今回は、大手ハウスメーカー10社の値引き傾向と注意点について解説します。
近年では、インターネット上に「このハウスメーカーでここまで値引きしてもらった」「値引きを引き出すにはこうした方が良い」といった体験談が数多く出回っています。
注文住宅は一生に一度の大きな買い物ですから、できるだけ安く、しかも品質の高い家を、気に入ったメーカーで建てたいという気持ちはよく分かります。実際、私も住宅営業マンをしていた頃に、
- 「できるだけ安くしてほしい」
- 「でも質の高い家を建てたいし、できれば気に入ったハウスメーカーで建てたい」
といったお客様の声を、本当に何度も耳にしてきました。

さらに、私自身も最近ようやく念願のマイホームを建てましたが、やはり同じクオリティや同じ規模感であれば、少しでも安く建てられる方が良いと強く感じました。
ただ、住宅営業を経験し、さらに多くのハウスメーカーの営業担当者から裏話を直接聞いてきた立場からすると、「インターネットに出回っている値引き情報はかなり的外れなものも多い」というのが正直な印象です。
そこで今回は、『大手ハウスメーカー10社の値引き傾向と3つの注意点』を詳しく解説していきます。
値引きを前提にハウスメーカーを選んでしまうと、契約後の打ち合わせで「最終的にいくらになるのか」という不安を抱え続けることになります。短くても3ヶ月、長ければ半年以上、その状態が続くのは想像以上に大きな負担です。これは決して大げさではなく、実際に起こり得ることなのです。
そのため、本来は値引きだけで判断するのはおすすめできません。しかし一方で、今は物価上昇が著しい時代であり、住宅に無限に資金を投じられる家庭は多くありません。だからこそ、次のような方はぜひ最後までご覧いただきたいと思います。
- これから注文住宅を建てるために動き始める
- ハウスメーカー各社がどのくらいの金額帯なのか気になる
- 値引きを加味した上でハウスメーカー選びをしたい
大手ハウスメーカー各社は地域によって価格や利益率が異なる
大手ハウスメーカーの値引き事情についてお伝えする前に、まず押さえておくべき重要な前提があります。
それは、大手ハウスメーカー各社は『建築する地域や商品によって価格や利益率を調整している』ということです。つまり、同じハウスメーカーであっても、建てる場所や選ぶ商品によって提示される金額が変わるのは珍しいことではありません。

これがどういうことかは、具体例を挙げた方がわかりやすいと思います。


たとえば、厚生労働省が公表している『令和3年 賃金構造基本統計調査』を基にした都道府県別の年収ランキングを見てみると、地域ごとに平均収入に大きな差があることがわかります。
確かに近年は在宅ワークを導入する企業も増えていますので、必ずしもすべての人がこの統計に当てはまるわけではありません。とはいえ、公務員のように地域に根ざした働き方をしている人も多く、このデータは社会全体の状況を比較的正確に反映しているといえるでしょう。つまり、住んでいる地域によって収入に大きな違いがあるということです。
そのため、ハウスメーカー側も地域ごとの所得水準に合わせて価格や利益率を調整しています。考えてみればごく自然なことですよね。
東京都と同じ価格設定で青森県で商品を販売したとしたら、収入水準の違いから売れにくくなるのは明らかです。

関東で500万の内装材が関西では300万に
これを分かりやすくするために、実際にあった具体的な事例をご紹介します。 ある方が、とあるハウスメーカーで「漆喰の塗り壁材」を採用しようとしたところ、関東での見積もりは500万円でした。

確かにこれだけでもかなり高額に感じますよね。そこで、同じ種類・同じ面積・同じ時期に、今度は関西で見積もりを依頼してみたところ、なんと金額は300万円という結果になったのです。

地域が違うだけで200万円もの差が出るわけですから、私自身もかなり驚きました。 とはいえ、これこそが地域ごとに価格差が生じる実例であり、新しく家を建てる場所によって金額が変わるのは避けられない現実です。しかも、同じハウスメーカー・同じ商品であっても建築する地域によって価格差が出るのは当然のことで、これは特定のメーカーに限らず、どのハウスメーカーにも共通して見られる仕組みなのです。

インターネットの値引き率の情報はアテにならない
そしてこの話を通じて私は何を伝えたかったのかというと、それは『今出ているインターネットの値引き率の情報は基本的にはアテにならない』ということです。

