注文住宅を建てるときの注意点12選|住宅業界の独自文化を知る

はじめての注文住宅ノウハウ
この記事は約40分で読めます。

今回は『注文住宅を建てるときの注意点12選|住宅業界の独自文化を知る』というテーマでお話をしていきます。

というのも、これから家づくりをするであろう皆さんは、必ず住宅業界独自の文化にならって、その中で家づくりをしていくことになるわけです。

つまり皆さんは、これから『家づくり』というゲームに参加すると言い換えることもできるかなと思うのですが、ゲームはそれ自体のルールがわからなければ、攻略のしようがありません。

例えば、サッカーをやるのに手を使ったらハンドでアウトですし、

バスケをやるのにボールを持ちながら5歩も10歩も歩いたらトラベリングになるので、それもアウトです。

そのような感じで、ゲームをする以上、ルールを知らなければ攻略は愚か、立ち回りすらままならなくなるわけですが、それと同じで、家づくりもこの業界独自のルールを把握しておかなければ、知らず知らずのうちに損をすることになるかもしれません。

特にこの業界は、素人の方に非常に優しくない業界なので、いろんな落とし穴が無数にあります。

ですので今回は『注文住宅を建てる際の注意点12選|住宅業界の独自文化を知る』というテーマでこの業界の特殊なルールや仕組みをすべてまるっとお話していきます。

ぜひとも最後までお読みください。

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注文住宅の注意点1:不動産業界は火曜・水曜休み

注文住宅の注意点1:不動産業界は火曜・水曜休み

会社にお勤めの方の多くが土日祝日休みだと思いますが、不動産業界は平日休みで火曜・水曜が休日なのです。

また、祝日の振り返りで木曜に休むこともけっこうあるので、祝日のない通常通りの週であれば火曜・水曜休み、祝日があって3連休などになっている週は、その翌週に火曜・水曜・木曜と休んだりします。

不動産業界は火曜・水曜が休日

これは業界人からすると普通なのですが、普通に土日祝日休みで動いている人からすると

  • 担当の住宅営業マンのレスポンスが悪い
  • 担当の住宅営業マンや設計士に連絡しているのに全然繋がらない

どうしてもそういう捉え方になってしまうのです。

その気持ちもわからなくないのですが、皆さんも休日に会社から電話がかかってきたら嫌ですよね。

「そんなの知らん!こっちは客だぞ!金出してるんだから働け!」という人も中にはいるかもしれませんが、

住宅営業マンも設計士も人なので、いくらお客さん側であったとしても、ある程度は気遣いしてあげた方が今後の家づくりが円滑にかつ楽しく進むと思います。

ちなみに、住宅業界ではつい数年前まで「休日でも絶対に会社から貸与されている携帯電話を手放すな!」「休日であっても上司からの電話は絶対に出ろ!」というような風潮がありました。

無理な要求に応える風潮

ですので、昔の文化が身に染みている営業マンや設計士は、例え休みの日でも夜遅くであったとしても連絡を返してくれる傾向にあります。

ですので無理を言えば対応してくれたりもするのですが、知らず知らずのうちに負担や迷惑をかけるのはなぁという方は、火曜、水曜はなるべく連絡をしない、メールで連絡をしても休み明けの返信で大丈夫ですなど一言添えてあげると、担当者の営業マンや設計士も「この人のために頑張ろう!」という気持ちになると思います。

大した話ではないですが、長期的に人間関係を構築する上で気遣いは重要なことなので、1つ覚えておいてください。

注文住宅の注意点2:営業担当者・設計担当者はランダムで決まる

注文住宅の注意点2:営業担当者・設計担当者はランダムで決まる

こちらに関してはもう有名な話になってしまったかなと思いますが、住宅業界は、担当者がランダムで決まるという非常に運要素の高い制度があります。

担当ガチャの仕組み

いわゆる担当ガチャとよばれるものについてです。

担当ガチャ

もう少し具体的にお伝えをすると、例えば

  • 資料請求をする
  • ネットで展示場への来場予約をする
  • 来場予約なしで展示場へ訪問し、アンケートに個人情報を記入する
  • 自分の勤めている会社に福利厚生割引を申請する
個人情報が渡ってしまうとその時点で営業担当者がランダムで決まってしまう

これらなにかしらのアクションを起こしてハウスメーカー側に自分たちの個人情報、つまりは

  • 住所
  • 氏名
  • 電話番号
  • メールアドレス

などの情報が渡ってしまうと、その時点で営業担当者がランダムで決まってしまうのです。

さらに一度でもハウスメーカー側に個人情報が渡ってしまうと、ハウスメーカー内のデータベースに担当者と紐付く形で個人情報が登録されてしまいます。

ハウスメーカー内のデータベース

例えば住宅展示場に行くと、最初にアンケートという名の個人情報を記載しなければならない紙を渡されますが、それに個人情報を書きますよね。

個人情報の記入を終えて、その書き終えた紙を受付のお姉さんに渡すと、一旦そのお姉さんは、従業員のみが入れる待機部屋に入っていきます。

そしてその待機部屋の中では、アンケートに記載された

  • 住所
  • 氏名
  • 電話番号
  • メールアドレス

これらを元に、以前展示場に来場したことはないか、また過去に資料請求をしたことがないか、そして営業担当者は誰に紐づいているのか、これらをデータベースで検索して確認するのです。

もしデータベースでヒットしなかった場合は新規のお客さんということで、営業マンは全力で接客します。

ただ、この時接客してくれた営業マンが、その後の皆さんの営業担当者になります。

若手の営業マンが接客したら、その若手の方が営業担当者になりますし、

若手の営業担当者

年配の営業マンが接客したら、その年配の方が営業担当者になるイメージです。

年配の営業マン

ここでいわゆる担当ガチャが発生してくるのです。

逆にデータベースで

検索してヒットしてしまった場合は、適当に接客します。

これがどういうことかというと、住宅営業マンは個人営業成績の世界で生きています。

住宅営業マンは個人営業成績の世界

ですので、お客さんの取った取られたは大問題になるのです。

そのためデータベースに登録のあるお客さんを下手に全力で接客して、次回のアポイントを取得してしまったら、最後社内で血みどろな戦いが待っているのです。

多くの営業マンはそれを理解しているので、データベースで検索してヒットしたら、不要なトラブルに巻き込まれないよう、サラッと展示場を見せて適当にその場を流します。

営業マンの中には本当に縄張り意識の強い人がいて、少しでも自分が管理しているお客さんに手を出そうものなら、般若の如く襲いかかってくる営業マンもいるくらいです。

それくらいシビアな世界なのです。

ですのでトラブルにならないようにするためにも、適当に流すのが一番なのです。

実際に私の過去の経験をお話するのですが、私が若手の頃、データベースに登録をしてあるだけで自分の管理客と言えてしまうこの制度が「意味わからないな。」と思っていました。

