この記事はメグリエ運営事務局によって作成しました。
注文住宅を検討している方の多くが「最終的にどのくらいの費用がかかる?」「思ったよりも予算がオーバーしてしまわないだろうか?」という不安を抱えています。実際に本体工事費だけではなく付帯工事や諸費用まで含めると、想定外の出費が発生しやすいことも事実です。
そこで今回は、注文住宅の費用内訳と予算別の特徴、さらに費用を抑えるための具体的なポイントを解説します。地盤改良費や解体工事費、住宅ローンなどの見落としがちな項目にもしっかり目を向けながら、将来にわたって無理のない資金計画を立てるコツを紹介するので、ぜひ最後までお読みください。
注文住宅の費用の内訳

注文住宅の費用は大きく分けると、次の3つに分類されます。
それぞれの性質を理解することで、合計額を明確にイメージできるようになります。また、見積もりを依頼する際にも「どの費用が本体工事に含まれ、どの費用が別途発生するのか」を正確に把握しておくことが大切です。まずは、注文住宅の費用の内訳を解説します。
本体工事費
本体工事費は、建物そのものを建築するための費用です。基礎や柱、梁、屋根など、いわゆる家の「骨組み」に該当する部分が含まれます。
使用する資材や工法、プランのグレード、さらには坪単価の考え方によって金額の幅が大きく変わるため、複数の工務店やハウスメーカーから見積もりを取る際に最も注目したい項目です。建物のデザインや設備仕様を高めるほど、本体工事費は上昇します。
同じように見える構造でも、メーカーごとに組み立て方や資材の品質、耐震・断熱性能のグレードは異なります。見た目や価格だけで判断するのではなく、標準仕様とオプションの範囲を細かく確認して比較することが重要です。また、設計の自由度が高い分、こだわりを増やせばそれだけ工事費が嵩むため、希望の優先順位を明確にして打ち合わせを進めると良いでしょう。
付帯工事費
付帯工事費は、地盤調査や地盤改良費用をはじめ、建物以外の工事にかかる費用を指します。たとえば、古家が残っている場合の解体工事や、土地を平らにする造成工事、外構工事などが挙げられます。本体工事費に比べると項目が多岐にわたるため、漏れやすいことが付帯工事費の特徴です。
特に地盤改良費用は、実際に地盤調査を行わなければ必要な工事の規模がわかりません。軟弱地盤が判明した場合、数十万円から数百万円まで追加費用が発生する可能性があります。
また、外構工事ではフェンスや門柱、植栽、駐車スペースのコンクリート打設など、希望を詰め込むと金額が膨らみやすい傾向にあります。本体工事費だけを見て予算を組んでしまうと、後から想定外の出費に驚くケースがよくあるため注意が必要です。
諸費用
諸費用は、住宅ローンの保証料や印紙税といった税金関連、火災保険や登記手数料、銀行手数料など、多岐にわたる費用を含む総称です。これらはローンに組み込みにくい現金支払いが多いのが特徴で、意外とまとまった金額が必要になります。諸費用は総額の1割程度を見込むべきとよくいわれるのもこのためです。
具体的には、住宅ローンの保証料が数十万円、火災保険・地震保険で数十万円、登記関連で十数万円、印紙税や銀行手数料も含めるとトータルで100万円以上に達することも珍しくありません。住みはじめてから慌てないように、項目ごとにいくら必要になるのかを事前に調べ、資金計画に組み込むことが大切です。
予算別に見る注文住宅の特徴

注文住宅にかける予算は人それぞれですが、建物のみの価格で見ると、大まかに1,000万円台、2,000万〜3,000万円台、4,000万円以上の3つのレンジに分けられます。どの予算帯を狙うかで、建物の規模や設備のグレード、こだわり度合いが変わってきます。ここでは、注文住宅の特徴を予算別に解説します。
1,000万円台の注文住宅:ローコスト
1,000万円台で建てられるローコスト住宅は、建材や設備をシンプルにし、基本性能をある程度確保しながらもコストを削減する方向に特化した住まいです。無駄なオプションを抑えつつ、延床面積を小さめに設計することで予算を縮小しやすくなります。
ただし、オプションを最小限に絞ると設備やデザインの自由度が低くなるため、建物完成後に「やっぱりもう少しこだわりたかった」と後悔するケースもあります。ローコストでも納得のいく家にするには、打ち合わせ前に「これは絶対外せない」と思う優先順位を明確にし、シンプルかつ満足度の高いプランを詰めるのが理想です。
