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全館空調は、快適な住環境を実現するために注文住宅で注目が高まっている空調システムです。室内全体を24時間自動で冷暖房・換気し、家じゅうどこでも一定の温度・湿度を保つことができます。特に、24時間換気システムの設置が義務化された近年では、導入を検討する家庭が増えています。
空調は住まいの快適性や健康に直結するため、導入前にしっかりと知識を得ることが大切です。今回は、注文住宅における全館空調の仕組みや特徴、導入にかかる費用、タイプごとの違いなどをわかりやすく解説しています。注文住宅で後悔しない空調選びをしたい方は、ぜひ参考にしてください。
全館空調とは

全館空調は、室内全体を24時間体制で冷暖房と換気を同時に行い、家じゅうを一定の温度と湿度に保つシステムです。リビングはもちろん、キッチンや洗面所、廊下、玄関まで温度差がほぼなく、ヒートショックのリスクを軽減できる点が大きなメリットです。
また、ハウスメーカーによっては空気清浄や湿度調整機能も備わっており、窓を開けずとも常に清潔な空気を循環させられます。ここでは、全館空調の概要について解説します。
高気密・高断熱であることが前提
全館空調の効果を最大化するためには、高気密・高断熱の住宅であることが欠かせません。気密性や断熱性が低いと冷暖房効率が落ち、電気代がかさみます。
導入を検討する際は、建物の構造や断熱材の仕様、気密性能(C値)や断熱性能(UA値)を確認し、設計段階から性能を確保しておきましょう。
全館空調の費用目安
導入費用は約100〜300万円が目安で、個別にエアコンを設置するより高額です。ただし、換気や空気清浄などの付加機能を一体化できるため、長期的に見ればメンテナンスの手間や機器の追加費用を抑えられるケースもあります。
機能性とランニングコストのバランスを考慮し、自分たちの暮らしに合ったシステムかどうかを検討しましょう。
全館空調のメリット

全館空調は、家全体の温度と空気を24時間管理できるため、個別のエアコンでは実現できない快適な住環境をつくれるのが大きな魅力です。ここでは、注文住宅で全館空調を導入することで得られる主なメリットについて解説します。
快適な住空間を実現できる
全館空調の最大の魅力は、室内全体の温度を一定に保てることです。エアコンのように設置場所による温度差がなく、リビングや寝室はもちろん、キッチンや廊下、洗面所、玄関にいたるまで快適な室温が維持されます。
室内に設けた吹き出し口から空調された空気を送り出す仕組みのため、狭い部屋にも無理なく対応可能です。さらに、温度センサー付きのタイプを選べば、日射や風通しの違いに応じた部屋ごとの微調整もでき、季節を問わず快適さを高められます。
ヒートショックや熱中症のリスク軽減にもつながるため、健康面でも安心できる住まいを実現できます。
省エネ効果を期待できる
全館空調は基本的に24時間運転する設計ですが、高気密・高断熱の住宅と組み合わせることで、省エネ効果を期待できます。
エアコンを頻繁にON・OFFすると起動時に多くの電力を消費しますが、全館空調は一度設定温度に達すれば、それを維持するだけで良いため効率的です。無駄な電力消費が抑えられ、結果として電気代の節約にもつながります。
空気の清浄機能がある
冷暖房だけでなく、換気や空気清浄の機能を備えた全館空調も多くあります。天井吹き出し型のシステムでは、外気をフィルターで浄化しながら取り込むため、窓を開けなくても常に新鮮な空気が循環します。
また、近年義務化された24時間換気の要件を満たすだけでなく、花粉・PM2.5・NO2などの微細粒子を除去できる高性能フィルターを搭載している機種もあり、シックハウス症候群の予防にも有効です。
空調機材の台数を絞れる
全館空調を導入すると、各部屋にエアコンを設置する必要がなくなります。これにより、エアコンの存在感で空間の美観が損なわれることもありません。
室内機は1台、吹き出し口だけが露出するシンプルな構成で、インテリアにもなじみやすく、統一感のあるデザインを保てます。さらに、室外機も部屋ごとに用意する必要がないため、建物の外観もすっきりと整います。
全館空調のデメリット

