今回は「注文住宅で注意したい設計士の特徴6選」というテーマでお話をしていこうと思います。
住宅業界の現実と注意点
どのような家に仕上がるかは設計士の腕にかかっています。
注文住宅購入で失敗しないために、設計士のことについてしっかり把握しておきましょう。
設計士の腕
家というのは自分の担当設計士の腕によってできあがるものが大きく変わります。
ですので例えば、腕の良い設計士なら坪数に関わらず、細かいところに配慮してくれます。
結果、YouTubeやインスタグラムに掲載されているようなオシャレな家に仕上がりやすくなるわけです。
一方で設計士の腕がイマイチだと、それこそマンションの間取りと大差ないような家になってしまったり、あとは建売のような家になってしまったりするのです。 分かりやすく例えるなら、家は『料理』みたいなもので、『料理』も誰が作るのかで同じ料理を作ったとしても出来上がるものが変わりますよね。
家もそれと同じです。
ですので、自分の担当設計士が誰になるのかがめちゃくちゃ重要なのが注文住宅になってくるわけです。
住宅業界は担当ガチャ
ここで覚えておいてもらいたいのが、住宅業界というのは設計士はもちろんのこと、営業マンも実際に家を施工する会社も全てお客さん自らが選ぶことができない仕組みだということです。
これが俗に言う『担当ガチャ』と呼ばれるものです。
しかし、それにも関わらず、家づくりは営業マンで金額が変わり、
設計士で家の出来が決まり、
工務で家の質が決まるのです。
つまり、ガチャガチャで3回連続当たりを引かないといけないのが今の住宅業界なのです。
これはめちゃくちゃ怖いことですよね。
ですので、私は今まで築きあげてきた人脈を活用して、全国の家づくりが好きで、かつ満足度の高い各ハウスメーカーの営業マンを皆さんに紹介していたり、あとは裏で既存の設計担当者とは別の設計士をつけられるように動き、現場のサポートをしていたりします。
そんな感じで、私に紹介の依頼をしてくれた方には全力でサポートをさせていただいているのですが、そういう人ばかりでもないわけです。
私のサポートなんか受けたくない!
自分でなんとかするんだ! という人もいるでしょうし、私のサポートを受けたかったけど、もう既に担当者がいてどうしようもない、みたいな状況の人もいるかもしれません。
ですので、皆さん自身が自分を担当する設計士が優秀かどうかを判断できる指標として、次の章では「注意したい設計士の特徴6選」というテーマでお話していきます。
注意したい設計士の特徴6選
これからお話しする内容は、正直、一部の設計士や一部の営業マンからすると耳が痛くなる内容だと思います。
しかし、この記事をとおして少しでも良い家が増えたら良いなと、そんな願いを込めてお話をしていきます。
家づくりを成功させたい方は是非とも参考にしてください!
いきなり間取りの要望を聞く
残念な設計士の特徴1つ目が『いきなり間取りの要望を聞く』ことです。
これを聞くと意外かもしれませんが、できる設計士は、間取りの要望はほとんど聞きません。
それよりも『その人の生活』を聞くのです。
例えば
- 実家はどんなところなのか
- 実家ではどんな生活をしてきたのか
- 実家と比較して今現在はどんな生活をしているのか
- 趣味は?休日の過ごし方は?
- 料理は好き?嫌い?する?しない?
などなど。
こんな感じでその人の生活にフォーカスしたヒアリングをすることがほとんどなのです。
ですので
- LDKは何畳ほしいですか?
- 収納は多い方がいいですよね?
- 家事動線は気にしますか?
みたいなヒアリングは一切やらないのです。
あくまでその人の生活を聞くことがメインなのです。
では、なぜ直接的に間取りの要望を聞くのではなくて、わざわざ遠回りするかのようにその人の生活にフォーカスしたヒアリングを中心にやるのかというと、それは個人の生活こそが注文住宅を建てる本質の部分だからです。
これがどういうことかというと、そもそも家というのは効率を求めて間取りを作ると100%マンションの間取りになります。
皆さんも広告やネットに掲載されているマンションの間取りを思い浮かべてみてください。
注文住宅を建てる際によく要望で上がってくる回遊動線、これってマンションの間取りでもありますよね?
水回りとキッチン部分が隣接している間取り、これもマンションにありますよね?
もちろん玄関の広さなどマンションと根本的に違う部分もあるにはあります。
ただLDKや主寝室、水回りに限っては合理性を突き詰めれば突き詰めるほど、マンションのような間取りに近づいていくわけです。
でも正直、そんな間取りの家に住むくらいならわざわざ注文住宅を建てる必要がないと思いませんか?