なぜかというと、先ほどお伝えしたように、ハウスメーカーは地域ごとに価格や利益率を変えています。さらに、近年は物価上昇の影響で各社が値上げを進めており、加えて「そもそも値引きの文化をなくそう」という動きまで出てきています。
こうした背景から、値引きの上限額は常に変動しているのが現状なのです。

つまり、「このハウスメーカーなら◯%値引きできる」といったインターネット上の情報は、変化の激しい今の状況ではほとんど意味を持たないということです。言い換えれば、すでに『古い情報』なのです。
もちろん、実際にハウスメーカーと交渉して値引きを引き出した人の体験談など、一時情報を参考にすること自体は悪くありません。ただし、あくまで目安程度にとどめるべきで、「インターネットで◯%値引きできると見ましたが、同じようにしてもらえませんか?」と伝えたところで、追加の値引き材料になる可能性はほとんどないのです。

値引きに関する情報は、あくまで個人の体験談にすぎません。参考にするのは良いですが、「このハウスメーカーなら◯%値引きできる」といった情報を鵜呑みにしない方が賢明です。
こうした話をすると、「それはハウスメーカー寄りの意見だろう」とか、「結局どのハウスメーカーが具体的にいくら値引きしてくれるのか教えてほしい」と思われる方もいるでしょう。確かに、この説明だけでは納得感が足りないかもしれません。
実際、私のところには全国各地で家を建てようとしている方から「資金計画書を見てください」という依頼が届きます。そのため、各ハウスメーカーのおおまかな値引き傾向は把握しています。ただし、それが常に正しいとは限りません。なぜなら、私は現在どこかのハウスメーカーに属しているわけではないからです。
そこで私が開示できるのは、あくまで「ざっくりとした値引きの傾向」にとどまります。ただし参考にはなると思いますので、ぜひハウスメーカー選びに役立てていただければと思います。
大手ハウスメーカー10社の値引き傾向
ここでは、大手ハウスメーカー10社の値引き傾向について4つのパターンに分けて紹介します。どうしても抽象的な話になってしまいますが、読み進めながら「なるほど、そういう傾向があるんだな」とイメージしていただければと思います。
【ほぼ値引きしない】一条工務店
まず「ほとんど値引きしない」ハウスメーカーとして挙げられるのが、一条工務店です。現状、このカテゴリに該当するのは一条工務店のみといって良いでしょう。

一条工務店では、誰かから営業担当者の紹介を受けて展示場を訪れると、カップボードなど20〜30万円程度の設備がプレゼントされる仕組みがあります。さらに、あまり知られていませんが、一部の紹介ルートを通すことで本体価格の3%が割引されるケースも存在します。

ただし、その割引を利用すると営業担当者の実績が通常の半分しか加算されないため、担当者のモチベーションが下がってしまうというデメリットもあるようです。
一条工務店はこうした特殊な条件があるものの、本体価格の3%割引はやはり大きなメリットといえます。近年では一条工務店に限らず、他のハウスメーカーでも「紹介を受けてから展示場に行く」という流れが一般的になりつつあると感じます。

実際に私が紹介を出す際には、小細工をせず最初から限界値引きの状態で見積もりを提示してもらえるよう、営業担当者に根回しをしていたりします。
【少しだけ値引き】積水ハウス
次にご紹介する「少しだけ値引きする」ハウスメーカーが積水ハウスです。

一条工務店のような特殊な割引制度を除いて考えると、積水ハウスは現状では業界の中で最も値引き幅が小さいハウスメーカーといえます。
さらに、近年では一部の地域で値引き自体を廃止する動きも出てきています。そのため、積水ハウスを検討する際は、むしろ「まだ値引きがあるだけでもラッキー」と考えておく方が現実的でしょう。
【そこそこ値引き】ヘーベルハウス・パナソニックホームズ
続いて、「そこそこ値引きする」傾向があるのが、「ヘーベルハウス」と「パナソニックホームズ」です。

この2社はほぼ同じくらいの値引き率で、金額的にも多すぎず少なすぎず、業界全体で見れば「標準的」といった印象です。
ただし、近年ではヘーベルハウスが値引き額を縮小する動きを見せています。その流れを踏まえると、積水ハウスと同じように時間をかけて徐々に「値引きが少ないハウスメーカー」になり、最終的には「ほとんど値引きをしないハウスメーカー」に近づいていく可能性が高いと考えられます。
【結構値引き】三井ホーム、住友林業、ダイワハウス、セキスイハイム、ミサワホーム、トヨタホーム
最後に「おぉ、結構値引きしてくれるな」と感じるのが、次の6つのハウスメーカーです。
- 三井ホーム
- 住友林業
- ダイワハウス
- セキスイハイム
- ミサワホーム
- トヨタホーム

