今回は『家を建てる時の注意点10選|元住宅営業マンがNG行動を解説』というテーマでお話をしていきます。
注文住宅の購入は本当に初めてのことの連続です。
シンプルに何から始めればいいのかわからないという人も多いかと思いますし、わからないからこそ間取りから考えるべきなのか、それとも土地の購入から考えるべきなのか迷うと思います。
あと、実際にいろいろ調べてみるとわかると思いますが、日本はとんでもない量のハウスメーカーがあります。
なんとなく聞き馴染みのあるハウスメーカーもあれば、そうでないハウスメーカーもあり、何が特徴で、どのハウスメーカーが自分たちに合っているのか、すぐに理解することも難しいかと思います。
そんな初めて尽くしの注文住宅ですが、実は明確にやらない方がいい注意点、NG行動というのがいくつか存在するのです。
今回は元住宅営業マンの私が、ハウスメーカーで家を建てる時の注意点を10個に絞って解説します。
本記事を見ていただければ、家づくりで失敗する可能性を大幅に減らせるはずです。
失敗や後悔なく、楽しく家づくりの打ち合わせを進めていきたい方は、ぜひとも最後までお読みください。
- 家を建てる時の注意点1:ハウスメーカー側に個人情報を渡さない
- 家を建てる時の注意点2:土地探しのために自分たちで不動産屋にアプローチしない
- 家を建てる時の注意点3:土地を比較しすぎない
- 家を建てる時の注意点4:最後まで多くのハウスメーカーを同時並行で検討しない
- 家を建てる時の注意点5:ハウスメーカー紹介のFP頼りで予算を決めない
- 家を建てる時の注意点6:間取りの細かい要望は伝えない
- 家を建てる時の注意点7:標準仕様があるという前提で考えない
- 家を建てる時の注意点8:初期仕様でも大丈夫だと思わない
- 家を建てる時の注意点9:家具選びを後回しにしない
- 家を建てる時の注意点10:無理な値引き交渉をしない
- 家を建てる時の注意点のまとめ
家を建てる時の注意点1:ハウスメーカー側に個人情報を渡さない
最初の家を建てる時の注意点は『ハウスメーカー側に個人情報を渡さない』ということです。
実は、この業界は誰が自分の担当者になるのかによって、でき上がる家のクオリティが大きく変わる業界なのです。
例えば、どんなに一流の食材を集めても、料理する人が下手だったらまずい料理にしかなりません。
一方で、一流の食材を使わなくてもきちんとした料理人が料理をすれば、ものすごくおいしい料理にしてくれるわけです。
家づくりもこれと全く同じです。
結局のところ、誰が担当者になるのかで、建物の性能面もデザイン面も、でき上がる家のクオリティが大きく変わってきます。
それにも関わらず、ハウスメーカー側に個人情報を渡すと、その時点で担当者が勝手に決まってしまうというのが、この業界全体のルールになるのです。
そして一度担当者がつくと、その担当を引き剥がすことが難しくなります。
なぜなら、この業界は個人営業成績の業界だからです。
これがどういうことかというと、そもそもハウスメーカーという企業は、戦後家がない時代に、住宅を大量に普及させるという目的でできた企業なのです。
ですので例えば、国際法上、日本の戦争状態が終結したのが1952年。
それから、1955年に大和ハウス、1960年に積水ハウス、1963年にパナソニックホームズが設立、1966年に大阪市に日本初の住宅展示場「ABCモダン住宅展」がオープン、1972年に旭化成ホームズが設立……といった感じで、戦後続々とハウスメーカーが誕生しました。
その結果として、新築住宅の着工件数は1963年頃から急激に上昇しました。
1964年の東京オリンピックに向けて環状7号線の開発や首都高速道路など様々な開発が進んだことにより、住宅がつくりやすい環境だったのです。
それも重なって、グラフが急激に伸びているのです。
こういった時代背景もあって、ハウスメーカーによって、とにかく家をつくること前提の文化が日本に誕生したわけですが、その時に併せて誕生したのが「個人評価制度」です。
当時は家が不足していたこともあり、人と同じ見た目の家でもよかったのです。
数さえ売れればよかったということです。
会社側も家を売った数が多い人ほど優秀としてきましたし、それを元に表彰制度をつくっていたりしたわけです。
ですので、その当時は誰が担当でもよかったのです。
担当者によって提案内容が変わるということなんてなかったわけです。
しかし今は違います。
住宅の量が増え、新築着工棟数が減っている中で、量よりも質が求められる時代になりました。
しかも、コロナによって在宅勤務が普及しました。
これによって、さらに質の高い提案が求められる時代になったのです。
イメージしてみてください。
今まではどの家族も毎朝9時に会社に出社して夜遅くに帰ってくるというサイクルを繰り返していました。
つまり、生活リズムがどの家庭もだいたい一緒であったため、どの家族も間取りの要望は似通っていたのです。
ただそれはコロナが流行る前の話で、今は在宅ワークが普通になったため、本当の意味で家族それぞれの生活スタイルが確立されてきたのです。
今は昔と違い、より質の高い提案が求められる時代になったということです。
また最近では、SNSに自宅の写真を載せる人も増えてきました。
それにより、SNSに掲載されるようなクオリティの高い家が、多くの人にとっての普通となりはじめたわけです。
ただ、あのようなクオリティの高い物件は、実は建築の歴史や文化、それに加えて昨今の流行りも取り入れていかなければ設計できないのです。
この辺りの話を詳しく説明すると話が大きく脱線するので今回は割愛しますが、ここで皆さんに覚えておいてもらいたいことがあります。
それは、SNSに掲載されているようなおしゃれな家は、ハウスメーカーが本来やってきた量産型住宅をつくることからかけ離れた真逆の家づくりなのです。