室内を常に快適に保てる全館空調にも、導入前に把握しておくべき注意点があります。ここでは、全館空調のデメリットについて解説します。メリットとのバランスを検討し、導入すべきかを総合的に判断する材料にしてください。
住まい全体の気密性能・断熱性能が必要
全館空調は、高気密・高断熱の住まいでこそ本領を発揮します。気密性や断熱性が不足している住宅では暖まりにくく冷えにくい状態が続き、冷暖房効率が落ちて電気代が上昇します。
導入を検討する際は、設計段階からC値・UA値などの性能を確認し、十分な気密断熱を確保した上で計画を進めましょう。
空気が乾燥しやすい
送風式の全館空調は、ストーブのような燃焼式暖房と違い水蒸気を発生させないため、室内の湿度が低下しがちです。乾燥し過ぎるとウイルス感染や肌荒れのリスクが高まるため、加湿機能付きタイプを選んだり、または加湿器を常備して湿度40〜60%を維持したりするなどの対策が欠かせません。
室温を急に変更できない
全館空調は家全体を一定温度で維持する設計のため、エアコンや扇風機のように瞬時に温度を上下させる運用には適していません。急激な設定変更は電力消費や機器負荷を増やす原因にもなるため、「家全体を常時快適に保つ」という運転思想を理解した上で導入することが大切です。
部屋ごとの温度調整が難しい
標準的な全館空調は全室同温度を基本とし、個室ごとに細かく温度設定するのが難しい場合があります。家族に暑がり・寒がりがいる場合は、居室単位で温度を変えられるゾーン制御タイプを選ぶと快適性を損なわずに済みます。導入費用は上がりますが、長期的な満足度を優先するなら検討の価値があります。
初期費用が高くなりやすい
全館空調は壁掛けエアコンやストーブに比べて機器価格・配管工事・制御システムが複雑な分、導入費用が高額です。また、専用の空調室を設ける設計や、気密断熱性能を高める追加工事が必要になるケースもあり、建築費が膨らみやすい点に注意してください。
導入費だけでなく、点検費・フィルター交換・部品寿命に伴う費用まで概算し、ライフサイクルコストで比較しましょう。
定期的にメンテナンスが必要
快適性を維持し故障を防ぐには、定期的な点検やフィルター清掃が不可欠です。手間と費用はかかりますが、放置すると風量低下や機器故障につながり、かえってコストが増える可能性があります。メーカー推奨のメンテナンス頻度を確認し、長期的な運用計画を立てておきましょう。
全館空調を取り入れるか迷っている方は、住宅系YouTuberの「まかろにお」が運営する「まかろにお【大手ハウスメーカー攻略法】」内にある「【ハウスメーカー比較】全館空調は本当にいるのか?」をチェックしてください。
運営者である「まかろにお」は、『人から始める家造りの重要性を世に広める』をコンセプトとした住宅系YouTuberです。元住宅営業マンとして全国1位の営業成績を誇り、その後も不動産融資を扱う大手金融機関での実務経験を経て、幅広いハウスメーカー事情に精通しています。

大手ハウスメーカーの特徴やメリット、デメリット、さらに注文住宅を建てる前に知っておきたい知識を中立的な立場で発信しています。
全館空調でハウスメーカーを比較する際のポイント

