今回は『【2023年上半期】大手ハウスメーカー新商品のまとめ』ということでお話をしていこうと思います。
というのも、去年10月に行われた断熱等級の改正により、ハウスメーカー各社の建物の断熱仕様がかなり変わってきています。
本記事は、2023年になってからこの半年間で起こった各ハウスメーカーの動きが網羅的にわかるものになっています。
しっかり学びたい、大手ハウスメーカーの断熱仕様の変更
断熱仕様の変更というのは、ほとんどのメーカーが「選択肢を増やす」という方向をとっています。
これがとても厄介なのです。
どういうことかというと、例えばですが、元々A,B,Cという断熱仕様の選択肢があったとします。
それでAが最低グレード、Bが中間、Cが既存の最上位グレードだったとします。
ここで新しい断熱仕様のDが登場した場合、今までの最低グレードのAは、正直時代遅れ感が否めなくなるわけです。
ですのでAを廃止して、B,C,Dの断熱仕様にする、
もっと極端にわかりやすくするために、最新のDのみの断熱仕様にする、そうすることが本来ベストだと思うのです。
その方がお客さんも現場の営業マンもわかりやすいですからね。
しかし、ハウスメーカー各社はAを廃止することなく、そのままA,B,C,Dと断熱仕様を増やしていき、そこから更にE,F,Gといった感じで断熱仕様を増やしていっているわけです。
もう一体どこまで断熱仕様を出すんだ、という感じですよね。
大企業になると、いろいろな社内政治が働くので、社内の誰かの機嫌を損ねないためにも、そういう中途半端な状態を保つしかないというのもよくわかります。
わかるのですが、ハウスメーカーは今そのような状態なので、自分の担当営業マンが世の中の状況や自社のことをきちんと知らないと、例えば「標準仕様で大丈夫です!問題ありません!」「断熱仕様の強化はオーバースペックです!標準で十分です!」というような説明を必ずされます。
そのため、場合によっては選択肢を提示されるどころか、最低スペックのまま話を進められる可能性が非常に高いわけです。
しかもお客さん側も自分がまさか最低スペックで提案されているとは思いませんし、大手だから大丈夫だろうと安心している部分もあると思います。
実際は大手だから安心というわけではありません。
自分でしっかり勉強をしておかないと、後々痛い目を見る可能性が高くなります。
本記事は、各ハウスメーカーの動向を知るきっかけにもなります。
ハウスメーカー選びをする上での1つの検討材料になると思いますし、自分で自分の身を守る上での重要な知識にもなるはずです。
ここまで一例として断熱仕様についての話をしてきましたが、それ以外にも純粋な新商品を出したハウスメーカーや保証の延長などが行われたハウスメーカーもありますので、各社の状況を順番にご紹介します。
大手ハウスメーカー新商品:積水ハウス
まず最初に、積水ハウスです。
積水ハウスはこの半年で、断熱仕様の大幅な仕様変更とデザインの強化が行われました。
そもそも論として積水ハウスは
- 軽量鉄骨の商品:ダイナミックフレーム・システム
- 重量鉄骨の商品:フレキシブルβシステム
- 木造の商品:シャーウッドハイブリッド構造
この計3種類の家のつくり方から、自分達の理想にマッチした家のつくり方を選んでいくことになるわけです。
グリーンファーストゼロ・スーペリア(軽量鉄骨・木造)
新しい断熱仕様として2022年11月に
- 軽量鉄骨の商品:ダイナミックフレーム・システム
- 木造の商品:シャーウッドハイブリッド構造
これらの商品を対象に、グリーンファーストゼロ・スーペリアという断熱仕様を出しました。
この仕様は通常の仕様と比べて、より断熱性能と気密性能が取れるような仕様で、具体的には気密ラインが変更になっていたり、諸々の細かい収め方が変更になっていたりと、今までの仕様と比較してかなり特殊なつくりとなるのが特徴です。
そのため現場での対応もそこそこ複雑なのです。
そのため営業マンの中には面倒だからやりたくないという理由で「間取りに制限があるのでおすすめしません」と言ってきたりします。
ただ昨今、気密が重要だと言われていますし、ネットを見れば気密という言葉を嫌というほど目にします。
それだけ建物の気密性能が非常に重要であるということなので、スーペリア仕様をいかに使いこなせるか、これが現場の腕の見せ所なのではないのかなと思うわけです。
