注文住宅の間取りと設計に関する話をしていきたいと思います。
今回お話しするテーマは『間取りから考えるな!失敗しない注文住宅の設計手順9ステップ!』です。
というのも、家づくりをする時、多くの人が間取りに目を向けてしまいがちなのですよね。
例えば
- 家事動線の効率がいい家にしたい
- 収納を多めにしたい
- ウォークインクローゼットをつくりたい
これら間取りに対する憧れや要望はもちろんあっていいですし、皆さんが思い描く理想のライフスタイルを否定するつもりは全くありません。
ですので要望は要望で皆さんの中で持っていただければと思うのですが、ここで私が言いたいのは、家を設計する時というのは正しい順序があるということです。
そしてその順序を無視した家づくりをしてしまうと、要望を詰め込んではみたものの「建売のようなダサい外観の家になってしまった」、「ネットでよく見るような一般的な間取りになってしまった」という状況になりかねないわけです。
結果、間取り迷子になり、永遠に負のループから抜け出せなくなるといった状況になるのです。
中には既に各ハウスメーカーさんと打ち合わせをされている方もいるかと思いますが、「まさに今その状況に陥ってしまって困っている」という方もいるのではないでしょうか?
では間取り迷子になり、永遠に負のループから抜け出せなくなるという状態にならないようにするためにはどうしたらいいのかというと、それが今回の話のテーマであり結論でもある、『間取りから考えるな!』ということになるわけです。
要は正しい設計の順序を理解することこそが、間取り作り成功の近道になるということなのです。
もちろん何事にも絶対ということはないので、今回お話しすることは数ある正解の1つにすぎないかもしれません。
ただ私は優秀な設計士を間近で何人も見てきていますし、実際に一緒に活動をしていたりもするので、そういった優秀な人たちの共通項というのが自然と見えてくるわけです。
何なら私の周りにいるほとんどの人が、今からお話しするパターンで設計しているような気がします。
この記事を最後まで読んでいただくことで、間取り作りにおける手順を理解できるようになると思いますし、間取り迷子防止にも繋がると思いうので、皆さん是非とも最後までご覧ください。
間取り作りは最後!失敗しない注文住宅の設計手順
まず全体像を把握するために、どういう手順で設計を進めていくのがベストなのか、また優秀と呼ばれる設計士達がどのように間取り作りをしているのか、これをお伝えします。
設計の手順は
- STEP1:工法を選ぶ
- STEP2:素材を決める
- STEP3:過去の事例を調査する
- STEP4:コンセプトを決める
- STEP5:敷地の条件を整理する
- STEP6:中間領域を考える
- STEP7:屋根の形を考える
- STEP8:窓の配置を考える
- STEP9:間取りを書く
以上9つのステップを順にこなしていきます。
ここから見てもわかる通り、『間取り』は一番最後に書くのです。
では、私が自宅をつくった時にどう考えたのかを紹介します。
STEP1.工法を選ぶ
- 断熱性能
- 気密性能
- デザイン性
これらを優先して『木造』を選択しました。
STEP2.素材を決める
- 長く使っていくことや床の断熱性を考え無垢床
- 樹種は水に強いチーク
- 壁は中霧島壁と呼ばれる塗壁
これらを最初から取り入れることを決めました。
3.過去の事例を調査する
- 一流ホテルの内装などを調べ、なんとなく室内イメージを固める
これ、結構ポイントで、インスタやらピンタレストを参考にするのも悪くないのですが、一流のデザイナーが監修したホテルの室内を参考にした方が参考になるケースもあります。
例えば和モダンでしたら、アマン東京やアマン京都、アマネムを参考にするといいと思いますし、
ホテルライクならコンラッド大阪
ですかね。
言い方は悪いですが、建物の写真もプリクラと同様で、加工するとオシャレに見えてしまうものです。
ですので、いろんな方面で内装を参考にするようにしてください。
STEP4.コンセプトを決める
- 双子の子どもがいるので、のびのび暮らせるような家にする
というざっくりとしたコンセプトを決めました。
というところまでが私が決めたことになります。
以降は設計士の方に基本丸投げをしました。
STEP5. 敷地の条件を整理する
- 駐車場の位置の決定
- 周辺環境を考慮して、将来その建築地で起き得ることを洗い出す
私の自宅で言うと、西側が駐車場なので、将来そこの土地が売られて家が建った時のことを想定しておくことと、
南側に家が建っているので、そこから自宅が覗き込まれないように、目線を遮る工夫を考えること、
これらが主にこのステップで行ったことになります。
STEP6. 中間領域を考える