データベースに登録をしてあるだけで自分の管理客と言えてしまう制度

そもそもきちんと管理しているお客さんだったら、その営業マンのところに行くはずですし、そうなっていないから展示場に行くわけです。

しかしある程度組織の平等性を考えると仕方のないことなのもわかります。

わかるのですが、これは住宅営業マン側の話であって、お客さん側からしてみたら関係のないことです。

でしたら私がやることは、大手ハウスメーカーの一営業マンとしての看板を背負っているわけなので、どんなお客さんであっても平等に、全力で接客することだと思って全力で接客して、次回のアポだけは取らないようにしていたのです。

ただある時、先輩上司から呼び出されて「お前が余計な接客をしたことで商談が上手くできなかったじゃねえか。」ととても怒られました。

上司から呼び出されて怒られる

というのも、私は昔から知識を徹底的に深めていくタイプだったので、その先輩上司が知らないようなことを説明してしまっていたようなのです。

そんなことはつゆ知らず、良かれと思って接客をしてしまったので、平たくいうと先輩上司はお客さんの前で恥をかいてしまったわけです。

それでブチギレられたという経験があります。

私もまさかこのようなことになるとは思いもしなかったですし、想像不足だったなと反省する一方で、でも勉強不足だった先輩上司にも責任があるのでは?と正直思ってしまいました。

その当時はそんなことは口が裂けても言えませんでしたが、とりあえず平謝りをしたような記憶があります。

またこのような仕組みになっている都合上、どこの展示場に行っても必ず担当者として紐づいている営業マンに連絡が行きます。

どこの展示場に行っても必ず担当者として紐づいている営業マンに連絡がいく

ですので例えば、東京都大田区に住んでいる山田さんの営業担当者は「〇〇ホーム東京中央支店の営業マンである小島さんが担当」というような感じで、データベースに登録されている場合、東京以外の埼玉、千葉、神奈川の展示場に行っても、東京中央支店の営業マンである小島さんのところに「今日、小島さんの担当の山田さんがうちの展示場に来ましたよ!」と情報が入るようになっています。

お客さんがどこの展示場に行っても担当の営業マンに連絡が入る

一度でも何かしらの形でハウスメーカー側に個人情報を渡してしまうと、どこに行っても、何をしてもその担当者からは逃げられなくなってしまうのです。

営業マンの業務と設計士の業務

「営業担当者がランダムで決まることの何が悪いの?」と思われる方もいると思いますが、自分の営業担当者が誰なのかで建物の性能と金額が決まります。

営業マンのリテラシー次第で提案される建物の内容が大きく変わるのです。

なぜなら「設計士が建物全般のことを決めている」と勘違いしがちなのですが、実は見積もりに関わる部分のほとんどを営業マンが決めて、設計士は主に間取りの微修正や申請業務をやるのがこの業界の一般的な流れだからです。

設計士は主に間取りの微修正や申請業務をやる

このことを理解するためには大枠の部分から理解する必要があるので、全体像からお話をしていきたいと思います。

そもそもハウスメーカーという業界は、工業化住宅をつくっている業態であって、その根底にあるのは、同じものを大量生産するという住宅の量産化なのです。

ですので、わざわざ設計士が最初に登場して間取りを描く必要はなく、基本的に契約前は営業マンがすべてを行います。

具体的に営業マンは

  • 間取りを書く
  • 建物の断熱性能、内装材、設備機器などの仕様を決める
  • 各業者に見積もりの作成を依頼・取得
  • 取得した各種見積もりを集計
  • 資金計画書を作成
営業マンの業務

これら一連の流れを行って、お客さんを契約確定までもっていくのです。

そして契約が確定したら設計士は

  • 営業マンがつくった間取りを元に正式な図面を書く
  • 仕様書とよばれる建物の断熱性能、内装材、設備機器など、何を入れるのかをまとめた一覧表をつくる
設計士の業務

これらの業務を行って契約する準備を整えるわけです。

これが契約前までに営業マンや設計士が行う通常の動き方になります。

意外ですよね。

このように流れを見てみるとわかると思いますが、住宅営業マンが行う仕事は、まぁまぁボリュームがあるのです。

契約した後に、設計士は営業マンからお客さんを引き継いで、契約時につくった図面や仕様書を元に微修正を行っていくといった感じです。

ただ、契約後はあくまで微修正なので、一から間取りをつくり直すことは基本的にはないですし、一度契約しているので、建物のスペック面である断熱性能などのチェックはありません。

もちろん、こちらから言えばチェックはしてもらえますが、スペック面の調整は設計士の業務範囲外になるので、

  • ここはこうした方がいい
  • こういう方法を使えばコストを抑えながら断熱性能を上げられる

そういうプラスアルファの提案はないと思ってください。

何度もお伝えしているとおり、設計士の本来の仕事はあくまで間取りなどの微調整と、その後の家を建てるための申請業務の手続きです。

そういった建物のスペック云々の話は、担当の営業マンがお客さんと契約前に決めておくことなのです。

そのため、営業担当者が誰なのかは重要なのです。

また、営業担当者が重要な理由はもう1つあって、設計士を巻き込むのも営業マンの力だということです。

というのも先ほどもお伝えしたとおりで、営業マンが諸々のスペックを決めるわけなのですが、新しいことにチャレンジすることを嫌がる設計士もけっこういます。

設計士を巻き込むのは営業マンの力

ですので「あれやりたい。」「これやりたい!」と言っても「必要ない。」「できない。」などと言われて対応してもらえなかったというようなことも平気であるのです。

そのため、営業マンが設計士を巻き込んで新しいことを取り入れていかなければならないのです。

ただこれを聞くと「いや、そんなことしなくても最初から新しいことに積極的にチャレンジしてくれる設計士を自分の担当にしてもらえるよう、営業マンに動いてもらえばいいじゃん。」と思われる方もいると思いますが、それも含めて営業マンの巻き込み力次第なのです。

なぜなら通常自分の設計担当者は、その時たまたま手のあいていた人が担当になるからです。

ですので本来、設計士は選べないのです。

しかしそこを選ばなければクオリティの高い家づくりはできないわけで、なんとかしなければならないのですが、そこには担当の営業マンが日頃どれだけ社内で信頼されているのかが大きく関わってくるわけです。

ここでも担当の営業マンの巻き込み力が重要になってくるのです。

このように説明を受けると、いかに自分の担当者が重要なのかがわかると思います。

ただ、いまいち担当者の重要性がイメージできないという方は、例えば

  • にんじん
  • じゃがいも
  • 玉ねぎ

これらの食材をイメージしてみてください。

皆さんはこれらの食事があったとしたら何を作りますか?