そもそも「間取りに制限があるのでおすすめしません」は、いかにもお客さんのためを思ってる風に言っていますが、冷静に考えてみると会社都合の話です。
「だまされる」という言い方は少し過剰だとは思いますが、担当者の言葉は本当に自分達を思ってのことなのか、それとも会社向きの言葉なのか、これは冷静に判断するようにしてください。
グリーンファーストゼロ・プラスアルファ(軽量鉄骨・木造)
そして2023年2月にこれまた
- 軽量鉄骨の商品:ダイナミックフレーム・システム
- 木造の商品:シャーウッドハイブリッド構造
を対象として、グリーンファーストゼロ・プラスアルファという断熱仕様がリリースされました。
グリーンファーストゼロ・スーペリアとは違い、以前から積水ハウスにあった
- グリーンファーストゼロ
- グリーンファーストゼロ・プラス
これらの断熱仕様の更にその次の新しい断熱仕様が、グリーンファーストゼロ・プラスアルファになります。
少しややこしいのでわかりやすくまとめるなら、
- グリーンファーストゼロ・プラスの正統進化系がグリーンファーストゼロ・プラスアルファ
- グリーンファーストゼロ・スーペリアは、今までのグリーンファーストゼロ系統とは完全に別物で亜種
というふうに思ってください。
新しいグリーンファーストゼロ・プラスアルファという断熱仕様ですが、こちらはグリーンファーストゼロ・プラスの正統進化系ということで、シンプルにグリーンファーストゼロ・プラスよりも断熱材の厚さが厚くなっています。
ですので、デザインに重きを置きつつ、建物の断熱性能を上げたいという方は、グリーンファーストゼロ・プラスアルファ、こちらの仕様を選んでいただければと思います。
ただし気密に関しては、スーペリア仕様の方が取りやすいです。
もちろんグリーンファーストゼロ・プラスアルファでも気密が全く取れないわけではないですが、この辺りの選択は難しいところですね。
確実にC値1以下を目指すなら、グリーンファーストゼロ・スーペリア仕様を選び、現場の施工制度に依存するものの、そこまで過度に気密にこだわらないなら、グリーンファーストゼロ・プラスアルファ仕様を選ぶ、このようなすみ分けで選んでみるといいかもしれません。
グリーンファーストゼロ・スーペリア(重量鉄骨)、ライフニットデザイン
そして2023年5月、いよいよ重量鉄骨のフレキシブルβシステムでもグリーンファーストゼロ・スーペリア仕様が使えるようになり、2023年6月から、ライフニットデザインという新しいデザイン概念が誕生した、というのがここ半年の積水ハウスの動きになります。
ライフニットデザインの概念については別の記事で詳細を解説しているので、こちらもあわせて見てみてください。
担当者の見極めが大事
ここ半年間で積水ハウスもかなり変わってきています。
当然、この流れについてこられず、現場には「スーペリア仕様?なにそれ?」というような方や
「ライフニットデザイン?そんなのとりあえず本社から配布されたツールを使っておけばいいんでしょ?」くらいにしか思っていない方など、リテラシー格差が開きに開いている状態です。
そのため自分の担当者が誰になるのかで、建物のデザインはもちろんのこと、建物の性能に関しても大きく変わってくるという状況なのです。
自分の担当者はしっかりと見極めるようにしてください。
大手ハウスメーカー新商品:ダイワハウス
続いてはダイワハウスです。
ダイワハウスは、2023年5月にプレリリースとして2つの動きがありました。
- 木造の商品であるxevo GranWoodに新たにウルトラW断熱仕様が追加
- 尺モジュール対応の木造新商品、xevo BeWoodが発売
この2つになります。
そして2023年6月から正式にそれら2つがリリースされた形となります。
こちらについても積水ハウスと同様に、別の記事で詳しく解説しているので、詳細についてはこちらを見てみてください。
ここでは、簡単に概略だけお伝えします。
xevo GranWoodに新たにウルトラW断熱仕様が追加
まず1つ目の「木造の商品であるxevo GranWoodに新たにウルトラW断熱仕様が追加」ということについてですが、そもそもダイワハウスのxevo GranWoodには、以前まで4つの断熱仕様が存在していました。
それが
- スタンダードW断熱仕様
- ハイクラスW断熱仕様
- エクストラW断熱仕様
- プレミアムW断熱仕様
以上の4つだったわけです。
そこに今回、新たに新しい断熱仕様であるウルトラW断熱仕様が加わって、断熱仕様が合計で5つになったのです。