2,000〜3,000万円台の注文住宅:標準的
2,000〜3,000万円台の住宅は、一般的なハウスメーカーや工務店で最も選ばれやすい価格帯です。ある程度グレードの高い設備を選びながら、耐震性や断熱性をしっかり確保できます。耐震等級や断熱性能も、ハウスメーカーによっては標準仕様で高水準のものを盛り込んでくれる場合が多いでしょう。
また、この価格帯は土地購入費や外構工事費とも組み合わせやすく、資金計画上の融通が利きやすいことも特徴です。もし予算が少し超過してしまいそうであれば、オプションの優先順位を考え直しながら減額調整もしやすいはずです。
4,000万円以上の注文住宅:こだわり
4,000万円以上になると、高級感のある設備やデザインに対応できる予算感になります。吹き抜けやスキップフロアなど、個性的な間取りを取り入れる余裕が生まれ、外観や内装の素材にもより強いこだわりを反映させやすくなります。
また、ハイグレードなシステムキッチンやオーダー家具、大きな窓のあるリビングなど、自由度の高い家づくりが可能です。その分、設計や施工に時間がかかったり、予算が膨らみがちだったりするリスクもあります。思い描く理想を現実にするためにも、打ち合わせや設計段階での綿密なコミュニケーションが欠かせません。
注文住宅の費用を抑えるための7つのポイント

注文住宅は本体・付帯・諸費用を含めると、予想以上の金額になることがあります。とはいえ、工夫次第ではコストを抑えつつ満足度の高い家を建てることも可能です。ここでは、実践的な費用を抑えるためのポイントを7つ解説します。
- 複数社の見積もりを比較する
- 標準仕様とオプションを整理する
- 補助金や減税制度を活用する
- つなぎ融資や分割融資を検討する
- 古家解体や地盤改良も相見積もりを取る
- 不必要な保険や保証を見直す
- こだわりポイントを限定して間取りをシンプルにする
複数社の見積もりを比較する
同じプランでも、ハウスメーカーや工務店によって提示される金額は異なります。本体工事費だけではなく、付帯工事費を含めた総額で比較することが重要です。「一式」という表記だけで済まされている項目は曖昧になりがちなため、詳細内訳をしっかり確認しましょう。
見積書の中には工事項目が細かく分類されているものもあれば、大まかにまとめられているものもあります。できるだけ詳細な項目ごとの金額がわかる見積書を求め「〇〇工事一式」といった表記についても具体的な内容を質問すると良いでしょう。
複数社の見積もりを比較することで、各社の強みや価格設定の違いが見えてきます。同じ工事内容でも会社によって大きく価格が異なる場合は、その理由を確認することで適正価格の感覚が養われます。
割高な項目を洗い出し、別の工務店と打ち合わせするときの交渉材料にすることも一つの方法です。ただし、極端な値引き交渉をすると品質面でのリスクが生じるため、バランス感覚も大切です。また、見積もりを取る際は基本的な条件をできるだけ揃えて依頼すると、より正確な比較ができます。
標準仕様とオプションを整理する
建物の価格には、標準仕様として含まれる工事と、別途費用が発生するオプション工事があります。たとえば、キッチンや洗面台、床材といった設備でグレードアップをしすぎると、合計額が膨らみやすい傾向にあります。これらは、あれもこれもと付け足してしまう前に「本当に必要なのか」を検討しながら選択すると良いでしょう。
特に住宅設備は見た目の豪華さに惹かれてグレードアップしがちですが、標準仕様でも十分な機能を持っているケースが多いです。オプションを検討する際は「この機能に本当に価値があるか」「日常生活でどれだけ使うか」という視点で判断しましょう。
また、標準仕様の範囲を明確に把握することで、オプション料金を必要以上に払わず済む可能性もあります。たとえば、一部のハウスメーカーでは断熱等級4相当が標準仕様になっていますが、別のハウスメーカーでは追加料金になるケースもあります。
優先したい設備をリストアップし、必須なものと後回しでも良いものを分けることで、コストの過剰な上昇を防げるはずです。
補助金や減税制度を活用する
住宅取得には、国や自治体が用意しているさまざまな補助金や減税制度があるため、有効活用しましょう。