ただし、三井ホームの「セレクトフリー」や「FC」、ミサワホームの「スマートスタイル」といった商品は、もともと価格設定が抑えられている分、利益も薄いため大きな値引きはあまり期待できません。そのため、同じハウスメーカーでも商品によって値引きの幅は大きく変わることになります。
とはいえ、これらのハウスメーカーは比較的値引き幅が大きい傾向にあると考えて良いでしょう。あくまで「そういう傾向があるんだな」という程度で受け止めていただければと思います。
- 三井ホーム
- 住友林業
- ダイワハウス
- セキスイハイム
- ミサワホーム
- トヨタホーム
大手ハウスメーカー各社の値引き傾向まとめ

大手ハウスメーカー各社の値引き傾向をまとめると、次のようになります。
- まったく値引きしないハウスメーカー:一条工務店
- 少しだけ値引きするハウスメーカー:積水ハウス
- そこそこ値引きするハウスメーカー:ヘーベルハウス、パナソニックホームズ
- 結構値引きするメーカー:三井ホーム、住友林業、ダイワハウス、セキスイハイム、ミサワホーム、トヨタホーム
以上が大まかな区分けにはなりますが、大手ハウスメーカーにおける値引き傾向といえるでしょう。
大手ハウスメーカーの値引き率が変わる2つの要因
ここまでで、ハウスメーカーごとの値引き傾向や地域や商品による違いは理解いただけたと思います。では次に、「その上でどうやって値引きを引き出すのか?」という疑問が出てくるでしょう。
実はこの点もかなり抽象的で、値引き額は大きく次の2つの要因によって左右されます。それが、次のこの2つです。
- 「契約する時期がいつなのか」
- 「営業担当者が誰なのか」

- なぜ営業担当者によって値引き額が変わるのか」
- 「なぜ契約時期によって値引き額が変わるのか」
この2点を順に解説していきます。さらにその後に、「大幅な値引きを狙う際に絶対やってはいけないこと」についても解説します。
営業担当者によって値引き額は変わる
まず、「なぜ営業担当者によって値引き金額が変わるのか」ですが、理由はシンプルで、その営業担当者の社内での立ち位置によって、許される裁量の範囲が変わるからです。

たとえば、皆さんの職場でも思い当たることがあると思います。
ある人は上司に多少タメ口をきいても雰囲気的に許されるのに、別の人だと絶対に許されない。あるいは、事務作業の書類チェックでも、ある人の書類はノールックで通るのに、別の人の書類は細かい部分まで厳しく確認される。
このような違いを感じた経験はないでしょうか?
なぜある人は許され、ある人は許されないのか。その違いはシンプルで「社内でどれだけ信頼されているか」によって周囲の対応が変わるからです。
考えてみてください。自分がまったく信頼していない人からタメ口で話しかけられたら、「なんだこいつ」と思いますよね。また、信頼できない人の仕事はミスが潜んでいるかもしれないので、周囲は不安になり、細かく厳しくチェックせざるを得ません。
注文住宅における値引きも同じ仕組みです。社内で信頼を得ている営業担当者なら、多少の無理も通りやすく、結果的に値引きが許されやすいのです。 さらに、そうした営業担当者は社外からも信頼を得ていることが多いため、キッチンメーカーや給排水工事業者、外構業者などの協力会社も積極的に協力してくれて、コストダウンにつながるケースもあるのです。

だからこそ、値引きを引き出す上で重要なのは「営業担当者が誰なのか」という点です。社内外から信頼されている営業担当者が担当にならなければ、期待するような大きな値引きはなかなか得られないというのが現実なのです。
契約時期によって値引き額が変わる
契約時期によって値引き額が変わる理由についても触れておきます。それは、「営業担当者が所属する支店の業績が悪い時に限り、例外的に大きな値引きが出る可能性がある」という点です。
背景には、住宅業界全体が少子高齢化や物価高騰の影響で需要が落ち込み、斜陽産業化している現実があります。そのため、どうしても業績が振るわない支店が出てきてしまうのです。
そうした支店は利益率が低くても「まずは1棟でも契約を取りたい」と考えるため、普段ではあり得ないような大きな値引きをして契約を取りに行くことがあります。0棟と1棟では結果が大きく異なりますから、多少の無理をしてでも1棟を確保しようとするわけです。
ただし、これを聞くと「じゃあ業績の悪い支店を狙えばお得じゃないか」と思うかもしれませんが、実際にはそう簡単ではありません。なぜなら、そこには大きく2つのネックがあるからです。
業績の悪い支店は外から判断不可能