恐らく多くの方がカレーと答えると思います。

カレー

しかし同じ材料で肉じゃがも作れます。

肉じゃが

要はそれと同じで、材料が同じなのにできるものが全く異なってくるのが住宅なのです。

ですので、誰が担当になるのかはとても重要なのです。

これが住宅業界におけるいわゆる担当ガチャとよばれるものと、その背景の仕組みになります。

担当替えの真実

ここまでの話を聞いた人の中には「勝手に担当者がついてしまったのであれば、担当替えできるように働きかければいいんじゃない?」と思われる方もいるかもしれません。

確かに担当替えを依頼することは可能は可能です。

しかしそれはかなり難しいですし、担当替えができたところで同じ支店内の営業マンにしかならないのです。

これについて簡単に説明をすると、先程もお伝えしたとおりで、住宅業界は基本的に個人営業成績と店単位で評価される業界です。

ですので、営業マン個人からしてみたら、担当替えによって見込み客となりうるお客さんを手放したくないのです。

そのため自分の成績や評価を気にしている人ほど、見込み客となりうるお客さんを手放しません。

また、もし仮に担当替えが可能となったとしても、その元担当営業マンのいる支店内で、担当が交換されることになります。

担当替えになっても支店内で担当が交換されるだけ

なぜなら、他のお店にお客さんが流れてしまうと、自分たちの店の成績にならないからです。

そのため担当替えとは言いつつも、その店の中だけでお客さんを囲ってしまうので、店の垣根を超えてきちんとした優秀な担当に替えることはできないのです。

また、これに付随する内容として、例えば担当替えで上司が出てくるとします。

担当替えで上司が出る

これ自体はよくある光景なのですが、上司の裏で諸々の作業をやっているのは、実はクビになった元担当営業マンだったりもするのです。

要は上司は会社から数字を求められないので、表ではフォローするものの、裏では元担当者に諸々やらせて、評価は通常通りしてあげるという感じです。

確かに上司の愛のこもった行動ではあるのですが、お客さん側からすると担当替えをしたつもりだったのに実は裏では担当替えされていなかったという状況になりかねないわけです。

こうなってくると、もうクオリティどうこうの話ではなくなってきてしまいます。

ですので担当ガチャの沼にはまらないようにするためにも、誰を自分の担当者にするのか慎重に判断し、行動しましょう。

注文住宅の注意点3:法人営業担当はレベルが低め

注文住宅の注意点3:法人営業担当はレベルが低め

ここまでの話を聞いた人の中には「だったら自分の勤めている会社の福利厚生を使って法人経由で営業担当を紹介してもらった方がいいんじゃないの?」「自分はそれなりの会社に勤めているし、きっと優遇してくれるんじゃないか。」など、そんなことを思われる方も一定数いるかもしれません。

確かにそういう考えになるのもわかるにはわかります。

ただこの考えは、残念ながら通用しません。

なぜなら、法人経由での紹介の場合、法人担当の営業マンが振られることになるからです。

これがどういうことかというと、ハウスメーカーには住宅展示場を集客源にしている展示場部隊と、展示場以外からお客さんを集めてくる別部隊があります。

そして展示場以外からお客さんを集めてくる別部隊は、主に

  • 資料請求で取得したお客さんの対応
  • 地元の不動産屋からの紹介
  • 銀行紹介
  • 法人紹介
別部隊の業務

などなど、とにかく展示場に頼らず集客することを課題とされているわけです。

ただ展示場以外からの集客はまぁまぁハードルが高いので、多くの場合既存の法人紹介ルートからのお客さんを優先的に対応できる権利があります。

営業は世間一般的に、個人営業よりも法人営業の方が格上というようなイメージがあると思います。

私はいろいろな会社に転職をして、いろいろな現場を見てきているのでわかるのですが、実際に銀行員時代は法人営業の方が力が強かったですし、その次に転職した会社も個人営業は情弱がなるものだ、くらいの文化がありました。

この辺の理由や背景を説明すると完全に話が脱線するので割愛をしますが、とにかくそんなこともあって、恐らく法人からの紹介であれば、それ相応にきちんとした人が担当になるのではないか、そう思われると思いますが…。

住宅業界は逆なのです。

個人営業でバリバリやっている人の方が立場が強くて、法人営業系はどちらかというと、ちょっと第一線でやっていくことが難しいような人たちが行く場所になっているのです。

もちろん中にはそうではないハウスメーカーもあるとは思いますが、多くのハウスメーカーがこれに該当します。

「そんなの嘘だぁ。」と思う人もいると思いますが、本当にそうで、私はいろんな業界を見ているのでわかりますが、こんなにも個人営業の力が強い業界は住宅業界くらいではないかなと思います。

ですので、自分の勤めている会社の福利厚生を使って法人経由で営業担当を紹介してもらったからといって安心というわけではありません。

注文住宅の注意点4:法人割引はお得ではない

注文住宅の注意点4:法人割引はお得ではない

先ほど「自分の勤めている会社の福利厚生を使って法人経由で営業担当を紹介してもらったからといって安心というわけではない。」とお話したと思います。

ただ中には「自分の勤めている会社経由で紹介してもらった方が割引も効くし、そっちの方がいいのでは?」そう思われている方もいると思います。

確かに何も知らない人からするとそう思ってしまうのも無理はありません。

ただ実は全然お得ではないのです。

理由は2つあります。

  • 法人提携割引は出来レース
  • 勤めている会社に紹介料が入る仕組み

以上の2つになります。

それぞれ説明をしていきます。

法人提携割引は出来レース

『法人提携割引は出来レース』ということについてです。

福利厚生で自分の会社からハウスメーカーの紹介を受けると3%割引になる会社があるのですが、これは実はどこのハウスメーカーでもやっていることで、しかも一律で3%の値引きなのです。

ただこの割引3%は、展示場に行っても同じく割り引かれるものになります。

住宅展示場

なんなら展示場に行った方の方が、より多くの値引きを得ているくらいなのです。

もう少し詳しく説明をすると、例えばハウスメーカーは値引きの少ないところでも建物本体価格のMAX5%、値引きが多いハウスメーカーですと建物本体価格のMAX15%前後まで値引きされることがあるのです。

ここからもわかるとおり、ハウスメーカーからしたら3%値引きなんて当たり前なのです。

特別でもなんでもないのです。

むしろこのことを知らないで「3%も値引きしてもらえるんだ!ラッキー!」と思ってしまうと、「本当はもっと値引きしてもらえたのにチャンスを逃した!」というような状況になってしまうのです。

