【2025】戸建て住宅に「全館空調」は必要?メリット・デメリットをわかりやすく解説

戸建て住宅に全館空調は必要? メグリエ編集部記事
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注文住宅を建てる際、全館空調を設置するか迷う方は多いでしょう。全館空調を設置すれば、家中の室温を一定に保って1年中快適に過ごせます。その一方で、設置にかかる費用の相場は100万~300万円と高額です。

「全館空調はやめて、別の設備にお金をかけたほうが良い?」「高い費用をかけてまで、全館空調を設置するメリットはある?」と悩む方も少なくありません。

今回は、全館空調の概要や設置するメリット・デメリット、全館空調を得意とするハウスメーカーを紹介します。全館空調を戸建てに設置するか悩んでいる方だけでなく、全館空調について理解を深めたい方も、ぜひ最後まで記事を読んで参考にしてください。

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全館空調とはどのような設備?

全館空調

まずは、全館空調とはどのような設備か、概要や24時間換気システムとの違いを解説します。全館空調の概要がわかれば、家づくりの参考にもなります。

家中の温度を一定にするシステム

全館空調とは、冷暖房を利用して家の中の空気を循環させ、家中の温度を一定に保つシステムのことです。設置すれば、家全体の気温を最適な状態に保つことができます。部屋ごとにエアコンを設置した場合と比べて温度差が生まれず、家中を隅々まで一定の温度に保てることが特徴です。

全館空調を設置すれば、「部屋の中は適温だけれど、廊下は寒い(暑い)」といったことはなくなります。たとえば、寒冷地で「冬は浴室や脱衣所が寒すぎて、入浴する前は暖房を一定時間つける必要がある」といった場合、全館空調にすると快適に過ごせるでしょう。

また、小さな子どもや高齢者のいる家庭では、自分で冷暖房を操作しなくても家中を適温に保てるので、事故を防ぎやすくなります。

24時間換気システムと全館空調との違い

全館空調と混合されがちな設備に「24時間換気システム」があります。

24時間換気システムは、室内の空気質を維持し、シックハウス症候群のリスクを低減させることを目的としたシステムです。2003年の建築基準法改正により、すべての建物に24時間換気システムの設置が義務付けられました。24時間換気システムを設置した家は、1時間に0.5回以上自動的に換気が行われています。

24時間換気システムには「室温を一定に保つ機能」は備わっていません。また、全館空調システムの中には、24時間換気システムの機能が備わっているものもあります。

戸建て住宅における全館空調の基本的な仕組み

全館空調の注文住宅のイメージ

全館空調には、次の3種類があります。

全館空調のシステムはハウスメーカーごとに異なるため、設置を検討している方はどの種類のシステムを採用しているか確認したうえで設置を検討してみてください。

ダクト式の全館空調

ダクト式の全館空調は、家の小屋裏などに空調機を設置してダクトで全室に快適な温度に調節した空気を送る仕組みです。全館空調の中では最もスタンダードなタイプで、このスタイルを採用しているハウスメーカーもたくさんあります。

小屋裏冷房と床下暖房による全館空調

小屋裏冷房と床下暖房による全館空調は、天井裏に冷房を設置し、床下暖房と組み合わせて家中の温度を適温に保つ仕組みです。

高断熱高気密化による全館空調

高断熱高気密化による全館空調は、高気密高断熱の家を建ててワンフロアに1台のエアコンで室温を調節する仕組みです。この方式は厳密には全館空調とはいえませんが、「ダクト式の全館空調」や「小屋裏冷房と床下暖房による全館空調」と比較すると費用を抑えて設置できます。

戸建てに全館空調を設置するメリット

快適な注文住宅

続いて、全館空調を設置する主なメリットについて解説します。

家中を快適な温度に保てる

戸建てに全館空調を設置する最も大きなメリットは、家中を快適な温度に保てることです。

部屋ごとに温度差がなくなるため、ヒートショックも防ぎやすくなります。また、各部屋に暖房器具がいらなくなるため、高齢者や小さい子どもがいる家庭はより安心です。

間取りの自由度が上がる

戸建てに全館空調を設置すると、間取りの自由度が上がります

エアコンを設置するには室内機だけでなく室外機を設置する場所が必要です。そのため、家の外観のデザインにも一定の制約が出る可能性もあります。

また、エアコンは存在感があるため、間取りや部屋のインテリアにこだわりがある方であれば「できるだけ隠したい」と思う場合もあるでしょう。

全館空調を設置すれば、吹き抜けやリビング階段なども設置しやすくなります。

zi時からいオェ中家中の空気をきれいに保てる

全館空調の中には、家中の空気を換気するシステムが搭載されている製品も多いです。空気換気システムが搭載されている製品を設置すると、窓を開けて換気する必要がなくなり、家の中に花粉やPM2.5などの有害物質が侵入するのを防ぎやすくなります

