家を建てることは、一生に一度あるかないかの大きな決断です。
ここ数回の記事は注文住宅で家づくりするときに後悔したという事例をご紹介しておりますが、今回も間取りにフォーカスにして、よくある後悔事例31選をご紹介していきます。
間取りといっても、平面で間取りを考えるだけでは抜けてしまいがちなポイントを中心に、洗濯動線などの生活動線も踏まえ、吹き抜けの有無などリビング、部屋、階段、玄関とエリアごとに分けてご紹介します。
本記事を読んでいただき、間取りで後悔しないために、どのような点に注意を払う必要があるのかを確認してみてください。
- 間取りの後悔1:全体的に思っていたより狭い
- 間取りの後悔2:家事動線・生活動線が悪い
- 間取りの後悔3:リビングが狭い
- 間取りの後悔4:広くし過ぎた
- 間取りの後悔5:音が気になる
- 間取りの後悔6:外からの視線が気になる
- 間取りの後悔7:採光がとれない
- 間取りの後悔8:TVまわりの後悔
- 間取りの後悔9:特殊リビングの後悔
- 間取りの後悔10:寝室が狭かった/広過ぎた
- 間取りの後悔11:寝室の音対策を軽視してしまった
- 間取りの後悔12:子ども部屋の配置で失敗
- 間取りの後悔13:部屋数が足りない
- 間取りの後悔14:仕切りを最初からつければよかった
- 間取りの後悔15:ベランダ(バルコニー)を設置して後悔
- 間取りの後悔16:ドアの付け方で失敗
- 間取りの後悔17:吹き抜けのせいで冷暖房が効きにくい
- 間取りの後悔18:吹き抜けをつくったことで音が響く
- 間取りの後悔19:吹き抜けでなく部屋にすればよかった
- 間取りの後悔20:階段勾配が急
- 間取りの後悔21:直階段が危ない
- 間取りの後悔22:リビング階段にしなければよかった
- 間取りの後悔23:スケルトン階段にしなければよかった
- 間取りの後悔24:窓の掃除がしにくい
- 間取りの後悔25:窓が多過ぎ
- 間取りの後悔26:窓の設置位置で失敗
- 間取りの後悔27:玄関が狭い
- 間取りの後悔28:玄関を開けた時に外からの視線が気になる
- 間取りの後悔29:玄関ポーチに雨水が入ってくる
- 間取りの後悔30:玄関の臭い問題
- 間取りの後悔31:玄関すぐの手洗いがほしかった
- 間取りの後悔事例31選〜リビング、部屋、階段、窓、玄関で失敗しないために〜のまとめ
間取りの後悔1:全体的に思っていたより狭い
『一時が万事』
全体的に思っていたより狭いということ、これは想定し得る最悪のシナリオです。
ただそれにも関わらず、多くの方が経験してしまう後悔ポイントでもあるわけです。
では、なぜ「全体的に思っていたより狭い」なんてことになってしまうのか、私はその原因として、担当者との共通言語ができていないということがあると思っています。
例えば「LDKは20畳にしてください。」というよりも「LDKは一緒に見に行った佐藤さんの家と同じくらいの広さにしてください。」と言った方が、お互いに認識の齟齬がなくなるわけです。
間取りの広さは物理的な広さももちろん重要ですが、ものを置かないスッキリとした空間をつくる、ウッドデッキとつなげて外部空間も室内らしくつくるなど、そういう広さ感の演出もすごく重要なのです。
ですので、私は住宅営業マン時代にとにかくお客さんとの共通言語づくりを大事にしていました。
本来なら住宅営業マンがこの辺りを上手くハンドリングしてくれればいいのですが、優秀な担当者ばかりではありません。
家が完成した後になってから「全体的に思っていたより狭い」なんてことにならないようにするためにも、担当者との共通言語づくり、これは意識してみてください。
間取りの後悔2:家事動線・生活動線が悪い
『担当者のヒアリング不足』
家事動線・生活動線が悪い家になってしまったら嫌ですよね。
洗濯物を干すのにあっちに行ったり、こっちに行ったり、
何かものを収納しようにもいい位置に収納がなくて、結果ものが出しっぱなしになってしまったり、
想像するだけで疲れが溜まってきそうです。
では、なぜそのような間取りになってしまったのか、それは一言でお伝えをすると、担当者が貴方の生活にフォーカスしてヒアリングをしてくれなかったからです。
というのも、当たり前のことではありますが、家族によって生活スタイルは様々です。
100家族あったら100通りの生活スタイルがあるのです。
その生活スタイルをしっかりとヒアリングして、それぞれの家族に合わせた形で間取りに落とし込むのが本来の注文住宅の姿であり、担当者の腕の見せ所なわけです。
ただ残念なことに完璧な担当者ばかりではありません。
- LDKは何畳ほしいですか?