ですので、3%割引は特別でもなんでもない、ただの出来レースだということを覚えておいてください。

勤めている会社に紹介料が入る仕組み

次に2つ目の『勤めている会社に紹介料が入る仕組みになっている』ということについてです。

先ほどの説明で勘のいい方は気がついたと思いますが、実は福利厚生というのは名ばかりで、やっているのは値引きを餌にした紹介ビジネスなのです。

つまり「福利厚生で3%割引があります!」と謳っている会社は、自分の会社に勤めている社員を紹介してハウスメーカーからお金をもらっているということです。

福利厚生の割引の構図

そのため多くの人が「福利厚生を使って得している!」と思っているのですが、実は本当の意味で得しているのは自分が勤めている会社なのです。

しかも先ほどお伝えしたとおり、ハウスメーカー内の法人担当窓口はイマイチな人が配属されていることが多いので、賢い人ほど福利厚生の3%割引は使いません。

  • 法人提携割引は出来レース
  • 勤めている会社に紹介料が入る仕組みになっている

以上の2つがあって、法人割引はお得ではないわけです。

「いやいや、こんな話は信じない!」「自分は自分が勤める会社を信じる!」という方はそれでもいいと思うので、その場合は、右から左に話を流しておいてください。

注文住宅の注意点5:価格の乗っけ引きがある

注文住宅の注意点5:価格の乗っけ引きがある

注文住宅には価格の乗っけ引きというのが存在します。

ただ先にお伝えをしておきますが、これはすべてのハウスメーカーにいえることではなく、そういうことができるハウスメーカーもありますよという話になります。

すべてのハウスメーカーが不正をしているわけではないので、その点はご了承ください。

では、これがどういうことかというと、そもそも注文住宅は新しいことや不慣れなこと、あとはすぐに見積もりが出せないことに対して、概算という形で見積もりを計上することをよくします。

これ自体は仕方のないことで、ハウスメーカー側も予算どりという形でどうしても多めに金額を見ておかなければならない、そのような状況の時もよくあるのです。

例えば扉や収納などを造作、つまりは完全オーダーで発注する場合があります。

扉や収納などを完全オーダーで発注

これはきれいな建築をつくるためには必ず必要になってくるものになるのですが、造作家具はオリジナルのものを1からつくるので、相場がないに等しいのです。

そのため、業者によっては高く出してくることもありますし、反対に同じものを依頼しているはずなのに安く出してくる業者もあるわけです。

そのような感じで価格にバラつきがあるのですが、そういった造作系の見積もりは作ってもらうのにけっこうな時間がかかります。

ですので、概算という形で多めに金額を見て見積もりに入れ込んでおくわけです。

これは注文住宅という商材の特性上、どうしてもそうせざるを得ないのです。

普通のことですが、この機能を悪用する営業マンがいるわけです。

その具体例と傾向と対策をお伝えします。

見積もりの機能の悪用例

見積もりの機能の悪用例は

  • 価格の乗っけ引き
  • 適正価格から逸脱した過剰な価格を提示する

以上の2つになります。

価格の乗っけ引き

まずは『価格の乗っけ引き』ということに関してです。

これは、本来ありもしない金額を乗せてその分を値引きで消化することで、過剰な値引きを演出するパターンです。

例えば建物本体の適正価格が5,000万円だとします。

ただこれに500万円乗せて5,500万円でお客さんに見積もりを出します。

当然、お客さんはその見積もりを見て悩むわけですが、そもそも5,500万円のうち500万円は実態のない金額を営業マンが見積もりに乗せているだけなので、ハウスメーカー側からしたら値引きしたところで痛くも痒くもないのです。

価格の乗っけ引き

そういった状況を利用して値引きの金額を大きく見せることで、お得感を演出しているのです。

これが1つ目の『価格の乗っけ引き』です。

適正価格から逸脱した過剰な価格を提示する

続いて2つ目の『適正価格から逸脱した過剰な価格を提示する』ということについてです。

多くのハウスメーカーは、得られた利益に応じて営業マンに報奨金が入る仕組みです。

もう少し具体的に説明をすると、6,000万円の建物を売って700万円の利益が出たら、その700万円の利益に対して何%かの報奨金が営業マンに入るということです。

報奨金の仕組み

そのため営業マン側からしてみれば、得られた利益が大きければ大きいほど、報奨金でもらえる金額が大きくなるわけです。

そのため先ほどもお伝えしたように、実態のない金額を上乗せして、契約をとりに行こうとする営業マンが多発しているのです。

これが2つ目の『適正価格から逸脱した過剰な価格を提示する』ということになります。

ということで、

  • 価格の乗っけ引き
  • 適正価格から逸脱した過剰な価格を提示する

業界の仕組みを悪用して、これら2つのことをやる営業マンがいるわけですが、こういう話を聞くと恐怖でしかないですよね。

何を信じればいいかわからなくなります。

ですので、ここから傾向と対策をお伝えします。

傾向と対策

まず傾向に関してですが、『会社の規模が小さくなればなるほど、制度の悪用ができる環境になっている』ということです。

例えば積水ハウスやヘーベルハウスなど、会社の規模が大きいいわゆる大手ハウスメーカーは管理課という課があって、営業マンが見積もりを一切いじれないようになっています。

そのため悪さができない仕組みが整っているのです。

一方で中堅ローコスト系のハウスメーカーはそのような仕組みがないことがほとんどなので、営業マンが建物の見積もりを作って、営業マンが提案します。

そのため悪さができる傾向にあるのです。

こういった傾向があるので、対策として「ハウスメーカーに競合先を教えない」これは徹底するようにしましょう。

というのも、例えば今は積水ハウスは業界で一番高くて、建物だけの価格で坪140万円〜150万円、

積水ハウス

その次にパナソニックホームとダイワハウスの木造が、建物だけの価格で坪130万円〜140万円くらいですが、

パナソニックホームとダイワハウスの木造

そういったハウスメーカーと中堅ローコスト系のハウスメーカーは、とんでもない価格差があるわけです。

仮に中堅ローコスト系の価格が建物だけの価格で坪70万円だった場合、価格差は名だたる大手ハウスメーカーと比較して、だいたい2倍も違うのです。

しかし最近は「中堅ローコスト系のハウスメーカーは大手ハウスメーカーよりも断熱性能・気密性能がいい!」「保証やメンテナンスも大手と変わらないです!」などそういう訴求をしているハウスメーカーも多いので、表面的な理解だけでは中堅ローコスト系のハウスメーカーで坪100万円と言われても「そういうものなんだ!」「世の中的に物価も上がっているから仕方ないよね。」と思ってしまうのです。

