最近、私が作った住宅営業マンマッチングサービスのメグリエを活用いただいているお客さんからの依頼で、けっこう間取りをつくっています。
私のサービスを後から知った方からの問い合わせもかなりあり、その問い合わせの中で「あ、これはまずいな。」と思ったクロスの選び方がありました。
ですので今回は、基本的なクロスの選び方から解説をし、その後に失敗事例を共有するという流れで話を進めていきます。
クロスは種類がたくさんあるので、選ぶのが非常に難しいです。
また、どんなクロスを選ぶかによって室内の雰囲気がかなり変わってくるので、クロス選びで後悔しないよう、ぜひとも本記事でノウハウを習得していただければと思います。
クロスの選び方ですが、大きく分けて2パターン存在します。
「室内の背景として選ぶクロス」「建築部材との調和から選ぶクロス」この2つです。
そして、それぞれのパターンによってクロスの貼り付け方が異なってくるのです。
これが一体どういうことなのか、詳しく説明をしていきます。
新築のクロスの選び方1:室内の背景として選ぶ
まず『室内の背景として選ぶクロス』についてです。
これは、そのまんまの意味で、室内全体の色味とそこに付随する雰囲気を決めるためのクロスです。
例えば、流行りのグレージュ系のクロスを選んだら、そのグレージュ系の色味が室内空間全体の色味になるというイメージです。
これに関しては、一般的なクロスの選び方かなという感じですし「普通じゃん。」と思われるかもしれません。
ただ、実は近年クロスのクオリティが上がっているのです。
そしてそれに伴って気をつけなければならないことが出てきました。
それが「クロスを貼った時のパターン化されたムラっけ」です。
というのも、例えばクロスには「ふりまき壁紙」という、塗り壁に近いクロスがあります。
個人的にはかなりおすすめのクロスで、通常塗り壁にしようと思うと、職人の手間賃や材料費でかなり高額になるのです。
実際に、今まで私が携わってつくった家の中に「高千穂シラス」という名前の火山灰からつくった塗り壁を全室使っている家があったのですが、700万円くらいしました。
高千穂シラスがずば抜けて高いというのもありますが、その他の種類の塗り壁を使ったとしても、かなりの金額がかかってしまいます。
「さすがにそこまでは家にお金をかけられないよ。」という方が大半だと思います。
そんな時に便利なのが「ふりまき壁紙」です。
以前に私が監修した積水ハウスの家で、デザインと高気密・高断熱の両立を図った家があるのですが、ふりまき壁紙はそこでも使われていて、お施主さんも大絶賛していました。
ふりまき壁紙は、本当に塗り壁なのではないかと思うほど精巧につくられたクロスなのです。
ですので私自身も「最近のクロスは侮れないな。」と思っています。
ただ、クロスは本物の塗り壁と違い、どこまで行っても工業化製品なのです。
そのため、クロスのテクスチャはパターン化されてしまいます。
もう少しわかりやすくお伝えすると、本来塗り壁は職人さんが手作業で施工するので、1つとて同じような模様にならないですし、良い意味で不規則なムラっけが発生するのです。
そこに自然な印象を受けるのです。
一方クロスは工業化製品なので、そういった自然なムラっけも同じようなパターンで印刷されてしまっています。
ですので、クロスの貼り方によっては、パターン化されたムラっけが均一に並んでしまい、かえって不自然な感じが出る結果になってしまいます。
そのためクロスを選ぶ時には、切れっぱしのようなサンプルだけで判断せず、できれば壁全体に貼り付けた時の印象をイメージして選んでいただきたいなと思います。
ただ、壁全体にクロスを貼った時のイメージをするのが難しい場合は、強めの柄や模様が入ったクロスは選ばない方がいいです。
工業化製品であるクロスのパターン化されたムラっけが出ないようにできます。
とにかく、最近のクロスはクオリティが上がってはいるものの、選ぶクロスによってはパターン化された不自然なムラっけが出てしまうということを念頭に置いてクロス選びをしていただければと思います。
これが、1つ目の「室内背景として選ぶクロス」の選び方と注意ポイントになります。
