プロも失敗しがちな屋根の選び方ポイント5選(ルーフィング・屋根材・軒・形状・断熱)

プロも失敗しがちな屋根の選び方ポイント5選 はじめての注文住宅ノウハウ
この記事は約19分で読めます。

今回は『プロも失敗しがちな屋根の選び方ポイント5選』というテーマでお話をしていこうと思います。

最初に注意事項をお話しておきます。

もう既に着工中の方や家が完成間近の方は、この記事を見ない方がいいです。

それだけショックを受けるであろう内容が入っているからなのですが、本当に、嫌な気分になりたくない方はブラウザバック推奨です。

では、ここからは自己責任でお願いします。

皆さん、「有名なハウスメーカーで家を建てれば間違いない仕様のものを建ててくれる」心のどこかでそう思っていませんか?

屋根の選び方

確かに耐震性、耐火性はどこのハウスメーカーでもだいたい同じです。

特に大手のハウスメーカーならなおさらです。

ただし、その他の面はどうでしょうか?

断熱性能や気密性能は、メーカーによって性能差がとても開いています。

これはハウスメーカー各社の対応スピードの違いによるもので、恐らくですが、2025年から始まる建築物省エネ法の改正、これに間に合えばいいやくらいの感覚で、のんびり対応しているからだと思っています。

建築物省エネ法の改正に関しては話がどんどん脱線していくので、今回は詳細な説明を割愛します。

ただここで皆さんに伝えたかったのは、有名なハウスメーカーで家を建てれば間違いない仕様のものを建ててくれるというわけではないということです。

注意点
有名なハウスメーカーで家を建てれば間違いない仕様のものを建ててくれるというわけではない

そしてこれは、実は屋根に関してもそうなのです。

屋根

屋根は防水の観点からけっこう重要なのですが、こっそりグレードが下がっていたり、そもそもあまりいい素材が使われていなかったりというケースもあるのです。

ですので今回は、屋根選びのポイント5つをお伝えするとともに、解決策までお話をしていきます。

少しでも後悔をなくしたい方は、ぜひとも最後までご覧ください。

大手ハウスメーカーでの注文住宅購入を検討中で、どのメーカーに絞ったらよいか迷っている方は、30秒でわかる「まかろにおのハウスメーカー診断」をご利用ください。

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屋根の選び方ポイント1:ルーフィング

屋根の選び方ポイント1:ルーフィング

今回、皆さんに一番お伝えしたい部分が、このルーフィングのことになります。

ルーフィング

これによって建てる家の寿命が大きく変わると言っても過言ではないくらい重要なものなのです。

ではこれがどういうことなのか、大枠から説明していきます。

そもそも屋根というのは、一番下に野地板と呼ばれる構造用合板、その上にルーフィングと呼ばれるゴムマットのようなもの、そしてさらにその上に瓦などの屋根材が敷かれていて、合計3層構造になっているのです。

屋根は、一番下に構造用合板、その上にルーフィング、そしてさらにその上に瓦などの屋根材が敷かれていて3層構造になっている

選ぶ屋根材にもよるのですが、基本的に雨水はルーフィングと呼ばれるゴムマットのようなものが弾いてくれているのです。

雨水はルーフィングと呼ばれるゴムマットのようなものが弾いてくれている

つまり屋根材も重要なのですが、それよりも何よりもルーフィングの方がもっと大事なのです。

ここの素材が悪いと、例えばメンテナンスサイクルが増えて、その度にハウスメーカー側にメンテナンス費用という数百万円の課金をしなければならなくなるということなのです。

