今回は【誰でも使える】狭小住宅の狭さを解消する間取りテクニック5選ということでお話をしていきます。
狭小住宅が1つのトレンドに
ここ最近、住宅の狭小化がトレンドになりつつあります。
その理由としては大きく分けて3つあって、
- 地価の上昇
- 住宅資材の上昇
- 上がらない所得
これらが原因で住宅の狭小化がトレンドになっているのです。
一応それぞれ簡単に見ていきましょう。
狭小化の理由1:地価の上昇
まず一つ目の地価の上昇についてですが、東京都は2013年から上昇傾向に転じています。
一方、神奈川県・埼玉県・千葉県は、東京都に比べると上がり方が鈍く、しばらく横ばい状態・微増傾向が続いていましたが、2020年には、ほぼ2011年並みの水準に戻っています。
また大阪府と京都府に関しては2016年から微増に転じているといった感じです。
こんな感じで地価が徐々に上がってきているのです。
しかもこれだけ地価が上がるとそれに釣られるようにして、周辺の地価も上がるので結構田舎の方まで行かないと安い土地って見つからない状況になっています。
そのため、買いたくても大きな土地を買える人が少なくなってきていて、どうしても小さな土地を買うしかないのです。
これが住宅の狭小化がトレンドになっている理由の1つ目です。
狭小化の理由2:住宅資材の上昇
続いて2つ目、住宅資材の上昇についてですが、去年からコロナの影響で木材や鉄骨の価格が上昇傾向です。
グラフを見れば分かりますが、価格の上がり方がえげつないです。
また別のグラフで工事費単価と建設工事費デフレーターの推移を見てください。
このグラフを簡単に説明すると、値上がりした建築資材の費用を企業が負担している、というグラフです。
もっと詳しく説明をするなら、黄色い線と青い線の差分が、企業が負担している費用だということです。
そのため、今後さらに住宅の値段は上がるということがこのグラフから読み取れるわけです。
狭小化の理由3:上がらない所得
そして最後に、上がらない所得について。 日本の平均年収は平成20年頃(2008年)から現在まで、ほぼ変わっていません。
しかも平均給与額は、2019年の436万円から2020年頃では0.8%減の433万円 になっているのです。
上がるどころか、むしろやや下がっている状況です。
そのため、
- 地価の上昇
- 住宅資材の上昇
- 上がらない所得
これらの理由から住宅の狭小化がトレンドなっているわけです。
なかなか絶望的ですよね。
でも住宅の狭小化って聞くと『狭いのは嫌だ』とか、『せっかくなら広い家にしたい』とか、ネガティブ印象を持たれる方が多いと思います。
しかしながら、実際は家を狭小化、言い換えるとコンパクトにした方が得られるメリットがたくさんあるのです。
そこで今回は、家をコンパクトにするメリット・デメリットから掘り下げて、誰でも使える『狭小住宅で狭さを解消する間取りテクニック5選(前編)』としてこの記事ではまず5つを紹介していきます。
- 予算的にどうしても家を狭小化する必要がある
- 自分が住みたいと思っている地域で家を建てるとどうしても狭小住宅になってしまう
こういった悩みを持たれている方は是非とも最後までご覧ください。
それではやっていきましょう!
狭さを解消する間取りテクニック5選
はい、ということでやっていきます。
今回の話の流れとして、
- 狭小住宅を建てるメリット・デメリット
- 壁を天井に繋げない
- 最大視覚の活用
- 居場所をつくる
- 灯りの重心を低くする
- 玄関はコンパクトにする
この順番でお伝えしていきますので、よろしくお願いします。
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狭小住宅を建てるメリット・デメリット
それでは先ずは大枠を理解するために、『狭小住宅を建てるメリット・デメリット』についてお話をしていきます。
先ずメリットなのですが、
- 冷暖房の効きが早いので光熱費を抑えられる
- 固定資産税を抑えられる
- 建築費を抑えられる
- 家の質を上げることができる
- 生活動線が短いので便利
- メンテナンス費用を抑えられる
- 掃除が楽
以上が狭小住宅のメリットになります。
反対にデメリットは、
- 窮屈な感じがする
- 収納が限られる
- 来客時に不便
- 庭が造れない
- 一人になりにくい
- 家具を想定した家づくりが必要
これらがデメリットになります。
こうやって書き出してみると、メリットが金銭面でのメリットで、
デメリットが設計面でのデメリットであることが良く分かりますね。
つまり、狭小住宅を建てる場合、設計面でのデメリットさえ解消してしまえ良いのです。
そうすることでデザイン性やコスト面に優れた、非常に合理的で満足度の高い家づくりをすることができるわけです。
なるほど!って思いませんか?