新築のクロスの選び方2:建築部材との調和から選ぶ
続いて『建築部材との調和から選ぶクロス』についてです。
建築部材との調和から選ぶクロスというのは、具体的には建具やキッチンの面材など、そういったものから逆算してクロスを選んでいくパターンのことを言います。
これを行うことで、例えば収納の扉と壁面の色を同じにすることができるので、壁一面を均一かつきれいに仕上げることができるわけです。
特に収納扉は、場合によっては壁一面に対してかなりの割合を占めることがあります。
実際にこの画像を見てもらえればわかりますが、壁一面に対して扉の割合がかなり大きいです。
こういう場合に関しては、扉の色に合わせて壁紙を選ぶことで、違和感のない色味が統一された壁面を構成することができます。
ただ、これに関しても「そんなの当たり前じゃん。」という感じだと思います。
しかし実際に家づくりを行ってみるとわかるのですが、これがけっこう奥深いものなのです。
その奥深さを皆さんに伝えるために、2つの事例をお話しします。
事例1:キッチンに合わせてクロスを選ぶ
まず1つ目の事例です。
例えばキッチンがあります。
キッチンは分類的には「家具」なのです。
ですので、キッチン単品が目立つようにつくってしまうと、キッチンがLDKの主役のようになってしまうのです。
そうすると、その他の家具であるソファや椅子などとうまくマッチさせるのが難しくなってきます。
もちろん、ある程度色味を絞ったり、素材感を意識して統一したりすることで、主張の強いキッチンでもそれなりに空間に馴染ませることはできます。
ただ、完璧を求めるのであれば、キッチンは完全に気配が消えるように工夫した方がよかったりもします。
その工夫は何かというと、キッチンに合わせてクロスを決めるということです。
私は「キッチンの色で迷うなら、とりあえず白のキッチンを入れた方がいい。」と言っています。
これがなぜかというと、クロスはほとんどの方が白を選ぶと思います。
ですので、白いクロスを選ぶなら、そのクロスと同化させてキッチンを目立たせないようにするために、キッチン自体も白にしてしまった方がいいということです。
そのため迷ったら、ほとんどの場合キッチンは白がいいと私は説明しています。
特に、坪数が限られていてコンパクトな間取りをつくる場合は、この考え方がかなり有効です。
というのも、限られた空間ですとLDKのそれぞれの距離感が近すぎるということがよくあります。
そのため、キッチンが目立ちすぎるとLDK全体が「キッチンのための空間」のようになってしまいやすくなるわけです。
それと同時に、キッチンによる圧迫感も感じやすくなるのですが、白で統一することで、キッチンを目立たせず、さらには圧迫感を軽減させることもできるのです。
ですので、限られた空間ほどキッチンから逆算してクロスの色味を決めた方がよかったりもするのです。
これが1つ目の事例になります。
事例2:既製品の建具に合わせてクロスを選ぶ
次に2つ目の事例は「既製品の建具に合わせてクロスを選ぶことで、コストを抑えつつ、きれいな壁面をつくる」ということです。
というのも、建具は建具、クロスはクロスといった感じでそれぞれ別々で選んでしまうと、ほぼ確実に色味や質感が合わなくなります。
それもそれでいい場合もあるのですが、基本的には建具とクロスの色は合わせた方がいいのです。
ただし、クロスに合わせて建具を選ぼうとすると、造作、つまりオーダーメイドで建具の色味を調整しなければならなくなるため、金額が高くなります。
そのため、コストを抑えつつ、賢く色味の調整をしていくのであれば、既製品の建具の色味に合わせてクロスの色を変えるという方法がおすすめです。
既製品の扉とクロスのうまい組み合わせさえ見つけられれば、無駄なくきれいな室内空間をつくることができます。
しかし、このことが念頭にないと、ほとんどの場合、扉は扉、クロスはクロスといったように色味や質感を別々で選ぶことが多くなってしまいます。
これですと確実に失敗するのでご注意ください。
ポイントは、既製品の建具に合わせてクロスを選ぶこと、これになります。