それこそ少し大きめのマンションを買ってそこで生活し、時が来たら売却する、みたいなことだってマンションならできますからね。
ですので、注文住宅を建てるのであれば、それぞれの家族にフォーカスをして、自分達の家族にしか使えないような間取りを作ることこそが、注文住宅を建てる本質的な意味になるのです。
そのことを理解しているからこそ、表面的な間取りの要望は聞かず、それよりも『その人、その家族の生活』を優先して聞くのです。
そのため『いきなり間取りの要望を聞く』設計士には要注意です。
畳数を重要視する
残念な設計士の特徴2つ目が『畳数を重要視する』ことです。
ここで皆さんに覚えておいてもらいたいことがあります。
それは距離より距離感の方が大事で、広さより広さ感の方が大事だということです。
間取りを作る上で、この考え方が非常に重要になるのです。 というのも、皆さんよく平面図と呼ばれる間取りを見て、
その間取りが広い狭いと考えると思いますが、間取りは本来、平面で考えるものではなく、立体で考えるものなのです。
例えば
・室内空間の素材と室外空間の素材を揃えて繋げる
・なるべく扉を使わない間取りにする
・家具の大きさを最初から考慮して間取りを作る
これらをすることで、限られた空間を広く見せることができます。
つまりこれが『広さ感』ということであり、実際に畳数では測れない広さや生活の豊かさを感じるポイントでもあるわけです。 また今説明した室内の空間と外の空間の素材を繋げる行為は、言い換えると『近づける行為』なのです。
そして庭の植栽は実は『遠ざける行為』なのです。
室内の空間と外の空間の素材を揃えて繋げつつ、庭の植栽を上手く使えば、そこで遠近感が生まれて、より広さを感じる空間をつくり上げることが可能になります。
これが『距離感』になるわけです。
- 距離より距離感
- 広さより広さ感
これらを意識して間取りを作ることが非常に重要で、それをするためには当然、平面だけでは想像できないのです。
ですので、間取りというのは立体で考える必要があるわけです。
ただ、このことに気がついている設計士は実はあまり多くなくて、大部分の設計士が『畳数ばかりを意識している傾向』にあるのです。
実際にとあるメーカーで、そのエリアトップの設計士と呼ばれる方であっても、今まで自分が設計した間取りを畳数ごとのパズルのように組み合わせて、間取り作りをしていた人もいました。
そのため、もし仮に自分の担当になっている設計士が畳数を重要視して打ち合わせを進めてきたら要注意です。
我流
残念な設計士の特徴3つ目が『我流』です。
実は建築は文化なのです。 例えば有名な格言で、吉田兼好という人が徒然草で書いた「家づくりは夏をもって旨とすべし」という言葉があります。
要は、冬はいかようにも過ごせるが、夏はどうしようもないので、住まいは夏の暑さ対策を基本につくることが重要であると説いているのがこの言葉で、それ故に軒の深い家、軒がしっかり出ている家というのは、日本の家屋における重要な要素でもあるのです。
また、沖縄建築には『あまはじ』と呼ばれる軒下の空間が存在します。
軒下は長く強い日差しから室内を守ってくれるのと同時に、外と内の中間的なあいまいな空間です。
子供たちの遊び場所になったり、あとは大人がくつろげたりする魅力的な空間だったりするのです。
これらの話を聞いて、中には『おや?』と思った人もいるかもしれません。
なぜなら、SNS上にアップされているオシャレな家の大半が、深い軒が出ていたり、室内と室外を繋げる工夫をしていたりするからです。
つまり何が言いたいのかというと、そういった深い軒を出す工夫や、室内と室外を繋げる工夫というのは誰かが我流でやったわけではなく、きちんと建築という文化を継承して現代の住宅設計に落とし込んだ結果だということなのです。
ですので、きちんと建築に対してリテラシーがある人であれば、自然とこのあたりのアイディアは浮かんでくるわけです。
その他にも
・床にコンセントボックスを作って目立たなくさせる
・天井と壁を繋げず、空間を一体化させる
こういった工夫は全部、有名な建築家の方達がやってきたことで、それを住宅に反映させているといったルーツがきちんとあるのです。
つまり建築は文化なのです。 ただ一方で、注文住宅はそういったリテラシーがなくても
なんとなくで間取りを書いて、雰囲気で家づくりができてしまうという悪い側面も存在します。
考えてみれば『なるほど』と思うと思いますが、例えば車はきちんとしたエンジニアでないと車を設計してつくることができないのです。 実際にイタリアでは、車の中身を知らない人は車のデザインをさせてもらえない仕組みになっていたりします。
しかし日本の住宅は、家の中身を知らなくても、家のデザインについて学んでいなくても、ど素人がお客さんに対して家づくりの提案ができてしまうのです。