ですので、普通ではないのです。
普通ではない家をつくるためには、担当者のリテラシーが必要不可欠なのです。
そこをわからずに、「どこどこのハウスメーカーならSNS上でおしゃれな家の画像が多いし、このハウスメーカーで家を建てさえすればいい感じの家ができ上がるんだろうな。」と思っていると、痛い目を見ることになります。
事実私の公式LINEには、けっこうな確率で「担当者を変えたいんですけど、どうにかなりませんか?」という質問が来ます。
担当替えは、つまりはその営業担当者から契約できるお客さんを奪うということなので、営業マンも快くOKすることはありません。
自分の評価にダイレクトに直結するからです。
また、担当替えができたとしても、基本的に同じ支店内での担当替えになることがほとんどです。
なぜなら、営業マン個人の営業成績にならなくても、自分の支店の営業成績にさえなればいいからです。
他の支店に数字を持っていかれたくないのです。
ですので、一度担当が決まり、その後担当替えができたとしても同じ支店内での担当替えになるので、しっかりとした担当になる可能性は限りなく低いわけです。
住宅は個人が買う買い物の中で一番高額ですし、だからこそ「一生に一度の買い物」と言われたりもします。
それにも関わらず、運任せで担当が決まるのはおかしいです。
しかし、この業界はこれが普通なのです。
これを私は「担当ガチャ」と言っているのですが、この担当ガチャ制は特定のハウスメーカーだけであるものではなく、中堅・ローコスト系のハウスメーカーであろうが、誰もが聞いたことのある大手のハウスメーカーであろうが、同様に存在する業界全体としての制度なのです。
では、具体的にどういったアクションを取ったら担当者が勝手に決まってしまうのかというと、大きく分けて3つです。
- 住宅展示場に行く
- カタログなどの資料請求、展示場や実例見学会などの見学予約をする
- 勤めている会社などから法人系の紹介依頼を出す
これらのアクションを取った時点で、誰かしらの担当者がついてしまいます。
それぞれについて、もう少し具体的に説明をしていきます。
住宅展示場に行く
まずは住宅展示場に行くことに関してですが、住宅展示場に行った場合、案内係の営業マンからアンケートという名目の書類に「個人情報を記入してください。」と促されます。
そして、そのアンケートに個人情報を書いてしまったが最後、目の前にいるその案内係の人が自分の担当営業マンになるのです。
また、案内係がパートのお姉さんというケースもあります。
この場合は営業マンではなく、パートのお姉さんからアンケートを渡されることになるのですが、アンケートの記入を終えると、パートのお姉さんはお客さんに記入してもらったアンケートを預かり、展示場内の事務所に入っていきます。
すると、その展示場内の事務所の中では、まず今回のお客さんが以前に自分たちのハウスメーカーの展示場に来たことがある人なのか、それとも来たことがない人なのかを調べます。
もし新規のお客さんなのであれば、事務所で待機している営業マンの中で誰が接客をするのかを決めるといった流れになるのです。
一方で、以前に自分たちのハウスメーカーの展示場に来たことがある人だった場合は、適当に接客します。
たとえ違う都道府県、行ったことのない展示場であっても同様です。
それがなぜなのかというと、下手に全力で接客をしてそのお客さんと次回会う約束を取り付けてしまった場合、その営業マンは元々担当だった営業マンの見込み客を横取りしたことになり、社内で軋轢が発生するからです。
また、お客さんのためを思って接客をしたとしても、担当の営業マンが言っていることとその時接客した営業マンが言っていることとに違いがあった場合、それもまた軋轢を生じさせることになるわけです。
具体例を挙げると、例えばよくある話として、とある営業マンは「断熱なんてほどほどでいい。」という説明をする一方で、別の営業マンは「断熱はしっかりした方がいい。」と言う、というようなイメージです。
同じハウスメーカーの営業マンなのに言っていることが違っていたら「どっちが本当のことを言っているんだ?」という話になりますし、仮に元々の担当営業マンが間違ったことを言っていたとしたら、それもそれでその営業マンの印象を悪くすることにもなるわけです。
そうなると、結果としてお客さんを横取りしてしまう形になりかねないので、社内でトラブルにならないようにするためにも、すでに担当者のいるお客さんには適当に接客するのです。
私も昔、住宅営業マンだった時代に、お客さんのためを思って全力で接客をしていたら、後になってからそれが先輩社員の方が担当していたお客さんだったことがわかったということがありました。
それでとても怒られたのを覚えています。
このような感じで、展示場に行った場合、アンケートに個人情報を記入してしまった時点で担当者が決まってしまうのです。
そして、一度担当者がつくと、その担当者を外して他の人を担当にするということがほぼ不可能になります。
カタログの資料請求、展示場や実例見学会の見学予約をする
次に、カタログの資料請求、展示会や実例見学会の見学予約をすることについて説明します。
これらのアクションを取った際に担当になるのは、若手の営業マン、もしくはその時暇だった営業マンのどちらかです。
というのも業界の風習として、カタログなどの資料請求で得たお客さんの個人情報は、若手の営業マンの手元に渡ることがほとんどなのです。
これはどこの業界の営業職でも同じだと思うのですが、若手は泥臭く営業活動をすることこそが仕事というような風習があるからです。
