今回は『玄関を広くしてはいけない!』というテーマでお話をしていこうと思います。
というのも、私は昔から玄関に関する話をかなりしてきました。
それがなぜなのかというと、『玄関は家の顔』だからです。
どういうことかというと、家族以外の人が家の中で一番目にする場所は実は玄関なのです。
例えばですが、身近なところでいえば、家に遊びに来たおじいちゃんやおばあちゃんから、AmazonやUber eatsの配達員まで、本当に幅広く、いろんな人に玄関は必ず見られます。
それにも関わらず、玄関がごちゃごちゃしていたり、汚かったりすると、せっかく新築を建てても、ものすごく残念な気分になりますよね。
なので実際に私は住宅営業時代、玄関の提案にはかなり気を遣っていましたし、お客さんには『玄関は家の顔ですよ』ということは必ず伝えるようにしていました。
そしてそんな経験もあるので、昔のYouTube動画では『2way玄関がおすすめですよー』と言っていましたが、今回はあえてその逆のことを言ってみようと思います。
つまり冒頭でもお伝えした通り、あえて『玄関は広くしてはいけない!』というテーマでお話をしたいと思います
玄関の広さについて
まずはじめに、玄関の広さについてお伝えします。
「玄関は家の顔」とは限らない
私が住宅の情報を発信しはじめた2年前は、まだ住宅の情報があまりネット上に出回っていませんでした。
なので『玄関は家の顔です!』という情報もその時はウケたのです。
しかし今はネットで情報を探せばいろんな人が『玄関は家の顔』と言っています。
それはそれで良いことだと思いますが、一方で私はそれを見て変な固定概念になってほしくないな、とも思ったりするのです。
極端な話ですが、来客のない家だってあるわけです。
Amazonを使わない人もいれば、Uber eatsを使わない人だって世の中にはいるわけです。
なのでそもそも玄関が少し狭かろうが、少し汚れていようが、気にしない人は気にしないのです。
加えて今のご時世、物価の上昇も起こっているので、広い玄関をつくりたくてもつくれない、なんて人もいるかもしれません。
なので「全ての人が玄関にこだわりを持った方が良いのか?」と言われても必ずしもそうとは言い切れないわけです。
それにも関わらず、今は『玄関は家の顔』という言葉だけが一人歩きして固定概念化している気がするので、あえてその逆である『玄関は広くしてはいけない!』というお話をします。
玄関は必ずしも広いことが正解ではありません。
玄関を狭くすることで、生活が豊かになるケースも実際にあるのです。
悩みや不安
次からの章を読んでいただければ、
- 今現在提案されている間取りの玄関がコンパクトなのだけれど、本当に大丈夫なのか心配
- 予算の都合上、どうしてもコンパクトな家をつくらなければならないけど、どこを削れば良いのかわからない
- そもそも玄関に対してお金をかけるべきなのかどうかがわからない
これらの悩みや不安を払拭できると思います。
一方で今回の情報を得なければ
- 玄関を無駄に広くしてしまい、予想以上に金額が上がってしまう
- 玄関を広くとりすぎているがゆえにコストがかかり、好きなメーカーで建てることが難しい
といったリスクがあるかもしれません。
玄関は靴さえ脱げれば良い
今回みなさんにお伝えしたいポイントはたった1つだけです。
それは『玄関は靴さえ脱げれば良い』ということです。
見栄ではなく、使い勝手のよさが大事
『玄関は靴さえ脱げれば良い』。
これだけ聞くと『なに当たり前のこと言ってんの?』という感じですが、例えばこちらをご覧ください。
こちらわかりますか?
ここが玄関なのです。
通路の幅としては120cmほどなので、一見狭いようにも見えますが、人一人通るには十分な広さです。
更に片側は全て収納になっているのでみなさんが予想している以上に、こちらの玄関の使い勝手はよかったりするのです。
今お見せしたのは少し極端な例だったので、もっと現実的な実例としてこちらもご覧ください!