- 家事動線は短い方がいいですか?
- 収納は多い方がいいですよね?
このようなレベルの低いヒアリングをする人が、この住宅業界にはごまんといます。
ですので、本来であればいい担当者を自分につけられれば一番手っ取り早いのですが、そうでない場合もあるかと思います。
その場合は、自分たちで自分たち家族しか行わないであろう生活スタイルや生活の癖、これを書き出すなりして自分の担当者に伝えるようにしてください。
例えば
- 1週間に1度、コストコで爆買いする
- 片付けが苦手で散らかしがち
- 洗濯物を畳むのが面倒でタンスにいちいちしまっていられない
などですね。
そういった生活スタイルや生活の癖にこそ、注文住宅成功の鍵が隠れています。
間取りの後悔3:リビングが狭い
『畳数だけが全てではない』
よくある後悔で耳にタコができるほど聞くのが、リビングが狭いということです。
例えば「リビングをあと何畳くらい広くすればよかった」「予算を削るためにリビングを狭くするべきじゃなかった」そのような後悔の念を抱きながら新しい家に住んでいる方も多くいるわけです。
ではなぜ、そのような状態になってしまったのか?
答えは簡単です。
広さ感と距離感を感じられるリビングになっていなかったからです。
単純にリビングを広くすればいいわけではありません。
というのも、皆さんは間取りを考える時に、建物の中だけで考えていませんか?
考えていますよね?
そのため畳数にばかり目がいくのです。
敷地全体に目を向けてください。
外構や窓の使い方次第で、遠くの景色や窓も家の一部となるのです。
そして視線が抜けることで、限られた空間でも広さ感と距離感を感じることができるのです。
リビングを広く見せるテクニックは他にもあります。
- 物を減らす
- 天井を低めにして横に広い空間をつくる
- 照明の重心を低くする
- 建具を天井までにする
- 吹き抜けで1、2階をつなぐ
- 家具を小さめにする
これらがあるのです。
またリビングを広く見せるテクニックだけではありません。
広く使うためのテクニック、これもあるのです。
具体的には
- 外と内をつなげる
- 多義的に使える場所をつくる
- 居場所をつくる
こういったテクニックです。
これらの方法が使われていない空間は、いくらあっても広く感じません。
間取りは「広さよりも広さ感、距離よりも距離感」これは絶対に覚えておいてください。
間取りの後悔4:広くし過ぎた
『体育館 爆誕』
建物を大きくすればそれで快適に過ごせると思っているのは大きな間違いです。
確かに建物は大きければ大きい分だけ快適に、そしてゆとりをもって生活できそうな気はします。
確かにそういった側面もあるかもしれませんが、何も建物を大きくすることだけが全てではありません。
理由は2つあります。
1つ目は先ほどもお伝えしたとおりで、建物は距離よりも距離感、広さよりも広さ感が重要だからです。
2つ目はメリハリのない、ただただ広いだけの空間は居心地が悪いからです。
これがどういうことかというと、例えば体育館をイメージしてみてください。
体育館は広さはありますが、落ち着けるかといったら落ち着かないですよね?
要はそういうことで、広ければいいというわけではないのです。
しかも空間が広ければそれだけ冷暖房効率や固定資産税もかかります。
ですので、自分達にとってちょうどいい大きさを見極める必要があるのです。
もしくは空間自体に段差をつけるなどして、メリハリのある空間構成にする他ありません。
もし皆さんが広さに対する感覚がないならば、まずはその感覚を身につけるところから始めましょう!