有名なものには、住宅ローン減税や、耐震・省エネ性能に関連した補助金が挙げられます。また、自治体独自の支援策やZEH補助金など、地域ごとに特色ある制度も存在します。これらを活用することで数百万円規模の節約が可能になる場合もあるため、積極的に情報収集をしましょう。
こうした制度をフルに活用することで、結果的に総支払額を大幅に抑えることができます。ただし、利用条件や申請手順が複雑な場合も多いため、早めに情報を集めて要件を満たすように計画を進めましょう。補助金によっては申請時期が限られていたり、予算に上限があったりするため、タイミングを逃さないよう注意が必要です。
また、ZEHなどの省エネ住宅の補助金を受けるためには、設計段階から条件を満たす仕様にしておく必要があります。住宅会社の担当者に任せきりにせず、自分でも情報を集め、積極的に制度活用の相談をすると良いでしょう。国の制度だけではなく、市町村レベルの独自補助金も併用できる場合があるため、地元自治体のホームページもチェックしておくことをおすすめします。
つなぎ融資や分割融資を検討する
注文住宅は、契約から完成・引き渡しまでの期間が長いため、着工金や中間金などを工事進捗に応じて支払う必要があります。通常の住宅ローンは建物の引き渡し時点からしか融資が始まらないため、家づくりの途中で必要な資金をどのように調達するかが問題となります。
特に自己資金が少ない場合、工事途中の支払いが大きな負担になることがあるでしょう。また、土地と建物を別々に購入する場合には、土地購入時と建物完成時に二度の住宅ローン契約が必要になり、その分の諸費用も二重にかかってしまいます。
そこで、つなぎ融資や分割融資の仕組みを活用すると、一時的に必要な着工金や中間金を融資でまかなえるため、手元の資金を大きく減らさずに工事を進められるメリットがあります。金利がやや高い場合もありますが、手元資金が少ない方にとっては、大きな負担軽減策となるでしょう。
特につなぎ融資は、建物完成時の本融資で一括返済するため、短期間の金利負担で済むメリットがあります。また、フラット35の「つなぎ融資型・パッケージ」のように、あらかじめ本融資と一体化された商品も登場しており、手続きの手間が省ける選択肢も増えています。
住宅ローンを検討する際には、こうした融資の仕組みについても金融機関に相談し、自分の資金状況に合った方法を選ぶことが大切です。
古家解体や地盤改良も相見積もりを取る

古家解体や地盤改良の費用は業者によってばらつきが大きいのが実情です。廃材の処分費や重機の使用条件などによって見積額に大きな差が出やすく、何も知らないまま建築会社に一括で任せてしまうと、割高な料金を提示されることがあります。
解体工事では、建物の構造や使用されている建材によって処分方法や費用が大きく異なります。特にアスベストなどの有害物質が使われている場合は特殊な処理が必要となり、その分費用も高くなるでしょう。また、地盤改良では地盤の状態や採用する工法によって、数十万円から数百万円まで費用が変動することも珍しくありません。
そこで、建築会社の提携業者だけではなく、複数の解体業者・地盤改良業者に相見積もりを依頼すると良いでしょう。地盤改良は調査結果次第で工法が変わるため、一社だけではなく複数業者を比較すれば、より合理的な提案を得られ、最適な費用で済む可能性が高まります。
専門業者は施工経験が豊富なため、効率的な工法や適切な処理方法を提案してくれるケースも多いです。ハウスメーカーや工務店の言い値ではなく、独自に相見積もりを取ることで、数十万円から場合によっては百万円以上の差額が生じることもあります。
ただし、単に安いだけではなく、実績や保証内容、アフターサービスなども含めて総合的に判断することが大切です。
不必要な保険や保証を見直す
火災保険や地震保険は必要不可欠ですが、特約の内容が重複していると保険料が無駄に高くなってしまうことがあります。ハウスメーカー独自の保証プランが複数あるなら、それぞれの補償範囲を比較し、過剰な部分を外してコストダウンする工夫も大切です。
たとえば、建物の瑕疵保証は法律で10年間義務付けられていますが、ハウスメーカーによっては有料で保証期間を延長するプランを提案してくることがあります。こうした追加保証が本当に必要かどうかを見極める必要があります。
