のいす、お城など、装飾でゴテゴテしているイメージがあると思います。
あれはデザインをよくするという意味でゴテゴテしているのももちろんあるのですが、どちらかというと人の権威や威厳性を表すものだったわけです。
しかしフランス革命によって王族や貴族が没落し、人民が中心の時代に変わりました。
それをきっかけに「権威や威厳性を表す装飾を無くそうぜ!」という流れが世界的に広がります。
また、工業の発達により、今までのような装飾性のあるものから、よりシンプルで生産しやすく、さらには今までのような伝統工芸から脱却した工業による工業のための全く新しいデザインを生み出そうという流れになります。
そんな中、現在の工業化建築のベースとなる思想を広めた人物が現れます。
それが、20世紀を代表する近代建築理論家の巨匠とよばれるル・コルビジェです。
彼は装飾のない建築という意味の『モダニズム建築』を世界中に建て、それが世界的に流行していくことになります。
具体的には、サヴォア邸やヴァイセンホーフ・ジードルングの住宅などです。
見ていただければわかりますが、外観が非常にシンプルです。
また、内装に関しても以前の建物とは違い、収納は壁に、照明は天井への埋め込み式となりました。
その結果残ったのは、机といすくらいです。
そのため、モダニズム全盛期は、いすなどの家具が空間の質を決めるとされていて、家具、特にいすが主役のミッドセンチュリーという時代に突入します。
そこからしばらくすると、モダニズムが画一的過ぎるということから「モダニズムをベースにして、それぞれの地域の特色を加えた建築をつくろう!」という流れになり、モダニズムと伝統的な日本建築を調和させた「東京国立博物館 東洋館」や「東京国立博物館法隆寺宝物館」が誕生しました。
それ以降の日本建築も、モダニズムと日本の調和という軸からは大きく逸れず、
- 「より細く軽く」を洗練させていくSANAA
- 日本独自の素材や工法に着目した隈研吾
など、現代の建築家に続いていくことになります。
そしてこの流れが住宅にも落ちてきているという状況になります。
これが究極にざっくりと、かつわかりやすく説明した建築の歴史になります。
私はここで皆さんに何を伝えたかったのかというと、歴史的な経緯から見てもわかるとおり、収納や照明などを埋め込み式にして、建物の装飾性を無くすこと、これがまずはきれいな建築をつくる上での根本的な考え方になるということです。
そしてシンプルになった空間に個性を追加するものとして、家具が存在しているわけです。
これこそが装飾のない建築を意味するモダニズムであり、それを踏襲しているからこそ、本来諸々の制限がかかるはずのヘーベルハウスは、おしゃれに見せることができているということです。
そして、モダニズムは工業化建築における原点であるため、モダニズムをベースに、あとはそこにどのような要素を加えるのか、その手段となる引き出しを増やして自分なりに取捨選択をすれば、自ずとデザイン性の高い住宅をつくり上げることができるわけです。
ですので例えば、まずはモダニズムを意識した空間をつくって、その上で再度装飾を足していけば、
東京にあるフォーシーズンズホテルの客室や、大阪のコンラッドホテルの客室のようなラグジュアリー感のある空間に仕上げることができます。
もっと装飾を加えて曲線を多く加えることで、女性らしさが全面に出た洋風な空間になります。
モダニズムを意識した空間をつくって、その上で和の要素を加えることで、いわゆる和モダンとよばれるテイストの空間に仕上げることも可能です。
この辺りは後でもっと詳しく説明します。
とにかく工業化建築をつくる以上、まずはモダニズムを意識して、装飾を一切排除したシンプルな空間をつくる必要があるのです。
装飾を無くす
続いて『装飾を無くす』ということについてです。
では、具体的に装飾を無くすというのはどういうことなのか、今私が思いつく限りの全てをお伝えします。
- 照明を間接照明にする
- ダウンライトは最低限にとどめる
- 収納をすべて埋め込み式にする
- テレビボードは使わない
- ハイドアを使う
- ドアの枠を無くす
- 垂れ壁を排除する
- 巾木/幕板を無くす
- 家全体の壁の色を1色にする
- 窓枠を目立たせないようにする