具体的には、各ハウスメーカーの実例案内を通じて、畳数に対する感覚や広さに対する感覚を養っていく感じです。
そうすることで、無駄に大きい家をつくらなくて済みますし、変にお金をかけて、後々になって「失敗した!」とならないようにできます。
間取りの後悔5:音が気になる
『ハウスメーカーによってけっこう違う』
ハウスメーカーによって遮音対策が異なります。
例えば床に関しては、標準で1階と2階の間にALCが入っているメーカーもあれば、そうでないメーカーもあるわけです。
また壁に関しては、各社間仕切りに断熱材を入れて遮音性を高める方法を取る場合もありますし、
本当に防音室をつくるなら、遮音等級1級や特級の部屋をつくることも可能です。
この辺りはお金をかければだいたいどのハウスメーカーでも対応は可能になってきます。
つまり、各ハウスメーカー1階と2階の標準的な遮音対策だけに違いがあって、それ以外の壁などは、どのハウスメーカーもだいたいお金をかければどうにでもなるということです。
ですので、音が気になる方は1階と2階の標準的な遮音対策にフォーカスをして各ハウスメーカーの比較をしてみてもいいのかなと思います。
また、私は以前にトランペット奏者の方やバイオリニストの方の家づくりに携わったことがあるのですが、遮音等級1級や特級の部屋は本当に音が外に漏れないですし、外からの音も室内に入ってきません。
音楽を演奏する方はもちろんですが、車の通りが激しい道路の近くに家を建てる方がいましたら、防音室はつくってみてもいいかもしれません。
間取りの後悔6:外からの視線が気になる
『間取りと同時に外構計画を考えろ!』
よくあることとして「リビングの掃き出し窓が外から丸見えで、結局カーテンを閉めっぱなし…何のための大きな窓だろう?」というような後悔があります。
確かに大きい窓は開放感があって、リビングを圧倒的に気持ちいい空間にしてくれます。
ただそれを活かすも殺すも全て外構計画次第なのです。
例えばこちらの画像のように、最初から庭と家とのつながりを意識して設計しておけば、外から家の中が丸見えなんてことにはならないわけです。
このような設計をするために、庭は庭、家は家とそれぞれを切り離して考えるのではなく、庭と家を一緒に考える必要があるのです。
これは簡単にできそうに感じるかもしれませんが、できる人はそうそういないのです。
この辺りは自分の担当者のレベル感によって大きく変わってくるので、くれぐれも担当ガチャにはお気をつけください。
間取りの後悔7:採光がとれない
『自分を信じろ!アプリで確認!』
ハウスメーカー各社と打ち合わせをしていると、本当に日の光に対して考えてくれているのか怪しい場面がけっこうあります。
例えば、建築予定地の南面に建物が建っている場合を想像してみてください。
南面に建物が建っているにも関わらず、大開口を設けたところで、自分たちの家の南側に日の光が入ってこないのは明白ですよね。
それにも関わらず、とりあえず南面に大きな開口を設けているという建物がこの世の中には多すぎるわけです。
日の光は取り入れ方によって、室内の美しさや居心地のよさが決まります。
ですので、適当に決めていいものではありません。
また高気密高断熱住宅になればなるほど、日射遮蔽、日射取得が重要になってきます。
なぜなら、日の入り方によって、夏場と冬場の光熱費に大きく影響してくるからです。
そうはいっても、どうやって自分たちで採光が取れているかどうかを確認すればいいんだ?という話だと思うので、そちらについてお話をします。
結論『サンシーカー』、これを使いましょう。
このアプリは買い切りのアプリになるのですが、建築地に対して、どのようにして日の光が入るのかがわかります。
このアプリを使ってみると、月によって日の入り方が全然違うというのがわかると思います。
念には念を入れてこのアプリで確認するようにしてください。
もちろん、企業案件ではありません。
間取りの後悔8:TVまわりの後悔
『テレビボード不要説』
最近、DVDやらブルーレイはもう観なくなりましたよね?
映画を観るにしてもAmazonプライムやNetflixなどで事足りますし、念の為テレビボードを付けたものの、結局使っていない、いらなかった、そういった意見をよく耳にするようになりました。
実際私の家もテレビボードはないのですが、なくても全然困りません。
強いていうなら、テレビゲームをやる家庭ですと少し不便かなという感じではありますが、それだとしてもテレビボードはつくらずに、テレビ裏に別途配線スペースをつくるなど工夫さえすれば、十分に間取りで解決できます。
今後ますますテレビボードが不要になる時代になるのではないかなと個人的には思います。
私としては、テレビは壁掛けにすることをおすすめします。
間取りの後悔9:特殊リビングの後悔
『安易に取り入れるな!』
ここでいう特殊リビングとは
- 2階リビング
- 小上がりの畳があるリビング
- 土間リビング
この辺りのことを指しています。
どれも魅力的なつくりですし、否定するつもりは全くないのですが、熟考せずにただただ理想だけで取り入れると痛い目を見ることになります。
