今回は『要確認!大手ハウスメーカー坪単価ランキングの実態』というテーマでお話をしていこうと思います。
というのも、毎年住宅産業新聞というマニアックな新聞から『大手住宅メーカー・ランキング』というのが発表されます。
それを坪単価に換算した結果がこちらです。
- 第9位 ヤマダホームズ 坪単価69.48万円
- 第8位 ミサワホーム 坪単価92.88万円
- 第7位 セキスイハイム 坪単価94.88万円
- 第6位 ダイワハウス 坪単価103.32万円
- 第5位 パナソニックホームズ 坪単価103.55万円
- 第4位 積水ハウス 坪単価111.16万円
- 第3位 住友林業 坪単価111.73万円
- 第2位 旭化成ホームズ 坪単価118.57万円
- 第1位 三井ホーム 118.58万円
この結果だけ見ると「あぁ、このくらいの金額で建てられるんだ」と思ってしまいがちですが、この結果はいつも現場の感覚とズレがあるのです。
何も知らない人が時々ネットでこの情報を拡散するのですが、実態に即していないことが多いので、正直鵜呑みにしてほしくないのです。
鵜呑みにしてしまうと、金額が金額だけに疑心暗鬼になってしまって「ネットに書かれていることと違う!」「ぼったくられてる」と思ってしまうのです。
本来楽しい家づくりのはずが、不安と疑念に満ち溢れた家づくりに変わってしまいます。
そういうのが嫌で、私は毎年年始に独自で集計した坪単価ランキングを発信しているわけですが、今回はせっかくなので、『大手ハウスメーカー坪単価ランキングの実態』についてお話をしていこうと思います。
正確な情報を元に各ハウスメーカーを検討したいという方はぜひとも最後までご覧ください。
まかろにおが毎年年始に算出している坪単価ランキングもご覧ください。
【2024年最新】大手ハウスメーカー坪単価ランキング
坪単価の定義
まず話の本題に入る前に坪単価の定義をしっかりとお伝えして、目線合わせをしておきます。
坪単価というのは、建物価格のみの金額と建物の大きさを割って出した値になります。
ですので例えば、建物の価格が4,000万円で建物の大きさが40坪の場合、4,000÷40で坪単価100万円になるということです。
ただし、今計算に使った金額は建物のみの金額なので、それ以外に諸費用と、土地から購入する場合は土地の金額が加算される形になります。
ざっくりお伝えすると、今現在家を建てるなら、諸費用で約1,500万円、そしてそこに、必要な方には土地代がかかってくるイメージです。
ですので、価格2,000万円の土地に坪単価100万円で40坪の家を建てる場合、2,000万円+4,000万円+1,500万円という計算式になり、総額で7,500万円になるというのが今の時代の家づくりだということです。
ただこの話をすると決まって、「諸費用の内訳を教えろ!」「諸費用で1,500万円もかかるなんて信じられない!」と言われるのです。
例えば先ほどの例に出した2,000万円の土地を購入して家を建てた場合、
- 土地の仲介手数料 約73万円
- 外構費用 約300万円から800万円
- 建物の組み立て費用 約200万円
- 屋外給排水工事 約90万円
- 住宅ローンの保証料 約60万円〜80万円
- 地盤改良費用 約150万円〜200万円
- 火災保険料 約50万円
- カーテン、照明、エアコン、家具、家電 約500万円
ざっくりこのくらいかかるイメージです。
皆さんも計算してみたらわかりますが、普通に金額を積み上げていったら、諸費用は簡単に1,400万円を超えてくるのです。
もちろん、外構は最低限にする、家具家電は新調しない、照明はUFO型のシーリングファンにして価格を抑えるといったことをすればむりやり価格を抑えることはできますが、それも限界があるので、諸費用合計で1,000万円がいいところかなと思います。
