今回は、ハウスメーカーでよく使われている断熱材、グラスウールについて解説します。
断熱材にはいろいろな種類がありますが、他の断熱材と比較した時に断熱性能はどうなのか、どういった特徴があるのかということを中心にお伝えします。
ハウスメーカーさんが嫌がるような少し突っ込んだ話もするので、ぜひ参考にしてください。
グラスウールとは?
グラスウールというだけあって、ガラス繊維です。
ガラス繊維の綿の断熱材です。
ガラスをすごく細く綿状にして、それを壁に詰めることによって断熱材としているというのがグラスウールです。

すごくチクチクして、触り心地が駄菓子のわたパチにすごく似ています。

お祭りで買う綿菓子は結構ふわふわしていますが、

そういう感じではなく、密度がぎゅっと詰まっているわたパチのような感じです。
目に見えないですが、触るとガラス繊維が巻きついているように感じて、チクチクして気持ち悪いです。
繊維がつくので痒いですし、洗ってもまとわりついている感じが残るので、グラスウールはあまり触りたくありません。
そういう断熱材が、多くのハウスメーカーで使われています。
多くのハウスメーカーでグラスウールが使われている理由
なぜ多くのハウスメーカーでグラスウールが使われているかというと、安いからです。
グラスウール以外にもいろいろな断熱材があります。
吹き付け断熱材と呼ばれている、吹き付けるとモコモコ膨らむ断熱材や、発泡系の断熱材と呼ばれている、発泡スチロールのような塊を壁に入れ込む断熱材があります。
基本的には発泡系の断熱材の方が性能がいいと言われていますが、多くのハウスメーカーが「発泡系というのは、火災が起きた時に人体に悪いガスが発生するので使わないんです」「劣化すると縮んじゃうので、長期耐久性を考えると使わない方がいいんです」などと言い、発泡系の断熱材を否定します。
そのため、性能はイマイチだったとしても「安定性のあるグラスウールが、価格も安いしベストなんです」というように、グラスウールの方が安定的で良いという見せ方をしてくるわけです。
実際、グラスウールは安いから使われているだけです。
ではなぜその安さにこだわってグラスウールが使われているのかというところを掘り下げていきます。
戦後から始まる住宅の大量生産を行っている企業のことをハウスメーカーと言っています。
そのハウスメーカー各社は、大量生産するために安くする必要があるのです。
安くするためのつくり方や、安くするために必要な部材を入れて、住宅を大量生産しています。
安いものとは何なのかというと、例えば外国産の木を使うのもそうですし、今回話の主軸となっているグラスウールもそうです。
大量生産できて、利益をたくさん乗せて販売すれば、たくさん儲けられるというわけです。
グラスウールの断熱性能
グラスウールは、断熱性能はよくありません。
サーモグラフィーで確認できる結果
グラスウールのことをよく言う人は「きちんと施工ができればグラスウールはきちんとした性能が出る」と言います。
これは間違いではなく、壁に詰め込む時に隙間なくぴったり断熱材を入れられる人であれば、確かにコストパフォーマンスよく、しっかりとした性能を出すことができるのですが、グラスウールが詰め込まれている現場でサーモグラフィーを通して壁を見てみると、一発で「グラスウールはダメだ」と感じると思います。