例えば2階リビングで言えば、屋根断熱、もしくは天井断熱がしっかり取れているかどうかで、快適性が大きく変わってきます。
ハウスメーカー各社の断熱仕様は現状そこまで厚くないので、何も対策をしないと非常に住みにくい環境となってしまいます。
また小上がりの畳があるリビングについてですが、こちらは10年くらい前に流行った間取りではあるものの、今だに根強く人気のある間取りです。
確かに使い方によっては空間にメリハリが出るので非常にオシャレになる場合もありますが、高さを間違えると使いにくくなりますし、無駄に圧迫感のある空間になってしまう可能性もあります。
個人的には、採用リスクが高いのがこの小上がりの畳です。
最後に土間リビングです。
土間リビングとは、玄関とリビングを兼ねてつくる空間のことです。
これをすることで、限られた空間でも広く有効的に使える他、空間を多義的に活用できるという特徴もあるわけです。
具体的には、土間部分を収納スペースにしたり、リビングの一部として活用したりすることができます。
特に玄関は主に人が通るだけのスペースなので、活用価値を考えるとかなり限定的です。
ですので、土間リビングにすることで、玄関自体の活用価値が上がると考えると非常に理にかなった間取り構成となるわけです。
ただし、基礎断熱にするなど、床下の断熱に関してはしっかりとしておかなければ、冬場寒くて居心地の悪い空間となってしまいます。
土間リビングにする場合も、断熱構成はしっかりと考えるようにしましょう。
間取りの後悔10:寝室が狭かった/広過ぎた
『住みこなせ!』
間取りづくりをしていると予算の関係や土地の大きさの関係で、どうしても寝室を小さくしなければいけないケースも出てきます。
他に優先するべき部屋やスペースがあるからです。
ただそれを見て「ベッド以外にもドレッサーやテレビを置きたいから、寝室を広くしたい!」と言われる場合もあります。
すると、今度は
- 寝室が広すぎた
- 無駄なスペースになってしまった
というような意見も出てくるわけです。
では、結局どうすればいいんだ?という話ですが「家を住みこなす」ということ、これを念頭に間取りづくりをする必要があると思っています。
というのもそもそも論として、予算や土地の大きさなど、そういう前提条件があって家づくりをするわけなので、どこかしら不自由な点が出てきてもおかしくはないわけです。
完璧な家をつくるのであれば、完璧な土地の大きさ、そしてその上に完璧な家を建てられるだけの資金が必要になります。
ただそんなにお金持ちばかりではないので「家を住みこなす」という考え方が必要になってきます。
具体的には、寝室であればベッドではなく、これを機に敷布団に変えるというのもありかもしれませんし、それを前提として室内のつくり込みをするのもありです。
また、わざわざテレビ本体を付けずとも、今はポップインアラジンやポータブルプロジェクターなどもあります。
ドレッサーも造作でつくってしまえば、わざわざドレッサーというもの自体を置くスペースをつくらなくてもよかったりもします。
そのような感じで、限られたリソースで家づくりをするなら、必ずどこかしら不自由が出てきます。
それならその状況を上手く活用して「家を住みこなす」と考えると、気持ち的に非常に楽になるのではないかなと思いますし、新しい住まい方の可能性に気がつけるのではと思います。
参考にしてみてください!
間取りの後悔11:寝室の音対策を軽視してしまった
『立地や寝室の位置によっては防音対策必須!』
これは家ができあがってからわかることが多いのですが、
- 電車・車・バイク・飛行機の音がうるさくて眠れない
- ドラム式洗濯機の音、食洗機の音がうるさくて眠れない
そういった音に対する後悔の声をよく聞きます。
日々の睡眠の質はものすごく大事なので、これで失敗してしまうとけっこう致命的かと思います。
寝室に伝わるであろう音と振動はしっかりと想像するようにしておき、もし気になることがあるなら、寝室を防音仕様にするなどして対策をしてみてください。
間取りの後悔12:子ども部屋の配置で失敗
『どこまでプライバシーを気にするか』
個人的にはあまり気にしたことのない部分でしたが、人によっては子どもの性別や関係性による子ども部屋の位置、あとは子ども部屋と自分たちの寝室の位置関係、これらを気にする方がいます。
確かにプライバシーを考えると諸々気にした方がいいような気もしますが、家がものすごく広くない限り、対策できることが限られるという事実もあります。
例えば部屋と部屋の間に収納空間を入れてなるべく音を通さないようにする、壁と壁の間に断熱材を入れて遮音性能を上げるなどです。
確かにやらないよりはやった方がマシなので、プライバシーを気にするなら、この辺りの対策はしてもいいかもしれません。
間取りの後悔13:部屋数が足りない
『最初からつくりこみすぎるな』
後々子どもが増えて部屋数が足りなくなってしまった。
これもまたよく聞く話です。
ただ最初から家をつくり込みすぎているからそうなってしまっているのであって、ある程度、空間を多義的に使えるよう余白を残しておけば、急に子どもができても対応できる場合があります。
