今回は『注文住宅で絶対にやってはいけないこと』というテーマでお話しをしていこうと思います。
というのも、『要望リスト』これを書いてハウスメーカーに提出する人が最近すごく増えているのです。
これから注文住宅を検討される方からすると「そもそも要望リストってなに?」という感じだと思うので、一応目線合わせのためにそこから説明すると、自分が新しい家を建てるにあたって取り入れたいものを箇条書きで書き連ねたノートのようなもののことを言います。
もっとイメージしやすいように具体例を出すと、例えばそういった要望リストには
- LDKは20畳欲しい
- パントリーが欲しい
- 回遊動線にしてほしい
といったことが書かれているわけです。
確かに今の時代、ネットで調べれば注文住宅に関する情報がたくさん出てきます。
そんな時代だからこそ「みんなが良いと言っているものを1つずつ積み上げていけば絶対に失敗しない究極の家ができるんじゃないか」多くの人がそう考える気持ちもよくわかります。
しかしハッキリ言います。
注文住宅を建てる上で『要望リスト』というのは絶対に作ってはいけません。
これが今回お話する『注文住宅で絶対にやってはいけないこと』になります。
では、なぜ『要望リスト』を作ることが『注文住宅を建てる上で絶対にやってはいけないこと』なのか、今回はここを紐解いていきつつ、最後には具体的な解決策もお話をしていきます。
本記事を最後まで読んでいただければ、ハウスメーカー迷子になってしまうことを防げます。
また、効果効率的に打ち合わせを進められるようにもなるはずです。
日本には建築会社だけでも約35,000社ありますし、その中で大手ハウスメーカーと呼ばれる会社でも9社も存在するのです。
さらに、ハウスメーカーとの打ち合わせは1回で平均して3時間は必要となります。
そのため、検討するハウスメーカーの数が多ければ多いほど、打ち合わせの数が多ければ多いほど、時間と体力をどんどん消費することになります。
ですので、効果効率的に打ち合わせるためのベースを整えることは非常に重要なのです。
そういう意味でも本記事は皆さんのお役に立つものとなっているので、ぜひとも最後までご覧いただければと思います。
注文住宅を建てる際、要望リストを作ってはいけない理由
注文住宅を建てる上でなぜ要望リストを作ってはいけないのかというと、それは『手段の積み上げ』でしかないからです。
そしてその『手段の積み上げ』をしてしまう原因を作っているのが、実は『完璧思考』なのです。
「手段の挫折」は問題なく「目的の成就」が一番大事
大枠として物事には手段と目的というのが存在します。
それぞれをわかりやすく説明すると、手段というのは、ある物事を達成するためにその途上で使う方法のことを言います。
目的というのは、到達したい状態に対して意図的に行動を方向づけるもののことを言います。
例えば100m先にゴールがあったとします。
その100m先のゴールに到達するなら、自転車でも電車でも徒歩でも何を使ってもいいことにします。
この時の100m先のゴールが目的であって、
そのために何を使うのか、自転車を使うのか、電車を使うのか、徒歩を使うのか、これが手段だということです。
このような感じで、物事には手段と目的が存在するわけですが、この時にポイントになってくるのが「手段の挫折」は問題ないことで、「目的の成就」これこそが一番大事だということです。
そうですよね。
先ほどの例でお話をすると、100m先のゴールに到達することが全てなのです。
ですので例えば、途中で何か違ったなと思ったら、徒歩から自転車に変えてもいいですし、自転車から電車に乗り換えてもいいのです。
目的である100m先のゴールにさえ到達できればいいのです。
つまり「手段の挫折」は問題ないことで「目的の成就」これこそが一番大事になってくるのです。
わかりますかね?
これが手段と目的、それぞれの説明です。
ここまでの説明をとおして、手段とはなんなのか、目的とはなんなのかが、皆さんもなんとなく理解できたのではないかと思います。
では、今回のテーマでもある『要望リスト』、これは手段と目的どちらを記載したものになると思いますか?