- 建築地のどの部分を切り取って室内に入れるのかを検討
これは専門的にかっこよく言うなら『借景』と言ったりもするのですが、私のように住宅地に家を建てる場合は、外の景色を切り取って室内に入れ込む場所を人工的につくらなければならないのです。
ですので正直、お金がかかります。
一方で土地が広かったり、近くに公園があったりすると、わざわざ人工的に借景のポイントをつくる必要がないわけです。
話はそれますが、これから土地から購入して家づくりをする方は、『どこの景色を室内に取り入れたら綺麗なのか』という目線で、土地選びをしてみてもいいかもしれません。
私の自宅の場合は南面の庭を室内に取り入れ、ソトとウチの境界を曖昧にするように設計しています。
STEP7. 屋根の形を考える
今までの条件を踏まえた上で、住宅地特有の周囲からの視線をカットしつつ、家族が快適に過ごせるように片流れの屋根に設定。
そうすることで目の前の家などからの目線を防ぎつつ、カーテンのいらない暮らしを実現できます。
STEP8. 窓の配置を考える
借景等の兼ね合いで主要な窓の位置は決まったので、あとはどれだけ壁を綺麗に見せられるかを考えつつ、残りの窓の数が最低限で済むように、窓の位置を検討しました。
STEP9. 間取りを書く
- 具体的に間取りを書いていく
という感じの流れで設計をしました。
私はこれが本来の設計の手順になると思っていますし、優秀と呼ばれる設計士達に共通する設計方法であると、99%確信しています。
むしろこの手順を踏まないと、かっこいい見た目の家をつくりつつ、使い勝手のいい機能的な間取りを作るのは不可能と言い切れるくらいです。
過去にアップした動画の中で私は、『建物の外観と間取りは同時につくっていかないと両立できない』と言っていると思いますが、それにはこれまで細かく説明してきたような深い理由があるからなのです。
ただし、多くの人がSTEP9の『間取りから考えようとして失敗する』わけです。
中にはドキっとされた人も結構いるのではないでしょうか。
「あれ、これおかしいな?」と思ったら、一旦立ち止まることをおすすめします。
注文住宅の間取り作りに失敗しないポイント
では、これから動き始める、まだ動いていないし打ち合わせにも進んでいない、これらに該当する方はどのようにすれば間取り作りで失敗しないのかというと、それが
- 担当者によって能力差があることを理解する
- 施主力の向上を意識する
この2つなのです。
それぞれ詳しく解説をしていきます。
担当者によって能力差があることを理解する
まず1つ目は『担当者によって能力差があることを理解する』ということについてです。
これは私がずっと言い続けていることにはなりますが、ハウスメーカーの担当者はわかりやすく例えるなら料理人のようなものなのです。
もう少し具体的にお伝えをすると、皆さんは、人参、じゃがいも、玉ねぎ、肉、これらの食材から料理を作ってくださいと言われたら何を作りますか?
考えてみてください。
恐らくほとんどの人がカレーを思い浮かべたのではないかと思います。
しかし、人参、じゃがいも、玉ねぎ、肉、これらの食材を使えば『肉じゃが』も作れます。
要は家づくりも同じで、建築地をどう読み解くのか、そしてその上でどのような素材を使って家づくりをするのか、全ては担当者次第だということです。
特に最近では、担当者によって建物の断熱性能や気密性能まで大きく変わってくる状況にもなってきています。
例えば、仮に昨今の電気料金の高騰のせいで電気代が月々4万円になってしまったら、それは借りている住宅ローンにプラスして2,000万円追加で住宅ローンを借りているのと同じ状況なわけです。
いやいや、そんなことあるの?と思うかもしれませんが、今までの日本の住宅はエアコンをガンガン効かせて、力技でどうにかこうにか室内の熱環境を整えてきていたのです。
でもこれからの時代は脱炭素化の流れなどもあって、家自体の保温性能を上げ、最小限の力で室内の温熱環境を整えていく時代になったのです。
しかし時代の流れを理解していない人は、
- 床暖房をおすすめします
- 断熱仕様を上げるのはオーバースペックです
といったわけのわからないことを言って、言いくるめようとするわけです。
ですのでデザイン性もそうですが、建物の断熱性能・機密性能を良くするためにも、自分の担当者選びは慎重に行ってください。
特に評判の良い営業マンと評判の良い設計士は、自然とペアになって仕事をしているのがこの業界です。
皆さんの職場でもそうだと思いますが、ヤバイ人の周りにはヤバイ人しか集まりませんし、最悪、周囲から相手にされないなんてケースも普通にあるわけです。
一方で評判が良い人の周りには、自然と人が集まってきますよね。
それと同じ現象が住宅業界でも起こっているということです。
このことを念頭に置いた上で行動してみてください!