また、実例見学会というのは、お客さんが建てた家を1日あるいは2日間借りて、その間に自分たちのハウスメーカーが建てた家を一般の方に見てもらうというイベントなのですが、このイベントは、どんなに暇な時間があったとしても案内係が誰もいない時間をつくってはいけないのです。
そのハウスメーカーで家を建てたお施主様から借りているわけなので、鍵を開けっぱなしにして誰もいない状態をつくってしまってはいけないからです。
そのため実例見学会をやる時は、終日その現場に誰かしらが待機していなければならないのです。
しかしそれができるのは、つまりは暇な営業マンということです。
忙しい営業マンは、とてもじゃないですがその現場に張り付くことはできません。
ですので、カタログの資料請求をする、展示場や実例見学会の見学予約をする、これら2つを行って担当になった住宅営業マンは、高確率で若手の営業マン、もしくはその時暇だった営業マンのどちらかになります。
勤めている会社などから法人系の紹介依頼を出す
最後に、勤めている会社などから法人系の紹介依頼を出すことについて説明します。
これまでの話を聞いた人の中には「自分の勤めている会社の福利厚生を使って法人経由で営業担当者を紹介してもらった方がいいんじゃないの?」「自分はそれなりの会社に勤めているし、きっと優遇してくれるんじゃないか?」と思う方も一定数いるかもしれません。
確かにそういう考え方になるのもわかりますし、世間一般的に個人営業よりも法人営業の方が格上といったイメージもあるかと思います。
ですので法人からの紹介であれば、それ相応にきちんとした人が担当になるのではないかと思われるかもしれませんが、住宅業界では逆なのです。
個人営業でバリバリやっている人の方が立場が強く、法人営業というのはどちらかというと、第一線でやっていくことが難しいような人たちが行く場所になっているのです。
もちろん中にはそうではないハウスメーカーもあるとは思いますが、多くのハウスメーカーがこれに該当します。
「そんなの嘘だ!」と思う気持ちもわかりますが、本当にそうで、私はいろいろな業界を見ているためわかるのですが、こんなにも個人営業の力が強い業界は、住宅業界くらいなのではないかと思っています。
ですので、自分の勤めている会社の福利厚生を使って法人経由で営業担当者の紹介をしてもらったからといって安心というわけではないのです。
また、話が一旦それますが、この話を聞いた人の中には「自分の勤めている会社経由で紹介をしてもらった方が割引も利くし、そっちの方がいいのでは?」と思われる方もいるかと思います。
確かに何も知らない人からすると、そう思ってしまうのも無理はありません。
ただ、実は全然お得ではないのです。
理由は2つあります。
- 法人提携割引は出来レース
- 勤めている会社に紹介料が入る仕組み
以上の2つになります。
それぞれ説明していきます。
法人提携割引は出来レース
まずは1つ目の、法人提携割引は出来レースだからということについてです。
福利厚生で自分の会社からハウスメーカーの紹介を受けると3%割引になる会社があるのですが、これはどこのハウスメーカーでもやっていることで、しかも一律で3%の値引きなのです。
しかしこの3%の値引きは、展示場に行っても同じように割り引かれるものなのです。
なんなら展示場に行った方の方が、より多くの値引きを得ているくらいです。
これがどういうことかというと、例えばハウスメーカーは、値引きの少ないところでも建物本体価格の最大5%、値引きが多いハウスメーカーですと建物本体価格の最大15%前後まで値引きをしてくれることがあるのです。
ここからもわかる通り、ハウスメーカーからしたら3%の値引きはもはや当たり前なのです。
特別でも何でもありません。
むしろこのことを知らずに「3%も値引きしてもらえるなんてラッキー!」と思ってしまうと、本当はもっと値引きをしてもらえたのにチャンスを逃したというような状況になってしまいます。
3%割引は特別でも何でもない、ただの出来レースだということを覚えておいてください。
勤めている会社に紹介料が入る仕組み
続いて、勤めている会社に紹介料が入る仕組みということについてです。
先ほどの説明で勘のいい方は気がついたかもしれませんが、実は福利厚生は名ばかりで、やっているのは値引きをエサとした紹介ビジネスなのです。
つまり「福利厚生で3%割引があります」と謳っている会社は、自分の勤めている会社の社員を紹介してハウスメーカーからお金をもらっているということです。
多くの人が「福利厚生を使って得している。」と思っていますが、実は本当の意味で得しているのは自分が勤めている会社なのです。
しかも先ほどもお伝えした通りで、ハウスメーカー内の法人担当窓口は、イマイチな人が配属されることが多いです。
ですので、賢い人ほど福利厚生の3%割引は使いません。
家を建てる時の注意点2:土地探しのために自分たちで不動産屋にアプローチしない
続いての家を建てる時の注意点が『土地探しのために自分たちで不動産屋にアプローチしない』ということです。
土地から購入して家づくりをする方の多くが、「建築地がないと話が進まないだろうから、まずは土地から購入するのがベストだろう。」と考えてしまいがちです。
ネットなどで土地を探して、自分たちで不動産屋に問い合わせをして動くようなことをしてしまいがちですが、その行動はあまりおすすめしません。
というのも、土地探しのために自分で不動産屋にアプローチをするということには、大きく分けて2つのリスクが存在するからです。
そして、そのリスクがかなり大きいのです。
では、そのリスクとは何かというと、
- 急いでハウスメーカーを選び、契約することになる
- 契約直前に不動産屋に足元を見られ土地の価格を釣り上げられる
以上の2つです。
それぞれ説明をします。
急いでハウスメーカーを選び、契約することになる
そもそも土地は購入する時に「買付証明書」という法的拘束力のない書類を不動産屋に提出します。