- 照明のスイッチ・コンセントを目立たせないようにする
- カーテンを使わない設計にする
- ロールスクリーンを埋め込み式にする
- キッチンを目立たない位置に配置する
- レンジフードを目立たせないようにする
- エアコンを目立たせない位置に設置する
- 換気設備を目立たせない位置に設置する
- 玄関土間部分を打ちっぱなしにする
- 階段部分のささら桁を無くす
- 階段手すりをシンプルな形状のものにする
- 床材は基本的に1種類のみ使う
以上になります。
最低限、これくらいおさえておけば大丈夫です。
それぞれの説明をしていきますが、量が多いのでサクッと説明していきます。
照明を間接照明にする
間接照明というのは、壁や天井に埋め込む細いライン上の照明のことです。
実は間接照明にも種類があり、
- 天井を照らす「コーブ照明」
- 壁に光を当てる「コーニス照明」
- 壁・天井の両方を明るくする「バランス照明」
といったものがあります。
ダイニングテーブルなどに使うペンダントライトなどは「装飾」になるので、いったん最初は忘れてください。
この段階ではとにかくモダニズムを意識して、間接照明をメインで使うことを考えましょう。
ダウンライトは最低限にとどめる
よく、間接照明とダウンライトを一緒にして考えてしまう人がいますが、間接照明とダウンライトは全くの別物です。
ダウンライトは天井に小さな丸い穴を開けてそこから光を出す照明です。
間接照明とは違ってライン上でもないですし、つけすぎると天井面が穴だらけになって汚くなるのです。
ですのでメインは間接照明、どうしてもスポットで必要ならダウンライト、最後に装飾的な役割でペンダントライト、そのようなすみ分けで照明を設置することを心がけてください。
収納をすべて埋め込み式にする
基本的にすべて壁面に収める形で収納をつくってもらってください。
ただしこの場合、規模によっては造作家具ということで、別途家具屋さんに特注でつくってもらう必要があります。
ただ、そこまで金額はしませんし、きれいな空間をつくるためには必要なものになるので、1つポイントとして覚えておいてください。
テレビボードは使わない
テレビボードは装飾です。
モダニズムからはかけ離れるので、下手に置くと室内空間がごちゃつきます。
なるべくテレビボードが必要ないように間取りを工夫してもらったり、あとは埋め込み式にする形でテレビを設置してもらったりしましょう。
ハイドアを使う
ハイドアとは、天井まで高さのあるドアです。
例えば左が一般的な2mのドアで、右がハイドアです。
見比べてみるとわかりますが「ハイドア」はドアが天井まであります。
そのため、ドアを開けた時に下がり壁がなく、すっきりとした印象になります。
これを建築では「無駄なラインを減らす」といったりします。
例えば左の画像では、横のラインが天井、床、ドア上部で3つあるのに対し、右のハイドアの画像では、横のラインが天井と床部分の2つしかありません。
大した差ではないように感じるかもしれませんが、このことに配慮するのとしないのとでは、室内のでき上がりが全然違ってくるわけです。
ドアの枠を無くす
こちらも先ほどの「ハイドアを使う」という部分に付随する内容なのですが、ドアの枠がなくなることですっきりするのです。
要は、これも装飾を排除しているわけです。
垂れ壁を排除する
こちらも先ほどからお見せしている画像を見れば一目でわかりますが、通常のドアの上の部分には壁があり、ハイドアには壁がありません。
要はこの部分の壁を垂れ壁というのですが、これが出てきてしまうと一気に装飾感が出ます。
垂れ壁は徹底的に排除しましょう。
巾木/幕板を無くす
巾木とは、床と壁の設置部分につける部材なのですが、これも太いと装飾的な扱いになるので、基本は排除する前提で考えます。
またハウスメーカーによりますが、1階と2階の間に幕板とよばれる部材が入るメーカーもあります。
これも装飾になるので、基本は排除する方向で動きましょう。
家全体の壁の色を1色にする
家全体の壁の色を1色にするということについてですが、これはそのままの意味です。
よく注文住宅だからということで、いろんな場所にいろんな色の壁紙を貼りつける人や、やたらエコカラットをすすめる営業マンがいますが、それはやめましょう。
