今回は『後悔しない!ハウスメーカーの選び方のポイント』ということで、そもそも論として、どうやってハウスメーカーを選んでいけばいいのか、この部分を解説していこうと思います。
というのも、世の中にはハウスメーカーが山ほどあって、住宅メーカーや工務店も合わせると、国内に約3万5,000社くらいあると言われています。
それを1つ1つ見て周るというのは現実的ではないですし、最初からある程度絞った状態でハウスメーカーを検討した方がいいと思います。
ですので、今回は『後悔しない!ハウスメーカーの選び方のポイント』ということで、具体的なハウスメーカーの選び方についてお話をしていきます。
この記事を最後まで読んでいただければ、業界の構造そのものが理解できると思いますし、自分達がどのハウスメーカーにするべきなのかが何となく見えてきます。
余計なことに悩まず、効果効率的にハウスメーカー選びをしたい方はぜひ最後までご覧ください。
選び方のポイント:お金の流れに着目
まずハウスメーカー選びをする時というのは、全体像を把握するために『お金の流れに着目すること』が重要です。
そしてそこに着目することで、そのハウスメーカーがどのようなスタンスで家づくりをしているのかが見えてくるようになるのです。
ではこれが一体どういうことなのか、大枠から説明していきます。
ハウスメーカーの分類
そもそもハウスメーカーというのは先ほどもお伝えしたように、日本にたくさん存在するわけですが、大きく2つにしか分類できないのです。
では、その2つとは何なのかというと、それが大手と非大手です。
大手ハウスメーカーとは
具体的にお伝えをすると、大手のハウスメーカーは
- 積水ハウス
- 住友林業
- ヘーベルハウス
- ダイワハウス
- 三井ホーム
- セキスイハイム
- パナソニックホームズ
- ミサワホーム
- トヨタホーム
この9社になります。
ハウスメーカーのことをよく知らない人でも、一度は耳にしたことのある企業ばかりかと思います。
CMでも時々観ますしね。
非大手ハウスメーカーとは
一方で、今お伝えした9社以外のメーカーが非大手という扱いになるわけです。
ただしここで「一条工務店やタマホーム、住友不動産なんかも会社の規模は大きいし、それなりに有名だけど、なんでこれらのハウスメーカーは大手じゃないんだ?」と思われる方もいると思います。
確かにその気持ちもわかるのですが、実は大手と非大手を隔てる大きな要素というのがあるのです。
「契約後の打ち合わせの長さ」の仕組みに違いあり
大手と非大手を隔てる大きな要素は『契約後の打ち合わせの長さ』です。
ハウスメーカーの収益構造
ハウスメーカーは、家が完成してはじめて企業側に全てのお金が入ってくるという収益構造なのです。
これはなんとなくイメージできますよね?
つまり何が言いたいのかというと、ハウスメーカーと契約した段階では、ハウスメーカー側の利益はゼロ円だということです。
それにも関わらず、契約後の打ち合わせを長くとってしまうと、人件費が大量にかかってしまい、場合によっては利益がプラスどころかマイナスになる可能性すらあるわけです。
そのため非大手のいわゆる薄利多売で企業運営している企業というのは、契約後の打ち合わせを短くする何かしらの仕組みが存在するのです。
一条工務店の場合
一条工務店には、一条ルールというのが存在します。
一条工務店はそもそも決まった間取りをベースに、そこから手を加えて家づくりをしていくようなスタイルが主流ですし、キッチンも一条工務店オリジナルのものしか入れられず、あとは床材も入れられる種類に限りがあります。