これがどういうことかというと、例えば畳の部屋をイメージしてみてください。
昔の家は、畳の部屋1つでご飯を食べたり、寝たりして過ごしていたわけです。
これがまさに余白のある多義的な空間であって、1つの部屋を複数の用途で使えるということなのです。
皆さんもご存知のとおり、家には資産価値がありません。
ですので、どれだけ長い期間その家を使い倒せるか、つまりは家の活用価値が重要になってくるのです。
それを考えると、余白のある多義的な空間をつくることで、家自体の活用価値、つまりは使い倒せる期間が伸びることにもつながるのです。
逆にこの部屋はこの役割で…というように最初から部屋の用途をガッチリ決めてしまうと、それこそ子どもが増えた時に、部屋数が足りないというようなことになりますし、短期的な目的での部屋づくりは、家の活用価値を下げることになります。
難しい話だとは思いますが、家は最初からつくり込むことはせず、活用価値の長さを念頭に間取りづくりをする、これを1つ覚えておいてください。
間取りの後悔14:仕切りを最初からつければよかった
『リフォーム費用は最初に把握しろ』
先ほど間取りづくりをする際は、空間を多義的に使えるよう余白を残しておくこととお伝えをしましたが、例えば後々になって子ども部屋を2つに分けるとなった時、当然、リフォーム費用が発生してきます。
安く済めば30万円くらいで済みますが、内装が塗り壁で、その他、造作工事も併せてやるとなると、追加で百万円単位のお金がかかる場合もあります。
そのため確かに空間に余白を残しておくことが重要なのですが、一方でリフォームをした際、どのくらいの金額がかかるのかも把握しておいてください。
場合によっては、最初から仕切りをつけた方がいいかもしれません。
間取りの後悔15:ベランダ(バルコニー)を設置して後悔
『費用対効果が悪い場所No1』
ベランダ、オシャレな言い方をするとバルコニーは、それを設置するための費用とメンテナンス費用が高額なわりに使用頻度が著しく低い場所です。
具体的にはバルコニーの大きさによりますが、設置に60万円程度、メンテナンス費用でだいたい10年から15年ごとに20万円から30万円くらいかかるイメージです。
こうやって聞くとけっこうな金食い虫だというのがわかると思います。
ですので、できることなら付けないことをおすすめします。
ただし都心部などの限られた土地で家を建てる場合、バルコニーを活用することで空間を広く見せることができます。
そのため都心部で家を建てる方は、設置費用やメンテナンス必要がかかっても、広さをとった方がよかったりもするので、そこはケースバイケースで判断していただければと思います。
間取りの後悔16:ドアの付け方で失敗
『たかがドア、されどドア』
ドアと言っても、それにこだわるかどうかで見た目も機能性も大きく変わります。
例えばモールディングと呼ばれる枠を太くすれば洋風っぽい雰囲気の室内にすることができます。
一方でモールディングをなくせば、和モダンっぽい雰囲気の室内にすることができます。
また、ハイドアと呼ばれる天井まで高さがあるドアにするのか、それとも通常の高さのドアにするのか、
はたまた引き戸にするのか開戸にするのか……
この辺りでも室内の印象や使い勝手が大きく変わるわけです。
「たかがドアでしょ。適当でいいや。」と思っていると、建売のような安っぽい見た目の内装になってしまいますし、機能的にもイマイチな感じになりかねません。
油断せずにドアのデザインと機能はしっかりとイメージするようにしてください。
間取りの後悔17:吹き抜けのせいで冷暖房が効きにくい
『デザイナーズ、スカスカ住宅』
よく「吹き抜けをつくると冷暖房が効かなくて大変だし、住みにくくなる!」そう思われている方が多いのですが、それは家の断熱材がスカスカのため起こることなのです。
むしろ断熱材をしっかりと入れて気密性能を確保すれば、吹き抜けでも快適に過ごすことが可能なのです。
なんなら、吹き抜けがあった方が空調効率がよくなるので、むしろ私個人としては積極的に吹き抜けをつくった方がいいとさえ思っています。
吹き抜けがある開放感にあふれた住まいをつくりたいなら、まずは断熱材を強化しましょう!
ただハウスメーカーによっては、断熱材の強化ができないハウスメーカーもあります。
その場合は、そのハウスメーカーで吹き抜けをつくるのはいさぎよくあきらめた方がいいかもしれません。
間取りの後悔18:吹き抜けをつくったことで音が響く
『どうしようもない』
吹き抜けをつくると必ず発生する問題が音の反響です。
冷暖房の効きに関しては、家の断熱性能・気密性能の強化でどうにかなるのですが、反響に関してはどうすることもできません。
一応、壁を塗り壁にする、家具やら植栽やらを置いて音の反響を緩和させるなど、対策ができるといえばできるのですが、効果は微々たるものです。
完璧に音の反響をなくすことはできません。
ですので、これに関しては正直慣れです。
私の家も吹き抜けがあって音が響く方ですが、最初は違和感があったものの、しばらくしたら慣れました。
吹き抜けをつくる場合は、まぁそういうものなのだなと思っていただき、受け入れましょう!