また、先ほど「基本的には建具とクロスの色は合わせた方がいい」とお伝えしましたが、では「建具とクロスの色を合わせなければならないパターン」と「建具とクロスの色を合わせなくていいパターン」は、どのように判別すればいいのかと思われた方もいると思うので、補足でお話しします。
建具とクロスの色を合わせなければならないパターンは「収納の建具」で、建具とクロスの色を合わせなくていいパターンは「人が出入りする建具」です。
これを覚えておくと、すごく便利です。
基本的に、建具とクロスの色を合わせなければならないパターンというのは、その建具の存在感を消して、面全体に一体感を持たせたい場合に行う方法です。
それにも関わらず、人が出入りする建具をクロスと同系色にしてしまうと、逆に空間にメリハリがなくなり、「とりあえず建具の色とクロスの色を合わせておけばいいんでしょ。」という感じが強くなってしまうのです。
実際、私の自宅でもこの失敗をしていて、私の自宅は壁と同系色にするために1階部分の人が出入りする建具をグレーにして特注しました。
最初はこれで完璧だと思ったのですが、実際に完成してみると空間にメリハリがなく、何とも言えないいまいちな感じになってしまったのです。
それが嫌だったので、すぐにリフォームの依頼を出して、今度は床材の色に合わせて、杉板の無垢で扉をつくってもらいました。
杉板なら軽いので、大きな扉でも重くなりません。
つくってもらった扉はこちらです。
やはり、人が出入りする扉に関しては、面に合わせてクロスと同系色の建具にするよりも、床に合わせた方がよかったのです。
そのような実体験もあって皆さんにお伝えしますが「人が出入りする建具とクロスは同系色にしてはいけない」ということ、そして「建具とクロスを同系色にするのは収納の建具である」ということは絶対に覚えておいてください。
新築のクロスの選び方の注意事項(照明のスイッチとコンセント)
ここ最近の流行から見えてきた注意事項を1つだけ共有したいと思います。
それが「グレー系やグレージュ系のクロスは照明のスイッチやコンセントと合わせづらい」ということです。
インスタグラムなどを見て、グレー系やグレージュ系のクロスを取り入れようと考えている方がそこそこいるような感覚なのですが、そもそも照明のスイッチやコンセントは、世の中に出回っているものの多くが白で、色はあまり選べません。
それにも関わらずクロスは何千種類もあるため、クロスと照明のスイッチやコンセントの色味を合わせるのは、物理的にほぼ不可能なのです。
そのため、色味が合わない場合、どのように照明のスイッチやコンセントを隠すのかを考える必要があります。
よくあるのは、目立たないところにニッチをつくり、照明のスイッチを1箇所に集約させる、コンセントを目立たない位置につけるために床下に設置するなどです。
そういった工夫を取り入れることで、照明のスイッチやコンセントを目立たなくすることができ、壁紙の色と照明のスイッチの色が合わなかったとしても、気にならないようにすることが可能です。
これが1つ目の方法です。
2つ目は、照明のスイッチを「トグルスイッチ」のような目立つものにする方法です。
トグルスイッチというのは、これのことです。
昔ながらのスイッチという感じなのですが、これはこれで室内の個性になるのでよかったりもします。
下手に色味を合わせにいったり、変なところにニッチをつくったりするくらいなら、潔くこうしたスイッチを使って室内に装飾性を出していくというのは、個人的にはけっこうありだと思っています。
コンセントに関しては、先ほども話したように、目立たない位置に設置しなければならないというのは変わりません。
意外と流行りの色味のクロスを取り入れると、そのような弊害も出てくるので、どう対策をするのかをあわせて考えていただくといいと思います。
最初にお話しした内容も含めて、ぜひ参考にしてみてください。
後悔しない!新築のクロスの選び方のまとめ
クロスの選び方や失敗事例などをお話ししてきました。
クロスによって室内全体の雰囲気が大きく変わってくるので、後悔しない選択をしていただければと思います。
そして最後に告知です。
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