でも実際は価格がものすごく乗せられていて、営業マンはウハウハしているわけです。

そういったことにならないようにするためにも、競合先を教えないようにしてください。

これが対策になります。

また、過剰な値引きの提示を受けた場合も要注意です。

値引きは建物の本体価格の3%、どんなにいっても8%くらいがMAXです。

もちろんハウスメーカーによってこの辺りの値引きの塩梅は異なりますが、あまりにも大きすぎる値引きは用心してください。

それも価格が乗せられている可能性があります。

この辺りけっこう闇が深いですし、きちんとした会社でないと信頼できないということから、私は有名大手ハウスメーカー10社とだけお付き合いをさせてもらって、メグリエというサービスを展開していますが、心配な方は見積もりを誰が作っているのかをハウスメーカー側に聞いてみてください。

もう一度言いますが、制度を悪用するのは営業マンになります。

注文住宅の注意点6:過剰な値引き要求は家の質を下げる

注文住宅の注意点6:過剰な値引き要求は家の質を下げる

これまで話してきたとおりで、ハウスメーカーには多かれ少なかれ値引きというシステムがある都合上「相見積もりをした方がいい。」「限界まで値引き交渉をした方がいい」などと言われたりします。

確かに怪しい値引きという制度が存在し、商材自体が高額なので、少しでも安くいいものを買いたいと思う気持ちもわかります。

ただし過剰な値引きの要求は家の質を下げることになるので要注意です。

これがどういうことかというと、ハウスメーカーにもこれ以上は絶対に値引きできないという限界があります。

その限界を突破して値引きをする場合、ハウスメーカー側は何をやるのかというと、関係業者である施工店や水道業者などに「利益を削ってくれ!」とお願いをするのです。

ハウスメーカーは関係業者に利益を削るようにお願いする

それによりさらなる値引きの枠を確保するのです。

そのため、関係業者である施工店や水道業者などからすると、本来得られるはずの利益よりも薄利で働かなければならなくなるのです。

最悪ですよね。

皆さんもイメージしてみてください。

例えば皆さんがお勤めの会社から「今月は給料を半額にします。でも今までと同じか、それ以上に働いてください。」と言われたらどう思いますか?

「冗談じゃない!」と思いますよね。

そのような状態でやる気が起きるわけがありません。

過剰な値引きの要求というのは、知らず知らずのうちにそういう状態をつくり出しているのです。

それにも関わらず「建物の気密性を担保するために丁寧に施工しろ!」「見た目をよくするためにきれいに施工しろ!」などと言っても通用しないのです。

いくら差し入れをして、ご機嫌取りをしたところで意味がないのです。

中にはこのことを知らずによかれと思って勝手に関連業者に根回しをして金額を下げる交渉をする営業マンもいるのですが、過度な値引きによる代償は、皆さんの家の質の悪化であるということ、これは絶対に覚えておいてください。

職人さんを大事にしましょう。

注文住宅の注意点7:キャンペーン値引き・決算値引きは存在しない

注文住宅の注意点7:キャンペーン値引き・決算値引きは存在しない

ハウスメーカーと打ち合わせをしていると「◯月限定キャンペーン割引」「決算割引」など、そういういろんな名前のついた値引きを目にすることになります。

ただはっきり言いますが、キャンペーン値引きも決算値引きも住宅業界には存在しません。

これがどういうことかというと、実はハウスメーカーによって値引きが許されている幅が存在していて、その幅の中であれば自由に値引きの名前を決められるのです。

もう少し具体的にお伝えをすると、値引きの幅が本体価格の10%まであったとしたら、その10%を超えない範囲内でいろんな値引きの名前をつけられるのです。

ですので例えば、法人提携割引3%、決算割引3%、家具・家電プレゼント2%、タイル外壁グレードアップキャンペーン2%、合計10%割引というような感じです。

値引きの種類

そのため実は、キャンペーン割引も決算割引も、営業マンが契約を取るための口実でしかないのです。

また、これはある程度頭のいい方でしたら気がつくと思いますが、そもそも決算はその会社における1年間の資産や負債などを計算して財務状況を明らかにすることです。

決算SALE

決算の内容をよりよいものにするには、在庫を減らして現金を増やす必要があるのです。

ですので在庫を抱えている家具・家電・車などは決算セールを行うのですが、注文住宅はこれからつくり上げるものなので在庫はありません。

この時点で決算割引というのが営業マン側の嘘だというのがわかるはずです。

まだ建売でしたら決算で……というような話は通用するのですが……。

中にはこういったことを知らず営業マンにだまされてしまい、焦ってハウスメーカーと契約をしてしまう人もいますが、そういった値引きありきの契約はろくな家づくりにならないのでご注意ください。

注文住宅の注意点8:見積もりは簡単には出せない

注文住宅の注意点8:見積もりは簡単には出せない

家づくりをする際に「とにかく早くプランと見積もりを出してもらって比較検討をしたい!」という方が一定数います。

確かに予算オーバーのハウスメーカーと打ち合わせをし続けて時間を無駄にするよりかは、早い段階で見切りをつけて、1社に絞って家づくりを進めていきたいという気持ちはよくわかります。

よくわかるのですが、注文住宅はそんなインスタントに見積もりが出てくる商材ではないのです。

これがどういうことかというと、注文住宅は見積もりを作る際に、まずは敷地に合わせて間取りを作らなければなりません。

敷地に合わせて間取りを作る」

ただ間取りは、そこに住む人のライフスタイルや敷地の特性を読み解いた上で書く必要があるのです。

もう少し具体的にお伝えをすると、みんな同じように見えて家族それぞれで生活スタイルは異なるわけです。

ですので生活にフォーカスをして間取りを作ろうとすると、

  • 過去、どんな家に住んでいて、どんな生活を送ってきたのか
  • 今現在、どんな家に住んでいて、どんな生活を送っているのか、
  • これからどんな家に住んで、どんな生活をしていきたいのか

最低でもこれらを聞き出さなければ、どんな家を提案すればいいのか、その最適解を導き出すことはできないのです。

そのため、間取りを書くだけでもけっこうな時間がかかるのです。

間取りがだいたい完成したら、それをベースにして水道業者や建設業者、その他設備機器関連の業者に対して見積もりの作成依頼をするわけです。

そして各業者から上がってきた見積もりを集計して、ようやくお客さんに出せる見積もりが完成するのです。

見積書作成の流れ

この一連の流れからもわかるとおり、本来注文住宅はそんなに簡単に見積もりを出せる商材ではないのです。

もちろん、標準仕様とオプション仕様が明確に決まっている中堅ローコスト系のハウスメーカーや、大手ハウスメーカー各社が出している規格住宅系の商品、あとは住友林業やヘーベルハウスのように初期仕様が明確に決まっているハウスメーカー、これらは比較的早く見積もりが出てくる傾向にあります。