それしかないです!
間取りの後悔19:吹き抜けでなく部屋にすればよかった
『吹き抜けは贅沢品』
- 吹き抜けをつくったせいで2階の部屋が狭くなった
- 吹き抜けにしないで部屋にすればよかった
そのような話をよく聞きます。
確かに吹き抜けはそれをつくるだけで2階の大部分が消失します。
ですのでつくった後になって「吹き抜けなんてつくらないで、部屋にすればよかったのでは……。」と思ってしまいがちです。
確かにそう思ってしまうのも無理はないですし、限られた空間で吹き抜けをつくってしまうと、尚のこと後悔しやすくなるのも事実です。
ただ先ほどもお話ししたように、気密断熱を高めて吹き抜けをつくることで、冷暖房効率を上げることができます。
また、普通の家では体験できない非日常感や開放感を得られるのも吹き抜けのある家の利点です。
何事もメリットとデメリットがあるので、それを天秤にかけて、自分達にとって何がベストなのか?これを突きつめて考えてもらえればと思います。
間取りの後悔20:階段勾配が急
『平面図だけではわからない』
この業界には、尺モジュールとメーターモジュールという2つの寸法基準があり、ハウスメーカー毎に使っている寸法基準が違います。
具体的にお伝えをすると、尺モジュールを使って家づくりをしているのが、住友林業、パナソニックホームズ、ヘーベルハウス、セキスイハイム、三井ホーム、ミサワホーム、ダイワハウス(鉄骨)で、
メーターモジュールを使って家づくりをしているのが、積水ハウス、ダイワハウス(木造)、トヨタホームになります。
尺モジュールでの家づくりは階段勾配がかなり急になります。
そのため油断していると階段勾配の急さに驚くことになるかもしれません。
尺モジュールで家づくりをする場合は、階段勾配の急さには注意をしていただき、もし勾配が気になるようであれば、造作階段を取り入れて、階段の勾配を緩くすることをおすすめします。
間取りの後悔21:直階段が危ない
『転げ落ちた時が大変』
直階段というのは読んで字の如く、真っ直ぐな階段のことを言います。
この直階段は、階段から落ちた場合止まる場所がないので、わりと危険なのです。
さらに階段の勾配が急ですと、なおさら危ないです。
ですので、直階段はなるべく避けていただくということ、もし直階段にするのであれば勾配は緩くするということ、これらは意識してみてください.
間取りの後悔22:リビング階段にしなければよかった
『動線によっては落ち着かない』
リビング階段は、リビングに階段がある間取りのことを言います。
これもそのまんまです。
リビング階段は今から12、3年前くらいから流行り始めたものになるのですが、今も尚、とりあえずリビングに階段を持ってくればそれでいいんでしょ?というような間取りが多く存在する状況です。
というのもリビング階段は、常にリビングを通って2階に行く設計なので、動線によっては落ち着かないリビングになってしまう可能性があります。
例えばテレビの前を横切る動線だったり、洗面、脱衣所、階段、これらがバラバラに配置してあることで、1階と2階を行ったり来たりするような動線になっていたり、動線が適当だと一気にリビングが台無しになるわけです。
そうなると「リビング階段にしなければよかった。」と思ってしまうのです。
しかし、リビング階段にはリビング階段のメリットや魅力があるのも事実です。
具体的には
- 家族との接触時間が増える
- 子どもが帰宅して自室に行ったのがわかる
などです。
ですので、もし仮にリビング階段の間取りに魅力を感じるなら、動線はしっかりと整えるようにしましょう。
それだけで満足度が大きく変わります。
間取りの後悔23:スケルトン階段にしなければよかった
『追加金額250万円』
スケルトン階段は視線が抜けるという特徴があります。
そのため、限られた空間での家づくりをする場合、広く感じることが可能になるため、わりと重宝されます。
ただし、デメリットが2つあります。
1つ目は、抵抗感があるということです。
例えば女性の場合、スカートを履く方も多いと思うので、スケルトン階段に抵抗がある、
あとは純粋に子どもが物珍しさで遊びそうで危険、などです。
こういった抵抗感からスケルトン階段に対して苦手意識を持たれる方がいます。
2つ目は金額が高いという点です。
スケルトン階段は多くの場合、造作という扱いになります。
要は特注になるということですが、その都合上、250万円くらい追加の費用が発生してきます。
一昔前は200万円くらいでもつくれたのですが、ここ最近円安の影響もあって、どのハウスメーカーも250万円くらいないとつくれない印象です。
そのような感じで、大きく分けて2つのデメリットがあるのですが、それでも見た目はよくなりますし、空間に広がりを感じることができるわけです。
ですので判断が難しいところではあるのですが、スケルトン階段を採用する場合は後悔のないよう慎重に判断しましょう。
間取りの後悔24:窓の掃除がしにくい
『大開口の代償』
注文住宅を建てようと考えている多くの方が「開放感のある大開口をつけたい」そういう要望を持っています。
ただ実際、大開口をつけると窓の掃除が大変になります。