グラスウールが壁に詰め込まれていますが、四隅がきちんと埋まっていないのです。

寒ければ当然冷気が入ってくるので、縁の部分が青くなりますし、夏場は熱い空気が入ってくるので真っ赤になっています。
見た目はきれいに見えますが、実際サーモグラフィーを当ててみると、しっかりと埋まっておらず、それによる断熱欠損が起きているというのがわかります。
グラスウールはきちんと施工すればきちんとした性能が出るのですが、その「きちんと」があまりにも難しすぎるのです。
グラスウールと発泡系の断熱性能の違い
素材によって、得られる断熱性能の体感値は大きく違います。
というのも、グラスウールでつくられた家の断熱等級6と、発泡系の断熱材でつくられた断熱等級6は体感値がまったく違います。
発泡系の方が圧倒的です。
同じ等級と言われているのに、こんなにも違うのかというくらい体感値が違います。
体感で5度くらい差があります。
断熱材の厚さ、密度を計算して「グラスウールでも断熱等級6を取れます」と計算上は言えます。
しかしそれはあくまで机上の空論であって、実際体感してみると、グラスウールと発泡系の差は、如実にわかります。
結構闇深いです。
グラスウールの施工の現実
グラスウールを施工する時に「工場生産できちんとやっているから大丈夫です」などと言うところもあります。
ただ、その工場の現場を見るとわかりますが、工場だからしっかり敷き詰められているかと言われたら違います。
工場のラインで人が立ち、グラスウールを詰め込むのですが、グラスウールは結構大きいため重たいです。
ですので、きちんと入れられないのです。
そして、どのように入れるかというと、蹴っ飛ばして壁に押し込むということをやっています。
工場生産だからしっかりグラスウールが埋まっているかと言われれば、そんなこともないのです。
グラスウール以外の断熱材
グラスウール以外の断熱材に、吹き付け系の断熱材と発泡系の断熱材があります。
吹き付け系の断熱材
最近ミドル・ローコストと呼ばれているハウスメーカーがしきりに使っている吹き付け系の断熱材があります。
壁に吹きつけるとモコモコ膨らむものです。

あれは、正直グラスウールよりも隙間が埋まりやすいですし、言い方が悪いのですが、仮に少し雑に施工したとしても断熱材が膨らんでくれるので、隙間も埋まりやすいのです。
工事の雑さをカバーしてくれる面があり、気密性能も良くなりやすいです。
ですので、ミドル・ローコスト系のハウスメーカーは、安くて穴も埋められるということで、吹き付け系断熱を最近しきりに使っているわけです。
ただこれも安いから、穴が埋まるからよく使われているだけです。
実際吹き付けると、すごく膨らみ、そのままだと壁に収まらないので一回削ります。
削るとどういうことが起きるかと言ったら、表面のスキン層と呼ばれているものが壊れて断熱材の元となっている二酸化炭素が抜け、結構縮みます。
発泡系の断熱材も吹き付け系の断熱材も仕組みは似ていて、表面にテカテカしているスキン層というものがあり、それが防護壁の役割を果たしてくれて、断熱性能の元となっている二酸化炭素などを外に排出しないようにしているわけです。
ただ、そのスキン層が壊れた時に、その傷から発泡系の中に入っている二酸化炭素が抜けていくので、日を追うごとに縮んでいきます。
吹き付け系の断熱材は削って壁に納めるので、自ら傷つけているわけです。
何十年後には結構縮んでいると思います。
しかも吹き付け系の断熱材は、解体屋さんに解体見積もりを出してもらえばわかるのですが、通常の倍近くまで解体費を取られます。