業界の裏事情や現在の状況を知りたいという方は、以下の動画または記事も合わせて見てみてください。
施主力の向上を意識する
続いて2つ目は『施主力の向上を意識する』ということについてです。
実は、良い担当者が自分の担当になれば100%良い家づくりができるかと言われればそうではないのです。
これが家づくりの難しいところで、これから家づくりをする皆さんは、住宅のことに関してきちんと学ばなければいけないのです。
なぜなら、建物の機能性は理論・理屈がわかっていないと、今提案されている建物のスペックが本当に十分なのかを読み解けません。
担当者の『大丈夫』と自分の『大丈夫』のレベル感は違います。
室温20度で暖かいという人もいれば、室温25度じゃないと暖かくないという人もいるわけです。
また、建物のデザイン性は平面図だけでは読み解けません。
本来なら展開図と呼ばれるものを作ってもらい、それを駆使してしっかりと今提案されている間取りを読み解いていく必要があるのです。
それにも関わらず、学ぶことをやめた人、もしくは学ぶことをしない人は、なぜだかプロが提案してきたものに対して手を加え、オリジナリティを出そうとし始めるのです。
正直、プロが提案してきたものに手を加えることほど、ナンセンスなことはないのですが、この感覚をわかりやすくお伝えすると、例えば市販のカレールーを使ってカレーを作る時に、隠し味と称してヨーグルトとかチョコレートを入れるのと同じくらい愚かなことだということなのです。
市販のカレールーは食品会社が心血注いで誰でも簡単においしくできるものを作っているわけですから、誰がどう考えても普通にカレーを作った方がおいしいはずですよね。
あとはプロでもないのに、わざわざ鰹節から出汁を取って味噌汁を作るなどですね。
私が以前勤めていた会社に、自称料理が得意という先輩がいたのですが、彼は『鰹節から出汁を取って味噌汁を作った方がおいしく作れる』と言っていたのです。
でも私は内心「そんなわけあるかい!」と思っていて、素人が変にこだわるよりも『顆粒タイプの出汁』を使った方がどう考えても手っ取り早く、おいしい味噌汁が作れるはずです。
そんなことにこだわるくらいなら、少しでも子どもの面倒を見てあげた方が奥さんも喜ぶんじゃないかなと、その時は口が裂けても言えなかったですが、そのような感じで、勉強していない人ほどオリジナリティを出したがる傾向にあるなと思うわけです。
しかも勉強ができない人は、物事の各論にしか目が行きません。
各論とは言い換えれば手段なのです。
手段は目的があって初めて意味をなすものなので、やはり原理原則を理解していないと、きちんとした手段を選択できなくなるのです。
もっと具体的にお伝えするのであれば
- リビングは20畳欲しい
- 回遊動線にしてほしい
- 収納は多めにしつつ、ファミリークローゼットを付けて欲しい
などなど、そういう各論に目を向けるのは無意味だということです。
建物の広さは平面的なもので決まるわけではありません。
広さよりも広さ感、距離よりも距離感が重要になってくるのです。
動線は建物がコンパクトであれば自ずと短くなります。
建物の大きさが50坪、60坪を超えてくるようなら話は別ですが、
30坪から35坪の一般的なサイズの建物の場合、よほど変な間取りでなければ動線は短くなります。
収納量の確保が目的なら、わざわざファミリークローゼットにせずとも効果効率的な収納方法が他にもあるかもしれません。
家は全体で考えるものなのです。
ですので、原理原則を理解するためにもしっかりと勉強をしていただき、施主力の向上を意識してもらえればと思います。
ということで間取り作りで失敗しないようにするためには
- 担当者によって能力差があることを理解する
- 施主力の向上を意識する
この2つが重要ですよというお話でした。
失敗しない注文住宅の設計手順9ステップのまとめ
どういう手順で設計を進めていくのがベストなのか、また優秀と呼ばれる設計士達がどのように間取り作りをしているのか、ということについてですが、これは
- STEP1:工法を選ぶ
- STEP2:素材を決める
- STEP3:過去の事例を調査する
- STEP4:コンセプトを決める
- STEP5:敷地の条件を整理する
- STEP6:中間領域を考える
- STEP7:屋根の形を考える
- STEP8:窓の配置を考える
- STEP9:間取りを書く
以上9つのステップを順にこなしていく、ということでした。
中には現在間取りの打ち合わせ中という方もいるとは思います。
今の話を聞いて「あれ、これおかしいな」と思ったら、一旦立ち止まることをおすすめします。
また、これから動き始める、まだ動いていないし打ち合わせにも進んでいない、これらに該当する方がどのようにすれば間取り作りで失敗しないのかというと、それが
- 担当者によって能力差があることを理解する
- 施主力の向上を意識する
この2つになります。
どちらが欠けても良い家はできないので、双方ともに意識をしていただければと思います。
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