雨や砂埃など、どうしてもそういうもので窓は汚れます。
そのため、窓の汚れが気になる、なるべく掃除の手間を減らしたいという方は、軒を深くしたり、庇をつけたりして、雨や砂埃が窓に当たらない工夫をしてあげる必要がでてきます。
昨今流行りの高気密高断熱住宅をつくる場合、日射遮蔽、日射取得と呼ばれる、夏は日差しを遮って、冬は日差しを取り入れるという設計をしなければならなくなるので、きちんと考えて家づくりができれば、自ずと大開口をつくっても窓が汚れにくくなるのです。
大開口が悪いわけではなく、大開口を付けるのであれば、それ以外にも目を向けていただき、家全体の整合性が取れるようにしてください。
間取りの後悔25:窓が多過ぎ
『通風禁止』
日本には通風信仰というものがあって「風が抜けるようにしないと湿気が抜けない」、「湿気が抜けないと家の中がカビる」、そういう考えから、担当者によっては換気目的で窓を付けることを提案してくる人がいます。
そのため例えば、東西や南北など、直線で風が抜けるように窓が配置されていたりします。
しかし今は、24時間換気システムという機械が存在するので、きちんと理論理屈に則って家づくりをすれば、そもそも窓を開けて換気をする必要がないのです。
しかも皆さんもイメージしてもらえればわかると思いますが、今の日本は高温多湿な環境です。
ですので窓を開けて「外の空気が気持ちいい。」なんて感じる期間があまりにも短すぎるわけです。
事実、11~2月の外気は寒くて乾燥した空気であるため、窓を開ける人はほとんどいないはずです。
3~4月は温かくなりはするものの、3月はスギ、4月はヒノキの花粉が飛びます。
家族に1人でも花粉症の人がいるなら窓は開けられないと思います。
5月は、辛うじて開けられます。
6月は梅雨に入るので、窓を開けた日には、室内の湿度90%といったようなことも十分に有り得ます。
7~9月は、夏で気温も高くて湿度も梅雨と大差ない状態なので、基本的にエアコンを使って過ごしているはずです。
10月は、天気がよければ開けられると思いますが、台風が多い時期です。
こうやってみていくと、まともに窓を開けられるのは5月くらいしかありません。
10月も多少窓を開けることはできますが、それでも1年のうち10ヶ月は窓を開けられない期間なわけです。
こういった事実があるにも関わらず、皆さんは通風のために窓を付けようと思いますか?
思いませんよね?
ハッキリ言いますが、窓開けで湿度をコントロールする、通風をよくするという考え方は昭和の家です。
今は令和です。
令和のこの時代に昭和の家づくりをしてどうするんですか?という話でもあるので、窓の役割をきちんと把握した上で窓の設置をするようにしましょう。
間取りの後悔26:窓の設置位置で失敗
『事前確認がものをいう』
となりの家から丸見えの位置に窓を付けてしまった、窓の位置が悪くて家具が置けない、窓の設置位置で後悔する原因というのはだいたいこの2つです。
ただこれを聞いて、「そんなのハウスメーカー側が勝手に配慮してくれるでしょ。自分達が気にする必要はないんじゃないの。」と思われる方が多いと思いますが、そんなことはありません。
もちろん、しっかり考えてくれる担当者は考えてくれるのですが、
- 家を売ることだけ考えている担当者
- 経験の少ない担当者
- 家づくりを他人事として捉えている担当者
これらに該当する担当者に当たると、窓の設置位置も適当になっていることがよくあります。
例えば採光を取るために、何も考えずに大きな窓を付けるというのはよくあることで、本来、窓は大きくなればなるほど外から覗き込まれるリスクが増えるわけです。
ですので、高窓を付ける、次窓を付けるなど、そういう対策をして、視線がなるべく入らないようにしつつ、採光も取れるような提案をした方がベストなわけです。
しかし意外とそうなっていない案件も多いというのが事実です。
「ハウスメーカー側が勝手に配慮してくれるでしょ。」と思っていたら大間違いなので、注意するようにしてください。
間取りの後悔27:玄関が狭い
『玄関は家の顔』
玄関はその家の印象や1日の気分を決める重要な場所です。
例えば最近ですと、玄関入ってすぐに庭が見える玄関などが流行っていますが、友達や親戚が見たら確実にすごいと言ってくれそうです。
承認欲求爆上がり間違いなしです。
ただ玄関が狭いと、当然ながらごちゃつきやすいですし、せっかくの家の顔が台無しです。
ですので皆さん、できれば玄関はこだわりをもってつくってください。
ただ一方で「そんなに玄関にスペースを割けない、どうすればいいんだ!」という方もいると思います。
その場合は兼ねる間取りをつくってもらってください。
兼ねる間取りというのは具体的にはこのような感じです。
これは玄関とリビングを兼ねている間取りで、イメージ的には玄関からLDKまで1つのワンルームになっているような感じです。
これをすることで、限られた空間でも玄関を広々と取ることが可能になります。
1つポイントとして覚えておいてください。
間取りの後悔28:玄関を開けた時に外からの視線が気になる
『玄関から丸見え私生活』
皆さんはこのような状況に出会ったことはありませんか?