特に今回出たウルトラW断熱仕様は、断熱材が超モリモリになっているのです。
具合的には
壁
- 外張り断熱部分:押出ポリスチレンフォーム90mm
- 充填断熱部分:アクリアウールα 36K 105mm + 20K 89mm 合計194mm
天井
- 高性能グラスウール20K 400mm
床下
- 硬質ウレタンフォーム200mm+大引き上断熱材15mm+断熱浴槽
となっているのです。
ただこれだけ聞くと「なんのこっちゃ」という話だと思いますが、例えば断熱性能で有名な一条工務店の最高グレード商品であるグランスマートと比較をすると、
ダイワハウスの壁が
- 外張り断熱部分:押出ポリスチレンフォーム90mm
- 充填断熱部分:アクリアウールα 36K 105mm+20K 89mm 合計194mm
なのに対して
一条工務店は
- 外張り断熱部分:高性能ウレタンフォーム50mm
- 充填断熱部分:高性能ウレタンフォーム140mm
となっているのです。
次に天井です。
ダイワハウスが
- 高性能グラスウール20K 400mm
なのに対して一条工務店は
- 硬質ウレタンフォーム235mm
となっています。
最後に床下断熱です。
ダイワハウスが
- 硬質ウレタンフォーム200mm+大引き上断熱材15mm+断熱浴槽
なのに対して、一条工務店が
- 高性能ウレタンフォーム140mm
となっています。
このように比較してみるとわかるのですが、ダイワハウスのウルトラW断熱は、壁、天井、床下、どれをとっても一条工務店に引けを取らない仕様になっているのです。
そのため、例えば断熱性能とデザイン性能の両立を図りたい、といったように、一条工務店ができないことをダイワハウスだったら叶えられる、そんなポジションを狙ってきているわけです。
すごいですよね。
ただこれだけ聞くとダイワハウスが完璧なようにも聞こえますが、正直まだまだ現場はこの流れについてこられていません。
ですので提案レベルは同じ木造の積水ハウスや住友林業、あとは三井ホームと比較をすると、正直イマイチであることが多いです。
この辺りはダイワハウス全体としての課題かなというところです。
尺モジュール対応の木造の新商品xevo BeWoodが発売
次に2つ目の、尺モジュール対応の木造の新商品xevo BeWoodが発売ということに関してです。
こちらに関しては、元々メーターモジュールだったxevo GranWoodを尺モジュール化することで、価格を下げる調整をした商品になります。
ですので運用は通常の注文住宅と同じで、完全自由設計なのです。
ダイワハウスの木造商品に魅力を感じているけど、少しでも価格を抑えた形で完全自由設計を実現したい、という方に向いている商品になります。
「じゃあ、xevo GranWoodじゃなくて、新しく出た新商品のxevo BeWoodの方がいいじゃん!」となりそうですが、ちょっと待ってください。
新商品のxevo BeWoodにも、注意事項があります。
それはxevo BeWoodは選べる断熱仕様が
- スタンダードW断熱仕様
- ハイクラスW断熱仕様
- エクストラW断熱仕様
この3つしかないということです。
xevo GranWoodで使えた
- プレミアムW断熱仕様
- ウルトラW断熱仕様
は使えないのです。
一応ダイワハウス側もよくある間取りで、
- スタンダードW断熱仕様でUa値0.55
- ハイクラスW断熱仕様でUa値0.47
- エクストラW断熱仕様でUa値0.38
これらの数値は取れる想定で断熱仕様を決めているようですが……、完璧を求めるなら、xevo GranWoodを選んだほうがいいかなと思います。
また、コストメリットを出すためにxevo BeWoodをリリースしたという側面も事実としてあるはあるのですが、実は現場でメーターモジュールの設計ができる人が少ないため、尺モジュール商品を出したという側面もあるのです。
というのもダイワハウスは元々、鉄骨メインで売っていた会社で、鉄骨の商品xevoΣは尺モジュールの商品なのです。
そのため尺モジュール慣れしている設計が、急にメーターモジュールで設計しようと思ってもうまく設計できないのです。
メーターモジュールに慣れるための助走期間として、xevo BeWoodをリリースしたという背景も実はあったりするわけです。
何はともあれ、ダイワハウスは転換期です。