また、窓を開けずに家の中の汚れた空気を外へ排出できることもメリットです。換気のための窓を設置する必要もなくなり、防犯性も高まります。

省エネ効果が期待できる

全館空調システムは、1~2台のエアコンで家中の温度を管理するため、部屋ごとにエアコンを設置するより省エネ効果が期待できます。特に、人の出入りが頻繁にあって冷暖房を付けたり消したりする場合は、省エネ効果が高いでしょう。

さらに、気密性・断熱性が高い家で太陽光発電システムを搭載している場合、電気代が0円に近くなるケースもあります。

戸建てに全館空調を設置するデメリット

全館空調のデメリット

全館空調にはデメリットもあります。ここでは、戸建てに全館空調を設置する主なデメリットについて解説します。

家全体で断熱性・気密性を高める必要がある

全館空調の効果を発揮させるには、家全体の断熱性・気密性を高くする必要があります

注文住宅で高気密・高断熱の家を建てる場合、建築費用が高額になりがちです。高気密・高断熱に加えて全館空調を設置すると、予算を大幅にオーバーするケースもあるでしょう。

また、高気密・高断熱の家づくりが得意なハウスメーカーを選ぶ必要もあります。すでに家づくりを依頼するハウスメーカーをある程度絞っている場合は、建築事例をチェックして高気密・高断熱の家づくりの実績を確認してみてください。

ハウスメーカーの断熱性に関しては、「まかろにお」が運営するYouTubeチャンネル「まかろにお【大手ハウスメーカー攻略法】」内の「2025年最新!大手ハウスメーカー断熱性能ランキング」が参考になります

まかろにおは、元大手ハウスメーカー勤務で住宅営業にて全国No.1を獲得した経験を活かし、中立的な立場で家づくりに役立つ情報を配信している住宅系YouTuberです。元ハウスメーカー営業マンとして全国1位の営業成績を誇り、その後も不動産融資を扱う大手金融機関での実務経験を経て、幅広いハウスメーカー事情に精通しています。

住宅系YouTuberまかろにおとは?

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部屋ごとの細かい温度調整が難しい

全館空調は、部屋ごとの細かい温度調整が難しいことがデメリットです。

適温には個人差があります。家族で適温が異なる場合「温度設定で悩んで結局使わなくなった」といったケースもあります。また、家族のライフスタイルが大きく異なる場合は、個別の冷暖房のほうが使い勝手が良い場合もあるでしょう。

設置費用が高額

全館空調を設置する場合の費用相場は、100万~300万円と高額です。また、効果を十分に発揮させるには気密性と断熱性を高める必要があります。さらに、窓のサイズや位置の調整になる場合もあるでしょう。

「100万円あったら、別の設備をグレードアップさせたい」「部屋数を1つ増やしたい」と考える方もいるでしょう。全館空調は便利な設備ですが、必須ではありません。本当に設置が必要なのか、家族全員での検討が大切です

故障すると家中の冷暖房が止まる

全館空調は、家中の冷暖房を1台の空調システムで管理しています。そのため、空調が故障すると、家中の冷暖房が停止してしまいます。真冬や真夏に冷暖房が使えなくなると、生活に支障が出る場合もあるでしょう。

また、修理に必要な料金も高額になりがちです。交換する場合は、作業の完了まで日数がかかるケースも珍しくありません。

全館空調を設置するのであれば、適切な定期メンテナンスが必要です。また、万が一に備えて予備の冷暖房をいくつか用意しておくと安心できます。「家中の冷暖房が全部使えなくなるのは困る」と考えている方は、個別の空調を設置したほうがメリットが大きいでしょう。