そして、その書類を出した先着順で、これから購入しようとしている土地を優先して検討する権利を得られる仕組みになっています。
もちろん法的拘束力のない書類なので、買付証明書を入れたからといって、急いで現金が必要になるわけではないですし、途中で「やっぱりこの土地の購入をやめた。」ということも可能です。
ですので、買付証明書とは、あくまでその土地を購入する際に優先順位を得るためのものと捉えておくといいでしょう。
しかしここで問題となるのは、業界に存在する2週間ルールです。
具体的には、買付証明書を出したら、基本的には2週間後に契約を行わなければならないというルールです。
例えば、1月1日に買付証明書を不動産屋に提出したら、2週間後の1月14日には契約をしなければならないということです。
ただし、1月14日が平日であったり、どうしても仕事の都合で予定が合わなかったりする場合は、多少の融通は利かせてもらえます。
その場合は地主さん次第ではありますが、要相談という感じです。
さらに、住宅ローンを組んで家を購入する場合、この2週間の間に、
- ハウスメーカー
- 大まかな間取り
- 仕様
- 金額
これらも決めなければなりません。
なぜなら、そうしなければ住宅ローンの審査がおりないからです。
土地と建物がセットでないと、銀行からお金を貸してもらえません。
その理由として、バブル期に「建物は後で決める」という建前で土地だけ先に住宅ローンで購入する人が続出したのです。
しかし、結局建物を建てず、土地の金額が上がると転売するという人ばかりだったので、以降銀行側は土地のみに対して住宅ローンを貸すことは無くなりました。
つまり、例えばいい土地を先に押さえるために土地にのみ住宅ローンを組み、後々建物のローンを組むということは、今の時代ではできません。
土地と建物がセットでなければならないのです。
このような背景があるため、土地の契約に合わせて、2週間の間に
- ハウスメーカー
- 大まかな間取り
- 仕様
- 金額
これらを決めなければなりません。
最初に土地の購入から入ってしまい、いい土地を見つけてしまうと、思っている以上にトントン拍子で話が進んでいくことになります。
なかなかハードです。
これが1つ目のリスクです。
個人情報を見て足元を見られるケースがある
続いて2つ目のリスクである、個人情報を見て足元を見られるケースがあるということについて説明します。
これは東京や都心部などで時々あるケースなのですが、土地の契約直前で「やっぱり土地を売りたくない。だけどあと200万円追加してくれたら売る。」と地主さんが急に言い始めるケースがあるのです。
事例としては少ないかもしれませんが、私も住宅営業マン時代にこの手の経験をしたことがありますし、今でも時々お客さんから「急に土地の値段を釣り上げられて困っている。」という相談が来ます。
とてもよくあることではないのですが、可能性としては十分にあり得ることなのです。
契約するまでは、圧倒的に地主さんの方が立場が強いです。
こういったトラブルに巻き込まれないようにするためには、不動産屋に個人情報を開示しないということが重要です。
というのも、土地という大きな買い物をする都合上、不動産屋には勤務先や年収、自己資金といった情報を開示する必要が出てきます。
当然それらの情報を見れば不動産屋も「あ、この人まだ余力があるな。」と思ってしまうわけです。
そう思われてしまうと、足元を見られるかもしれません。
そのため、不動産屋にはなるべく自分の個人情報を開示しないようにした方が安全ですし、念には念を入れるのであれば、最初から間にハウスメーカーに入ってもらった方がいいのです。
ハウスメーカーを間に入れても手数料を取られることはありません。
ハウスメーカーは建物で利益を得ている企業なので、ボランティアで土地探しから土地購入までを手伝ってくれることがあります。
むしろ、最初にハウスメーカーを間に入れないことの方が損です。
もちろん、すべての不動産屋が悪どいことをしているわけではありませんが、そのような業者もわりといるということを覚えておいていただければと思います。
これが2つ目のリスクになります。
家を建てる時の注意点3:土地を比較しすぎない
続いての家を建てる時の注意点は『土地を比較しすぎない』ということです。
土地は比較しすぎると、比較基準がどんどん高くなっていきます。
例えば、少し土地の形が悪いAという土地があったとします。
それだと気に入らないので、土地の形がきれいなところを探すとします。
しかし、やはりいい土地が見つからず、Aの土地で決めようと思ったら、そこの土地は売れてしまって買おうにも買えない状況になってしまったということは本当によくあります。
すると今度は、今はなきAの土地が比較基準になるので、それと同程度の土地、あるいはそれ以上の土地を探そうとしてしまいます。
この状態に陥ってしまうと、いっこうにチャンスをつかめなくなります。
誰もが陥りがちなパターンでもあるので、これから土地を購入して家を建てるという方はご注意ください。
あと、これは個人的な感覚にはなるのですが、土地を決める時は結婚する時と同じような感覚がある気がしています。
結婚する時はなんとなく「あ、この人自分と結婚するんだろうな。」という感覚があります。
土地も同じで、ビビッとくるものがあるのです。
ですので、土地を選ぶ時は自分の勘を頼りにするというのはけっこうありかなと私は思っています。
ただしこの話をすると「そんな感覚で土地選びなんかできない。」と思われる方も一定数いるのではないかと思います。
ですので、1つポイントを紹介します。
それが古地図を確認するということです。
古地図とは、国土交通省のウェブサイトなどで確認できる地図です。