ただこの話をすると「それじゃつまらない!」「賃貸っぽくなるじゃん!」など、そのようなことをいう人がいますが、それは違います。
これに関しては、後で別のパートで詳しく説明します。
窓枠が目立たないようにする
ここでお伝えしたいのは2つです。
- 窓の枠をクロス巻き込み仕上げにする
- サッシを隠すために壁をふかす
この2点です。
1つ目の方法は比較的簡単で、余計な窓枠を排除してクロス巻き込み仕上げにしてしまえばいいだけです。
2つ目は難易度が高いのですが、壁を厚めにしてサッシ部分が隠れるように施工するのです。
これはなかなかの高等テクニックなのですが、モダニズムには必要な手段の1つになるので覚えておいてください。
照明のスイッチ・コンセントが目立たないようにする
これは特には説明不要かと思います。
リビングなどメインとなる空間部分は、スイッチ・コンセントは目立たないように設置してください。
例えば、パントリー内部や玄関部分に照明のスイッチを全て集約させる、コンセントも最低限にして、どうしても必要なら床下に設置してみるなどです。
リビングは、実はそこまでコンセントはいらないので、とにかくきれいに見える方法を考えてみてください。
カーテンを使わない設計にする
カーテンは究極の装飾です。
カーテンは女性らしさが非常に出るアイテムでもあるので、洋風系の住宅やラグジュアリー感を出すなら設置してもいいです。
ただ最初の段階でいきなりカーテンを設置する前提で間取りをつくるのは危険なので、いったんカーテンは使わない方向で設計してもらうようにしましょう。
ロールスクリーンを埋め込み式にする
「カーテンは使いたくない!でも夜はカーテンを閉めたい!」そんな方も多いはずです。
この時、ロールスクリーンの設置を検討することになると思うのですが、ロールスクリーンは、それ自体がただただ無骨に取りつけられているだけですと、非常に不恰好です。
ロールスクリーンを設置する場合は、埋め込み式にしてもらいましょう。
これは最初にいっておいた方がいい項目で、後からですと余計な追加費用がかかりやすい部分でもあります。
ご注意ください。
キッチンを目立たない位置に設置する
いくらきれいな空間構成をつくれたとしても、キッチンが目立つ位置にあるとそれ自体が装飾になってしまって、せっかくのきれいな空間が台無しになります。
ですので、キッチンは基本的には目立たない位置に設置するのがポイントで、
どうしても目立つ位置に配置しなければならないなら、シンプルさが引き立つ白のキッチンにするなど工夫が必要になります。
レンジフードが目立たないようにする
LDKの中で、レンジフードほどメカメカしいものはありません。
できることなら、隠した方がシンプルな空間をつくり上げることができます。
エアコンを目立たない位置に設置する
エアコンは、レンジフードよりも隠す方法があるのでまだマシではありますが、レンジフードについでメカメカしい設備です。
目立たない位置で、さらには効果効率的にエアコンが効く位置を設計段階から決めておいてください。
ちなみにこういったエアコンを隠すための格子は造作家具屋さんでつくってもらえます。
換気設備を目立たない位置に設置する
これは極力配慮するという感じです。
というのも昨今主流になりつつある第一種換気や全館空調の件を考えると、ある程度は天井面に換気設備が出てきてしまうからです。
ただ、仕方ないとはいえ、こちらも最大限目立たない位置に配置してもらうようにしてください。
玄関土間部分を打ちっぱなしにする
玄関タイルも装飾としての機能が大きいので、基本的に玄関土間は打ちっぱなしを前提に考えましょう。
ある程度家全体のテイストが整って、方向性が見えた時点で、打ちっぱなしのままでいくのか、それとも装飾をしてタイルにするのか、この辺を選んでいただければと思います。
階段部分のささら桁を無くす
階段のささら桁というのはこの部分です。
これがあると非常にダサいので速攻で無くしましょう。
ここに装飾を入れる必要性はありません。
階段手すりをシンプルな形状のものにする
ハウスメーカーによっては、階段手すりが複雑な形状だったりします。