つまりそういった制限をかけることによって、契約後の打ち合わせを短縮する仕組みを作っているわけです。
アイ工務店の場合
あとはアイ工務店。
最近、ネットでやたらアイ工務店推しの人が増えたような気がしていますが、アイ工務店には「契約後の打ち合わせは3回までしかできない」というルールが存在します。
基本的に住宅の打ち合わせは1回3時間くらいなので、イメージ的には3時間×3回で、合計9時間で全ての仕様を決めることになるわけです。
また、場合によっては1回の打ち合わせの時間を5時間などにして、どうにかして3回で打ち合わせを終わらせるように進めることもあるようです。
どちらにせよ、かなりスピーディーですよね。
住友不動産などのハウスメーカーの場合
住友不動産などのハウスメーカーは、値引きを条件に着工期限を設けてきます。
例えば『今月契約してくれたら数100万円値引きします。だからその代わりにいついつまでに着工できるように打ち合わせを終わらせてください。』という感じの交渉が入るということです。
非大手ハウスメーカーが打ち合わせを短縮する仕組み
非大手のハウスメーカーが契約後の打ち合わせを短縮する仕組みは大きく分けると、
- 選択肢の幅を制限する
- 打ち合わせの回数制限を設ける
- 着工期限を設けて打ち合わせのお尻を決める
以上の3つがあるのです。
そしてこういった仕組みの上に企業が成り立っているわけなので、非大手のハウスメーカーで家を建てる場合は、基本的に『こだわった家づくりはできない』と思った方がいいです。
なぜなら、「時間がかかる契約後の打ち合わせを短縮し、数多くの家を多く建てること」これが薄利多売系のビジネスモデルを取っている非大手企業の目的だからです。
選び方のポイント:非大手ハウスメーカーの傾向
非大手のハウスメーカーで家づくりをするとどういう家づくりの傾向になるのか、これをわかりやすくお伝えをすると、例えるなら「好きな立地で建てられる、ちょっといい建売」のような家になるのです。
少し失礼かもしれませんが、正直これが一番伝わりやすい表現かなと思います。
ただしこの話をすると決まって、『そんなことない!』と反論してくる人がいますが、例えば住友不動産が展示場で建てている、このような感じの外観の家。
すごくカッコイイと私も思うのですが……今まで街中を歩いていて、このような感じの外観の家に出会ったことは1回もないのですよね。
私は、出張で全国各地を巡っていますし、職業柄、外に出かけると家ばかり見ているのですが……本当に見たことがありません。
要はそういうことで、考えてみればわかることではありますが、契約後の打ち合わせを短縮して棟数を多く建てること、これを目的に企業運営をしていれば、どうしても量産型の建売のような家づくりにしかならないのです。
ですので展示場に建っている建物は、あくまで客寄せのためのものであって、実際に建てている家との乖離が大きくあるわけです。
なるほどという感じではないですか?
「じゃあ、非大手で契約後の打ち合わせが長く取れるハウスメーカーってないの?」という話も出てくると思うのですが、あるにはあります。
しかし、そういったメーカーでの建築を私はおすすめしません。
なぜなら、契約後の打ち合わせを短縮していないなら、その他どこかしらにコストを圧縮しているからです。
では、そのどこかしらのコストはどこなのかというと、それが『材料の質』です。
一部のメーカーさんは「予算に合わせて家づくりをしますよ。」と言ってくれるのです。
それはすごく安心なことで、聞き心地のいい言葉ではあるのですが、言い換えれば、予算に合わせて建材の材質を変えますよと言われているということです。
そう考えると怖くないですか?
