今回は『ハウスメーカーの値上げラッシュで住宅業界はどうなる?』というテーマでお話をしていきます。
今回お伝えすることを知っておかなければ、タイミングを外してしまって、もう二度と家が買えないなんていうことになりかねません。
ですので、これから注文住宅で家づくりをしようと思っている方は、ぜひとも本記事を参考にしてみてください。
ハウスメーカーの値上げの実情
今回、積水ハウスがさらに値上げをするという情報が入ってきました。

具体的には、今までの価格からさらに0.5%〜0.8%ほど値上げをするということです。
それが8月から適用されるという話なので、今現在積水ハウスで検討されている方は、7月末までに契約をしなければ、多少の金額増になってしまうわけです。
一体それがどのくらいなのかというと、そもそも積水ハウスでまともな家をつくろうと思ったら、建物だけで坪155万円くらいの金額が必要になってきます。
例えば今現在積水ハウスで35坪の普通サイズの家をつくろうと思った場合、35坪 × 155万円 = 5,425万円 が建物のみに必要になってくる金額なわけです。
そこに諸費用が大体1,500万円くらい追加になってくるので、合計で6,925万円、これが土地代を除いた金額となります。
ですので、もし仮に土地代が3,000万円必要だった場合、合計すると9,925万円必要になっていたわけですが、今回、建物本体価格が0.5%値上がりすることになったので、8月以降に積水ハウスで家を建てようとすると、これまでよりも27万円くらい上乗せされることになります。
これだけ聞くと大したことないような金額に聞こえるかもしれませんが、住宅はチリツモなので、これが後々になって結構効いてきたりするわけです。
積水ハウス以外のハウスメーカーでも同様に値上げをする動きになっていて、例えばパナソニックホームズは、今年の4月に約2%の値上げを行っています。

さらに7月からは3%の値上げを行うことになるので、直近で合計5%の値上げを行うことになっているのです。
そのため、パナソニックホームズは今現在、建物本体価格のみで坪約160〜170万円となっているのですが、7月になるとそこからさらに3%を値上げすることになるので、仮に35坪の家を建てた場合、今までは 5,600〜5,950万円 くらいだったのが、5,768〜6,128万円 になる計算になります。
さすがにここまでの金額になってくると、買える人はほぼいなくなってくるのではないかと思います。
しかもこの話は軽量鉄骨のHS構法での話なので、重量鉄骨のNS構法となるともっと金額がかかります。
重量鉄骨のNS構法は、今現在建物の坪単価だけで約230〜250万円となります。
そこから3%の値上げになるので、計算するのが嫌なくらい価格が高くなってきてしまうわけです。
あとはヘーベルハウスも、5月に3%程度の値上げを行っています。

そのためこちらも、200万円くらい金額が上がっているようなイメージです。
この流れは今後もずっと続くことなのか?住宅業界全体的に今後金額が下がることがあるのか?この辺、気になっている方も多いのではないかと思うので、その辺について深掘りをしていきます。
ハウスメーカーの値上げが落ち着くことはない
結論からお伝えすると、住宅価格の高騰が落ち着くことはありません。
下がることもありえません。
ですので「いつか住宅の価格が下がるんじゃないか…」というような淡い期待をもつのはやめましょう。
買いたい人は今すぐにでも買うべきです。
これが答えです。
ではなぜ、住宅価格の高騰が落ち着くこともなければ、下がることもないのか、これは個人的な見解にはなりますが、大きく分けて3つのポイントがあるかと思っています。
圧倒的な職人不足
職人不足に関しては前々から言われていた話ですが、ここ最近になって、この問題がいよいよ他人事ではなくなってきたという感じです。

私が新卒でハウスメーカーに入社した14,5年くらい前、その時点で「今後職人不足になる」なんてことは言われていたわけです。
ただ当時の私は、「どうせまだまだ先のことでしょう」くらいの感覚しかありませんでした。
こちらのグラフをご覧ください。

これは国税調査で「大工が何人いるのか」を年齢別に調べたものなのですが、大工のボリュームゾーンが 50代・60代・70代 なのです。
「そろそろ世代交代になる。そうなったら終わりだ」くらいのことも、業界内でよく言われてはいたのですが、これもこれで単なるデータでしかなく、私自身も他人事でした。