もうこの時点でなんとなく「あれ、ちょっとヤバいんじゃない?」と思ってきた方、そうなのです。

ヤバいのです。

5種類のルーフィング

では、何がどうヤバいのか、より具体的にお伝えするために、まずは簡単に世の中にある5種類のルーフィングを説明させてください。

アスファルトルーフィング

まず1つ目が『アスファルトルーフィング』です。

アスファルトルーフィング

これは価格が安く、性能も標準的で施工もしやすいことから、よく使われるルーフィングです。

耐用年数が10年ほどです。

改質アスファルトルーフィング

続いて2つ目が『改質アスファルトルーフィング』です。

改質アスファルトルーフィング

アスファルトルーフィングよりも多少高いのですが、耐用年数が20年~30年と、アスファルトルーフィングの倍、もしくは倍以上になります。

さらに止水性もぐんとアップしています。

 透湿ルーフィング

続いて3つ目が『透湿ルーフィング』です。

透湿ルーフィング

耐用年数は50年になります。

アスファルトルーフィングは防水性・止水性がありますが、湿気を外に逃がすことはできません。

そのため小屋裏の通気が悪いと、野地板や柱などが結露によって腐敗してしまうことがあります。

透湿ルーフィングを張ることで、野地板などの結露を防ぐことができます。

また、防水性にも優れているので非常にいいものになるのですが、価格も高く、通常のアスファルトルーフィングと比較をすると2倍以上の開きがあります。

遮熱ルーフィング

続いて4つ目が『遮熱ルーフィング』です。

遮熱ルーフィング

こちらも耐用年数は50年になります。

遮熱ルーフィングは透湿性能に加え、太陽からの熱を野地板から内部に伝えることを防ぐ遮熱効果のあるルーフィングです。

夏にとても暑くなる地域におすすめのルーフィングです。

室内の温度を2~3℃下げる効果があります。

マスタールーフィング

そして最後に5つ目が『マスタールーフィング』です。

マスタールーフィング

耐用年数はなんと驚異の60年。

経年劣化が起こりにくい素材でできた最強のルーフィングです。

もう少し具体的に説明すると、ルーフィングはアスファルト層と呼ばれる部分が酸化劣化することでもろくなるのですが、これを防止するためにアスファルト層と劣化防止層を2重でつくっているのです。

マスタールーフィングはアスファルト層と劣化防止層を2重でつくっている

それだけ入念に劣化対策をしているわけなので、他のルーフィングと比較した時に劣化のスピードが遅く、60年というとんでもない耐用年数を叩き出しているわけです。

防水性能の経年変化

このような感じでルーフィングには5つ

  • アスファルトルーフィング
  • 改質アスファルトルーフィング
  • 透湿ルーフィング
  • 遮熱ルーフィング
  • マスタールーフィング
ルーフィングの種類
・	アスファルトルーフィング
・	改質アスファルトルーフィング
・	透湿ルーフィング
・	遮熱ルーフィング
・	マスタールーフィング

これらがあるわけなのです。

一応その他にも

  • 粘着式ルーフィング
  • 不織布流ルーフィング

があるのですが、ハウスメーカーでは使われているところを見ないので、基本は今お伝えした5つという認識で問題ないかなと思います。

ハウスメーカーが使っているルーフィング

では、ハウスメーカーが一般的に使っているルーフィングはどれでしょうか?

皆さん、考えてみてください。

正解は、『アスファルトルーフィング』もしくは『改質アスファルトルーフィング』です。

ハウスメーカーが一般的に使っているルーフィングは『アスファルトルーフィング』もしくは『改質アスファルトルーフィング』

つまり、耐用年数が10年のものか、耐用年数が20年~30年のものが入っているのがほとんどだということです。

これ、個人的にはけっこう闇の部分だと思っていて、実はハウスメーカーによっては、商品名は違えど、耐用年数60年のルーフィングを入れることはできます。

ただし一方で、耐用年数60年のルーフィングを入れることができないハウスメーカーも存在するのです。

要はそれでメンテナンス費用という名前のサブスクリプションをやっているわけです。

もちろん、耐用年数の低いルーフィングはその分金額が安いです。

ルーフィングの耐用年数

ですので、目先の金額の安さを優先して耐用年数の低いルーフィングを入れるというのでもいいかもしれませんが、これを知った上で、自分でハウスメーカーとサブスクリプションを契約するのと、知らずにハウスメーカーとサブスクリプションを契約するのとでは、大きく結果が異なります。