そのため、きちんと勉強をしていない営業マンが間取りを書いて提案するなんてこともかなりあるのです。
そんな状態だからこそ、建売のような量産型住宅が世の中に増えていってしまいネット上では、 『ハウスメーカーはただただ高いだけのファミレスのような企業』と言われるのです。
私がYouTubeで情報発信をし始めたここ2年で業界が大分変わったのですが、それでも業界全体が全て変わったわけではないです。
中にはこの話を聞いて『営業がしにくくなるから、余計なことを言うんじゃねぇ!!』と思っている人だっていると思います。
しかしここは業界を少しでも良くするために、これから家づくりをされる方が失敗しないためにもあえて言います。
皆さんがプラン提案を受けた際に『この間取りは誰が書いた間取りなのか?』は絶対に確認してください。
また『好きな建築家や建物はありますか?』と聞いて、その担当者がどれだけ建築に対してリテラシーがあるのかを確認するのも、担当者を見極める上で重要な指標になってきます。
是非とも覚えておいてください。
展開図を軽視する
残念な設計士の特徴4つ目が『展開図を軽視する』です。
そもそも『展開図』とは何なのか?という話だと思うので簡単に説明すると、展開図というのは、室内の中心から北、東、南、西、この四方向を見た投影図のことを言います。
そしてこの展開図には、各部屋の天井高、窓の位置や高さ、出入り口と家具の関係、設備器具の位置、仕上げ方法などなど、細かな詳細が書かれるのです。
しかし、この展開図は正直な話をすると、設計士によっては結構適当に作っていたり、後はそもそも作るのが面倒なので、最低限だけ作って後は省略しようとしたりする人もいます。
ただ『優秀な設計士』ほど、展開図の枚数が異常に多いです。
更に図面に詳細な内容もかなりしっかりと書き込まれています。
では、なぜ優秀な設計士ほど展開図を重視するのかというと、それは展開図が一番情報量の多い図面であり、そして展開図をどれだけしっかり作り込むかで、家の出来上がりが大きく変わってくる、ということが分かっているからなのです。
もう少しイメージしやすいように分かりやすい具体例を出すと、例えば私の家は、キッチンのレンジフードが隠れるように設計してあります。
これは事前に展開図を作って、どのくらいまで壁を下げればレンジフードが隠れるのかを細かく調整した結果できていることなのです。 また、タイルと床の割り付けもきちんと計算して見切り材が出ないようにして、
窓と天井、カーテンボックスの位置関係なんかも細かく図面に落とし込んで作ってあります。
展開図はしっかりと作り込めば作り込むほど、綺麗でオシャレな間取りになるのです。
ですので私は以前から、最初は複数社検討しても良いが、なるべく早い段階でハウスメーカーを絞り、じっくり打ち合わせをしてください、と言っているのです。 展開図を設計の方にしっかりと書いてもらうには時間が必要ですし、
何より自分たちもその展開図を見て、イメージ通りかそうではないかを判断しなければなりません。
メーカー選びに時間ばかりかかっていると、一番重要なこの部分が疎かになってしまうのです。
そういった意味でも『展開図がどれだけ詳細に書かれているのか』『展開図がどれだけ枚数多く書かれているのか』これによって、自分の担当の設計士が優秀かどうかを一発で判断できます。
中には日頃の業務が忙しいため、流れ作業で業務をこなすことを優先し、展開図を作らない方なんかも実際にいます。
そういう人に当たると、その時点で家のクオリティが下がることが確定してしまうので、『展開図を作ることに情熱を燃やしている設計士』、そういう方が自分の担当になるようにいろいろ動いてみてください。
型にハマった寸法でしか間取りを書かない
残念な設計士の特徴5つ目が『型にハマった寸法でしか間取りを書かない』です。
間取りを書く時は『グリッド』と呼ばれる正方形のマスを組み上げて作ることが一般的なのですが、
マスを忠実に意識した間取りは効率重視ではあるものの、融通がきかず、マスを無視すると非効率ではあるものの、必要な部分に必要な大きさを取りやすいといった特徴があるのです。
例えば、マスを忠実に意識した家だと、廊下も階段も、常に幅が一定になります。
これは作る側にとっては効率が良いかもしれませんが、無駄なところにも均等な広さをとってしまうのです。
しかしその逆でマスを無視すると、必要な部分に必要な広さを確保することができるわけです。 例えば、階段なんて最たる例で、階段は将来のことを考えたらできるだけ、ゆったりした勾配の緩い階段を作っておいた方が良いですよね。
これは誰もが納得してくれるはずです。
そういった階段をつくるためには、マスを無視することでその他の部屋の大きさを削り、その分を階段スペースに広さをあてるという考え方が必要になってくるのです。