そうですよね、『手段』なのです。
ですので
- LDKは20畳欲しい
- パントリーが欲しい
- 回遊動線にしてほしい
という要望は、全て1つの手段に過ぎないわけです。
広さを感じられる空間設計だったら、収納量が確保できる間取りだったら、効率的な家事動線が組み込まれている間取りだったら、わざわざ要望リストに書かれているようなそれぞれの要望に固執する必要はないのです。
何度もお伝えしますが「手段の挫折」これは問題ないことで「目的の成就」これこそが一番大事だということです。
要望リストは「手段の挫折を許されない」状態にする
「手段の挫折」は問題なく「目的の成就」が一番大事だということを念頭に置いて考えた場合、『要望リスト』にはある重大な欠点があることがわかるのです。
その重大な欠点とはなんなのかというと、それは『手段の挫折が許されない状態になっている』ということなのです。
要はリストに書いてある項目全てを満たした間取りを作らないといけない、という状態になるということです。
そしてこの状態というのは、何が大事なのかわからないから全てを完璧に整えようとしている状態でもあるのです。
つまり周辺を整えることで自分の中での正しさを作り上げ、安心感を得ようとしているのです。
思い返してみてください。
案外、行きたい大学が決まってない人ほど、参考書選びがシビアで、ノートをきれいにまとめていませんでしたか?
仕事の成果がイマイチなのに、出勤退勤時間やルールに対してやたら厳しい人っていませんか?
自分が見えてないため、周辺のものを全て正しく整えなければ気が済まないのです。
周りを整えることで自分を安心させようとする心理が働いているのです。
『要望リスト』もこれと全く同じです。
『手段の積み上げ』をして自分の中で正しさを作り、安心しているだけなのです。
つまり『要望リスト』には目的が不在なのです。
要望リストの欠点に気づかず注文住宅を契約すると起こること
こういった『要望リスト』の重大な欠点に気づかずに家づくりをしてしまう人がとても多いです。
もし仮にこれに気がつかず打ち合わせを進めるとどうなるのかというと、
- パズル合わせのような間取り提案になる
- 契約後の打ち合わせで苦労する
この2つのパターンに陥ってしまい、地獄をみることになります。
これは誇張しているわけではありません。
本当にもがき苦しんでいる人をたくさん見てきました。
ですのであえて強めに言っているわけですが、ただそうは言われてもイメージできないと思うので、一応それぞれ説明していきます。
パズル合わせのような間取り提案になる
まず『パズル合わせのような間取り提案になる』ということに関してですが、これはそのままの意味で、手段をただただ結合しただけの間取りになるということです。
- LDKは20畳欲しい
- パントリーが欲しい
- 回遊動線にしてほしい
これらの要望を思考停止状態で切り貼りすることになるわけです。
そしてその結果どうなるのかというと、どのメーカーからもほぼ同じ間取りを提案されることになります。
それはそうですよね。
要望書は料理に例えるならレシピのようなものなので、そこにメーカー側のオリジナリティを加えなければ、どのメーカーも同じものができあがってくるのは当然です。
しかも要望書は先ほどもお伝えしたように『手段の挫折』が許されないような構造になっているのです。
そのため、どう考えても最終的にどのメーカーも提案してくる間取りはほぼ同じにしかなりません。
さらにその間取りというのは、不思議なことにネット上でよく見かける間取りになってしまうのです。
どういうことかというと、その要望書に書かれている要望というのは、SNSで見かけた何かの実例を見て、自分の要望としたわけですよね。
つまり模範解答を見て、それを真似したいと言っているのと同義なのです。
そのためSNSで見かけたものとほぼ同じ間取りになってしまいます。
模範解答以上の間取りは作れないですし、なんなら知らず知らずのうちに自らネットに掲載されている家に近づけようとしてしまっているのです。
これだと注文住宅を建てる意味がありません。
『敷地を読み解き、そこに住む上での最適解を提案するもの』これが注文住宅です。
パズル合わせのような間取り提案にしない・させないために、要望書は作ってはいけないのです。
これが1つ目の『パズル合わせのような間取り提案になる』ということについてです。
契約後の打ち合わせで苦労する
『契約後の打ち合わせで苦労する』ということについてです。