複雑になればなるほど、装飾性は強くなるので、なるべくシンプルなものにしてください。
床材は基本的に1種類かつ1色のみ使う
壁紙と同様で、どうしてかたくさんの種類の床材、たくさんの色の床材を使いたがる人がいるのですが、いろんな種類を使えば使うほど見切り材というのが出てきます。
また、いろんな色の床材を使えば使うほど、空間がごちゃごちゃしてきます。
床材は基本的に1種類かつ1色のみ使う、これは徹底してください。
ここまででモダニズムがなんたるか、その具体的な例として『装飾を無くす』ことを考えるということを説明してきました。
ここからさらに細かい部分もあるのですが、それは超応用編になるので、いったんは今お伝えした21個の要素を徹底的に突き詰めてください。
ただこの話を聞いた人の中には「いやいや、装飾のないシンプルな空間をつくっただけで、おしゃれさが出るわけないだろ。」そう思われている方も多いはずです。
確かにそのとおりで、装飾のないシンプル空間をつくり上げるのはあくまで基本的な話であって、それを意識したからといって、確実におしゃれな空間をつくり上げることはできません。
では、モダニズムを理解した上で次に何を意識しなければならないのかというと、それが比率です。
黄金比もしくは白銀比を意識する
続いて『黄金比もしくは白銀比を意識する』ということについてです。
実は建築には、美しい形状をつくるための比率というのが存在します。
この比率こそが、モダニズムを理解した上で次に意識するポイントになるのです。
では、その比率とはなんなのかというと、具体的には2つあります。
- 西洋で使われていた比率で、ル・コルビジェも使っていた黄金比
- 日本で誕生した比率で、ヤマト比という別名もある白銀比
この2つです。
実は皆さんがSNSでおしゃれだなと思う物件のほとんどが、黄金比か白銀比が使われていて、一流の設計士とよばれる人達は、このどちらかの比率を多用しています。
なぜならそもそも論として、建物の箱それ自体の形状がダサかったら、どんなに箱の中身で使う素材をよくしても意味がないからです。
そのため立体ではなく平面的な話になってしまいます。
例えば名刺、名刺を正方形で作ったらダサいですよね?
いくら紙質やら字体やらにこだわったとしても、長方形の名刺には美しさでは勝てません。
それもそのはずで、実は名刺には黄金比が使われて作られているのです。
ですので、人間が自然と美しいと思えるバランスのいい形状になっています。
このような感じで、美しいと感じることのできる比率が使われているのか使われていないのかで、建物のデザイン性は大きく異なってきます。
そのため、ル・コルビジェも黄金比を使って建物をつくっていたのです。
では、それぞれの比率について簡単に説明をしていきます。
黄金比
まずは黄金比です。
黄金比は1:1.618の割合のことをいいます。
正式な式は1:1+√5/2になるのですが、おおよそ1:1.618だという解釈で問題ありません。
この比率は身近なものですと、先ほど例に出した名刺やクレジットカードが黄金比で、1:1.618になっています。
その他有名なものとして
- アップルのロゴ
- ミロのビーナス
- モナリザの顔
- ピラミッドやパルテノン神殿
- 日本の金閣寺
などが黄金比でつくられています。
このような感じで、作成されたものも国も地域もバラバラなのに、現代でも共通して美しいと感じることのできる比率、それが黄金比なのです。
ですので例えば、目安として尺モジュールとよばれる910mm×910mmのマス目を積み上げて家づくりをするハウスメーカー、具体的には
- 住友林業
- ダイワハウスの鉄骨
- ダイワハウスの木造 xevo BeWood
- ヘーベルハウス
- パナソニックホームズ
- 三井ホーム
- セキスイハイム
- ミサワホーム
- 一条工務店
これらのハウスメーカーで、幅4モジュール、つまりは910mm×4モジュールで、幅3,640mmの大きさで1つの空間をつくる場合、幅3,640mmを1とするので、その1.618倍の約5,890mmがもう一辺となります。
ですので、尺モジュールで間口が4モジュール幅の空間をつくる場合、3,640mm×5,890mm、この大きさが丁度よく、そして美しく見える形だということになります。