これが今回一番伝えたかった部分で、今まであまり触れられてこなかった闇の部分になります。

家のメンテナンス費用はバカにならないので、家づくりをする際は、必ず検討しているハウスメーカーにルーフィングは何を使っているのか、また何を使えるのか、これを確認するようにしてください。

屋根の選び方ポイント2:屋根材

屋根の選び方ポイント2:屋根材

屋根材は大きく分けて

  • スレート瓦
  • ガルバリウム鋼板
屋根材の種類
・	スレート瓦
・	ガルバリウム鋼板
・	瓦

この3つがあるので、これら3つの性能をそれぞれ簡単に見ていきましょう。

こちらが簡単にまとめた表になります。

屋根材の性能をまとめた表

○、△、×の3種類で比較表を作ってみたのですが、スレート瓦が○1個、ガルバリウム鋼板が○2個、瓦が○3個といった感じです。

スレート瓦が○1個、ガルバリウム鋼板が○2個、瓦が○3個

このように見ると、トータルでは瓦が優れているというのがわかると思います。

ただこの表はあくまで屋根材単体にフォーカスした時のものであって、家全体のことを諸々考えると、ガルバリウム鋼板の屋根が一番なのです。

ではこれが一体どういうことなのか、ハウスメーカーの標準仕様で使われていることが多い屋根材をベースに、それぞれの屋根材のメリット、デメリットをしっかり見ていきましょう。

スレート瓦

まずは『スレート瓦』です。

スレート瓦

スレート瓦とは、セメントと繊維材料を高温高圧下で成型し、その上から塗装を施した屋根材です。

多くのハウスメーカーがこのスレート瓦を標準にしています。

つまり屋根材の種類を選ばなければ、ほとんどがこの屋根材になるということです。

具体的な商品名は『コロニアルグラッサ』というものになります。

ではこの『コロニアルグラッサ』のメリット・デメリットですが、3つあるので交互に順を追って説明していきます。

メンテナンスの手間が少ない

メリットの1つ目は、メンテナンスの手間が少ないということです。

スレート瓦のメリット
メンテナンスの手間が少ない

というのも、通常のスレート瓦はおよそ10年周期で塗り替えなどのメンテナンスが必要になります。

その度にメンテナンス費用が必要だったわけですが、コロニアルグラッサの場合は耐用年数が30年あるのです。

つまり、通常のスレート瓦に比べて3倍も長持ちするのです。

これだけ聞くと、「え、めちゃくちゃいいじゃん!」と思いますよね。

しかし、少し待ってください。

実はここに落とし穴が存在するのです。

10年ごとに部分補修が必要

その落とし穴が何なのかというと、それは耐用年数30年というのは10年ごとに部分補修をした前提の上、成り立っているということです。

コロニアルグラッサは10年ごとに部分補修を行って30年目に塗り替えを行ってください。

もう少し具体的に説明をします。

実は『コロニアルグラッサ』の販売元であるケイミューという会社からは、「コロニアルグラッサは10年ごとに部分補修を行ってください。そして30年目に塗り替えを行ってください。」というのがきっちり明記されているのです。

つまり確かに耐用年数は30年なのですが、定期的に部分補修というメンテナンスを行った上で30年もつ屋根材ですよ、ということなのです。

ですので例えば、「コロニアルグラッサなら30年間、ノーメンテナンスで問題ない」などと思っていると痛い目に遭うわけです。

手頃な価格で施工が可能

続いては2つ目のメリットは、手頃な価格で施工が可能ということです。

スレート瓦のメリット
手頃な価格で施工が可能

スレート屋根は一般的な屋根材です。

スレート瓦は一般的な屋根材

ですので、取り扱い可能な施工業者が多いのです。

このため、他の屋根材に比べて施工料が安くなります。

コスパが良いのは非常にうれしいですよね。

メンテナンスが必要

先ほどもお伝えしたとおり、なんだかんだでメンテナンスが必要なのが『コロニアルグラッサ』です。

ですので都度都度メンテナンス費用はかかってくるわけです。

しかも『コロニアルグラッサ』は、表面がザラザラゴツゴツしている特徴があるのです。

そのため、苔やカビが生えやすいという特徴も持ち合わせているのです。

コロニアルグラッサは表面がザラザラゴツゴツしているため苔やカビが生えやすい

そしてそれを放置しておくと、水分が瓦に吸収され、冬場や夜間に凍結と乾燥が繰り返し起こることでスレート瓦自体にヒビが入ってしまい、滑り落ちや反りが発生してくるのです。