1つ目のネックは、「業績の悪い支店を外部から見分けることは不可能」という点です。
当然ですが、そのハウスメーカーに勤務していない限り、どの支店が好調でどの支店が不調なのかを知ることはできません。しかも、そのタイミングを狙って契約を結ぶなんていうのは、外部の人間には到底不可能です。
実際に多くのハウスメーカーとつながりを持つ私でさえ、正確に判断することはできません。これが「業績の悪い支店と契約して大幅な値引きを狙う際の」最初の大きなネックになります。
交換条件として着工期限を提示される

2つ目のネックは、「業績の悪い支店との契約では、値引きの交換条件として着工期限が設けられることが多い」という点です。
そもそも住宅は、家が完成して初めてハウスメーカーに利益が入る仕組みになっています。極端にいえば、工事が完了しない限り社員に給料も払えないわけです。そう考えると、業績の悪い支店が「一刻も早く着工して利益を回収したい」と思うのは当然ですよね。

そのため、契約時に「◯月までに着工してください」といった条件を突き付けられるケースがよくあります。

確かに、これは大幅な値引きを得られるメリットがありますが、その一方で打ち合わせ期間が短くなり、結果として次のようなリスクが発生します。
- 打ち合わせ内容の抜け漏れが生じやすい
- 検討が浅く、大雑把な決定になってしまう
こうした状況は後々トラブルの原因になりやすく、決して望ましいとはいえません。
もちろん、中には「とにかく大きな値引きを優先したい」という人もいるでしょう。その場合は、一度立ち止まって想像してみてください。人生を左右する一生に一度の買い物である住宅を、限られた数時間の打ち合わせだけで本当に決め切れるのかということです。
「それでも大丈夫」と言える方であれば着工期限付きの契約に応じるのも一つの選択肢ですが、「そこまでは不安」と感じる方は、どれほど大きな値引き条件を提示されても受け入れない方が無難でしょう。
つまり、
- 外部からはどの支店の業績が悪いのか判断できない
- 値引きの代わりに着工期限を課されるリスクがある
この2点を踏まえると、「業績の悪い支店と契約した方が得か?」と聞かれれば、必ずしもそうとは言えないのです。 ここまでが、値引き額が変わる2つの要因についてのまとめです。

大手ハウスメーカーで大幅な値引きを獲得する上での3つの注意点

ここまで読んでくださった方の中には、「じゃあ結局どうすれば良いの?」と思われている方も多いでしょう。
先ほども触れたように、私から紹介を出す場合は小細工なしで最初から限界値引きの見積もりを提示してもらえるよう営業担当に根回しをしたり、ハウスメーカーによっては社員割引に近い条件で値引きをしてもらえるように調整したりしています。
ただし、この記事を読んでいる方の中には、すでに担当営業者が決まっているというケースもあるはずです。その場合は、これからお伝えする「大幅な値引きを獲得する上でやってはいけないこと3つ」をしっかり意識しながら商談を進めるしかありません。
では、その「やってはいけないこと3つ」とは何か。
- 取り敢えず競合させる
- とにかく早く見積もりを出すように要求をする
- 本体の値引きにこだわらない

以上の3つです。「え、本当に?」と感じる方もいるかもしれませんが、これは住宅業界ならではの特殊な事情によるものです。では、それぞれがどういうことなのか、順に説明していきます。
注意点1:とりあえず競合させる
一つ目の「大幅な値引きを獲得する上でやってはいけないこと」は、『とりあえず競合させる』ことです。一般的には「複数のハウスメーカーに相見積もりを取って競合させれば、大幅な値引きが期待できる」と考えがちですよね。

たとえば、「A社が300万円値引きしてくれたから、B社も同じく300万円引いてほしい」と交渉するイメージを持つ方も多いでしょう。確かに気持ちは理解できますし、値引き交渉の材料をそろえるという意味では相見積もりは一見有効に思えます。
しかし、住宅の場合は必ずしもそのパターンが通用するわけではありません。なぜなら、ハウスメーカーごとに値引き率の上限が違うからです。
先ほども解説したように、各社にはそれぞれの限界ラインがあります。
ほぼ値引きしない:
- 一条工務店
ちょっとだけ値引きする:
- 積水ハウス
そこそこ値引きする:
- ヘーベルハウス
- パナソニックホームズ
結構値引きする:
- 三井ホーム
- 住友林業
- ダイワハウス
- セキスイハイム
- ミサワホーム
- トヨタホーム