一方で、メーターモジュールとよばれる1,000mm×1,000mmのマス目を積み上げて家づくりをするハウスメーカー、具体的には
- 積水ハウス
- ダイワハウス xevoGranWood
- トヨタホーム
これらのハウスメーカーで、幅4モジュール、つまりは1,000mm×4モジュールで幅4,000mmの大きさで1つの空間をつくる場合、幅4,000mmを1とするので、その1.618倍の約6,472mmがもう一辺となります。
ですので、メーターモジュールで間口が4モジュール幅の空間をつくる場合、4,000mmX6,472mmこの大きさが黄金比でちょうどよく、そして美しく見える形だということになります。
白銀比
白銀比は先ほどもお伝えしたとおり、日本で誕生した比率でヤマト比ともよばれているもので、比率としては1:√2、つまりは1:1.414になります。
白銀比が使われているものとして、具体的には法隆寺や五重塔の屋根の最下層と最上層の比率、スカイツリー、畳、A4用紙、ドラえもんの寸法など、これらで使われています。
少し変わり種も例え話で出しましたが、基本的に白銀比は、日本建築の美しさを出すために用いられる比率です。
これがどういうことかというと、日本は西洋と比べてもののつくり方が特殊だったのです。
例えば昔、海外では木材を切り出す時に丸太状にして、それをそのまま山から降ろすということをしていたのですが、日本は川などを用いて様々な運搬方法を使って木材を運んでいたのです。
ですので、運びやすくするために、ある程度山の中で木を切った上で運んでいました。
しかし、適当なサイズで木を切ったら使えない木材が出てきます。
そのため、木を切っても無駄なく使える寸法として、白銀比が誕生したといわれています。
そういった背景もあって、日本建築や和モダン系の住宅を設計する時は、白銀比が多く用いられるわけです。
ですので例えば、こちらも黄金比と同様に、一応目安を計算すると、尺モジュールで幅4モジュール、つまりは910mm×4モジュールで幅3,640mmの大きさで1つの空間をつくる場合、幅3,640mmを1とするので、その1.414倍の約5,147mmがもう一辺となります。
尺モジュールで間口が4モジュール幅の空間をつくる場合、3,640mm×5,147mm、この大きさがちょうどよく、そして美しく見える形だということになります。
一方で、メーターモジュールで幅4モジュール、つまりは1,000mm×4モジュールで幅4,000mmの大きさで1つの空間をつくる場合、幅4,000mmを1とするので、その1.414倍の5,656mmがもう一辺となります。
メーターモジュールで間口が4モジュール幅の空間をつくる場合、4,000mm×5,656mm、この大きさが白銀比でちょうどよく、そして美しく見える形だということになります。
これが黄金比と白銀比、それぞれの説明になるのですが、ここで1つ皆さんにお伝えをしたいポイントがあります。
それが、黄金比あるいは白銀比を意識してLDKをつくりましょうということです。
例えばこれらです。
全部おしゃれですし、美しいですよね。
これがどうしてかというと、黄金比か白銀比のいずれかが使われているからというのが理由なのですが、これらの比率でつくった空間が最大限きれいに見えるように、モダニズムを意識しつつ、LDKが一直線になるようにつくられているのです。
間取りによってはキッチンがノイズになるので、キッチンだけクランクさせ、LとDは黄金比や白銀比を意識して一直線に配置するというパターンもあります。
ただなんにせよ、モダニズムと比率を意識して、横一直線、あるいは縦一直線にLDKもしくはLDを配置することで、きれいな箱をつくり上げることができるのです。
しかしその逆で、モダニズムを無視して、さらには比率までも無視した空間構成にしてしまうと、いわゆる賃貸のような、なんのおもしろみもない空間に仕上がってしまうのです。
そうならないようにするためにも、箱のクオリティを上げるべく、黄金比もしくは白銀比は必ず意識してください。
これさえわかっていれば、比率を計算するだけなので、自分達で簡単にチェックできるはずです。
必要であれば装飾を加える