ここから大きく変わっていくことが予想されるので、応援していきたいなと思う気持ちもありつつ、まだまだ現場は整っていないのが実情です。
そのため推すに推せない何とも非常に複雑な心境ではあるのですが、とにかくダイワハウスは大きく変わろうとしているということ、ただし現場がまだまだ整っていないため、思うような提案を受けられない可能性があるということ、これは念頭においた上でダイワハウスを検討していただければと思います。
大手ハウスメーカー新商品:セキスイハイム
続いてはセキスイハイムです。
セキスイハイムも断熱等級の改正に伴い、今年の2023年4月から新断熱仕様が実装されています。
具体的には
- 壁
- 基礎
- 開口部
これらをそれぞれ強化し、断熱等級6を獲得するための仕様が出ているのです。
強化された断熱仕様
壁に関してはハイグレード(HG5a)仕様というものにすることで、今まではグラスウール16K100mmでしたが、これがグラスウール20K130mmに変更が可能になります。
基礎は、基礎部分の断熱材を寒冷地仕様の『XPS2』という仕様にグレードアップすることで、断熱性能を向上させられるようになっています。
ちなみにセキスイハイムは基礎断熱というつくり方になっているのですが
「基礎断熱ってそもそもなに?」という方は、以下の記事をあわせてご覧ください。
最後に開口部。
開口部は今まで標準で使われていたアルミ樹脂複合サッシのペアガラスではなく、樹脂サッシのトリプルガラスを採用します。
セキスイハイム側もこれには積極的で、今まで鉄骨系の大手ハウスメーカーは都市部で住宅を建築する場合、防火の関係で樹脂サッシは使えないとしていました。
ただセキスイハイムは2023年4月から、防火仕様の樹脂サッシを新たにリリースしました。
そして今お話しした
- 壁
- 基礎
- 開口部
これらを強化することで、セキスイハイムでも断熱等級6が獲得可能になるのです。
セキスイハイム側としてもこれら3つの強化を推奨しているので、もうマストで選ぶべき仕様といった感じなのですが……ここでもまた落とし穴が存在します。
セキスイハイムの落とし穴
セキスイハイムはディーラー製の会社です。
そのため本社と地域会社の間で意思統一がうまく取れておらず、 ディーラー社内では断熱に関する情報発信がほとんどされていないようなのです。
そのため残念なことに、これらの断熱仕様を提案している人がほぼいません。
しかも営業マン自体も断熱に関して興味ないのか、「新断熱仕様?そんなのありませんよ。」と言う方も多く、それも合わさってあまり普及していないというのが実情なのです。
正直、もっと断熱に関して目を向けてほしいなというのが個人的な印象です。
これが新しい断熱仕様の話ですね。
商品ラインナップの変更
セキスイハイムは、商品ラインナップが6月末から多少変更になります。
具体的にはFXシリーズというのが3種類リリースされるのですが、これは以前まであったフラット屋根+深い軒が特徴のスマートパワーステーションFRと
外壁の磁器タイルが選べなくなり、自由度も少し下がりますが、価格も抑えられるスマートステーションアーバン
これらがそれぞれ
- スマートパワーステーションFX
- スマートパワーステーションFXアーバン
という名称に変わります。
また新たにスマートパワーステーションプラスという商品が登場して、屋上空間が提案できるようになりました。
この商品に関してはあくまで私の予想にはなるのですが、ヘーベルハウスを意識してつくった商品なのかなといった感じです。
とにかく、
- スマートパワーステーションFX
- スマートパワーステーションFXアーバン
- スマートパワーステーションプラス
これらが新たにリリースされるわけですが、ただこれだけ聞くと「それだけ?」「変更する意味あったの?」という感じですよね。
ですので一応背景を説明すると、セキスイハイムは元々ソーラーフロンティアの太陽光パネルを搭載していたのです。
しかしソーラーフロンティアが太陽光事業を撤退することになったので、代わりに京セラ製の太陽光パネルを入れることになったのです。
そしてそれに合わせて商品のリニューアルがかかり、FXシリーズが誕生しました。
なるほど、そういう背景があったんだという感じですよね。
そして一応、このFXシリーズが誕生したことで、商品自体も多少のパワーアップが施されていて、
- 太陽光パネルの積載可能枚数増加
- V to Hが標準対応になった
- コストダウンが図れるようになった