当たり前で、簡単そうなこと言ってるなーと思うかもしれませんが、これって実はそれぞれの部屋の大きさや寸法がきちんと頭に入っていないとできないのです。
更にそこに建物の構造のことも考えてつくらなければならないので、更に難易度が跳ね上がります。 ですのでマスを忠実に意識した間取りは効率重視ではあるものの融通がきかず、マスを無視すると非効率ではあるものの、必要な部分に必要な大きさを取りやすいということになります。
優秀な設計士ほど、マスを無視する傾向にあるわけです。
全てが全てマスを無視することが良いというわけではありません。
しかし、チェックするポイントとしてプランの提案をされた時に、きちんと細かく寸法を意識してプラン提案がされているかを確認してみてください。
トータルの金額を見ず、建物の金額だけにフォーカスしている
残念な設計士の特徴6つ目が『トータルの金額を見ず、建物の金額だけにフォーカスしている』です。
これがどういうことなのかというと、できる設計士というのは外構も含めた全体で建物の計画を作りますが、
あまり良くない設計士というのは建物だけにフォーカスをして、外構は二の次、という考え方なのです。
これだけ聞くとあまり大差ないように聞こえますし、『だから?』という感じだと思いますが、実はここには大きな差が存在するのです。
では、一体どんな違いが存在するのかというと、それは外構も含めた全体で建物の計画をする場合は、建物の坪単価は上がるものの、トータルの金額が安くなることがあるのです。 一方で建物だけにフォーカスをして外構は二の次、という考え方の場合は、建物の坪単価は下がるものの、トータルの金額が高くなることがあります。
ただこれだけだとちょっと意味が分からないですよね?
ですので、もう少し具体的に大枠から説明をしていきます。
そもそも論として、住宅業界は建物先行で打ち合わせをしていき、外構計画は契約した後、最後に打ち合わせをする、という流れなのです。 例えば契約前というのは、建物の仕様は決まっていても外構の詳細は決まっていないことがほとんどです。
そのため契約前は予算どおり、という形で数百万円、資金計画書と呼ばれる書類に外構の予算が計上されているだけになるのです。
そのような感じで、多くの場合が建物を先行で決めて、外構は後回しという流れで進めることになりますが、ここでポイントになってくるのが、建物と外構面積のバランスです。
というのも、建物は坪数を小さくすれば建物本体の面積が減って金額が安くなりますが、その分外構面積は増えるわけです。 もう少し具体的に説明をすると、50坪の土地に35坪の建物を建てたら、残りの15坪が外構にかかる金額なわけですよね?
しかしここで35坪の建物を30坪にしたら、表面的な建物の金額は抑えられます。ただし外構工事をしなければならない面積は15坪から20坪に増えることになるのです。
つまり、建物の金額は下がっても、その分外構工事にかかる面積が増えるので、結果としてトータル金額はそこまで大きく変わらなかったりするのです。
ここに気がついていない人が実は結構多いです。
そしてこれに気がついていると、あることが見えてくるのです。 そのあることとはなんなのかというと、それは『建物の坪単価を上げた方がトータルで見ると結果的に安くなり、そしてそれと同時に豊かに暮らせるようになる』ということです。
そうですよね?
例えば表面的な金額を安くするために建物の金額を削っても、結局外構でお金がかかりプラスマイナス0だったとします。
そしたら皆さんだったら建物と外構、どちらにお金をかけますか?
そう聞かれたら、ほとんどの方が『建物』と答えるはずです。
その方が家は大きくなりますし、家のクオリティも上がりますからね。
きちんとした設計士は『建物の坪単価を上げた方が結果的に安く、そして豊かに暮らせるようになる』ことを知っているので、あえて建物の金額が高くなる提案をしたりするのです。
その反対の『トータルの金額を見ず、建物の金額だけにフォーカスしている』設計士の場合は、あまりこだわった提案をしてきていない、ということの表れでもあります。
そういった人が担当になってしまった場合は、
- 設計担当を変えてもらう
- 建物の面積を減らし、外構面積が増えた場合の資金計画も作ってもらう
などの工夫をしてみてください!
注文住宅購入で注意したい設計士の特徴6選のまとめ
今回は『注文住宅で注意したい設計士の特徴6選』というテーマでお話をしてきました。
残念な設計士の特徴は、
- いきなり間取りの要望を聞く
- 畳数を重要視する
- 我流
- 展開図を軽視する
- 型にハマった寸法でしか間取りを書かない
- トータルの金額を見ず、建物の金額だけにフォーカスしている
以上の6つになります。
是非とも参考にしてみてください。
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