続いて『必要であれば装飾を加える』ということについてです。
正直、今まで私が話したとおりに基本を守った形で建物の設計をしてさえいれば、ヘーベルハウスのような家にすることは容易です。
全ての源流がモダニズムであり、それを踏襲しているのがヘーベルハウスですからね。
ここに装飾を加えていくことで
- 和モダン
- ラグジュアリー
- 洋風
それぞれに進化させることが可能になります。
和モダン
まずは和モダンです。
和モダンにするためには和を感じる要素を加えればいいので、例えば
- 畳
- 障子
- ボロン
- クリやナラなどの中間色系の床材
- 和紙を使った照明
- 塗り壁
- ベージュ系の壁紙
- 木の素材感を感じやすいソファ
これらの要素をバランスよく配置すれば、和モダンになります。
ラグジュアリー
ラグジュアリーは
- 巾木にやや厚さをもたせ装飾性を出す
- 装飾性の強いペンダントライト
- スタンドライト
- ドレープ感の強い厚手のカーテン
- カーペット
- タイル床
- 肉厚なソファ
- グレー系の壁紙
これらの要素をバランスよく配置すれば、ラグジュアリーな感じになります。
洋風
洋風は
- 巾木を太くする
- 窓枠や扉の枠を太くする
- 曲線的な装飾を施す
- 白系の塗り壁もしくは壁紙
これらを積極的に採用していけば、洋風になります。
空間の主役となる椅子を決める
続いて『空間の主役となる椅子を決める』ということについてです。
多くの方が「家具は最後に決めるんじゃないの?」と思われると思うのですが、建築において家具を決めることは非常に重要なことで、優先的に決めるものになります。
なぜなら、家具こそが空間の質を決めるからです。
これは私が適当に言っているわけではなく、マルセルブロイヤーという世界で初めて建築ではなくいすをつくった超有名人物が言っている言葉でもあるのです。
もう少し詳しく説明をすると、今まで説明してきたとおり、工業化を突き詰めていくと、建築においても生産しやすく、機能的であり、さらに装飾のないシンプルな形状が流行ることになります。
これがモダニズムですという話はさんざんしてきているのですが、モダニズムが流行る以前の建築家は、自分たちが設計した建物に合う家具を、その建物と一緒につくっていたのです。
ですので当時の建築家は、建築家であると同時に家具職人でもあったのです。
しかしモダニズムが流行ってから、シンプルな空間になったからこそ、家具がそこに住む人の個性の象徴になったことや、オブジェとしての役割を担うようになってきたこともあり、マルセルブロイヤーは家具こそが空間の質を決めると悟ったのです。
そしてどんな空間にも合う最強のいすをつくれないものかと考えて、世界で初めてとなるクラブチェアB3というのをつくり、
それを真似してル・コルビジェがLC1やLC2、
ミースファンデルローエがバルセロナチェアをつくったのです。
こういった歴史的経緯もあって、基本的に工業化建築をつくるなら、まずはモダニズムを考えて装飾のないシンプルな空間をつくり、その次にその空間の主役や個性の象徴、もしくはオブジェとしての役割をもつ家具を決めるというのが本来の建築の流れなのです。
特にその中でいすはものすごく重要です。
なぜならテーブルは床材と同系色を選ぶことが多く、さらには面積も大きいので床と同化するのです。
そうなると、個性を表すこともできないですし、オブジェとしての役割ももてないのです。
ですので、いすこそが空間の主役となる最重要パーツといっても過言ではないのです。
ちなみに、モダニズムの思想を正統に引き継いでいる家具たちのことをミッドセンチュリーといいます。
一方でモダニズムの影響を受けず、「中国いすやウィンザー、シェーカーといった昔の家具を職人の手によってリプロダクトすることが最高だぜ!」という人がいて、それが北欧家具のベースをつくったクリントです。
そのクリントの思想に共感した人たちをクリント派といいます。
しかしクリントの思想とは正反対で、モダニズムの思想を受けつつ家具のクオリティを上げるという人たちが現れます。
それが同じく北欧家具をつくっている人たちで、反クリント派のフィンユールやアンネヤコブセンです。
奥深いですよね。