地震大国の日本で家を建てるわけなので、建物の強度は高い方がいいですし、家を購入した後のメンテナンス費用もかからない方がいいはずです。
ただ建てればいいだけの家づくりは、不安以外の何者でもないわけです。
ですので、私は非大手の企業で契約後の打ち合わせが長く取れるハウスメーカーはおすすめしていません。
だったら制限があっても高い質が担保されているメーカーで家づくりをした方が絶対にいいです。
選び方のポイント:大手ハウスメーカーの傾向
非大手ではなく大手はどういう傾向なのかというと、大手のハウスメーカーは正直高いです。
それがなぜかといったら、人件費がかかっているからという理由ではあるのですが、これは何もネガティブな理由ではないのです。
先ほどもお伝えしたように、注文住宅はしっかりと緻密に打ち合わせをしていくとなると、契約してからものすごい長い時間とものすごい労力が必要になるわけです。
具体的にお伝えをすると、大手では短くても3ヶ月、平均ですと4ヶ月くらい契約後の打ち合わせに時間を費やします。
しかも打ち合わせの回数制限はないのです。
ですので、実は結婚式の打ち合わせと同様に、打ち合わせしたものがちです。
そしてそういう仕組みの上で打ち合わせが進んでいくので、当然こだわった物件をつくりやすい環境が整っているのです。
実はこれと同じような仕組みで商品を製造販売しているのがルイ・ヴィトンです。
例えばルイ・ヴィトンと聞くと、成金ブランドというイメージが非常に強く、見た目だけで機能性は皆無のようなイメージがなんとなくあるかと思います。
しかし実際はそんなことはなくて、そもそも大前提として、ルイ・ヴィトンは極めて高い職人技術をもったブランドなのです。
彼らは職人を雇い、高いレベルの製品が作れるように、人材育成の制度まできっちり会社で用意して、クオリティの高い商品をハンドメイドで作っています。
そのため100年以上同じものを売り続けているけれど、未だに品薄になっている品番があるわけです。
本当はもっと早くたくさん製品を作りたいけれど、ハンドメイドで高いクオリティの製品が作れる職人を育成するのに時間と労力が必要、そのため、たくさん作れない。
粗製濫造(そせいらんぞう)をせず、製品のクオリティを徹底的に落とさないという姿勢がルイ・ヴィトンの在り方なわけです。
ですので実は、ルイ・ヴィトンにはアウトレット品が存在しません。
アウトレット品は、「少し失敗したけれど、廃棄するのはもったいないから値段を下げてお客さんに提供する」というのが基本的な考え方なのですが、ルイ・ヴィトンは製品として完璧なものだけを流通させて製品をコントロールすることで、ルイ・ヴィトンのプロダクトを守っているのです。
そのためルイ・ヴィトンにはアウトレット品が存在しないのです。
言われてみれば「確かに!」と思うと思いますし、こうやって聞くとルイ・ヴィトンの見え方が変わってきませんか?
ルイ・ヴィトンはただの成金ブランドではないのです。
そして大手のハウスメーカーもこれと同じで、良いものをじっくり作り上げていくという文化が存在します。
ですので建物のつくりに関しても、深く知れば知るほど高いなりの理由が見えてくるはずです。
ただしここで注意が必要なのが、大手のハウスメーカーはルイ・ヴィトンと100%同じ構造で成り立っているわけではないということです。
というのも大手のハウスメーカーは、あくまで良いものをじっくりつくり上げていくという環境が整っているだけであって、最終的には担当の営業マンや設計士のリテラシーによって家の出来が左右されるという側面を持ち合わせているからです。
ですので例えば誰が担当になるのかで建物の外観や内装が大きく変わりますし、最近では家の断熱性能や気密性能まで担当者によって大きく変わる時代になってきたのです。
この部分が大手のハウスメーカーとルイ・ヴィトンとの大きな違いですね。
そのため、「大手ハウスメーカーで検討しているから、誰が担当でも大丈夫」というわけではないので、この点はご注意ください。
少し話がそれましたが、とにかくここでお伝えをしたいのは、大手のハウスメーカーは非大手のハウスメーカーとは違い、こだわった家づくりができる環境が整っているということ、そして性能もデザインも全てを両立したい、そんな方におすすめなのが大手のハウスメーカーになってくるということです。
大手と非大手のメリット・デメリット
ここまでのことをいったんまとめようと思います。
まずハウスメーカーは業界にたくさん存在しますが、大きく分けると2つにしか分けることができず、それが大手と非大手だという話でした。
大手のメリット・デメリット
大手のハウスメーカーというのは
- 積水ハウス
- 住友林業
- ヘーベルハウス
- ダイワハウス
- 三井ホーム
- セキスイハイム
- パナソニックホームズ
- ミサワホーム
- トヨタホーム
この9社であり、大手で建てるメリットは、『こだわった家づくりができる環境が整っているということ』で、一方でデメリットは、『その分人件費が乗っているので高い傾向にある』ということでした。
非大手メリット・デメリット
また大手以外の非大手で建てる場合、メリットとしては、『価格が抑えられる』ということがあります。
ただし一方でデメリットとしては、『コストを抑えるための何かしらの工夫が存在するため、こだわった家づくりがしにくい環境にある』ということになります。
コストを抑えるための工夫を具体的にお伝えするなら
- 選択肢の幅を制限する
- 打ち合わせの回数制限を設ける
- 着工期限を設けて打ち合わせのお尻を決める
大きく分けると以上の3つのような仕組みがあり、諸々の制限がかかることになる、ということになります。
そして各ハウスメーカーは、こういったビジネスモデルの上で企業運営をしているため、そのビジネスモデルを壊すような例外的な対応はしません。
そうですよね?