処理できる業者がいないからです。
そういう闇があります。
ただ、これは現場で作業している職人さんはみんな知っています。
みんな知っているのですが、安い上に手間がかからないので、暗黙のルールで施工しています。
ですので、なんだかんだ発泡系の断熱材が良いのですが、発泡系の断熱材はそもそも単価が高く、施工の手間も通常よりもかかりやすいというのもあり、結構厄介なのです。
施工をできる人が少ないですし、それを取り扱っているハウスメーカー、工務店がほぼありません。
ハウスメーカーは安く大量生産することが重要なので、そもそも発泡系を使おうという発想に至らないのです。
高くなったら売れなくなります。
しかも高いものを商品に組み込んで販売したら、自分たちの利益が減ります。
ですので、やはり安く売って高い利益を得た方がいいわけです。
それ考えるとグラスウールが最強になってくるのです。
グラスウールより性能がいいと謳いやすい吹き付け系断熱材も最近流行っており、それもそれで安く、施工の手間がかかりづらいですが、長期的に見て断熱性能が維持担保できるかと言われたら、表面を削ることが多いので難しいです。
うまく吹き付ければそんなことはないと思いますが、あれをコントロールするのはすごく難しいです。
こんな勢いで膨らむんだという感じで、一気にボワーっと膨らみます。
コントロールは絶対できません。
とにかく、断熱材は基本的に「安い」「施工しやすい」というこの2つで成り立っていることが多いのです。
発泡系の断熱材
施工の手間を考えず、しっかりとしたものをつくっていくとなると、発泡系の断熱材が本当に最強だと思います。
それを工業化して販売している一条工務店はすごいです。
一条工務店は日本で唯一自社工場をもっているハウスメーカーなので、仕組み化がすごいなと思います。
ハウスメーカー、工務店選びをする時に最優先で見ていただきたいのは、発泡系断熱材を使っているかどうかです。
発泡系断熱材を使っていれば、しっかりとしたものづくりをしていると捉えることができるでしょう。
断熱性能を高めるのに重要な考え方
ハウスメーカーを選ぶ際、発泡系を選べれば発泡系で問題ないと思いますが、金額的に厳しい場合、グラスウールか吹き付けの二択になると思います。
となった時に、グラスウールと吹き付けだったらどちらの方がいいのかという話ですが、正直両方ともきちんと丁寧に施工してもらう前提なのであれば、吹き付けの方がいいと思います。
吹き付けも結局のところ発泡系の断熱材なので、断熱性能が高いのです。
解体費用が通常よりもかかりやすいというのはありますが、解体しなければいい話なので一旦置いておいて、純粋な建物の性能だけで言えば、しっかりと丁寧につくり込めば吹き付けの方が圧倒的に体感値はいいです。
グラスウールもきちんと縁の部分を埋められるように施工されていればいいのですが、それは難しいので、希望は薄いかなと思います。
やはり家づくりをするにあたって、どういうつくり方になっているのか、デメリット部分をいかにして補っていくのかという考え方が重要だと思っています。
基本的に、ハウスメーカーは量産型住宅をつくっているので、平均点80点取れればいいという形の家づくりになっています。
これはクオリティ重視ではなく、とにかく量をつくること前提の家づくりなので、平均点80点でハウスメーカー的には悪くないわけです。
これをなるべく100点に近づけたいというのは、こちら側のエゴに近いものなので、現状を理解した上で、グラスウールが使われているのであれば、どうやってそのデメリット部分、足りない部分を補っていくのか、そしてよりよいもの、満足ができるものをつくり上げていくのか、そういう考え方が必要になるということです。
グラスウールが使われているから悲観的になるのではなく、丁寧に施工してもらう、あとは断熱材を入れる時に一緒に工事現場に行ってサーモグラフィーを当てて縁まで埋まっているかどうか現場の職人さんとコミュニケーションを取りながら一緒に確認するなど、やりようはあるわけです。
あとは断熱材を単純に分厚く入れて層を重ねていくということも部分的にはできると思うので、そういう調整をしてみるなど、現状のスタート地点をきちんと把握した上で、どうしたらその差分を埋められるのかを考えること、これが一番重要だと思います。
それを言ったら、吹き付け系は吹き付け系で問題はありますし、発泡系は発泡系で、コストが高い、職人さんがそもそも使えないといった問題があります。
断熱材の性能だけで言ったら圧倒的に発泡系がいいですが、それにもデメリットがあるので、やはりデメリットを把握して差分を埋めていくという考え方をしていただきたいです。
その考え方ができれば、グラスウールでもいい家づくりができるとは思います。
自分たちでハウスメーカーを探す時、これはグラスウールが使われているハウスメーカー、こちらは発泡系が使われているハウスメーカーという感じで調べていただき、その上でメーカー選びをしていく、そして実際に現場を見に行って体感するというのが一番いいと思います。
真っ当なハウスメーカー、工務店は、ホームページにしっかりと自社の構造はこうなっていますという構造躯体の断面が画像で載っています。
載っていないところは自信がないところ、という傾向があるわけです。
ネットで十分調べられるので、とにかく発泡スチロールの塊のようなものが壁に入っている、それを売りにしているハウスメーカーや工務店を見つけたら一つ候補にして、実際に体感してください。
グラスウールはグラスウールで、大手のハウスメーカーに行けば大体体感できるので、発泡系とのギャップを感じてもらい、ギャップがわかった後でその差分を埋めるということを考えて家づくりをしていただければ、満足度の高い家がつくれると思います。
皆さんもそのように家づくりを進めていただければと思います。
グラスウールの断熱性能のまとめ
今回は『グラスウールの断熱性能』ということでお話をさせていただきました。
どこのメーカーにも肩入れしていない、忖度のない私個人の意見になります。
一つ参考にしていただければと思います。
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