3年くらい前でしたら、諸費用800万円くらいでもなんとかなっていたのですが……残念ながら今はそういう時代ではなくなってしまいました。
ということで少し耳が痛い話だったとは思いますが、事実として受け止めていただければと思います。
そしてここまででおそらく、坪単価に対する目線合わせができたと思うので、次の章から話の本題に入って解説していこうと思います。
坪単価ランキングの実態1:平均値である
まず、この坪単価ランキングの実態の1つ目は『平均値である』ということです。
そもそもハウスメーカーには『地域単価』というものが設定されています。
これはその都道府県の所得に応じて価格に傾斜がかけられているということで、例えばどこのハウスメーカーも東京は比較的価格が高めに設定されています。
一方で大変失礼な言い方かもしれませんが、青森、岩手、そういういわゆる「地方」と呼ばれるエリアは価格が低めに設定されているのです。
これを『地域単価』と言ったりするのですが、この特性上、平均を取ると当然、価格の高い都心の物件が平均を押し上げて、地方の物件が平均を下げることになります。
そのため例えば、旭化成ホームズ、要はヘーベルハウスのことですが、ヘーベルハウスが坪単価118.57万円というのは、実は実態とかなりかけ離れているのです。
具体的にはヘーベルハウスは、都心部を中心に展開しているハウスメーカーである都合上、1棟あたりの価格が高い物件が多いのです。
そのため自ずと平均値も上がってしまうわけですが、現場の感覚で言うと、ヘーベルハウスの坪単価は今、100万円〜105万円くらいです。
この時点で13万円近く坪単価が離れているのです。
現場の金額感と合っていないのです。
35坪の家で仮にランキング通りに坪単価118.57万円の場合、建物金額が約4,150万円になるわけですが、現場の感覚ですと、3,500万円〜3,675万円くらいの感覚で、約600万円開きがあります。
もちろん、ヘーベルハウスが必ず坪単価100万円〜105万円くらいで建てられるのかと言われればそれは違います。
よほど変なことをしない限りは、坪単価100万円〜105万円くらいでおさまりますが、自宅用のサウナをつくる、都心で多い二世帯や3階建を建てるとなってくると、坪単価120万円くらいはいくイメージです。
こういう背景もあって、平均値から算出されている大手住宅メーカー坪単価ランキングは意味がないわけです。
他にも三井ホームはこの前、本社に呼ばれていろいろ話を聞いてきたのですが、メインの商品のボリュームゾーンとしては2,000万円〜3,000万円台が42.3%、次に3,000万円〜4,000万円が35.8%となっているということでした。
ですのでおそらく、坪単価90万円くらいが三井ホームの中央値なのですが、私の感覚もそのくらいです。
三井ホームは東京だけですと、建物だけで坪単価120万円とか行くのですけどね。
あとは積水ハウスとパナソニックホームズ。
ランキングでは、積水ハウスが坪単価111.16万円でパナソニックホームズが坪単価103.55万円となっていますが、この2社に関しては安すぎです。
私の感覚値でいうと、積水ハウスは今、坪単価130万円、下手したら140万円くらいです。
地方でかつ建物の仕様を最底辺の安安仕様にしてようやく坪単価110万円かなというイメージですね。
パナソニックも似たような感じで、メインの東京や大阪などでは坪単価120万円くらい、メインのHS工法ではなく、価格を抑えられるフォルティナを選んで坪単価80万円〜85万円くらいかなという感じです。
だいぶ違いますよね?