例えば住宅街を歩いているときに、どこかの家が玄関扉を開けっぱなしにしているというようなシチュエーションです。
荷物を運び入れているタイミングで開けっぱなしにしてしまっていたのか、はたまた、子どもがどこかに遊びに行く準備の途中だったため開けっぱなしになっていたのか、いろんな理由があるとは思いますが、とにかく玄関扉が開けっぱなしの状態になっている、そういう場面は一度くらい見たことあると思います。
玄関扉が開けっぱなしになっている時は、家の中が全部見えてしまうわけです。
ごちゃごちゃしている玄関ホール部分だけがあらわになっている時もあれば、奥のリビングまで見えてしまう場合もあります。
そういうのを見ると「あー汚れてるなー。」「ごちゃごちゃしてるなー。」「なんか変な置き物置いてあるぞ!」などと思ってしまうわけですが、要は皆さん、そうなりたいですか?という話です。
玄関扉を開けっぱなしにしてしまう場面は少しくらいあると思うのですが、その時に自分たちの私生活を世に見せたくはないですよね。
ですので、間取りをつくる際は
- 道路に面していない方向に玄関をつくる
- 外構で目隠しをつくる
といった何かしらの工夫はするようにしましょう!
間取りの後悔29:玄関ポーチに雨水が入ってくる
『玄関扉、開けたらずぶ濡れ』
玄関ポーチとは、玄関を出てすぐの部分のタイルデッキのような部分のことを言うのですが、この部分が雨で濡れるようになっていると、当然、玄関扉を開けたら自分も濡れますし、雨水で玄関タイルも汚れますし、全然いいことがないのです。
ですので、玄関ポーチは奥行きがあったり、軒を付けたりといった工夫をしてあげなければならない部分なわけです。
また補足として、玄関タイルは白系を選ぶと汚れが目立ちます。
そのため、高圧洗浄機のケルヒャーを使わなければなかなか汚れ自体が落ちません。
ですので玄関ポーチは
- 奥行きがあるか
- 軒があるか
- 汚れが目立たない色か
- 汚れが落ちやすい素材か
これらは確認するようにしましょう。
間取りの後悔30:玄関の臭い問題
『思ったよりもこもる』
玄関はどうしても臭いがこもりやすい空間になります。
特に革靴の臭いや子どもの靴の臭い、
あとは濡れたカッパや傘を乾かさずにしまったら、それもそれで臭いの元となります。
ですので、換気扇をつけるなどして、なるべく臭い対策はしておきましょう!
間取りの後悔31:玄関すぐの手洗いがほしかった
『清潔第一』
「玄関すぐの手洗い」はコロナの影響で流行り始めた間取りの1つになります。
私もいろんなハウスメーカーのいろんな実例宅を見に行くのですが、やはり玄関すぐにある手洗い、これは本当に便利ですね。
思い返してみれば、コロナが流行る以前の間取りは、洗面所に行くまでにけっこういろんな所を触っていたなと思います。
例えば扉もそうですし、照明のスイッチなんかもそうです。
そう考えると、今まで私も含めて多くの人がただただ洗面所を付けることだけに満足をしていて、しっかりと実用的な部分まで落とし込んで考えられていなかったのではないかなと思います。
家自体の大きさや間取りにもよると思いますが、玄関すぐの手洗い、これは設置することをぜひとも検討してみてください。
間取りの後悔事例31選〜リビング、部屋、階段、窓、玄関で失敗しないために〜のまとめ
今回は、注文住宅で家づくりをする際の間取りの後悔事例を31個紹介しました。
間取りで後悔しないよう、これらをしっかり頭に入れておいていただければと思います。
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