特に反りまで起こってしまうと、水が構造体内部に浸水する可能性が大きくなります。

すると内部が腐りやすくなるため、早急なメンテナンスが必要なのです。

皆さんも街中を歩く時に、屋根に注目して歩いてみてください。

苔やカビだらけの屋根の家がけっこうあると思います。

メンテナンスを放置した結果、そうなっているのです。

ですので『コロニアルグラッサ』を選ぶなら、必ずメンテナンスは行ってください。

でないと、後々家の修繕費で膨大な費用を払うことになるかもしれません。

地震に強い

そして最後のメリットは、軽量なため地震に強いということです。

スレート瓦のメリット
軽量なため地震に強い

住宅の耐震性は家の重量が深く関わってきます。

ですので例えば、瓦よりもコロニアルグラッサの方が軽いので耐震性は有利ですし、コロニアルグラッサよりもガルバリウム鋼板の方が耐震性は有利です。

屋根材の耐震性比較

これだけ聞くと、ガルバリウム鋼板が一番いいのでコロニアルグラッサがかすんでしまうのですが、コロニアルグラッサの重さは、瓦屋根の約半分程度です。

コロニアルグラッサも非常に軽量なため、地震に強く、日本に適した屋根材と言えるのです。

屋根に立体感がなくなる

ただし、軽いがゆえのデメリットも存在します。

それがコロニアルグラッサは見た目が薄いので、どうしても屋根に立体感がなくなるということです。

スレート瓦のデメリット
見た目が薄いので屋根に立体感がなくなる

これは見た目を気にしないという人ならスルーしていいポイントなのですが、他の屋根材に比べるとどうしてもコロニアルグラッサは見た目がのペっとしてしまうのです。

コロニアルグラッサは見た目が薄いので、どうしても屋根に立体感がなくなる

ですので例えば、建物の外観で高級感を出したいなど、外観にこだわりをもっている方には不向きな屋根材と言えます。

ということでまとめると、コロニアルグラッサのメリットは

  • 通常のスレート瓦に比べて長持ちする
  • 価格が安い
  • 屋根材自体が薄いので耐震に有利

デメリットが

  • 10年ごとに部分補修は必要
  • 苔やカビが生えやすいのでメンテナンス費用がかかる
  • 見た目があまり良くない
スレート瓦のメリット・デメリット

これらがメリット・デメリットになります。

最初にお伝えしたとおり、このコロニアルグラッサという商品は、多くのハウスメーカーで標準仕様となっている屋根材です。

確かに安い屋根材ではありますが、今お話したメリット・デメリットはしっかりと念頭においた上で採用するかどうかを判断してください。

ガルバリウム鋼板

続いて『ガルバリウム鋼板』についてです。

ガルバリウム鋼板

ガルバリウム鋼板と聞くと、中にはトタン屋根を思い浮かべる人がいるのですが、同じ金属製の屋根でもガルバリウム鋼板の屋根は非常にオシャレです。

しかも触ってみないと金属らしさもわからないくらい精巧につくられているのです。

ちなみにハウスメーカーでよく使われているのは『ウッドピース』という商品名のガルバリウム鋼板の屋根です。

このガルバリウム鋼板の屋根ですが、こちらも先ほどと同様に、メリット・デメリットがそれぞれ3つあるので、交互に説明していきます。

耐久性が高い

メリットの1つ目は、耐久性が高いということです。

ガルバリウム鋼板のメリット
耐久性が高い

ガルバリウム鋼板は、犠牲防食機能とアルミの長期耐久性をあわせもっています。

ガルバリウム鋼板は、犠牲防食機能とアルミの長期耐久性をあわせもっている

そのため同じ金属屋根のトタン屋根に比べて、数倍の耐久性を誇るのが特徴です。

ちなみに「犠牲防食機能」とは、メッキに万一キズが発生し、素地の鉄が露出したとしても、キズの周囲の亜鉛が鉄より先に溶け出して電気化学的に保護する機能のことを言います。