全館空調を導入する際は、ハウスメーカーごとの違いをしっかりと比較することが重要です。設備の種類や住宅性能、費用に加えて、運用後の快適性にも直結するため、次の観点を基準に慎重に検討しましょう。
導入費用
全館空調の導入費用は、システムの仕様や工事内容によって大きく異なり、ハウスメーカーごとに価格帯も異なります。相場は200万円〜400万円程度で、これには本体・ダクト工事・電気配線・施工費などが含まれます。
比較・検討の際は、次の点を確認しましょう。
- 空調室の有無
- 温度管理方式の違い
- 配管や制御システムの複雑さ
- 部屋ごとの温度調整が可能かどうか
初期費用は高めですが、長期的に見ると個別エアコンを設置する必要がなく、省エネ性やメンテナンス性の面でコストメリットを感じられるケースもあります。
温度管理方法
全館空調における温度管理の方式には、主に次の4種類があります。選ぶ方式によって、費用や快適性、設置の自由度が変わるため、事前の理解が大切です。
温度管理の方法 | 特徴 |
---|---|
天井吹き出し型 | 天井にダクトを配し、吹き出し口から冷暖気を送る |
幅射型 | 壁や床の表面から放射される熱を利用して温度を調整する |
壁掛けエアコン型 | 各1台のエアコンと壁の採風口で家全体を冷暖する |
床下冷暖房型 | 断熱された床下を活用し、放射熱と送風で温度調整する |
方式ごとに適した住宅構造や居住スタイルがあるため、コスト面と性能のバランスを考えた選択が重要です。
加湿機能の有無
全館空調は乾燥しやすいため、加湿対策も必須です。加湿機能が内蔵されたシステムを選べば、快適性を維持しやすくなりますが、その分費用が上がる傾向にあります。
コストを抑えたい場合は、別途加湿器を併用する方法もあります。インテリアへの影響や手入れのしやすさも考慮し、自分たちの暮らしに合った対策を取りましょう。
住まいの気密性や断熱性
全館空調の性能を最大限に活かすには、住宅そのものが高気密・高断熱であることが大前提です。性能が低いと外気との出入りが増え、空調効率が下がり、快適性や省エネ性を損ねる結果になります。
断熱等級やUA値は、各ハウスメーカーのカタログや公式サイトで確認可能です。さらに、ZEH対応かどうかや構造・工法による性能向上の工夫もチェックしておくと安心です。
高気密・高断熱の住まいの作り方について知りたい方は、住宅系YouTuberの「まかろにお」が運営する「まかろにお【大手ハウスメーカー攻略法】」内にある「【そのままで大丈夫?】ハウスメーカーで高気密高断熱住宅を作るための5つのステップを共有します。」をチェックしてください。
冷暖方式のタイプ
全館空調には複数の冷暖房方式があり、それぞれ設置方法・コスト・性能に違いがあります。代表的な4方式は下の表のとおりです。
タイプ | 特徴 | 費用相場 |
---|---|---|
天井吹き出し型 | 天井の吹き出し口から送風 | 150~300万円 |
エアコン方式 | 壁掛けエアコン1台で全体を冷暖房 | 150万円以下 |
床下冷暖房方式 | 床下に蓄熱し、放射と送風で冷暖 | 100~150万円 |
壁パネル方式 | 壁のパネルから送風 | 200~300万円 |
※費用は目安です。仕様・広さ・住宅性能によって変動します。
それぞれの方式で得られる効果やコストが異なるため、導入費用だけでなく、運用中のランニングコストやメンテナンス性も含めて総合的に判断しましょう。また、ハウスメーカーによって採用しているシステムも異なるため、事前の確認が不可欠です。
全館空調でおすすめのハウスメーカー
全館空調はハウスメーカーごとに採用しているシステムが異なるため、快適性やコストパフォーマンスに大きく影響します。最後に、性能や導入実績、独自の工夫に優れたおすすめのハウスメーカーを4社紹介します。
パナソニックホームズ

パナソニックホームズでは「エアロハス」という全館空調を標準仕様で提供しています。花粉・PM2.5・ホコリをブロックする高性能フィルターを搭載しており、省エネ性にも優れているため、電気代を抑えながら1年を通して快適な空気環境を保てます。
また、部屋ごとの温度調整が可能で、家族一人ひとりの快適性を確保できる点も特長です。高性能断熱材が標準で使用されており、空調効率を無理なく発揮できます。
なお、システムの性能を最大限に活かすためにはトリプルガラスの採用が前提となっており、窓の断熱性も向上する一方、コスト面とのバランスを検討する必要があります。
費用 | 約250万円 |
温度管理 | 天井吹き出し型 |
加湿機能 | なし |
気密・断熱性 | UA値0.6ZEH対応 |
特徴 | 2019年度 省エネ大賞を受賞部屋ごとの温度調整可能 |
※仕様や費用はプランにより異なります。目安としてご参照ください。
パナソニックホームズについてより詳しく知りたいなら、「まかろにお【大手ハウスメーカー攻略法】」でまかろにおがパナソニックホームズについて詳しく解説しているこちらの動画をチェックしてみてください。
三井ホーム