古地図と現在の地図を比較することで、地名の変化や過去にその土地に何があったのかを確認できるのです。
特に日本は、過去の災害が地名になっている場所がわりとあります。
具体的にどこかと言うと角が立つので、ここでは具体例を出すのは控えますが、その地名も戦後のニュータウン開発などで変わってしまったりしています。
例えば、地滑りや土砂崩れがあった場所を意味する「欠き(かき)」「崩(くえ)」は「柿」「久江」といった漢字が割り当てられていることがあります。
また、「大貫、抜」「鑓(やり)」「梅(うめ=埋め)」などがつく地名は、鉄砲水が起きる場所を指すとも言われています。
そういったこともあって、ハザードマップや液状化のリスクを確認するのはもちろんですが、古地図も確認するようにしてください。
すると、過去に災害があった場所なのかどうか、川や池があった場所なのかどうかなどがわかります。
家を建てる時の注意点4:最後まで多くのハウスメーカーを同時並行で検討しない
続いての家を建てる時の注意点が『最後まで多くのハウスメーカーを同時並行で検討しない』ということです。
意外かもしれませんが、ハウスメーカーを検討する数は少なければ少ないほどいいです。
たくさんのハウスメーカーを検討するのはNGなのです。
なぜなら、契約までに浅い打ち合わせしかできなくなるからです。
これがどういうことかというと、例えばハウスメーカーの打ち合わせは基本的に3時間くらいかかります。
つまり、検討しているハウスメーカーの数が多ければ多い分だけ、打ち合わせに要する時間が増えるということになります。
そしてこれの何がやばいのかというと、期間が経過するごとにハウスメーカー側と自分たちの感覚に乖離が出てくるということなのです。
もしハウスメーカーを3社で検討していたら、1回の打ち合わせで最低でも3時間かかるわけなので、1周するのに9時間使うことになります。
しかし、ハウスメーカー1社側からすると3時間しか打ち合わせに使っていないのです。
この時点ですでにハウスメーカーとお客さんの間では6時間の感覚の乖離が発生していることになります。
当然打ち合わせの2周目になれば、お客さん側は18時間使っているにも関わらず、ハウスメーカー側は6時間しか使っていないということになるので、その差はなんと12時間になります。
このような感じで、比較しているハウスメーカーが多ければ多いほど、自分たちはものすごく打ち合わせをした気になってしまうのですが、実際は全然打ち合わせが進んでいないですし、ハウスメーカー側からしてもまだまだ打ち合わせをし足りないという状況になってしまうのです。
しかしお客さん側からすると、たくさん時間を使ったのでさすがにきついですし、もう契約して一社でゆっくり検討したい、そういう気持ちになってしまうわけです。
ただ、そういう感じで契約をしてしまうと、大抵契約後に金額が大幅に増加してしまう、あとは見積もりに入っていたと思っていたのに実際は入っていなかったなど、そういった「言った言わない」になりかねないわけです。
ただその逆で、最初から検討するハウスメーカーを絞って浅くではなく深い打ち合わせをして、打ち合わせの精度を上げることができれば、契約後に起こる「こんなはずじゃなかった…。」というのを防げたり、契約後の金額の増加を防げたりできるのです。
そういう意味でも、ハウスメーカーを検討する時は広くではなく深く検討することが成功のポイントになります。
ただ、この話も人によっては「最初から絞るなんてできない。」「どのハウスメーカーがどんな特徴があるのかわからないから、たくさん見たいんだけど。」と思われる方もいると思います。
確かにその気持ちも痛いほどわかります。
ですので、最初の1回目は間口を広げて4社、5社から話を聞いてみるのもいいと思います。
しかし、2回目以降の打ち合わせからは早々に3社、2社くらいに絞るように意識してもらえればいいかなと思います。
1つ参考にしてみてください。
家を建てる時の注意点5:ハウスメーカー紹介のFP頼りで予算を決めない
続いての家を建てる時の注意点が『ハウスメーカー紹介のFP頼りで予算を決めない』ということです。
予算が決まっていない時に、よくハウスメーカーの営業マンから「第3者のファイナンシャルプランナー(FP)にお金の健康診断をしてもらいませんか?」と言われて、自分たちはどのくらいの予算が妥当なのかを診断してもらう機会があったりします。
ただ、これ基本的にはやらない方がいいのです。
なぜなら、ハウスメーカーの営業マンと裏で繋がっているからです。
実はハウスメーカーが紹介するファイナンシャルプランナーは、元そのハウスメーカー出身の人だったりするわけです。
もう少し具体的にお伝えすると、ファイナンシャルプランナーとして紹介される人は、だいたいがソニー生命の営業マンか、プレデンシャル生命の営業マンだったりするのです。
しかしこれらの生命保険会社のファイナンシャルプランナーは、ほぼほぼ9割型そのハウスメーカー出身の営業マンです。
ですのでお客さんがそのファイナンシャルプランナーに言ったことは住宅営業マンに筒抜けになりますし、基本的には住宅を購入させる方向でしか話をしません。
つまり、完全な第3者としての意見ではないのです。
しかも人によっては、意味のない高額な生命保険の加入を進めてくる人もいるくらいなので、完全に信用しきるとそれはそれで痛い目を見る可能性もあります。
事実、銀行員時代にファイナンシャルプランナーにとんでもない保険に加入させられているお客さんを私は何件も見てきています。
また最近では、どのファイナンシャルプランナーも話す王道の話というのがあります。
それが「住宅ローンの借入れ年数を35年から40年、50年に延ばして、毎月の返済額を減らし、その減らした分の金額をNISAや投資に回して資産運用をしましょう。それで住宅ローンを返済しましょう。」というトークです。