これら3つの新たなバージョンアップもされました。
ただただ名称が変わっただけではないのです。
このようなことを言ったら失礼かもしれませんが、FXシリーズが誕生するきっかけをつくってくれたソーラーフロンティアには感謝した方がいいのかも?しれません。
ということで、新しい断熱仕様と商品のリニューアル及び新商品のリリース、このような感じでセキスイハイム自体も頑張って時代の流れについていくべく、いろいろと変化してきている状況です。
またセキスイハイムは大手の中では比較的価格が抑えられるメーカーでもあります。
見た目や間取り的に好き嫌いが分かれるメーカーでもありますが、気になる方は検討してみてもいいかもしれません。
大手ハウスメーカー新商品:ヘーベルハウス
続いてはヘーベルハウスです。
ヘーベルハウスは今年、2023年4月にRATIUS|GR(ラティウス ジーアール)という商品とロングライフ全館空調という商品をリリースしました。
こちらについては以下の記事で詳しく説明しているので、詳細を知りたいという方はあわせてご覧ください。
【2023年】ヘーベルハウスが進化!新商品『RATIUS | GR』と『ロングライフ全館空調』を解説
ここで簡単にそれぞれについて説明をしていこうと思います。
RATIUS|GR
RATIUS|GR(ラティウス ジーアール)という商品についてです。
RATIUS|GRはRATIUSシリーズの第3弾となる商品です。
そもそもRATIUSとは何なのか?という話ですが、この商品はヘーベルハウスの軽量鉄骨の商品と重量鉄骨の商品のちょうど中間に当たる商品になります。
そのため、重量鉄骨のような間取りの自由度と、軽量鉄骨のようなコストパフォーマンスの良さ、これらを兼ね備えた非常に優れた構造躯体になるわけです。
そのためヘーベルハウス側も積極的にPRをしている、そんな商品なのです。
そして今回発売になったRATIUS|GR(ラティウス ジーアール)は、正式名称『RATIUS|GR(ラティウス グランルーフ)』と言って、屋根に特徴のある商品となっています。
具体的には、出隅と呼ばれる部分も含めて全周1.8mの深い軒が出せるのが特徴です。
そして重量鉄骨の商品でこれができるのは、実は今のところヘーベルハウスのみになります。
重量鉄骨で水平ラインを強調した深い軒の家を建てたいという方にはピッタリの商品になっているわけです。
ただし、『RATIUS』は40坪から60坪までの2階建てを対象とした商品となります。
そのため都内というよりは、どちらかというと郊外向きの商品かなという印象です。
この点はご注意ください。
ロングライフ全館空調
続いてロングライフ全館空調についてです。
これは今後、ヘーベルハウスで家を建てるのであれば、マストで入れるべきアイテムになります。
というのも、ヘーベルハウスの全館空調、ロングライフ全館空調はオプションになりはするものの、デシカント換気と呼ばれる一年中湿度を調整してくれるアイテムを付けることが可能なのです。
これが付けられるのは今のところ大手ハウスメーカーでヘーベルハウスしかないですし、鉄骨住宅全般的に苦手としている断熱性能、気密性能を補うのにはやはり必要な設備だと私は思っています。
商品自体の構造もすばらしいので、これからヘーベルハウスで家を建てる方は、ロングライフ全館空調、オプションで付けられるデシカント換気、これらの導入をぜひとも検討してみてください。
ということで、RATIUS|GR(ラティウス ジーアール)の発売とロングライフ全館空調の発売、これらがヘーベルハウスのここ半年間での動きになります。
大手ハウスメーカー新商品:パナソニックホームズ
次はパナソニックホームズです。
パナソニックホームズは、実はいろいろな変更が行われているメーカーになります。
というのも2023年4月から
- 地震あんしん保証の保証期間延長
- HS構法で使える扉の断熱性能の強化
- フォルティナの断熱強化
これら3つの変更が行われたからです。 それではそれぞれ簡単に見ていきましょう。
地震あんしん保証の保証期間延長
まずは地震あんしん保証の保証期間延長についてです。
そもそも論として、パナソニックホームズは独自で地震あんしん保証という保険のような仕組みをつくっているのです。
これはパナソニックホームズで家を建てた方が掛け金なしで入れるものになっていて、地震時に建物に被害があった時に最大で5,000万円までならパナソニックホームズ側が負担してくれて、なおかつ建物を現状復帰までしてくれるという、とんでもない制度なのです。