ただし、ここでも問題点はあって、実は狭小住宅を設計するのは非常に難易度が高いのです。
なぜなら、平面だけではなく立体を同時に考えながら間取りを作る必要があるからです。
そして更に狭小住宅を建てる場合は少しトリッキーな間取りを作る必要があるため、そういった提案ができる人でないと、先ほど書き出したデメリットをカバーする家を作ることができないのです。
そのため、担当者がものすごく大事になってきます。
ただし、住宅業界には担当ガチャという制度があります。これは前々からお話ししている通りなのですが、要は展示場に行ったり、WEB予約をしたり、資料請求をしたりすると、勝手に担当者が決まってしまうわけです。
それで後悔している人がめちゃくちゃ多いです。実際に私のところにもどうにかなりませんか?という相談がよくきます。
何とかなるケースもなくはないのですが、原則、担当替えはできないのです。
では、どうすれば良いのかというと、それは自分の身は自分で守るしかないのです。
ということで、ここからは皆さんの引き出しを増やすべく、狭小住宅で狭いを解消する間取りテクニック5つを紹介していきます。
是非ともお役立てください!
壁を天井に繋げない
先ず一つ目は『壁を天井に繋げない 』ことです。
これをすることで、空間に繋がりを持たせることができます。
例えば、適度に空間が区切られているような感じになり、限られて空間でも広さを感じつつ、ある程度プライベートも保たれるようになるわけです。
この設計手法は、実は福岡県にあるキッチンハウスのショールームでも使われています。
この建物は、建築家の窪田勝文さんが設計した建物なのですが、めちゃくちゃカッコいいですよね。
私も以前、この建物に行ったのですが、凄くおしゃれでした。
更に『壁を天井に繋げない』設計手法を取り入れているので、ただでさえ広く感じる空間がより、広く感じるのです。
こんな感じで有名な建築家の方も実際に使っている手法ですので、良かったら是非、取り入れてみてください。
最大視覚の活用
続いて2つ目、『最大視覚の活用 』です。
これは簡単に言い換えると、『斜めに視線が抜けるように間取りを作る』ということです。
どういうことかというと、例えば正方形をイメージしてみてください。
正方形は対角線を引くと、二等辺三角形ができますよね? それで二等辺三角形の三平方の定理って『1:1:√2』 じゃないですか。
つまり斜めの方が通常の1.4倍長いということなのです。
これと同様に長方形の場合は、対角線を引くと直角三角形になるので、割合が『1:2:√3』 になります。
つまり、斜めの方が通常の1.156倍広く感じられるということなんです。
なるほど!って思いませんか?
そしてこれを一言でまとめると『長さ≒広さ』ということです。 だから狭小住宅を設計する時は長さが取れる方向に視線が抜けているか、これを確認してみてください。
居場所をつくる
続いて3つ目・居場所をつくる 、ということです。
これは狭小住宅以外でも言えることなのですが、居場所がない家は落ち着かないですよね。
そして居場所がないとソファの上が居場所になったり、ダイニングが居場所になったりするわけです。
すると例えばですが、奥さんは旦那さんに対して
- 『ソファの上で寝転がっていて邪魔』
- 『居場所がなくて自分はいつもダイニングテーブルに座っている』
そういった不平不満が生まれやすくなります。
一方で旦那さんは、『嫁がいつもリビングにいて居心地が悪い』とか、
そのようなケースもなくはないです。
ですので、家の中にたくさんの居場所を作ってあげるということが家づくりには非常に重要なことなのです。
特に狭小住宅を建てる場合は、よりこれを意識して作ってあげないとただただ窮屈で居心地が悪くなるわけです。
段差を作って、居場所をつくる
では、具体的にどうすれば良いのかというと、それは『段差を作ってあげる』ということなのです。
段差と聞くと『老後のことを考えて言ってるのか?』とか言われそうなのですが、その気持ちもわかります。
ただ考えてもみてください。
老後段差が上がれないくらいの状態というのは、結構やばい状態じゃないですか?だったらそうならないためにも今から定期的に運動しておくべきだし、そのためにも多少の段差はあった方が良いです。
具体的には、「小上がりの和室」を作ってあげたり、「ピットリビング」のように一段リビングを下げてリビングとダイニングの境界をハッキリさせてあげる、というのも良いかと思います。
ただ、「小上がりの和室」に関しては普通に作ってしまうと結構圧迫感が出るのでなるべく重心は低めに作ってあげる必要はあります。
こんな感じで段差を利用して居場所を作ってあげるという手法は、狭小住宅を建てる場合でも、普通の大きさの家を建てる場合でも有効な手段になりますので、良かったら是非ともご活用ください!