ただこの辺りの話は、日頃から資産運用に対してアンテナを高くしている人だったら誰でも思いつく話です。
それなりに意識の高い人からしたら、別に参考にも何にもならないわけです。
ですので、一応話を聞いてみるというのはありかもしれませんが、ハウスメーカー紹介のファイナンシャルプランナー頼りで予算を決めるということは絶対にしないでください。
もしどうしても本当に第3者としての意見を聞いて予算を決めたいのであれば、ハウスメーカーと全く関係のない保険の窓口や、あとはどこにも属さず住宅のファイナンシャルプランナーを専門にやっている人などに相談することをおすすめします。
家を建てる時の注意点6:間取りの細かい要望は伝えない
続いての家を建てる時の注意点が『間取りの細かい要望は伝えない』ということです。
よく間取りの要望を伝える時、LDKは20畳、和室は4畳半、子ども部屋は6畳で、主寝室もそれと同じくらいかできれば8畳は欲しい、というような要望を伝えがちですが、それは実はやってはいけない行動なのです。
なぜなら、パズル合わせのような間取りになってしまい、最終的に出てくる間取りがどのハウスメーカーも同じような間取りになる可能性が非常に高いからです。
それですと、ハウスメーカー迷子になりやすいのです。
純粋にそのハウスメーカー、その担当者の提案力を比較するのであれば、
- 自分たちの生活スタイル
- どうしてもないと困るもの
- 今回の間取りのコンセプト
この3つのみを伝えるようにしてください。
その理由をそれぞれ説明していきます。
自分たちの生活スタイル
まずは、自分たちの生活スタイルについてです。
自分たちが日々普通にこなしている生活リズムは、思っている以上に普通でないことが多いのです。
例えば、私の生活リズムを例に挙げると、朝4時から5時の間に起床、5時から6時までで5kmのランニング、雨の日は庭で筋トレ、6時から8時まで身なりを整えつつ朝食を作って食べる。
朝食は毎日、納豆とキムチと白米とプロテイン。
そして、8時から17時までは仕事で、昼食は基本食べず、おやつに鶏胸肉と生野菜を食べる。
17時から家族のために夕食を作って、18時から19時で夕食を済ませる。
19時からは子どもをお風呂に入れて、20時から23時まで仕事。
これが私の毎日の生活リズムになります。
私にとってはこれが普通ですが、皆さんからすると普通ではないと思います。
私の生活のリズムは例として極端かもしれませんが、要はこのような感じで、自分たちが日々普通にこなしている生活リズムは、思っている以上に普通でないことが多いのです。
また、過去にどんな場所に住んできたのか、そしてそこではどんな生活をしてきたのか、将来どのような生活をしていきたいのかも人によって全然違います。
ですので、そういった自分たちの生活にフォーカスをして、その部分をしっかりと伝えることができれば、本当の意味での自分たち家族だけの注文住宅をつくれるわけです。
どうしてもないと困るもの
次にどうしてもないと困るものについてですが、これは言われないと家族以外の人がわからないもののことで、文字通り自分たちにとってはそれがないと死んでしまうくらいのもののことです。
例えば、室内で犬や猫を飼っている、在宅ワークがメインなので書斎が欲しい、あとは自営業の方であれば来客用のスペースが欲しいなどです。
こういったことは状況を言わなければ相手にはわからないことですし、それらのための配慮がないと注文住宅をわざわざ建てる意味もなくなるわけです。
ですので、言われないと家族以外の人がわからないことで、なおかつ自分たちにとってはそれがないと死んでしまうくらいのもの、これをきちんと伝えるようにしてください。
ポイントは、「あったらいいな」ではなく「ないと死ぬレベルのもの」です。
この点はご注意ください。
今回の間取りのコンセプト
そして最後に今回の間取りのコンセプトについてです。
これはできればでいいのですが、例えば、LDKの広い家にしたい、ビルトインガレージのある家にしたい、あとは中庭のある家にしたいなど、そういった抽象的でざっくりとした感じで、自分たちがどんな家を建てたいのかを一言でまとめるといった感じです。
一言でまとめて自分たちの家のコンセプトを決めることで、プランを比較する際に立ち返るポイントにもなるのです。
例えばですが、ハウスメーカー3社を同時に比較しているとします。
その時にコンセプトを最初に決めておけば、自分たちは当初何を重要視していたんだっけ?という振り返りがしやすくなるわけです。
特にハウスメーカー迷子になっている時は、何がなんだかわからず、頭の中がぐちゃぐちゃになっていることが大半なので、こういった振り返るポイントをつくっておくのは非常に有効な手段でもあるのです。
ただ一言でまとめると言ってもけっこう難しかったりもするので、今回の間取りのコンセプトについては、できるのであればトライしてつくってもらうくらいのレベル感で大丈夫です。
ということで、
- 自分たちの生活スタイル
- どうしてもないと困るもの
- 今回の間取りのコンセプト
これらを伝えてあとは担当者に丸投げするだけです。
そうすることで、純粋にそのハウスメーカー、その担当者の提案力を知ることが可能になるので、ぜひとも試してみてください。
間取りづくりをする際は、間違っても各論的な細かい要望を伝えないようにしてください。
家を建てる時の注意点7:標準仕様があるという前提で考えない
続いての家を建てる時の注意点が『標準仕様があるという前提で考えない』ということです。
多くの方が注文住宅には標準仕様とオプション仕様があると勝手に思い込んでしまっているのですが、注文住宅には標準仕様というものは存在しません。
なぜなら、何でもありが注文住宅だからです。