しかもこういう制度があるハウスメーカーは、今のところ日本で唯一、パナソニックホームズだけなのです。
すごいですよね。
この制度は今までは家の引き渡し日から10年間という保証期限が設けられていました。
それが今回35年まで伸びたのです。
ダジャレみたいになってしまって大変申し訳ないのですが、今回の保証期限の延長は、それだけパナソニックホームズの家は地震に強いという自信の表れなのではないのかなと思います。
ですので例えば南海トラフ地震の影響をモロに受けそうな地域にお住まいの方や、とにかく地震が怖い、地震に対する対策が最優先だ!という方はパナソニックホームズを検討してみてもいいかもしれません。 ただし、津波や地盤沈下、あとは火災による被害は地震あんしん保証の対象外となるので、その点はご注意ください
HS構法で使える扉の断熱性能の強化
続いてHS構法で使える扉の断熱性能の強化についてなのですが、正直、特にひねりもなくそのままの意味になります。
元々パナソニックホームズのメインの構法であるHS構法は、断熱等級6が取れるようなつくりになっていたので、今回、そこまで大きなテコ入れはされていないのです。
ただ玄関扉だけは強化したほうがいいということで、玄関扉の断熱仕様が地味に上がったわけです。
ただこれだけ聞くと「他のメーカーと違ってテコ入れする部分がないなら、パナソニックホームズってすごいんじゃないの?!」と思われると思います。
確かに優れている部分もたくさん存在するのですが、パナソニックホームズは窓をペアガラスにすると、断熱性能が低いアルミスペーサーになってしまうのです。
一方でトリプルガラスにすると断熱性能の高い樹脂のスペーサーになります。
こういう細かなところではありますが、少し小回りが効きにくい部分もあるはあるので、特に窓に関しては注意が必要になります。
ただパナソニックホームズは、樹脂サッシメーカーのエクセルシャノンを今年子会社化したので、そう遠くないうちに窓のグレードアップも行われるとは思います。
今はそんなことを言っていても仕方ないので、とにかくパナソニックホームズで家を建てるのであれば、窓はなるべくトリプルを採用するようにしましょう。
フォルティナの断熱強化
そして最後にフォルティナの断熱強化です。
パナソニックホームズには、メインの構法であるHS構法以外に、フォルティナと呼ばれる構法が存在します。
こちらの構法はHS構法よりも間取りの自由度が落ちはするものの、価格を落とすことが可能なのです。
このことから結構人気のある構法になっているのですが、そのフォルティナに今回、ハイグレード断熱ⅡSという断熱仕様が追加になりました。
ハイグレード断熱ⅡSはまた何か難しいそうな名前ですが、簡単にお伝えすると、フォルティナを断熱等級6に対応させるための仕様です。
具体的にお伝えをすると、例えば今までは屋根に普通のグラスウールが200mm入っていたのが、これを新しく出たハイグレード断熱ⅡS仕様にすると、高性能グラスウール210mmに変更になるのです。
また基礎断熱部分の断熱材も押出ポリスチレンフォーム90mmだったのが100mmに変更になりました。
ですので、今までだと人によっては「フォルティナを選んで大丈夫かな?」と思われていたと思うのですが、最近ではだいぶ性能も上がってきているので、十分に選択肢に入る構法になっています。
もし、「コストは落としたいけど、地震に強い鉄骨住宅を建てたい」と思われている方がいましたら、一度フォルティナを検討してみてもいいかもしれません。
ということで、
- 地震あんしん保証の保証期間延長
- HS構法で使える扉の断熱性能の強化
- フォルティナの断熱強化
これら3つが、ここ半年間で起きたパナソニックホームズの動きになります。
大手ハウスメーカー新商品:三井ホーム
三井ホームは新商品が出たということはないのですが、2023年4月から商品ラインナップの整理が行われました。
今までの複雑な商品ラインナップの運用
これがどういうことかというと、今まで三井ホームは、「商品名×商品グレード」という形で運用がされていました。
もう少し具体的に説明をすると、三井ホームの商品は
- イズム
- スカール
- ルーカス
- グランフリー
などなど、このような感じで各商品のデザインごとに名前が決まっていたのです。
それで元となる商品のデザインを選んで、