こちらは先ほどとは違い、縦約120cm 横約180cmの玄関ではありますが、玄関の中では比較的コンパクトです。
ただし、玄関収納はしっかりと備え付けてあるので、こちらも思っている以上に玄関の狭さというのは感じられません。
実例を見ていただきましたが、双方に共通して言えることは、『玄関は靴さえ脱げれば良い』ということなのです。
というのも、私たちは知らない間に玄関に対していろいろな機能を求めすぎてしまう傾向にあるのです。
例えば
- 玄関に椅子、植物などのインテリアを置ける場所をつくろう
- エコカラットを付けよう
といったことです。
こういうのが玄関に機能を求め過ぎているということであって、これは結局のところ、見栄のための消費になっていることが大半なのです。
要は言葉を選ばずに言うのであれば、お金の無駄遣いになっている可能性が非常に高いということです。
お金持ちの家の人の玄関は無駄がない
私は普通のサラリーマンや公務員の方が建てる家から、医者、弁護士、パイロット、会社の経営者、これらの方が建てる家まで幅広くみてきたわけですが、お金持ちの人の家の玄関というのは無駄がないのです。
これは建物の規模は関係ありません。
純粋にお金を持っているか、持っていないかで、玄関の色が変わってくる気がします。
お金持ちほど派手な暮らしをしている、そんなイメージがありますよね。
しかし実際はそんなこともなかったりします。
では、なぜお金持ちがお金持ちであるのかというと、それはシンプルに『見栄を張るためだけのものにお金を使わないから』これにつきると思っています。
私が住宅営業をしていた時の実体験
ここで少し実体験をお話しすると、昔住宅営業をやっていた時に、私は若かったというのもあり、いろんなものをごちゃごゃと提案してしまっていました。
その時の感覚としては、とりあえず提案できるものは全て盛り込んでおけという感覚でした。
そしてそれをすることで私なりの一生懸命さをお客さんにアピールするのと同時に、お客さんが『こんな提案もあったなんて知らなかった』という状況にならないようにするための私なりの予防線でもあったわけです。
そしてその時担当していた人というのが、東証一部上場企業の経営者の方だったのですが、そこで言われたのが『価値のある提案をしてくれ』ということだったのです。
というのも、その方曰く、「家にいくらお金をかけてもお金を生んでくれない。
でも家を自分達の生活の質を上げるための投資として考えるのであれば、高いお金を払う価値がある。君の提案は高いお金を払うだけの価値になっているか?」
ということだったのです。
それを聞いて『確かにな』と思いました。
その時の提案を見返してみると、価値のない、というか自分自身で価値を説明できない提案が結構ありました。
そこから私は流行りのものや人気のものをとりあえず数多く紹介するというスタンスだったのを自分の頭で考えて価値のあるものだけを説明・提案する営業スタイルへと変えていったのです。
さらに実生活においても『見栄を張るためだけの消費になっていないかどうか』これをよく考えるようになりました。
そして結果、『建築は文化である』という結論に達して、今まで建築家の方達がやってきた技術を住宅に反映させてこそ、良い家はでき上がるのではないか、という私なりの考えのベースができたのです。
なので本当に人との出会いには感謝しかありません。
そういった人たちとの出会いがなければ、私の今の価値観や考え方はないのだろうと思いつつ、やはりお金持ちはお金持ちたる理由があるのだなと、そこで明確に理解したのです。
そしてその1つの要因が『見栄を張るためだけのものにお金を使わない』ということだったのです。
では、ここで話を玄関に戻します。
玄関は狭くても十分に豊かな生活ができる、ということを実例を交えながら説明しました。
その理由として『見栄を張るためだけのものにお金を使わない』つまりは余分なものを削ぎ落として必要な機能にだけ絞っているため、玄関は狭くても十分に豊かな生活ができる、ということだったわけです。
必要な要素は収納・視線・照明
玄関における『必要な要素』とはなんなのか、ここを紐解いていけば玄関の大きさに関係なく、良い玄関ができそうですよね?
ということでここでは私が玄関をつくる上で『必要な要素』だと思うことを3つ紹介します。
この3つさえきちんと玄関に取り入れることができれば、十分に満足のいく玄関をつくれると思います。
特に今の世の中、物価の上昇や地価の上昇もあって大きな家を建てにくい、という状況でもあります。
だからこそ、必要なところに必要な投資をする、という考え方は重要です。
なのでみなさんも今からお伝えする3つのポイントはしっかりと押さえるようにしてみてください。
収納は大きめに
まず1つ目は『収納は大きめにとる』ということです。
そもそも靴を脱ぐスペースと収納、これらを合わせて『玄関』と言っていることがほとんどですが、「靴を脱ぐスペースは最低限どのくらい必要なのか」これを把握した上で残りを収納空間にしてしまった方が、満足度の高い玄関をつくれる可能性が高いのです。 例えば先ほどお見せした実例がまさにそれでしたよね?