ただ一方で、そういうインスタントな見積もりは見積もり自体の精度が高くないため、契約後の打ち合わせで金額が爆増する可能性が高くなるのです。

そのため、契約後の金額の増額が嫌なのであれば、契約の前に精度の高い見積もりを作ってもらう必要があって、そういった精度の高い見積もりを作ってもらうためには、ある程度時間をかけてハウスメーカーと打ち合わせをして、その上で見積もりを出してもらう必要があるのです。

また、非常に言いにくい話ではあるのですが、今話したように注文住宅は見積もりの取得に時間がかかって、さらにはいろいろな人を動かさなければならない都合上「早く見積もりと間取りを出してください!」と言ってくるお客さんに対して住宅営業マンは内心「このお客さん相手にしたくないな。」と思ってしまいます。

無駄に働らかされて、結局契約にならない可能性が大きいわけです。

住宅営業マンと良好な関係を築きつつ、さらには精度の高い見積もりを出してもらうためにも、注文住宅の見積もりは簡単には出せないということ、これは絶対に覚えておいてください。

ただこの話をすると絶対に「じゃあどうやってハウスメーカー各社の金額感を知るんだよ!」と思われる方がいると思うので、そう思われた方はこちらの記事をご覧ください。

ハウスメーカー各社の坪単価を紹介しています。

注文住宅の注意点9:標準仕様は存在しない

注文住宅の注意点9:標準仕様は存在しない

こちらもあるあるなのですが、多くの方が注文住宅には標準仕様とオプション仕様が存在すると勝手に思い込んでいます。

しかし冷静に考えてみてください。

なんでもアリが注文住宅です。

そのため標準仕様とオプション仕様が明確に決まっているなら、それは規格住宅という扱いになります。

ですので本来、注文住宅には標準仕様もオプション仕様も存在しないのです。

ただこの話を聞くと「いやいや、今検討中の大手ハウスメーカーで標準仕様について説明を受けたよ。」「住友林業やヘーベルハウスは標準仕様が明確に決まっているよ。」などという意見が出てきそうですが、基本的に大手ハウスメーカーのいう標準仕様というのは、見積もりを取るための初期仕様のことです。

住宅は部品数が多いので、そのひとつ一つを確認して見積もりを作っていたら時間がかかります。

そのため、ハウスメーカーによっては明確に初期仕様を決めているところもありますし、営業マン任せのハウスメーカーもあるわけです。

例えば住友林業やヘーベルハウスは明確に初期仕様を決めているハウスメーカーです。

そのため見積もりが出てくるスピードが速い傾向にあります。

住友林業とヘーベルハウスは見積もりが早い傾向

一方で積水ハウスは初期仕様が営業マン任せなので、営業マンのリテラシーによって入ってくる初期仕様が異なります。

またその特性上、見積もりが出てくるスピードはかなり遅めです。

積水ハウスは見積もりがかなり遅い傾向にある

このような感じで、ハウスメーカー毎に初期仕様に対する考え方の違いはあるものの、オプション仕様に制限はありません。

一方で中堅ローコスト系のハウスメーカーは、標準仕様とオプション仕様が明確に決まっていて、オプション仕様も選べる幅に限界があります。

なぜなら、選べる範囲を限定することで、契約後の打ち合わせを早めに終わらせて着工に取り掛かれるからです。

注文住宅はざっくり説明をすると、家が完成してはじめてハウスメーカー側に全額利益が入るので、薄利多売でやっている中堅ローコストメーカーからすると、契約後の打ち合わせに時間をかけてられないのです。

ですので例えば、中堅ローコスト系のハウスメーカーで「巾木をなくしたいです!」「造作家具をつくってほしいです!」はたまた「標準仕様にもオプション仕様にもないものを入れてほしいです!」と伝えたとしても、濁されたり「できません。」と言われたり、思ったようにカスタマイズできないことが多いのです。

ちなみに一旦話が逸れるのですが、この中堅ローコスト系のハウスメーカーと同じ仕組みで運用されているのが大手ハウスメーカーの規格型住宅とよばれる商品です。

ですので例えば、ヘーベルハウスのmy DESSIN(マイデッサン)、

ヘーベルハウスのmy DESSIN(マイデッサン)

ミサワホームのスマートスタイル、

ミサワホームのスマートスタイル

三井ホームのMITSUI HOME SELECTなど、

三井ホームのMITSUI HOME SELECT

これらの商品は基本的にすべて決まったものの中から選択して家づくりをしていくことになります。

こういったことから、中堅ローコストメーカーと大手ハウスメーカーの規格住宅は対になるポジションになっていて、

  • 工業化率が低いので建物の施工精度が低い傾向にあるものの、職人による小回りが効いて断熱性能が高めな中堅ローコストメーカー
  • 工業化率が高いため、建物の施工精度が高い傾向にあるものの、工業化による小回りが効かず断熱性能がそこそこな大手ハウスメーカー

というような感じになっています。

中堅ローコストメーカーと大手ハウスメーカーの特徴図解

なるほどという感じですよね。

話を戻しますが、とにかく今までお話してきたことをまとめると、なんでもアリが注文住宅なので、本来、標準仕様とオプション仕様という概念は存在しません。

ただし、見積もりの取得スピードを早めるために、ハウスメーカーによっては初期仕様というのを決めていて、それが標準仕様とよばれているケースがあるということでした。

また、標準仕様とオプション仕様が存在するなら、それは規格住宅運用であり、その場合は選択肢が明確に定められているため、思っている以上にカスタマイズの幅が狭くなるということになります。

これらは知っておかなければ、ハウスメーカー選びをする際に頭の中がごちゃごちゃしてきますし、ハウスメーカー迷子になりかねません。

しっかりと覚えておいてください。

注文住宅の注意点10:「肩書きがある人=優秀」ではない

注文住宅の注意点10:「肩書きがある人=優秀」ではない

以前から皆さんに、「展示場で初めて接客を受けた人が店長だったんですけど、店長なら自分の担当者でも安心ですよね?」「資格をたくさんもっていたんですけど、これなら安心できますかね?」といったことをよく聞かれます。