これはどういうことかというと、要望書を作って各メーカーに間取り提案をお願いした場合、そのメーカー、その担当者の本当の提案力がわからなくなるということです。
そしてそれがわからないままハウスメーカーと契約してしまうと、契約後の打ち合わせがしんどくなるのです。
こちらもイメージがつきにくいと思うので、きちんと大枠から徐々に掘り下げて説明していきます。
注文住宅は主に2回、契約が発生してきます。
1回目の契約が『あなたのハウスメーカーで家を建てることを決めますよ』という契約、
2回目の契約が変更契約や着工合意と呼ばれるもので、『今まで打ち合わせしてきた内容で着工しますけどいいですか?問題なければ捺印してください』という契約、
この2回なのです。
1回目の契約から2回目の契約までの間は、当然その契約したハウスメーカーと打ち合わせを進めることになりますが、ここでは主に担当の設計士の方と
- 契約時の間取りの見直し
- 契約時に見積もりに入れていた設備仕様の確認と変更
- 外構の打ち合わせ
これらを行います。
この契約後の打ち合わせは、細かい打ち合わせをしていくフェーズなのです。
ですので場合によっては、展開図と呼ばれる室内の中心から北、東、南、西の四方を見た投影図、これを書いて細かく調整していく作業が入ります。
そして実は、この展開図と呼ばれるものによって建物のクオリティが大きく変わってくるのです。
なんなら展開図が建築の全てを決めると言っても過言ではありません。
それだけ重要なものなのです。
実際に私も自宅を建築する際には、膨大な量の展開図を担当者の方に書いてもらいました。
ただし、展開図が書ける人ばかりではありません。
書けない人も実際にいるのです。
全てが全て優秀な設計士ではないですからね。
さらに当然ではありますが、担当の設計士によって提案の引き出しの多さも全然違います。
最悪、お客さん側がメーカー側の足りない部分を補い、リードしなければならないという状況にもなりかねません。
これだと、家のことしか考えられなくなりますし、ずっと気を張り詰めた状態にもなるので、だんだんとしんどくなってきます。
例えるなら、出かける時に何か忘れ物はないかを考えて、もやもやした気分になると思いますが、あのような感覚に近いです。
それが何ヶ月も続くと考えると嫌になりませんか?
こういったことを知らないで、ただただハウスメーカーを選ぶことばかりに着目してしまうのはあまりにも危険です。
それにも関わらず、先ほどもお話ししたとおり要望書を作ってしまうと、最終的にどのメーカーも出てくる間取りがほぼ一緒で、担当者の本当の実力がわからない状態のまま契約することになってしまいます。
そういう状況を自ら作り出してしまうのです。
ハウスメーカー選びはあくまで通過点であって、契約後が本番です。
その本番を失敗してしまったら元も子もありません。
そのような状況を自ら作らないためにも、担当者の力量をしっかり把握して納得し、安心した上でハウスメーカーと契約するためにも、要望書は作ってはいけないのです。
これが2つ目の『契約後の打ち合わせで苦労する』ということについてです。
ということで、ここまでの話を一旦まとめると、要望書を作る行為というのは、周辺を整えることで自分の中での正しさを作り上げ、安心感を得ようとしている行為だということ。
そしてそれに気がつかず要望書を作って打ち合わせを進めると、
- パズル合わせのような間取り提案になる
- 契約後の打ち合わせで苦労する
これらが発生する可能性が大きくなり、心身ともに苦労するというお話しでした。
注文住宅で失敗しないために
ここまでの内容を読んでいただいた皆さんからすると「じゃあどうすれば失敗せずに進められるんだ?」という話だと思います。
ですのでここからは、
- 注文住宅を建てる上でのおすすめの進め方
- 『目的』と『手段』の設定の仕方
これら具体的な解決策をお伝えします。
注文住宅を建てる上でのオススメの進め方
まず『注文住宅を建てる上でのおすすめの進め方』についてですが、こちらは『プランは丸投げ』で作ってもらうというのがおすすめの進め方になります。
もちろん家族構成や自分達の趣味、今回の家づくりにおけるコンセプト、これらに関しては伝えなければいけません。
そういった最低限の情報だけを伝えてあとは丸投げをするということになります。
ではなぜ丸投げの状態でプランを作ってもらった方がいいのかというと、それは『各メーカー、各担当者の提案レベルを把握するため』です。
というのも先ほども説明したとおり、要望書を書いて各メーカーにそれを渡しプランを作ってもらうとなると、どのメーカーも最終的には大体同じような間取りになってしまいます。