どちらも靴を脱ぐ場所を最低限にとどめ、それ以外を収納にしているわけです。
これは一見すると奇抜なように思えるのですが、よくよく考えてみると非常に合理的ですよね。 替えの靴やベービーカー、ゴルフバック、傘などなど、玄関にしまうものは実は意外と多いですし、かさばります。
それなら限りあるスペースを最大限活用するためにも、「靴を脱ぐ場所は最低限にとどめ、それ以外を収納にまわす」というのは非常に合理的な間取りの考え方になるわけなのです。
必ずしも「靴を履くところ=広くしなければならない」というわけではないので、みなさんの家族構成や予算に応じて玄関の広さを柔軟に考えていただければと思います。
視線の抜けと広がり
続いて2つ目は『視線の抜けと広がりをつくる』ということです。
そもそも玄関というのは大きく分けると2つのタイプに分けることができます。
それが『奥行きのある玄関』と『横幅の広い玄関』、この2つです。
それぞれに良さも悪さもあるので、どちらが正しい、間違っているといったことではないのですが、どちらの玄関にしても『視線の抜けと広がり』は意識して玄関をつくる方が良いわけです。
どういうことかというと、例えば『奥行きのある玄関』に関しては視線の抜けと広がりを感じられる工夫をしてあげないと、圧迫感を感じやすくなってしまいます。
そのため、シースルー階段を使って視線の行き止まりをなくしてあげたり、
視線が抜ける先に窓を設けてあげて、シースルー階段同様に視線の行き止まりをなくしたり、
と圧迫感を感じることがない、広がりのある玄関をつくりあげることが大切です。
そしてもう一方の『横幅の広い玄関』に関しては、玄関を玄関スペースとして区切らない、というのがポイントになります。
これがどういうことなのか、画像を見ていただければわかると思いますが、いくら横に広い玄関であっても、そこがひとつの部屋のように区切られていては、こちらも圧迫感を感じてしまい、非常に使い勝手の悪い間取りとなってしまうわけです。
なので横幅の広い玄関をつくる時はできるだけ区切らず、玄関と居室が一体化するような、そんな間取りをつくってもらえると、視線が抜けつつ、同時に広がりを感じられる玄関になります。
ということで、『奥行きのある玄関』をつくる場合でも『横幅の広い玄関』をつくる場合でも『視線の抜けと広がりをつくる』ということ、これはしっかりと覚えておいてください!
照明の照度は極力下げる
最後3つ目は『玄関の照明の照度は極力下げる』ということについてです。
これに関しては少し意味がわからないと思います。
普通、玄関といえば明るい方が良い!と思われがちです。
みなさんももしかしたら遺伝子レベルでそう思っているかもしれませんが、実はそれは危険な思考でもあるのです。
どういうことかというと、人間は何かを基準として暗い、明るいを判断するからです。
つまり玄関が明るすぎるとメインの空間であるLDKが暗く感じやすくなってしまう、ということなのです。 例えばですが、先ほどからお見せしている玄関のように、自然の光をメインで活用し、玄関の明るさを担保する、という方法もありますし、
また、こちらの家のように照明に白熱灯を使い、柔らかな光で玄関全体を照らして明るさ担保する、という方法も存在します。
ただどちらの方法を使ったとしても本質としては『玄関の照明の照度は極力下げている』ということには変わりはないわけです。
そして玄関の照明の照度を極力下げることで、メインであるLDKを引きたてつつ、家全体で落ち着いた雰囲気をつくることができるのです。
「玄関を広くしてはいけない3つのポイント(収納・視線・照明)」のまとめ
玄関をつくる際は、靴さえ脱げればいい、見栄のための消費をしないといった考え方が大事です。
また、私が玄関をつくる上で『必要な要素』だと思うことは
- 収納は大きめに取る
- 視線の抜けと広がりをつくる
- 玄関の照明の照度は極力下げる
以上の3つになります。
どれも玄関をつくる上で重要な要素なので、みなさん是非とも覚えておいてください!
今回は『玄関は広くしてはいけない!』というテーマでお話をしてきましたがいかがだったでしょうか?
情報はツールです。
私は信念をもって家づくりに関する情報を発信してはいますが、最終的にはみなさん自身で情報の取捨選択をし、取り入れるところは取り入れ、取り入れないところは取り入れないでいただければと思います。
これから注文住宅を建てる皆さんが少しでも良い家を建てられるよう願っております。
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