確かに肩書きや資格は無いよりはあったほうが一定の安心感があるのは事実です。

ただ安心材料になるとはいえ、必ずしも「肩書きがある人=優秀」ではないのです。

なぜなら、限界突破できた人こそが真に優秀だからです。

このことをわかりやすく伝えるために、例えばポケモンをイメージしてください。

ポケモンはレベルが上がると急に求められる経験値が増えてレベルが上がりにくくなると思います。

ピカチュウのイメージ

住宅営業もこれと同じで、ある程度の経験を積むと、それ以上成長しにくくなるのです。

感覚的にはレベル80くらいになると役職をもらえて、そこから成長が鈍化するイメージです。

ただレベル80までくると不便なくいろいろと立ち回れるので、通常の業務で不便に感じることもなくなってくるのです。

ある程度の経験を積むと、それ以上成長しにくくなる

しかも部下もできて出世した感も出てくるので、余計に「このままでいいや。」という感じになってしまうわけです。

確かに若手とよばれる人に比べたら、そういった肩書をもっている人たちは「優秀」とよべるのかもしれません。

しかし裏を返せばそれまでという見方もできます。

ですが稀に、レベル80を突破してくる人がいるのです。

要はそういう人がいわゆる優秀な営業マンなのですが、ではどのようにレベル80を突破しているのかというと、

  • 時代を先読みして徹底的に突き詰めた家づくりをしている
  • 全国的に人脈がある
  • 家づくりが好きで好きで仕方がない
レベル80を突破してくる営業マンの特徴

これら3つの特徴があって、レベル80を突破できているイメージです。

そうでもしなければハイレベルなお客さん対応ができません。

というのも、皆さんもご存知だとは思いますが、住宅業界はかなり遅れている業界です。

そのため表面的にはいい感じに見えますし、どこのハウスメーカーでもよさそうに思えるのですが、実はそんなことはないのです。

だからこそ現状を把握して、足りない部分をどのように補うのか、そういった思考を常に張り巡らせる必要があります。

それができる人とそうでない人とでは、提案される内容に大きな乖離が出てくることになります。

事実、私の周りにいる営業マンの皆さんは、断熱材の強化やら気密施工、気密測定の実施に樹脂サッシの導入などなど、もう当たり前のように行っていますが、そのようなことをやっている営業マンは全国的に見ても極々稀です。

しかし時代にあった動き方ではあるのは間違いないのです。

また、日頃自分が働いているエリアではどうしてもできないこと、叶えられないことはあるのです。

そんな時に人脈を駆使して日頃自分が働いているエリア外の人に働きかけできるかどうか、そういう動きができるかどうかもポイントになってくるのです。

でないと狭い範囲内だけでの仕事は視野を狭め、どうしても井の中の蛙状態になってしまうのです。

そうなると、ハイレベルなお客さんの対応ができないのです。

ですので真に優秀な、レベル80を超えている営業マンは

  • 時代を先読みして徹底的に突き詰めた家づくりをしている
  • 全国的に人脈がある
  • 家づくりが好きで好きで仕方がない

これらの3つの特徴をもっているわけです。

皆さん自身が「まぁそれなりの家づくりができればそれでいいや!」ということであれば肩書きのあるレベル80くらいの人が担当でもいいと思います。

ただし「性能もデザインも妥協したくない!」「最高のものを提案してほしい!」そう思う方は「肩書きがある人=優秀」ではないということを念頭に置いていただき、きちんと時代にあった家づくりを提案しているのか、あとはエリア外の人を動かせたり、力を借りられたりする力があるのかどうかを見極めてもらえればと思います。

注文住宅の注意点11:土地の購入を決めたら2週間後には建物と土地の同時契約が必要

注文住宅の注意点11:土地の購入を決めたら2週間後には建物と土地の同時契約が必要

これから家づくりをされようとしている多くの方が「土地から購入しないとだから、まずは自分たちで土地を探そう!」と思われていると思います。

確かに相場感や、今どのような土地が出ているのか、それらを確認するのは非常にいいことです。

私もそういった行動をすること自体は賛成なのですが、自ら不動産屋にコンタクトをとって動くことはおすすめしません。

なぜなら、

  • 不動産の購入は感情面でのトラブルが起きやすい
  • 土地の購入を決めたら2週間後には建物と土地の同時契約が必要
自ら不動産屋で土地探しをするデメリット

この2つの理由があるからです。

それぞれ説明をしていきます。

不動産の購入は感情面でのトラブルが起きやすい

まず最初の『不動産の購入は感情面でのトラブルが起きやすい』ということについてですが、不動産は自分がいくら法規制を守ってしっかりと家を建てたとしても、近隣住民の方からすると「そんなの知ったことじゃない!」というようなことはけっこうあるのです。

もう少し具体的に説明をすると、例えば以前に私が話を聞いたことのあるトラブルですと、午前中のほんの少しの時間帯でのことですが、太陽光パネルが光を反射してしまったようで、向かい側の低層マンションのベランダからクレームが来たというようなことがありました。

太陽光パネルが光を反射する

しかもそのクレームをつけてきた人はそのエリアのドンのような人だったらしく、その方はご近所付き合いを円滑に進めるために、泣く泣く実費で、しかも新築なのに太陽光パネルを外すことになったわけです。

理不尽ですよね。

あとは法規制を遵守して家を建てているのに、自分が建てた家の影響で近隣住宅のLDKが影ってしまい、そこに住む奥さんが鬱になったということでクレームを言われ、散々口論になったあげく裁判沙汰になったということもありました。

自分が建てた家の影響で近隣住宅のLDKが影ってしまう

クレームを言ってきた側の気持ちもわかるのですが、新しくそこに住み始めた人もかわいそうではあります。

こういうのはどちらが良い悪いとすごく言いにくいのですが、とにかく不動産の購入は感情面でのトラブルが発生しやすいものなのです。

しかも不動産屋は基本的に土地の売買やら賃貸管理やらをやっていた方が儲かるので、時間のかかる注文住宅案件はあまりやりたくないですし、やったとしても面倒なことが多くて、儲けられないのもあって、すぐにフェードアウトしていくのがほとんどなのです。

時間のかかる注文住宅案件はあまりやりたくない

これ、本当です。

皆さんも不動産屋の立場に立って考えてみればわかるはずです。

だからこそ土地探しというのは、相場や今市場に出ている物件を調べるのはいいのですが、いざ動くとなったら必ず間にハウスメーカーの営業マンを入れた方がいいのです。

ちなみにハウスメーカーの営業マンを間に入れても、手数料などの余計な費用は一切発生しません。

なぜなら、ハウスメーカーは家で儲けを出しているからです。

土地探しはボランティアなのです。

中には変に勘繰って「ハウスメーカーを間に入れると手数料を取られるから、入れない方がいい」と考える方もいるのですが、そんなことはしないのでご安心ください。

土地の購入を決めたら2週間後には建物と土地の同時購入が必要

続いて『土地の購入を決めたら2週間後には建物と土地の同時契約が必要』ということについてです。

もし仮に自分で土地探しをして不動産屋にコンタクトを取り、土地を購入する直前まで来てしまった場合、業界のルールとしてだいたい2週間後には建物と土地の同時契約が必要となります。