しかし、いよいよそうも言っていられなくなってきたというのがここ最近の話です。
というのも、コロナの時に多くの工務店が融資を受けて経営を成り立たせていたのです。
ただ今現在、その返済と物価高騰による注文住宅検討者の減少のダブルパンチを食らっている状態なのです。
実際にYouTubeで情報発信をしている一部の工務店さんは、帝国データバンクを開いて見てみると分かるのですが、結構まずい財務状況だったりします。
そのまずい状況がより加速している、つまり皆さんが思っている以上に、工務店の財務状況は深刻になってきていると思った方がいいです。
こういう状況が続くと何が起きるのかというと、倒産です。
そして工務店の倒産と同時に、職人さんも辞めていく、そんな世の中がもう見えてきているのです。
具体的には、今から3年後には職人さんの数が約半分になるとも言われています。
そうなったら、建物のみの坪単価で200万円出さなければ注文住宅を買えないという時代がもう目前まで迫ってきているのです。
今回の各ハウスメーカーの値上げがいい例です。
実際、5年前と比較すると、建物価格だけで約1,500万円は上がっています。
えげつないです。
本当に、建物のみの坪単価で200万円出さなければ注文住宅が買えないという時代はすぐそこです。
ですので、賢くお得に家を買うためにも、早めに行動することをおすすめします。
外国産材が安くなくなった
そもそも日本の住宅産業を支えているのは、ハウスメーカーです。
ハウスメーカーは、戦後から続く住宅の大量生産を行ってきた企業で、その特徴として「とにかく安く住宅を売ること」が求められてきたわけです。
実際、ハウスメーカーとの価格競争に負けて、多くの工務店が潰れました。
潰れそうになった工務店も、ハウスメーカーの下請けとして生きていく道しかなくなったという歴史的な経緯もあるくらいです。
だからといって、ハウスメーカーが悪いという話ではありません。
ハウスメーカーという企業があったからこそ、安定した品質の家を世に大量に供給できたわけですし、より多くの人に住居を提供できたのです。
しかし、ハウスメーカーは基本的に「いかにして住宅の大量生産を行うか」を目的とした企業です。
そして、大量生産するためには安くしなければならないので、安い部材や安い建材をメインで使う必要性が出てきます。
そのため、今まで日本は、海外の木を輸入して住宅をつくってきたのです。

断熱材も、一番安くて簡単に施工ができるグラスウールを主体とした家づくりを行ってきました。
しかしそれは、今までの日本が円高で、海外の資材を安く輸入できたため成り立っていた話で、円安になってしまった今の日本の状況では、海外から資材を仕入れても、そこまで安くつくることができなくなっています。
そのため、今までと同じ利益率を確保するためには、値上げせざるを得ないわけです。
円の価値がまた上がれば、今までのように海外から資材を安く仕入れることができるわけですが、日本円の価値が上がる可能性は、そもそも人口が減ってきているので、ほとんどありません。
こうした状況を踏まえると、住宅の価格が下がるということはありえないのです。
国内での自立が不可能
先ほどの話とも関連しますが、「海外から輸入すると高くなるなら、国産材を使えばいいじゃん」という話になります。
確かにそうです。
海外から物を仕入れるということは、現地の会社の利益、輸送コスト、仕入れるものにもよりますが、日本で販売している商社の利益が乗っかってくるわけです。
例えばキッチンでいえば、海外のキッチンを日本に持ってこようとすると、まず現地の工房が利益を乗せて現地のメーカーに販売します。
そして現地のメーカーはそれにさらに利益を乗せて販売するわけです。
ここまでは普通の流れですが、その海外製のキッチンを日本に持ってこようとすると、日本に持ってくるための輸送コストと為替差損の補填、さらには仕入れた商社やメーカーの利益が乗って、我々が購入することになるわけです。