標準仕様とオプション仕様があるのであれば、それは規格住宅運用ということになります。
この辺の感覚がないと「なんですぐに見積もりが出てこないんだ。」「契約後に金額が増額するのが怖い。」そういうことを思ってしまい疑心暗鬼になってしまうのです。
ですので、この辺りについて詳しく説明をしていきます。
まず、先ほどもお伝えした通りで、注文住宅の本質は何でもありです。
そのため、何も決まっていないところから1つずつ何を入れて家づくりをするのか、それを決めていくのが本来の注文住宅の姿なのです。
ただこれは、自分たちの理想の家が建てられるというメリットがある反面、提案内容が担当者のリテラシーに左右される、見積もりが出てくるスピードが遅いといったデメリットも出てくるわけです。
ですので、ハウスメーカーによっては初期仕様というのを決めていて、どんな担当者であってもそのハウスメーカーらしさが出せるように、そして他者よりも見積もりを出すスピードが早くなるように仕組み化をしているハウスメーカーもあるわけです。
具体的には住友林業やヘーベルハウスなどは初期仕様というのがあるハウスメーカーで、この2社は他のハウスメーカーと比較しても見積もりを出すスピードが早いという特徴があります。
ただし、あくまで初期仕様で見積もりを出すので、担当者によっては契約後に金額が増額するリスクが高いハウスメーカーでもあるのです。
一方で、積水ハウスは初期仕様というのが一切ありません。
ですので、1つ1つ見積もりを取っていく都合上、見積もりが出てくるスピードがものすごく遅いです。
また、初期仕様が決まっていないということから、担当者によって提案されるものが大きく異なるという特徴もあります。
そのため、積水ハウスなのに積水ハウスっぽくない建物というのが全国に存在しているのです。
このことから積水ハウスは、住友林業やヘーベルハウスとは違い、地域の担当者が積水ハウスというブランドをつくっていると言い換えてもいいのかもしれません。
とにかく、ハウスメーカーによって初期仕様のあるなしなど、若干の方針が違えど、何も決まっていないというところから1つずつ何を入れて家づくりをするのか、それを決めていくのが本来の注文住宅の姿なのです。
ただ一方で、標準仕様とオプション仕様といったように明確な括りが存在するハウスメーカーや商品もあります。
それが、中堅ローコスト系のハウスメーカーと、大手ハウスメーカーの規格住宅になります。
中堅ローコスト系のハウスメーカーは、大手のハウスメーカーと比較して価格が安いです。
では、どのようにして価格を抑えているのかというと、専門部署を抱えないようにしているため価格が安くなっているのです。
具体的には、営業マンが接客して、営業マンが間取りを書いて、営業マンが契約後の打ち合わせをして、営業マンが家を建てた後のアフターフォローまでやるといった感じです。
こうすることで、打ち合わせにかかる時間とそこにかかる人件費を削り、コストを抑えているのです。
また、専門部署を抱えずに営業マンが契約後の打ち合わせを行うということは、営業マンでも打ち合わせをしやすい仕組みを整えなければいけないということです。
そのための枠組みとして、中堅ローコスト系のハウスメーカーでは標準仕様とオプション仕様が明確に決まっているといった感じです。
また、この仕組みと非常に似ている仕組みが大手ハウスメーカーにもあり、それが先ほどちらっとワードで出てきた規格住宅です。
規格住宅というのは、大枠の間取りと選べる仕様が決まっていて、多少そこから選んでいじれるという商品です。
積水ハウスには規格住宅はないので除外しますが、それ以外の大手ハウスメーカーには、例えば住友林業は「Forest Selection BF」、
ダイワハウスは「スマートセレクション」、
ヘーベルハウスは「my DESSIN」、
ミサワホームは「SMART STYLE」、
パナソニックホームズは「フォルティナ セレクトプレミアム」、
三井ホームは「MITSUI HOME SELECT」、
セキスイハイムは「スマートパワーステーションfxアーバン」、
トヨタホームは「SINCE LQ」といった感じで、
各大手ハウスメーカーそれぞれに規格住宅の商品が存在しています。
そしてこれらの商品には明確に標準仕様とオプション仕様が決まっているといった感じです。
ですので、商品やハウスメーカーによって標準仕様があったりなかったりするので、標準仕様があるという前提でいろいろ考えてしまうと、後々になって頭が混乱することになるので、ご注意ください。
家を建てる時の注意点8:初期仕様でも大丈夫だと思わない
続いての家を建てる時の注意点が『初期仕様でも大丈夫だと思わない』ということです。
この業界は1999年から2022年4月までの約22年間、ほとんど住宅の断熱性能に関して進歩がなかったのです。
ですので、当然現場の住宅営業マンも断熱に関して無関心で、今の今までずっときているわけなのですが、その影響で「初期仕様でも十分です。」「断熱性能はほどほどでも問題ありません。」など気合いと根性と勘による説明をしてくる住宅営業マンがかなり多い印象です。
ここで皆さんに覚えといてもらいたいのが、大手のハウスメーカーの家というのは強化する前提の家だということです。
真っ当な今の時代にあった家を建てたいのなら、きちんと断熱材を強化して、その後に続く気密、換気、空調に関してもきちんと適切に強化していかなければなりません。
それこそ強化せずに初期仕様のまま家を建ててしまうと、高額な金額を支払ったにも関わらず、約22年前のスペックのガラケーのような性能の家を建てることになるのです。
担当の住宅営業マンがもし「初期仕様でも大丈夫です。」「初期仕様でも十分です。」「断熱性能はほどほどでも問題ありません。」などと言ってきたら、きちんとその根拠を聞くようにしてください。