簡単に言い換えると、要は鉄を腐食させないために、傷ができても勝手に直る塗装が施されているということです。

こういった屋根材自体に高い耐久性があることから、例えばスレート瓦とは違って使用地域制限というのもありません。

先ほども説明したとおり、スレート瓦は凍結と乾燥が繰り返されると、滑り落ちや反りが出てきてしまいます。

ですので、寒冷地ではほとんど使用されておらず、現に北海道では1棟も使用されていません。

一方で、ガルバリウム鋼板の屋根は、凍結と乾燥が繰り返されても金属なので関係ないのです。

ガルバリウム鋼板の屋根は、凍結と乾燥が繰り返されても金属なので関係ない

ですので、素材的に耐候性に優れているのです。

これがメリットの1つ目になります。

断熱性能が低い

断熱性能が低いというデメリットがあります。

ガルバリウム鋼板のデメリット
断熱性能が低い

瓦やスレート瓦などの屋根材には多少の断熱性能がありますが、ガルバリウム鋼板は金属であるため、素材自体に断熱性能がないのです。

ですのでこの場合、屋根自体の断熱材にしっかりと意識を向けなければならないですし、

場合によっては断熱材と一体化したガルバリウム鋼板屋根というのがあるので、それを選択する必要が出てきます。

とにかく、ガルバリウム鋼板の屋根は金属なので、選択する際は断熱性能に着目して、しっかり調べた上で採用することをおすすめします。

耐震性が高い

2つ目のメリットは、耐震性が高いということです。

ガルバリウム鋼板のメリット
耐震性か高い

ガルバリウム鋼板は、1~3㎜程度と非常に薄い金属素材でできています。

そのため、屋根材の中でもとても軽いのです。

では、屋根材が軽いとどんないいことがあるのかというと、それは建物にかかる荷重が減らせるのです。

例えばこちらをご覧ください。

少し極端な例にはなりますが、地震が起こった時に屋根が重いと画像のように上から押しつぶされたように建物は壊れてしまいます。

地震が起こった時に屋根が重いと上から押しつぶされたように建物は壊れてしまう

また、屋根が重いとそれに伴って補強工事も必要になります。

そのため、コスト面でもあまりよくないのです。

耐震性やコストを考えると、屋根は軽い方が有利なのです。

そう考えると、3種類の屋根材の中でガルバリウム鋼板は一番軽いので、耐震性が高いと言えるわけです。

屋根材の耐震性比較

これが2つ目のメリットです。

防音性能が低い

その反面、防音性能が低いというデメリットがあります。

ガルバリウム鋼板のデメリット
防音性能が低い

ガルバリウム鋼板は、軽いのはいいのですが、その分やはり音を伝えやすいです。

雨の音が少し響きやすいと言われていたりもしますし、

ガルバリウム鋼板は雨の音が少し響きやすい

夏場の暑い日は、屋根材の温度が上がるため、ぺこっと音が鳴るケースもあります。

ガルバリウム鋼板は夏場の暑い日に屋根材の温度が上がるため、ぺこっと音が鳴るケースもある

屋根自体の断熱材を厚くして遮音性を高めたり、あとはガルバリウム鋼板の屋根材に制音素材を入れたりする必要も出てきます。

対処方法
屋根材の断熱材を厚くする
屋根材に制音素材を入れる

こちらも金属素材であるがゆえに仕方のないことですが、住んでから「こんなはずじゃなかった」とならないようにご注意ください。

耐風性が高い

そして最後のメリットが耐風性です。

ガルバリウム鋼板のメリット
耐風性が高い

というのも、ガルバリウム鋼板の屋根は、1枚の大きな素材で屋根をつくるので、強風で飛ばされにくいのです。

ですので例えば、台風などでも他の屋根材に比べて飛ばされる可能性が少ないので、安心なのです。

それだけなのですが、これから生きていく中で何があるかわかりません。

少し昔に、強風で屋根が飛ばされるようなニュースが立て続けにあった記憶がありますが、そういったことがないようにするために、一応『耐風性』に関しても頭の隅にあった方がいいかもしれません。