ですので『平均値』は当てにならないのです。
これが問題点の1つ目になります。
坪単価ランキングの実態2:賃貸併用住宅や防火地域仕様の家も含まれている
そして2つ目が『賃貸併用住宅や防火地域仕様の家も含まれている』ということです。
これについても結論、賃貸併用住宅や防火地域仕様の家も含めて平均値を出しているので、実際の坪単価の値とは大きな乖離が発生してくるという話ですが、坪単価ランキングと聞くと、普通一般的な注文住宅のみのランキングだと思いますよね。
しかし、この大手住宅メーカー・ランキングは、賃貸併用住宅や防火地域仕様の家も含めて計算されているのです。
しかも都内ではかなりの数の賃貸併用住宅が入っているので、余計に坪単価が狂っていることが多いのです。
ですので恐らく、今回のランキングで住友林業は第3位になっています。
そして平均坪単価が111.73万円になっていますが、住友林業は実際は都心部で坪単価100万円〜105万円くらい、地方で坪単価90万円くらいで推移している状況です。
ですので住友林業の坪単価はヘーベルハウスとだいたい同じです。
また、よく比較対象になる積水ハウスと比較すると、価格に1,000万円くらい差があるイメージですが、要は何が言いたいのかというと、地方に住まわれている方は、思っているよりも安く住友林業で家づくりができるということです。
これが問題点の2つ目になります。
坪単価ランキングの実態3:坪数に大きく影響を受ける
そして最後に3つ目が『坪数に大きく影響を受ける』ということです。
これは算数の話になるのですが、割返す分母が小さければ小さい分だけ坪単価は上がりやすい傾向にあります。
具体例を出すと、例えば今回のこの表を見ると、6位のダイワハウスの平均床面積が43.65坪になっています。
そして坪単価が103.32万円になっているわけですが、ここからもわかる通り、43.65坪というかなり大きめな数値で割っているため、坪単価103.32万円という数字が出てきているのです。
実際のところ、今はダイワハウスの鉄骨商品xevoΣで坪単価95万円くらい、
木造の商品xevoGranWoodで坪単価120万円くらいです。
ですので、鉄骨を選べばこの坪単価ランキングとかなり近い数値になりますが、木造を選んだ瞬間、多分目玉が飛び出るくらい高い金額を提示されることになります。
それと同じ観点でこのランキングを見てみると、三井ホームは平均坪単価も平均床面積も数値が大きく出ているので、ここから予想できるのは一部の富裕層がとんでもなく平均を押し上げていて、ランキング1位になっているということです。
確か私が今年のはじめに出した坪単価ランキングでも三井ホームが1位でしたが、やはり中身を見てみると、三井ホームは金額が高い物件は高いですが、低い物件はかなり低いのです。
ですので、三井ホームの今回のランキングの順位もそれが影響しているんだろうなと思います。
あとは、積水ハウスは大阪などは強いのですが、実は東京が少し弱くて、意外と東京よりも地方の方が強かったりするのです。
そういう特性や、そもそも富裕層の方が積水ハウスを選ぶことが多いので、平均床面積が大きくなり、結果として坪単価が下がってしまっているのかなという印象です。
本当に積水ハウスは今、坪単価130万円、坪単価140万円は平気でいきます。
もちろん、地方でかつインスタグラムやYouTubeでみるようなオシャレな物件は、それなりに金額がかかっているのと、それ相応に優秀な営業担当者と優秀な設計士がついていると思っていただければと思います。
要確認!大手ハウスメーカー坪単価ランキングの実態のまとめ
今回お話した住宅産業新聞が出している大手住宅メーカー・ランキングは、
- 平均値である
- 賃貸併用住宅や防火地域仕様の家も含まれている
- 坪数に大きく影響を受ける
以上3つの問題点があるので、正直あまり参考になりませんよという話でした。
良くも悪くもかなりブレています。
では、実態に即した坪単価はだいたいどれくらいなんだという話だと思いますが、2023年7月現在で私の方でざっくりランキングを再構成するなら、
- 1位:積水ハウス 坪単価130万円〜坪単価140万円
- 2位:大和ハウス工業 木造 坪単価120万円〜坪単価125万円
- 3位:パナソニックホームズ HS工法 坪単価120万円
:トヨタホーム エスパシオ 坪単価120万円
- 5位:三井ホーム 坪単価90万円〜坪単価120万円
- 6位:大和ハウス工業 鉄骨 坪単価105万円
- 7位:旭化成ホームズ 坪単価100万円〜坪単価105万円
- 8位:住友林業 坪単価90万円〜坪単価105万円
- 9位:ミサワホーム 坪単価90万円〜坪単価95万円
- 10位:セキスイハイム 坪単価85万円〜坪単価95万円
- 11位:パナソニックホームズ フォルティナ 坪単価85万円
:トヨタホーム シンセ 坪単価85万円
このようなイメージかなと思います。
いつも年始に出している坪単価ランキングは、きちんと分析した上で出しているのですが、今お話しした坪単価は、あくまで私の感覚値になります。
私はメグリエというサービスを展開していて、そのことからも各大手ハウスメーカーの本社さんや現場の方とけっこうやりとりをします。
そういったこともあって、この辺りの感覚はそこそこ自信があり、大きくは外していない気がしています。
ただ、最終的には自分達が建てる家の大きさや仕様によって大きく変わるので、100%金額を当てるということはできないわけです。
ですので1つの指標として、これから家づくりをされる方は参考にしてみてください。
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