三井ホームでは「スマートブリーズ・プラス」「スマートブリーズ・エース」「スマートブリーズ・ワン」の3種類の全館空調を提供しています。加湿機能付きモデルを選ぶか、コストパフォーマンスを重視するかで選択肢が変わります。
小屋裏に設置できる「エース」、45坪以下の住まい向けの「ワン」など、建物の規模やレイアウトに合わせて最適なタイプを選べます。空気清浄機能も標準搭載されており、アレルゲン対策にも有効です。
費用 | 140~250万円 |
温度管理 | 天井吹き出し型 |
加湿機能 | タイプにより有無あり |
気密・断熱性 | UA値0.39ZEH対応 |
特徴 | 空気清浄機能付きフィルターを搭載 |
※仕様や費用はプランにより異なります。目安としてご参照ください。
三井ホームについてもっと詳しく知りたい方は、「まかろにお【大手ハウスメーカー攻略法】」でまかろにおが三井ホームについて詳しく解説しているこちらの動画をチェックしてみてください。
ヘーベルハウス

ヘーベルハウスでは「ロングライフ全館空調」と、オプションで選べる「熱交換型ロングライフ・エコ換気システムHG」を組み合わせることで、除湿・加湿を自動で行う快適な空気環境を実現しています。
デシカント換気システムにより、相対湿度40〜60%の範囲を維持。カビやダニの発生を防ぎつつ、快適性をキープできます。この高度な換気システムは、大手ハウスメーカーの中でもヘーベルハウスにしか導入できない独自の仕組みです。
費用 | 100~300万円ほど |
温度管理 | 壁パネル方式 |
加湿機能 | あり |
気密・断熱性 | UA値0.6以下ZEH対応 |
特徴 | 風量や温度の部屋ごとの調整が可能 |
※仕様や費用はプランにより異なります。目安としてご参照ください。
ヘーベルハウスについては、「まかろにお【大手ハウスメーカー攻略法】」でまかろにおがヘーベルハウスについて詳しく解説しているこちらの動画をチェックしてみてください。
セキスイハイム

セキスイハイムは「快適エアリー」という全館空調を提供しています。床下からの熱と床面の吹き出し口を利用し、エアコンとは異なる方法で室温を一定に保ちます。
寒暖差が出やすい洗面所や廊下にも暖気が届く点が特長です。断熱等級6に対応した仕様が用意されており、空調システムの性能を十分に引き出す設計が可能です。
ヒートポンプ式の採用により電気代も抑えやすく、コストと快適性のバランスに優れています。
費用 | 約150万円 |
温度管理 | 床下冷暖房型 |
加湿機能 | なし |
気密・断熱性 | UA値0.46ZEH対応 |
特徴 | 初期費用が比較的安価 |
※仕様や費用はプランにより異なります。目安としてご参照ください。
セキスイハイムについてより詳しく知りたい場合は、「まかろにお【大手ハウスメーカー攻略法】」でまかろにおがセキスイハイムについて詳しく解説しているこちらの動画をチェックしてみてください。
まとめ
全館空調は、住宅全体の快適性や健康環境を高めるうえで非常に有効な設備です。特に注文住宅では、設計段階から高気密・高断熱の仕様とあわせて導入を検討することで、その効果を最大限に引き出すことができます。
ただし、全館空調には導入費用やメンテナンス負担、温度調整の柔軟性といったデメリットもあるため、暮らし方や優先順位に応じて、最適な方式や機能を見極めることが重要です。ハウスメーカーごとに採用しているシステムや性能、対応可能なプランも異なるため、事前に情報収集を行い、費用・性能・サポート体制を含めて総合的に比較しましょう。
家族構成や生活スタイルに合わせて要望を書き出し、それに応える仕様を持つ全館空調を選ぶことで、無駄な出費や使い勝手の不満を防ぎ、長く快適な住まいづくりにつながります。
なお、ハウスメーカーごとの空調システムの違いや評価について詳しく知りたい方は、住宅系YouTuberの「まかろにお」が運営する「まかろにお【大手ハウスメーカー攻略法】」内にある「ハウスメーカー全館空調ランキングと注意するべきポイント」をチェックしてください。

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