ここまでの話を聞いて、「ガルバリウム鋼板の屋根って、なんとなくだけどいいな」と思われた方も多いかもしれません。

ただ最後に1つだけ、大きなデメリットがあるのでそれをお伝えさせてください。

サビる

そのデメリットとは、サビるということです。

ガルバリウム鋼板のデメリット
サビる

ガルバリウム鋼板の屋根は元々サビには強いですが、完全にサビないというわけではありません。

サビた屋根

例えば、

  • アンテナの支柱や支持線に発生したサビが雨垂れと共に付着した場合に起きる「もらいサビ現象」が起きた場合
  • 線路際や金属加工工場周辺の鉄粉が飛ぶ可能性のある地域で家を建てる場合
  • 海岸線などの塩害を受ける地域で家を建てる場合
もらいサビ現象
鉄粉が飛ぶ地域
塩害を受ける地域

これらの条件に合致する場所で家を建てる際は、ガルバリウム鋼板の屋根を選択するのは少し危険です。

「ガルバリウム鋼板だから大丈夫!」と思わずに、建てる土地に合わせて屋根材を選択してみてください。

まとめると、メリットが

  • 耐久性が高い
  • 耐震性が高い
  • 耐風性が高い

デメリットが

  • 断熱性能が低い
  • 防音性が低い
  • サビる
ガルバリウム鋼板のメリット・デメリット

これらがガルバリウム鋼板の屋根材のメリット・デメリットになります。

最後はについてです。

瓦

最近では瓦を採用する家が減ってきたので、選ばれる方は少ない印象ですが……正直、瓦は選ばなくていいかなというのが私の意見です。

というのも、瓦単体では確かにメンテナンスは必要ないのですが、先ほどお話したルーフィングの取り替えの際に、瓦も取り替えが発生してくるわけです。

ルーフィングの取り替えの際に、瓦も取り替えが発生してくる

そうするとメンテナンスにとんでもない金額がかかることになります。

さらに瓦を入れるとなった時点で構造躯体に補強工事が必要になって、追加で余分な料金が発生してきますし、屋根勾配もあまりいじれないので、水平ラインを強調した屋根にしたくてもできなかったりするのです。

さらにさらに、瓦は蓄熱材です。

そのため、夜になると瓦自体は蓄えた熱を放出して、輻射熱を発するのです。

瓦は蓄熱材のため、夜になると瓦自体は蓄えた熱を放出して、輻射熱を発する

もし仮に、自分の家が高気密高断熱の住宅ですと、瓦から発せられるその輻射熱を保温してしまうので、家の中の温度が上昇し、夜に家の中がものすごく暑くなるという現象を起こします。