空間の主役となるいすを決める場合、こういった家具の歴史をある程度理解していた方が選びやすいのは事実です。
しかしそこまで詳しくなる必要もなくて、まずはモダニズム、そしてその空間の主役となる家具を選ぶ、特にいすは最重要くらい覚えておけば大丈夫です。
色味は3色以下で素材感を意識する
『色味は3色以下で素材感を意識する』ということについてです。
これはそのままの意味なのですが、基本的に色味は3色以内、色味を増やしても同系統の色味を選ぶようにしましょう。
あとは素材感です。
マットなものは和モダン寄りになります。
光沢感のあるものはラグジュアリーや洋風寄りになります。
そのため例えば、無垢床を採用される方で和モダンにしたいなら、オイル仕上げなしのものを選んでください。
オイル仕上げありにすると、光沢感が出てしまい、ラグジュアリーや洋風に寄ってしまいます。
また、変に偽物っぽい素材を使うと、一気に空間が安っぽくなってしまい、一気に室内が賃貸化します。
この点も注意して室内の素材選びをしてください。
視線が抜ける位置に窓を設置する
続いて『視線が抜ける位置に窓を設置する』ということについてです。
ここまでモダニズムがなんたるかからずっと掘り下げてきたわけですが、もっとシンプルで、かつ重要なものがあって、それが『視線が抜ける位置に窓を設置する』ということなのです。
なぜなら、窓の設置位置によって外の景色を室内にいながら楽しみつつ、開放感を得ることができるためです。
例えば私が今までメグリエを通じて紹介をしたお客さんの中には、家の隣に桜の木があったので、その景色を家の中にいても楽しめるように窓を設置している方もいました。
桜の木は自分たちの所有物ではなく市の所有物だったこともあって、管理や手入れをする必要もなかったので、お客さん側からしてみればノーリスク・ノーメンテナンスで桜の木を楽しむことができたわけです。
あと印象的だったのは、住宅密集地で家を建てたパターンです。
密集地だったのでそこまで景観はよくなかったのですが、空はきれいに見える立地でした。
ですので、下手に窓を設置して雑然とした住宅街の景色を家の中に取り入れるくらいなら、いっそのこと閉じてしまって空だけを切り取ってしまおうというのがこのパターンになります。
とてもすてきです。
このように考えて窓を設置することで、外の景色を室内にいながら楽しみつつ、開放感を得ることができるのです。
また、今紹介した2つはお金をかけずに外の景色を取り入れるというパターンになりますが、私の自宅のように庭をつくり込むことによって、その景色を室内に取り入れるという方法も存在します。
ただしこれには、それ相応の費用が必要になります。
私は自宅を苔庭にしたかったので、ある程度お金がかかること前提で計画をしていました。
ただ思っている以上にお金がかかってしまいました。
それ相応に覚悟があるなら別ですが、そうでないなら庭をつくり込まずとも取り入れられる景色はどこにあるのか、まずはそれを探してみてください。
そして、その部分を活かせるような設計をしてもらうように、自分の営業担当者や設計担当者に相談・依頼してください。
おしゃれな注文住宅を建てるポイント7選のまとめ
『おしゃれな注文住宅を建てるポイント7選』ということで、建物のデザインがなんたるかをお話してきました。
ポイントは
- モダニズムを意識する
- 装飾を無くす
- 黄金比もしくは白銀比を意識する
- 必要であれば装飾を加える
- 空間の主役となるいすを決める
- 色味は3色以下で素材感を意識する
- 視線が抜ける位置に窓を設置する
以上の7つになります。
ぜひとも参考にしてみてください。
そしてここまで本記事を読んでくださった方限定の告知です。
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こちら、かなりクオリティの高いものになっているので、ご活用いただければと思います。
また、私のつくったメグリエを活用いただければ、私と直接無料面談ができます。
- おしゃれな注文住宅を建てるならどのハウスメーカーが自分に合っているか知りたい
- そもそも何からはじめれば良いかわからない
そういった悩みをおもちの方は、ぜひともメグリエから無料面談の申し込みをしていただければと思います。