- 地下室やビルトインガレージなど複雑な構造のプランに対応できる「エクセレントフリー」
- 複雑な構造を除いた完全自由設計の「フリー」
- 間取りと仕様に多少の制限がある「セレクトフリー」
- 規格型プランの「セレクトリアル」
この4つの商品グレードのどれかから選ぶ、という運用をしていたのです。
つまりイズムという商品を選んだら、
- エクセレントフリーのイズム
- フリーのイズム
- セレクトフリーのイズム
- セレクトリアルのイズム
といった感じで、4つのイズムが存在していた、ということなのです。
とても複雑ですよね。
複雑なのでネットで三井ホームの「イズムで建てました!」「ルーカスで建てました!」という書き込みがあったとしても、それが
- エクセレントフリー
- フリー
- セレクトフリー
- セレクトリアル
この中のどのグレード帯なのか見極めなければ、きちんとした情報取得はできなかったのです。
何も知らない人からすると、これを見極めるのは相当ハードルが高いですよね。
下手したらネットを見て「っえ、三井ホームってこんな家しか建てられないの?」と思われてしまい、お客さんの検討からすぐに外されてしまう、そんな商品形態で今まで運用がされていたわけです。
商品ラインナップの整理
最初にもお伝えしたように、三井ホームは2023年4月に商品ラインナップの整理が行われました。
具体的には
- 三井ホーム プレミアム
- 三井ホーム オーダー
- 三井ホーム セレクト
この3つの商品カテゴリをつくり、それぞれ運用していくことになったのです。
それでは順を追って解説していきます。
三井ホーム プレミアム
こちらは建物価格が1億円以上の場合のみに検討できる商品帯です。
もう少しわかりやすくお伝えをするなら、ダイワハウスがやっているMARE-希-(マレ)と同じ位置付けで、
- 木造
- 鉄骨造
- RC造
何でもできてしまうのが、こちらの三井ホームプレミアムという感じです。
三井ホームクオリティで脱・工業化住宅を目指す方は選んでみるといいかもしれません。
三井ホーム オーダー
こちらが一般的な商品帯で、ボリュームゾーンとしては建物価格のみで2,000万円から4,000万円くらいの価格層になります。
基本的に三井ホームで注文住宅を建てるのであれば、こちらの三井ホーム オーダーを選択して、三井ホームが売りにしているプレミアムモノコック構法で家づくりをしていく形となります。
三井ホーム セレクト
こちらは完全な規格住宅なので、内装などの色味は変更できるものの、基本的には決まったプランを選び、そのまま家を建てる商品です。
具体的には、今まであった
- ルーカススタイル
- シュシュスタイル
- ハクアスタイル
- オークリースタイル
- スパニッシュスタイル
- ソノマスタイル
- フォレストシティスタイル
これら7つのデザインを統・廃合して、新たに
- イズムに外観を寄せたモダンスタイル
- ルーカスに外観を寄せたウッディスタイル
- シュシュに外観を寄せたエレガントスタイル
これら3つの外観をベースとして間取りを選んでいく形です。
個人的にはウッディスタイルが他のハウスメーカーの規格住宅にはない、非常にカッコイイたたずまいだなと思っています。
皆さんはどうでしょうか?
三井ホームセレクトのボリュームゾーンとしては、建物価格のみで2,200万円から2,800万円くらいの価格が多い商品帯です。
昨今、いろんなものの価格が高騰しているので、少しでも価格を抑えてなおかつカッコイイ家を建てたいという方は、三井ホームの三井ホームセレクトを検討してみてもいいかもしれません。
まとめ:2023年上半期は大手ハウスメーカーの新商品が多数出て大きく動いた
ということで
- 積水ハウス
- ダイワハウス
- セキスイハイム
- ヘーベルハウス
- パナソニックホームズ
- 三井ホーム
これらのメーカーのここ半年の動きをまとめて解説してきました。
ここまで本記事を見ていただいた方ならわかると思いますが、半年間で各ハウスメーカー、だいぶ動いているのがわかりますよね。
一応、今回話に出なかった住友林業も、近々ちょっとした動きがありそうな雰囲気をかもし出してはいます。
また、先程お話しした三井ホームも、水面下で結構動いているようです。
これらに関してはまた情報が入り次第、皆さんに共有していきたいと思います。
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