そのため、今の時代瓦を選ぶメリットはあまりないのかなという感じです。

今お話したように、家の素材はそれ単体にフォーカスするのではなく、家全体を見て選ぶものなのです。

ですので、皆さんも総合的に判断しながら屋根材を選んでください。

屋根の選び方ポイント3:軒

屋根の選び方ポイント3:軒

というのは屋根の出っぱった部分のことで、これがあるかないかで建物の見た目はもちろんのこと、家の機能性が大きく変わってくることになります。

軒のある家

ですので、軒をどれくらい出すのか、または出せるのか、これを把握することで住まい方が大きく変わってくるのです。

例えば、軒を深くすることで、余計な日差しが入ってこなくなるので、夏場は家の中の温度が上昇することがなく、涼しく快適な空間をつくり上げることができます。

また軒が深いと窓に雨水がつかないので、窓ガラスが汚れにくくなります。

そのため、大開口の窓と深い軒は非常に相性がいいのです。

ですので、思っている以上に屋根の軒は重要で、軽視してはいけない部分なのです。

では反対に、軒のない家はどうなるのかというと、今お伝えしたこととは全て逆で、夏場は日差しがガンガン入ってくるのでものすごく部屋が暑くなります。

軒のない家は日差しが入ってくるので部屋が暑くなる

さらに外壁と屋根の境目は、異なる素材を接合して構成されているので、特に雨漏りしやすい部分となっているのですが、軒がない家は、その境目の部分に雨水が直接当たることで、雨漏りを起こす可能性がかなり高くなります。

また、窓ガラスに雨水が当たるので、思っている以上に速いスピードで窓が汚れてきますし、外壁同士を接合している目地にそのまま紫外線が当たることになるので、目地の劣化スピードが早くなります。

軒がないと窓ガラスに雨水が当たるのですぐに窓が汚れてくるし、紫外線が当たるので目地の劣化スピードも早くなる

これらのリスクはおおげさに言っているわけではなく、高い確率で起こることなので、軒がない家は私自身あまりおすすめしていません。

ただ「どうしても軒のない家がいい」「フラット屋根の外観が好き」という方は、屋根の勾配を内側に設けるという設計手法も存在します。

屋根の勾配を内側に設けるという設計手法

これをやれば外から見ればフラット屋根らしく見えますし、フラット屋根よりはリスクを軽減することができます。

あと、東京などの規制の厳しいところで建築する場合は、ひさしをつけて対処するという方法もあります。

ひさしを付けた家

とにかく軒のあるなしは本当に重要な要素なので、慎重に考えるようにしてください。

屋根の選び方ポイント4:屋根形状

屋根の選び方ポイント4:屋根形状

屋根形状はシンプルであればあるほど、メンテナンスがかからないのでいいです。

シンプルというのは、寄棟、切妻、片流れ、この辺りの屋根形状のことです。

寄棟、切妻、片流れ、この辺りの屋根形状

一方で極端な例にはなりますが、こういう複雑な形状の屋根は、とんでもなく施工が難しいですし、メンテナンスもめんどうになります。

複雑な形状の屋根

ですので「屋根形状はできるだけシンプルにする」これが鉄則になります。

また、屋根は建物の外観を決める非常に重要な要素でもあるのです。

そのため設計する時は、わりと速い段階で屋根の形状を決めます。

これがどういうことかというと、例えば屋根は服のようなものなのです。

ですので、何を選ぶかで家全体のだいたいのコーディネートが決まってくるイメージです。

屋根は服のようなものなので、何を選ぶかで家全体のコーディネートが決まってくるイメージ

メンテナンスがかからないような屋根づくりをするのも重要ですが、一方で、屋根の形状が建物のプロポーションのほとんどを決めると思っていただき、自分達はどういった屋根が好みなのか、この辺りは家族会議をしつつ、吟味していただければと思います。

屋根の選び方ポイント5:断熱

屋根の選び方ポイント5:断熱

最後は断熱です。

どんなにメンテナンスがかからないように屋根をつくっても、どんなに見た目のいい屋根をつくっても、最終的に住み心地が悪かったら意味がありません。

ですので最後は、どんな断熱仕様になっていて、どれくらいの厚さの断熱材が入っているのか、これをしっかりと確認する必要があるのです。

どんな断熱仕様になっていて、どれくらいの厚さの断熱材が入っているのか

ただハウスメーカーによって、入れられる断熱材の厚さが全然違います。

つまり、それだけ屋根部分の性能格差があるということなので、ハウスメーカーはどこを選んでも同じではないということはきちんと理解してメーカー選びをしていただければと思います。

プロも失敗しがちな屋根選びのポイント5選のまとめ

今回は『プロも失敗しがちな屋根選びのポイント5選』というテーマでお話をしてきました。

ルーフィングの部分は、少しショッキングな内容だったのではないかなと思います。

ただ、これが住宅業界の現状で、それ以外にも、見えない部分で少し価格を落としているということもあるはあります。

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