非大手の薄利多売系のメーカーは、コストメリットを打ち出すためにわざわざ仕組みづくりをしているわけで、そこに反する行動をする人がいるなら、それは他のメーカーでやってくれという話にしかなりません。
非大手のハウスメーカーはそういう仕組みの上に成り立っているため、こだわった家づくりをしようとする文化そのものが会社にほぼないです。
ですのでやはり、業界全体から見た時の提案力の低さというのは顕著に出ます。
大手、非大手を選ぶポイント
大手ハウスメーカーの場合は、天地がひっくり返っても中堅・ローコストメーカーのような金額帯にはなりません。
人によっては当初想定していたよりも高い見積もりが出てきて、不信感を抱く人もいるようですが、これはもうビジネスの構造上、仕方ないのです。
お金の流れを考えると、そのハウスメーカーがどういうスタンスで家づくりに携わっているのかが何となく見えてくるわけです。
そしてこれまでお話してきたことを一言でまとめると、『この業界には安くて良いものは存在しない』ということになります。
厳しい現実かもしれませんが、これが事実です。
ですので皆さんは、制限があるのは許容して非大手にするのか、それとも価格が高いのを許容して大手にするのか、このどちらかを選ばなければいけないのです。
何度もお伝えをしますが、例外は存在しません。
もし仮にどちらも選ぶことができないという人は、正直マンションの購入を検討することをおすすめします。
後悔しない!ハウスメーカーの選び方のポイントのまとめ
今回は『後悔しないハウスメーカーの選び方のポイント』ということでお話をしてきました。
ハウスメーカーのお金の流れに着目することで、業界全体がだいぶクリアに見えてきたのではないかと思います。
ただし私の話を聞いて『大手ハウスメーカーはそんなに完璧ではない』『断熱性能や気密性能に関しては劣っている部分だってある』といった意見を持たれている方もいるのかなと思います。
確かにそれはその通りで、業界は今、まさに過渡期なのです。
ですので大手の中でも性能格差がえげつない状況になってきています。
これは事実なのです。
しかも、ここ数年で業界が目まぐるしく変化しているので、この流れについていけなくなってきている営業、設計士もものすごく存在します。
だからこそ、これから家を建てる人たちは、それをきちんと知った上でメーカー選びをしなければ後々後悔することになりますし、それだけではなく、きちんとした担当者をそろえなければ理想の家づくりができない時代になってきているわけです。
2023年2月現在では、積水ハウスとダイワハウスの木造しか新しい断熱気密仕様を出していませんが、個人的にはとにかく他のハウスメーカーも、新しい断熱気密仕様を出してほしいと思っています。
でないと本当にヤバイです!
更にこの業界は斜陽産業です。
そのため私が2年前から言っているように、もう個人営業ではなく、組織として営業をしていくという形にしなければ若手が育たないです。
また先ほどもお伝えしたように、時代の流れについてこれていない営業マンもとても多いので、今の時点で既に限られたごく一部の人だけで組織を回しているというような、そんな状況にもなりつつあります。
いろんな意味で今後業界が大きく変わっていくと思います。
皆さんも住宅業界が現在そのような状況であるということを理解した上でハウスメーカー選びをしてみてください。
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