中には営業マンが契約を急かしてくる、契約を取るために無理やり進めてくるなどと思われる方がいるのですが、そのようなことはなくて、この場合、営業マンも仕方なく急ピッチで進めているのです。

2週間後には建物と土地の同時契約が必要

ですので悪気はまったくないのです。

これがどういうことかというと、そもそも不動産を購入する場合、まずは買付証明書というものを不動産屋に提出します。

この買付証明書は、自分がその土地をいくらで買いたいのか、その希望金額を書いて地主さんに提出する書類です。

ちなみにただ希望金額を書いて提出するだけなのでハンコもいらないですし、買付証明書を取り下げても罰則やら罰金は一切ありません。

例えば3,000万円で売りに出ている土地に対して、自分が2,900万円でその土地を買いたいとします。

そしたら「買付証明書に2,900万円で土地を購入したいです!」と書いて不動産屋に提出するわけです。

買付証明書

この買付証明書は、自分がその土地をいくらで買いたいのか、その希望金額を書いて地主さんに提出する書類です。

ちなみにただ希望金額を書いて提出するだけなのでハンコもいらないですし、買付証明書を取り下げても罰則やら罰金は一切ありません。

例えば3,000万円で売りに出ている土地に対して、自分が2,900万円でその土地を買いたいとします。

そしたら「買付証明書に2,900万円で土地を購入したいです!」と書いて不動産屋に提出するわけです。

そしてその不動産屋は地主さんに連絡して「2,900万円で土地を買いたいと言っていますが、どうします?」と聞きます。

そして地主さんがOKを出したら、だいたい2週間後に契約をする前提で動き進めることになるのです。

自分がその土地をいくらで買いたいのか希望金額を書いて地主さんに提出する書類

これが土地購入のざっくりとした流れなのですが、住宅ローンを組む場合、審査を通さなければ土地の契約はできません。

地主さんからしたら、契約してもお金が入ってこないのでは意味がありません。

ですので、銀行から住宅ローンの融資の承認を得なければならないのですが、銀行もきちんとした根拠がないと審査を通してはくれません。

具体的には

  • どこに
  • どんな家を
  • どこのハウスメーカーで
  • 総額いくらで建てるのか

これがわからなければ住宅ローンは審査もできないですし、当然、承認も下せないのです。

こういった仕組みである都合上、土地の買付証明を出してしまっていたら、2週間以内にハウスメーカーを決め、さらには間取りや仕様もある程度確定させて見積もりを出してもらわなければならないのです。

ですのでものすごいハードスケジュールの中で動かなければならなくなります。

皆さんは一生に一度の買い物を、たった2週間で即断即決できますか?

できる方は土地から選んでもいいと思います。

一方でそれはさすがにちょっと……という方は、土地の相場感や今現在市場にどのような土地が出ているのか、それらを把握するだけにしておいて、まずはハウスメーカー選びからはじめましょう。

ということで、自ら不動産屋にコンタクトをとって動くことをおすすめしない理由として

  • 不動産の購入は感情面でのトラブルが起きやすい
  • 土地の購入を決めたら2週間後には建物と土地の同時契約が必要

これら2つがありますという話でした。

土地を購入して家づくりをされる方が最初に行うのは、ハウスメーカー選びです。

注文住宅の注意点12:仮契約というものは存在しない

注文住宅の注意点12:仮契約というものは存在しない

住宅営業マンの中には、契約のことを仮契約と言って、契約自体のハードルを下げて契約させようとする方がいるのですが、仮契約なんてものは存在しません。

契約は契約です。

これは絶対に覚えておいてください。

ただこれだけですとイマイチ伝わらないと思うので、一応全体像からお話をしていきますが、注文住宅は大きく分けると2回契約することになります。

1回目の契約は「あなたのハウスメーカーで家を建てることを決めました!」という契約、2回目の契約は、契約後に「いろいろと打ち合わせして決まった内容でもう着工しますけど、本当にいいですか?よかったら捺印してください。」という契約、この2回です。

ハウスメーカーによっては、1回目の契約を普通に契約、2回目の契約を変更契約または着工合意とよんだりします。

これがスタンダードなのですが、中には1回目の契約を普通に契約ではなく仮契約とよび、2回目の契約を変更契約または着工合意ではなく、本契約というハウスメーカーや営業マンもいるのです。

注文住宅は大きく分けると2回契約することになる

ただどちらにせよ名前は違っても契約は契約なので、解約するとなると大抵の場合解約金が発生してきます。

解約金が手付金の全額、あるいは何%かを持っていかれるというもので、ハウスメーカーの方針や契約後の打ち合わせの進捗状況などによって決まります。

ですので例えば、契約後の打ち合わせをまったく進めていなかったとしても、ハウスメーカーによっては解約すると手付金の全額を持っていかれる場合もありますし、反対に全額返ってくる場合もあります。

また契約後の打ち合わせを何回か進めて解約をすると、これまた手付金の全額を持っていかれる場合もありますし、80%くらい持っていかれて、残り20%返ってくるというような場合もあります。

手付金はだいたい100万円であることが多いので、それを全額失う、または80%失うと考えるとけっこうな痛手です。

ですので、仮契約という甘い言葉に惑わされないでください。

契約は契約です。

ご注意ください。

注文住宅を建てるときの注意点12選|住宅業界の独自文化を知るのまとめ

今回は『注文住宅を建てるときの注意点12選|住宅業界の独自文化を知る』というテーマでお話をしました。

  1. 不動産業界は火曜・水曜休み
  2. 営業担当者・設計担当者はランダムで決まる
  3. 法人営業担当はレベルが低め
  4. 法人割引はお得ではない
  5. 価格の乗っけ引きがある
  6. 過剰な値引き要求は家の質を下げる
  7. キャンペーン値引き・決算値引きは存在しない
  8. 見積もりは簡単には出せない
  9. 標準仕様は存在しない
  10. 『肩書きがある人=優秀』ではない
  11. 土地の購入を決めたら2週間後には建物と土地の同時契約が必要
  12. 仮契約というものは存在しない
注文住宅を建てる際の注意点12選

以上の12個になります。

ぜひとも参考にしてください。

そしてここまで私の話を聞いてくださった方限定で告知です。

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