それだとハウスメーカー各社本来の実力が不透明になってしまうので、ハズレを引いた場合、契約後の打ち合わせで苦労する可能性があるわけです。
そうならないようにするためには、例えば
- LDKは20畳欲しい
- パントリーが欲しい
- 回遊動線にしてほしい
といったように変にこちらからオーダーを出すのはやめて、ハウスメーカー側に全てを委ねてしまった方がいいのです。
その方が自分の担当がどのくらいの力量の人なのかがわかります。
私から紹介を出す時は、営業担当から設計士まである程度コーディネートした状態で皆さんに紹介していますが、自分達で担当者を見つける場合は、こういったことをしないとその人の技量はわからないのです。
ですのでプランの作成を依頼するときは、家族構成や自分達の趣味、今回の家づくりにおけるコンセプト、これら最低限の情報だけを伝えてあとは丸投げをする、これを徹底するようにしてください。
「丸投げしたはいいものの、自分達の理想と違うプランが出てきたらどうするの?」と疑問に思われる方もいるかもしれません。
それについて一応お答えしておくと、仮に自分達の理想と違うプランが出てきたとしても、ここでの目的は担当者の力量を測ることにあります。
その場でプランを確定させる必要はないのです。
例えばですが、ハウスメーカーと契約した後に再度間取りの打ち合わせをするということもできるわけですし、契約しないまでも複数検討していたハウスメーカーを検討から外す材料にすることもできるわけです。
丸投げした結果、自分達の理想と違うプランが出てきたとしても安心して構えていただき、自分の担当者の力量を見極めてもらえればと思います。
では『丸投げをするのはわかった』と、『じゃあ実際に丸投げする際に必要なコンセプトってどうやって決めればいいの?』と、今度はそんなことを思われる方もいるかと思うので、次はそこについてもお話をしていこうと思います。
『目的』と『手段』の設定の仕方
実はコンセプトとは、言い換えると目的になります。
そのため、目的と手段を明確に理解して進めなければ、コンセプトは見えてこないのです。
『目的』と『手段』の設定の仕方、これが重要になってきます。
ではどうやって『目的』と『手段』を区別し、コンセプト、言い換えれば目的を定めていけばいいのかというと、目的を決める時は『どうしたいか』これを考えてください。
そして手段を決める時は『どうあるべきか』これを考えるようにしてください。
重要なのでもう一度言います。
目的を決めるときは『どうしたいか』、手段を決める時は『どうあるべきか』なのです。
ただこれでも少しわかりにくいと思うので、もっとわかりやすく言い換えて端的にお伝えすると、論理から導き出されるのが手段で、願望から導き出されるのが目的です。
これさえ頭の中にあれば、手段と目的がごちゃごちゃになることはなくなるはずですし、自分が家づくりに何を求めているのかがスムーズに理解できるようになるはずです。
例えば先ほどから例に挙げている
- LDKは20畳欲しい
- パントリーが欲しい
- 回遊動線にしてほしい
これらの要望は、論理と願望、どちらかと言えばどっちなのかというと、論理ですよね。
論理がなければ20畳ほしいという具体的な数値なんて出てこないですし、パントリーが欲しい、回遊動線にしてほしいといった解決策も出てこないはずです。
ですので、論理から導き出されるのが手段なのです。
一方で、願望から導き出されるのが目的というお話をしましたが、願望は抽象的なものになります。
例えば
- きれいで清潔感のある家に住みたい
- LDKの広い家に住みたい
- 犬との暮らしを考えた家づくりにしたい
そういうことが願望であり、目的であり、家づくりのコンセプトになります。
ですので、目的を決める時は『どうしたいか』これを考えてください。
そして手段を決める時は『どうあるべきか』これを考えるようにしてください。
ただしこの説明に対していまいちピンとこないという方は、論理から導き出されるのが手段で、願望から導き出されるのが目的、こちらに置き換えて考えていただければと思います。
要望リストは作るな!注文住宅で絶対にやってはいけないことのまとめ
今回のお話しは少し小難しかったかもしれませんが、注文住宅を建てる上で必要な考え方になります。
一部、ビジネスにも応用できる考え方だと思うので、家づくりと自身の仕事、双方にご活用いただけたら幸いです!
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