そんなことから、現地価格の約3倍の金額を出さなければ、海外製のキッチンを日本で導入することはできないのです。
今の話はわかりやすく説明するためにキッチンを例に出しましたが、この話は海外から仕入れている資材全部に言えることです。
「だったら国産材を使えばいいじゃん」という話になるのですが、残念ながらそれは無理です。
例えば木材でいうと、海外に頼ってしまった影響で、まともに製材業や林業をやっている会社が日本にありません。

儲からない、手間がかかるなどの理由から、日本の製材業や林業はどんどん衰退していってしまったのです。
また、石材に関してもそうですが、例えば海外のような大理石を使って室内を整えたいとなった場合、当然、日本で採れる石を使った方が安く済むわけなのですが、こちらも海外の石を使った方が安いということから、日本の採掘業は衰退してしまいました。

採掘業というのは、採掘権があってこそなのですが、日本の採掘業は儲からないということもあって、多くの採掘業者は採掘権を放棄してしまっているのです。
しかも一度採掘権を放棄してしまうと、再度取得することが不可能なのです。
例えば、埼玉県の秩父市で採れる有名な蛇紋石は、海外の石に引けを取らない石だったのですが、今や採掘できないのです。

なぜなら、採掘権がないからです。
もちろん、私が知らないだけで何かしらの抜け道があるのかもしれませんが、多くの場合、一度海外に頼ってしまうと、自国でどうにかするというのが難しい状況になってしまうのです。
これが今の日本の実情です。
ですので、今後も海外頼りになってしまいますし、その結果、金額の高騰も受け入れざるを得なくなってくるわけです。
これが3つ目の理由です。
ということで、
- 圧倒的な職人不足だから
- 外国産材が安くなくなったから
- 国内での自立が不可能だから
以上の3つが、今後も住宅価格が安くならない理由になります。
ハウスメーカーの値上げが続く中で取れる最善策
絶望的な状況なわけですが、今後どうしたらいいのか、住宅価格が高騰する中で取れる最善策、これについて私なりの持論がいくつかあるのでお話をしていきます。
施主力を高める
まず1つ目は、家づくり全般を学んでいただき、施主力を高めるということです。
なぜなら、かけられるお金が限られるからです。
というのも、ハウスメーカーの成り立ちは、戦後から続く住宅の大量生産です。
そのため、クオリティ重視ではなくて、安く、そして平均点80点くらいの家づくりをしてきたのです。
ですので、ハイコスト系のハウスメーカーであっても、ミドルコスト系、ローコスト系のハウスメーカーであっても、やっていることは住宅の大量生産であって、普通に建てたら、平均点80点取れればいい方なのです。
ただし、これから家を建てる皆さんが学び、施主力を高めることで、その差分の20点を埋めることができるのです。
可能な限り100点満点を目指すことが可能になるのです。
ですので、学ばなければダメなのです。
学ぶことで、このハウスメーカーなら比較的容易に100点満点に近づけられる、このハウスメーカーは100点に近づけるのが難しいといった難易度が見えてくるようになります。
家にかけられるお金が限られているからこそ、そういった審美眼を養わなければ、無駄に高い金額を払うことになってしまいます。
ネット上には表面的な情報もすごく多くなっているので、ぜひとも学んでいただき、本質的な部分を理解していただきたいと思います。
素材にこだわる
次に、素材にこだわるということです。
ハウスメーカーの家づくりというのは、どこかしら何かしら、価格を抑えるための工夫が施されています。
構造材・断熱材・施工方法などなど、メーカーによって差はあれど、絶対にコストを抑える工夫が反映されているのです。
それが自分たちのイメージしている家づくりとマッチしているのか、一度きちんと考えてみてください。
また、その施工方法のデメリットを補うために、どのような工夫がなされているのか、それも一度考えるようにしてほしいです。
具体的に言うと、構造躯体が木造だったら、まずは外国産材が使われているかどうかを確認します。