また、火災保険も「フルパック型」と呼ばれる総合保障タイプは保険料が高くなりがちです。実際に必要な補償だけを選べる「セレクト型」にすることで、数万円から数十万円の節約になることもあります。
近年では全館空調や太陽光発電など、ハイテク機器を多数導入する住まいも増えています。その分だけ保証も複雑化しがちなため、「本当に必要な補償はどこまでか」を考えて、ハウスメーカー側に必要最小限の保証を提案してもらうのも得策です。
特に太陽光発電システムなどは、メーカー保証と施工会社保証、さらには火災保険の特約など複数の保証が重なりやすい設備です。それぞれの保証内容を確認し、無駄な重複を避けましょう。
こだわりポイントを限定して間取りをシンプルにする
全体の面積を大きくしたり、吹き抜けやスキップフロアなど特殊な間取りを入れたりすると、その分構造の難易度が上がり、建築費が跳ね上がりやすいです。
特に階段や水回りの位置、収納や大きな窓の設置など、こだわりすぎると予算超過の原因になります。吹き抜けは開放感を生み出す素晴らしい空間ですが、その分床面積が減り、冷暖房効率が悪くなるでしょう。
同様に、変形した部屋や曲線の壁なども施工が複雑になるため追加費用が発生します。また、水回りの位置を大きく変更すると給排水管の工事が複雑になり、コストアップにつながるでしょう。耐力壁の配置にも影響するため、構造的な補強が必要になるケースもあります。
注文住宅を購入する際の資金計画の考え方

家づくりは大きな買い物だけに、長期的な視点で資金計画を立てることが欠かせません。頭金をどうするのか、ローン返済における負担はどのくらいが適切なのか、そして将来のライフイベントをどう見込むのかを考える必要があります。最後に、注文住宅を購入する際の資金計画のポイントを2つ解説します。
頭金・ローン返済をシミュレーションする
月々の返済額を決める際は、家計を圧迫しない範囲に抑えることが重要です。
世帯収入や生活スタイル、子どもの学費などの出費を踏まえて、無理のない返済計画をシミュレーションしましょう。頭金を多く入れれば借入額を減らせますが、手元資金が少なくなり、予期せぬ出費に対応しづらくなるリスクもあります。
また、ボーナス返済を組み込む場合には注意が必要です。景気や職場の状況によってボーナス支給額が変動する可能性があるため「ボーナスが出なくても返済が苦しくならないか」を基準に判断した方が安心です。
将来のライフイベントを考慮する
子育てや教育資金、車の購入、リフォーム費用など、人生の中で発生する大きなライフイベントと、そのために必要となる支出をあらかじめ想定しておくと、ローン返済が急に重荷になることを避けられます。持ち家は長期間所有するものであり、20年、30年先まで見据えた資金計画が求められます。
また、転職や定年などで収入が変化するケースも考慮しましょう。現在の年収ベースで考えると十分返済可能だと思っていたローンも、将来的に収入が減る可能性があるなら、毎月の返済額に少し余裕を持たせる方が安心です。
まとめ
注文住宅の費用は「本体工事費」「付帯工事費」「諸費用」の3つを合計した総額を把握することが最初のステップです。本体工事費だけを見て契約を急いでしまうと、地盤改良や外構工事などの付帯工事費、あるいは銀行手数料や火災保険といった諸費用が想定外となり、最終的に大きく予算を超えてしまうケースがよくあります。
費用を抑えるには、複数社から見積もりを取り比べることはもちろん、オプション仕様を必要最小限に絞る、補助金や減税制度をフル活用する、こだわりポイントを限定して間取りをシンプルにするといった工夫が効果的です。また、解体工事や地盤改良工事も相見積もりを取ることで、大幅なコスト削減につながる可能性があります。
最終的な資金計画を立てる際には、頭金の額や毎月のローン返済負担、そして子育てや車の購入といった将来のライフイベントもしっかり組み込みましょう。月々の返済額を抑えておけば万が一の際にも家計が安定しやすく、安心して暮らせる家を手に入れられます。
住宅系YouTuber「まかろにお」のYouTubeチャンネル「まかろにお【大手ハウスメーカー攻略法】」では、YouTubeチャンネルを通じて大手ハウスメーカーや工務店の価格・性能比較、注文住宅を成功させるためのノウハウなどを発信しています。初めての家づくりで失敗したくない方は、ぜひ「まかろにお」のYouTubeをチェックしてみてください。