灯りの重心を低くする
続いて4つ目、・灯りの重心を低くする 、ということです。
照明は、とにかくダウンライトをつければ良いとか、UFOのようなシーリングライトを空間の真ん中につければ良いとか、そう思われる人が多いのですが、これをやってしまうことで実は部屋全体が単調になってしまうのです。
例えば、建売のような可もなく不可も無い部屋になってしまい、場合によっては、これだったら注文住宅をわざわざ建てないで建て売り買ったほうが良かったジャン!
とかなってしまうわけです。
できることなら、せっかくお金をかけるのですから、オシャレで快適な空間にしたいですよね。
では、オシャレで快適な空間にするためにはどうしたら良いのかというと、それが『灯りの重心を低くする』ということなのです。
見ていただければ分かると思いますが、天井に直接照明が付いているのではなく、コードが天井に付いていて、ぶら下がっているような状態で、照明が付いていますよね?
これを照明の重心を低くする、といいます。
照明の重心を低くすることで、空間にメリハリができて広さを感じやすくなりますし、同時にオシャレな空間を作りやすくなります。
白熱灯とLEDを使い分ける
さらに、この時に絶対に覚えておいてもらいたいポイントがありまして、それが白熱灯とLEDを使い分けるということなのです。
今現在、世の中はLEDに移行しつつあるのですが、実は白熱灯の方が発色が良く、灯りが綺麗なのです。
実際に写真を見てもらえれば分かると思いますが、白熱灯だけやたら輝いていると思います。
しかもLEDと比べて目に突き刺さるような光の刺激が少ないので、光を直接見てられるのです。
これは個人差があるかもしれませんが、是非とも一度、白熱灯とLEDの光の違いを試してもらいたいですね。
ちなみに白熱灯は、ご飯を食べるところなど重要な部分につけて、それ以外はLEDにする、という使い分けをするのがお勧めです、
玄関はコンパクトにする
最後に5つ目、玄関はコンパクトにするについてです。
私は以前から、玄関はこだわっておいた方が良いと伝えてきました。
なぜなら玄関は家の顔だからです。
というのも、玄関は一目に多く触れる場所の一つです。
そのため、例えば親戚や友人、近所の人から更には郵便配達員の人までいろんな人の目に触れるのが玄関です。
だから玄関はこだわっておいた方が良いと言っていたわけなのですが、一方で玄関は『見栄』とも捉えられるわけです。
これがどういうことかというと、例えば来客が少ない家庭の場合は、わざわざ玄関にこだわってお金をかけるより、他のことにお金を回した方が圧倒的に良い家を作ることができるわけです。
特に狭小住宅を建てる場合、普通に間取りを作っていたらスペースが足りなくなります。
ですので、見栄を捨て、玄関は靴を脱ぐだけの最低限の場所にとどめつつ、それ以外を広くした方が良い場合もあるのです。
実際に靴を脱ぐ部分を最小限にとどめて、その他の玄関収納やリビングを大きく取っている事例もあります。
またこちらの写真を見て頂きたいのですが、これ、どこが玄関だかわかりますか?
一見すると、どこが玄関かわからないと思うのですが、実はマット部分が玄関なのです。
そして、脱いだ靴は左にある大きな連続した収納の下に隙間があるので、そこに靴をスライドさせてしまうのです。
廊下の幅も60センチ弱で、人一人が通れる大きさです。その分収納や他のスペースが取れているので、全然不自由さを感じません。
こんな感じで靴を脱ぐ場所を最低限にして、その代わりに他のスペースを広くすれば限られた空間でも広くすることができるのです。
来客も少ないし、見栄を張るつもりもない、という方は玄関を圧縮して他の部屋にスペースを回してみる、ということをしてはいかがでしょうか?
ということで、今回は狭小住宅の狭さを解消する間取りテクニックとして
- 壁を天井に繋げない
- 最大視覚の活用
- 居場所をつくる
- 灯りの重心を低くする
- 玄関はコンパクトにする
という5つの方法をご紹介しました。
実はあと5つ狭小住宅の狭さを解消する間取りテクニックがあるのですが、それに関してはまた次回お話ししようと思います。
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