たとえば、ほぼ値引きをしない一条工務店と、比較的値引きする傾向にあるハウスメーカーで相見積もりを取ったとしましょう。当然、値引き幅の大きいハウスメーカーは300万〜400万円程度の値引きを提示してくれるかもしれません。ですが、その見積もりを材料にして一条工務店に同額の値引きを求めても、大幅に応じてもらえるわけではないのです。
つまり、「とりあえず競合させて相見積もりを取れば大幅な値引きが得られる」という考え方は誤りです。もし競合させるのであれば、同じくらいの値引き傾向を持つハウスメーカー同士でなければ意味がありません。そのため、「とりあえず競合させる」という行為は、大幅な値引きを目指す上でやってはいけないことの一つになるのです。
注意点2:とにかく早く見積もりを出すように要求する
「大幅な値引きを獲得する上でやってはいけないこと」の2つ目は、『とにかく早く見積もりを出してほしいと迫ること』です。
注文住宅を検討する方の中には、「このハウスメーカーの場合はいくら?」「あのハウスメーカーの場合はいくら?」と、結論を急いで金額を知りたがるタイプの方がいます。私自身もせっかちな性格なので気持ちはよくわかりますし、早く目安を見て建てられるかどうか判断したいというのは当然です。
ですが、注文住宅は部品や仕様の数が多く、正確な見積もりにはどうしても時間がかかります。そのため、すぐに出せと言われても不可能に近いのです。それにもかかわらず急かされると、営業担当者は次のように考えてしまいます。
- 契約につながるかわからない案件に時間を割きたくない
- 関係業者に正確な見積もりを依頼する時間が取れない
結果として、どうしても適当な見積もりになってしまうのです。そんな見積もりでは「いくら値引きできる」といった正確な交渉材料にはならず、営業担当者からも真剣に相手にされなくなってしまいます。 つまり、大幅な値引きを得たいなら「とにかく早く出してほしい」と急かすのは逆効果です。腰を据えて丁寧に打ち合わせを重ねながら、精度の高い見積もりを作り上げていくことが、結果的に大きな値引きを引き出す近道になるのです。
注意点3:本体の値引きにこだわらない
最後の「大幅な値引きを獲得する上でやってはいけないこと」は、『本体の値引きにこだわりすぎない』ことです。
多くの場合、ハウスメーカーの見積もりには「本体価格から◯%値引き」という形で割引が記載されます。しかし、それとは別に「設備や仕様をプレゼントします」という形で値引きに相当する提案を受けることも少なくありません。 たとえば、一条工務店では「カップボードのプレゼント」、

住友林業では「ウッドタイルのプレゼント」といった特典がその代表例です。

実はこの「設備プレゼント」という形は、本体価格の値引きよりもハウスメーカー側にとってハードルが低いのです。理由はシンプルで、ハウスメーカーにとっては原価分の損失だけで済むからです。もう少し具体的に説明しましょう。
たとえば、ある設備Aが20万円で、その内訳が原価15万円・利益5万円だったとします。この設備を「プレゼントします」となった場合、ハウスメーカーの損失は原価の15万円にとどまります。 ところが、見積もり上では20万円分が値引きされた形で表記されるため、お客様からすると「20万円分得した」と見えるわけです。

つまり、建物本体価格から20万円を値引きする場合と、20万円分の設備をプレゼントする場合では、表面上は同じ値引きでもハウスメーカー側にとっての負担はまったく違うということです。
そのため、できる限り値引きを引き出したいのであれば「本体価格の値引き」に固執せず、最後に「この設備の分もどうにかなりませんか?」と交渉してみるのが効果的です。意外とすんなり応じてもらえるケースも少なくありません。
まとめ
ここまでのお話を整理すると、「大幅な値引きを獲得する上でやってはいけないこと」は次の3つです。
- とりあえず競合させる
- とにかく早く見積もりを出すように要求をする
- 本体の値引きにこだわらない

ハウスメーカーの値引き文化は非常に特殊で、その仕組みゆえに不公平さが目立ち、今の時代にそぐわないと感じる部分もあります。とはいえ、今回お伝えした内容を参考にしていただければ、より冷静に、そして納得のいく形でハウスメーカー選びを進められるはずです。
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