家を建てる時の注意点9:家具選びを後回しにしない
続いての家を建てる時の注意点が『家具選びを後回しにしない』ということです。
ハウスメーカーで契約をすると、インテリアの打ち合わせは最後の最後に行うのです。
これはものすごく変な話で、例えば世界的に有名な建築家であるミース・ファン・デル・ローエやル・コルビュジエは、建物に合わせて家具をつくってきました。
だからこそ、その空間と一体となった家具をつくることができたのです。
具体的にお伝えをすると、近代建築の三大巨匠の1人とよばれるル・コルビュジエは、サヴォア邸という建物に合わせてLC1やLC2という椅子をつくっていましたし、
同じく近代建築の三大巨匠の1人のミース・ファン・デル・ローエは、バルセロナ万博ドイツ館に合わせてバルセロナチェアというのをつくっています。
ここからもわかる通り、本来の建築というのは、建物に合わせて家具をつくり込むまでが建築であり、それゆえに一体感のある空間をつくり上げることができていたわけです。
しかし、そのようなことをやってしまうと金額も高くなってしまいます。
さらに、家具の作成期間も相当長くなってしまうことから合理的ではないのです。
だからこそ、世界初の家具デザイナーであるマルセル・ブロイヤーを筆頭に、家具デザイナーという人たちがどんどん世の中に誕生し、先行して世の中にデザイン性のいい家具を量産していくことになるのです。
そして、家具から逆算することで空間と家具の一体化をしようとしたのです。
建物に合わせて家具をつくるのも、家具に合わせて建物をつくるのも、アプローチの仕方は逆でもやっていることは同じなのです。
ですので、家具から家づくりを始めた方がクオリティの高い建物をつくれるのです。
そういったこともあり、家具に関してはなるべく早い段階から何を入れるのか、また何を入れたいのかを決めておくことをおすすめします。
家を建てる時の注意点10:無理な値引き交渉をしない
最後の家を建てる時の注意点が『無理な値引き交渉をしない』ということです。
ハウスメーカーには値引きという文化があります。
ネット上でもこの手の話はよく目にしますし、そういうのを見ると自分たちが家を建てるとなった時も、できればハウスメーカー側から大幅な値引きをしてもらって、少しでも安く、そしていい家を建てたいと思ってしまうと思います。
そして、ハウスメーカー側から値引きを勝ち取るために「相見積もりを取って……」などと考える気持ちもわかるのですが、相見積もりなんてほぼ意味がないですし、値引きの交渉をしたらその分だけ自分の首を絞めることになるのです。
ですので、個人的には無理な値引きの要求はあまりおすすめしていません。
これがどういうことかというと、まずハウスメーカーはそれぞれの会社で値引きをしてもいい割合というのが決まっているのです。
Aというハウスメーカーは値引きの上限が10%までで、Bというハウスメーカーは値引きの上限が4%までというような感じです。
ですので、その上限を超えて値引きをするのは基本的には無理なのです。
しかも今は、ネットで値引きの情報が拡散されるようにもなってきているので、ハウスメーカー側も最初から駆け引きなしで上限まで値引きをしてしまうという状況になってきています。
そういった状況でもあるので、相見積もりをとって「他社はこのくらい値引きをしてるんだから、あなたのハウスメーカーも同じぐらい値引きをしてよ。」という交渉は通じないのです。
ただ、何事にも例外は存在します。
ゴリゴリと値引きの要求をすれば、規定された上限を超えて値引きをしてもらうことは可能は可能です。
ただ、どのようにしてその値引きの金額を捻出しているのかというと、関連業者、つまりは工事を委託している工務店だったり、水道業者だったりにお願いをして、利益を削ってもらっているのです。
そしてその分を値引きという形にしているのです。
これがどれだけやばいことなのかわかりますか?
例えば、皆さんは今お勤めの会社から毎月30万円の給料をもらって仕事をしているとします。
しかし会社の命令で「今月の給料は10万円です。でも30万円の給料を支払っていた時と同程度か、それ以上のクオリティの仕事をしてください。」と言われたらどうですか?
「ふざけんな!」となりますよね。
要はそういうことで、関係業者も仕事する気がなくなるのです。
そういう状況をつくったのは自分たちが過度に値引きを要求したからにも関わらず、「工事は丁寧にやれ。」「特別に対応してくれ。」など、そのようなことを言っても対応してくれないのです。
ジュースやお菓子など、そのような差し入れをしたところで無意味なのです。
むしろ「うちは一切値引きの要求をしていないのだから、その分丁寧に施工してもらわないとただじゃおかないからね。」とハウスメーカーに言って圧をかけた方が間違いなく建物のクオリティは上がります。
ですので、無理な値引き交渉をするということはしないでください。
やるならほどほどにしましょう。
家を建てる時の注意点のまとめ
今回は『家を建てる時の注意点10選』というテーマでお話をしてきました。
まとめると、
- ハウスメーカー側に個人情報を渡さない
- 土地探しのために自分たちで不動産屋にアプローチしない
- 土地を比較しすぎない
- 最後まで多くのハウスメーカーを同時並行で検討しない
- ハウスメーカー紹介のFP頼りで予算を決めない
- 間取りの細かい要望は伝えない
- 標準仕様があるという前提で考えない
- 初期仕様でも大丈夫だと思わない
- 家具選びを後回しにしない
- 無理な値引き交渉をしない
以上の10個になります。
是非とも参考にしてみてください。
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