外国産材なら、シロアリ対策がきちんとされた家づくりになっているのか、それを確認する必要が出てきます。
また、断熱材がグラスウールで充填断熱だったら、きちんと充填されるように施工配慮がされているか、また、気密シートをはるような施工方法になっているのか、その確認などが必要です。
断熱材が吹き付け系の断熱材であれば、長期耐久性の観点で問題ないかを考えなければいけませんし、解体費用が通常の倍以上かかることも知っておかなければなりません。
それ以外にも、知らなければならないこと、知った上で確認し、納得しなければならないことが多いのです。
ですので、ネット上の表面的な情報だけではなく、素材を追求して1つ1つ確認してもらいたいと思います。
そうすることで、本当に納得した上での家づくりが可能になりますし、自分たちにとって価値のある家づくりができるのではないかと思います。
工務店を盲信しない
最後に、工務店を盲信しないということです。
「ハウスメーカーはよくなくて、工務店の方がいいと言いたいのか」と解釈される方もいるのですが、そういうことではありません。
日本の市場を支えてきたのは、ハウスメーカーです。
そのため、ハウスメーカーとうまく付き合った方が、何かとよかったりする側面もあるのです。
ですので、ハウスメーカーを否定したいわけではありません。
また一方で、工務店を推したいわけでもありません。
なぜなら、工務店は工務店で課題だらけだからです。
ハウスメーカーと比較して提案力が低いところもありますし、ハウスメーカーとは違い、パースやきれいな図面、きれいな提案資料が出てこないケースもザラにあります。
工務店は企業規模がそこまで大きくないので、設計士を抱えることができないのです。
そのため、業務委託で設計士に仕事を依頼していることが多いのですが、それゆえに、工務店であっても出てくる建物のデザイン性がバラバラなことが多いのです。
また、工務店という名前だけで、実際は業務委託で大工をスポットで雇っているところもあります。
これもやはり企業規模が小さいと仕方ないのです。
ハウスメーカーも、地域の提携大工さんに業務を委託しているわけなので、やっていることはハウスメーカーと一緒なのです。
「だったらハウスメーカーで家づくりをした方がいいじゃん」となるわけです。
工務店は工務店で問題だらけなので「ハウスメーカーはよくないから工務店」、「ネットで工務店系の人たちの情報発信を見て、工務店の方がいいと思ったから工務店を選ぶ」など、安易に工務店を選ばない、盲信しないようにしてください。
どちらも問題があります。
とにかく私はいい家さえつくれれば、ハウスメーカーであろうと工務店であろうとどちらでもいいと思っているタイプではあるのですが、お伝えしたいのは何度も言いますが、皆さん自身で学んでくださいということです。
この課題だらけの住宅業界の中で、本当に賢く、いい家づくりをするためには、もう学ぶしかありません。
特に、価格高騰に気を取られて安物買いの銭失いになりやすい時代でもあるので、きちんと本質を見極めるようにしてもらえればと思います。
値上げラッシュのハウスメーカー内で足元を見る動きが活発化
実は今、ハウスメーカー内でお客さんの足元を見るという動きが活発になってきています。
これがどういうことかわかりやすくお伝えすると、お金を持っている人からは高い利益で契約を取り、お金を持っていない人からはギリギリの利益で契約を取るという流れになってきているという話です。
当たり前といえば当たり前です。
今までのように「○○のハウスメーカーなら坪単価いくら」という感じではなく、お客さんの所得に応じて利益率を変動させた方が、ハウスメーカー側からすると間口が広がりますし、ハウスメーカーが本来目的としている住宅の大量生産を維持することが可能になります。
この動きというのは、今まで表面化していなかっただけで裏では結構ありましたが、ここ最近になって活発になってきました。
そしていよいよ、制度化して運用していくという時代に突入してきたのが昨今です。
ですので、いい情報としては、高価格帯のハウスメーカーだからといって、最初から諦める必要はないということです。
ですが反面、足元を見られて多くのお金を取られる人も出てくる形になるので、お金持ちの方からすると悪い情報で、不公平に感じるかもしれません。
この辺の判断は慎重にした方がいいかもしれませんし、「〇〇のハウスメーカーがこの制度を取り入れています」とは言いづらいので、その辺は皆さん自身で察していただければと思います。
ハウスメーカーの値上げラッシュで住宅業界はどうなる?のまとめ
ということで、『ハウスメーカーの値上げラッシュで住宅業界はどうなる?』ということでお伝えしてきました。
とにかくまずは早めに動くことをおすすめします。
そして最後に告知です。
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