戸建ての全館空調を得意とするハウスメーカー

最後に、戸建ての全館空調を得意とするハウスメーカーを3社紹介します。注文住宅に全館空調の設置を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

住友林業

住友林業

住友林業は、2025年に「PRIME AIR(プライム エア)オリジナル全館空調システム」を発売しました。「PRIME AIR」はルームエアコン1台と調湿機能付き換気装置で家中を最適な室温に保つ全館空調システムです。

住友林業が手掛ける注文住宅は、断熱性の高い構造材と窓で建物全体を包む「360゜TRIPLE断熱」が標準装備となっています。そのため、別途費用をかけて高気密・高断熱仕様にする必要はありません

「PRIME AIR」は市販の18畳用の機種と第1種換気システム、送風機を組み合わせただけのシンプルな構造となっているため、設置費用も抑えられてメンテナンスもしやすいことがメリットです。さらに、「PRIME AIR」は調湿機能付き換気装置で湿度の調整もでき、各部屋で風量を5段階に設定できます。

そのため、使っていない部屋の省エネ効果も高まります。「PRIME AIR」の場合、2階建ては約38坪、平屋は約32坪まで設置が可能です。

住友林業の家について理解を深めたい場合は、「まかろにお」が運営するYouTubeチャンネル「まかろにお【大手ハウスメーカー攻略法】」内の「【ついに】住友林業の全館空調はここが違う!他社との比較で見えた特徴まとめ【注文住宅】」をチェックしてみてください。他社との比較検討する際の参考にもなります

三井ホーム

三井ホーム

三井ホームは、次の3種類の全館空調を提供しています。

提供する全館空調システム概要
スマートブリーズ・エース(SMART BREEZE ACE)40坪以上の住宅に推奨、加湿器付きで、部屋別温度調整機能あり、入居3年目以降、毎年25,000円のメンテナンス契約費用が必要。
スマートブリーズ・プラス(SMART BREEZE PLUS)40坪以上の住宅に推奨、床置きのみ、入居3年目以降、毎年25,000円のメンテナンス契約費用が必要。
スマートブリーズ・ワン(SMART BREEZE ONE)40坪までの住宅に推奨、家庭用エアコンを利用した全館空調で、メンテナンス契約費用は不要。加湿器能無し、部屋ごとの温度調整は不可。

予算や機能に合わせて選択肢があるのは大きなメリットです。ただし、年間のメンテナンス契約が必要な種類もあるので、十分に比較検討してみてください。

また、三井ホームは2024年に「ツーバイフォー工法」を独自に進化させた「MOCX WALL工法」の提供も開始しました。この工法は、耐震性が高く間取りの自由度がより増していて「自分の理想とする家を形にしたい」と考えている施主にぴったりです。注文住宅を建築する際、できるだけ多くの選択肢が欲しい場合は、三井ホームの利用を検討してみてください

三井ホームの特色や強みをより深く理解したい場合は、「まかろにお」が運営するYouTubeチャンネル「まかろにお【大手ハウスメーカー攻略法】」内の「【最新2025年版】三井ホームの徹底解説!これさえ見ておけば大丈夫でしょ!」をチェックしてみてください

ヘーベルハウス

ヘーベルハウスの空調は「ロングライフ全館空調」と呼ばれる天井埋め込み式のタイプです。専用の機械室が不要で、各部屋の温度調整も可能です。換気、冷暖房、湿度調整をそれぞれ独立して行うシステムであるため、効率の良い運転と快適な室内環境を両立できます。また、専用の機械室が不要なので限られた坪数で家を建てたい場合などにもおすすめです。

ヘーベルハウスは、二世帯住宅を得意とするハウスメーカーです。二世帯住宅を建築し、親世帯と子世帯でそれぞれ設定温度を変えて快適に暮らしたいといった場合におすすめの空調システムです。

ヘーベルハウスについてより理解を深めたい場合は、「まかろにお」が運営するYouTubeチャンネル「まかろにお【大手ハウスメーカー攻略法】」内の「【最新2025年版】ヘーベルハウスの徹底解説!これさえ見ておけば大丈夫でしょ!」をチェックしてみてください

まとめ

戸建てに全館空調を設置するメリット・デメリットや全館空調を得意とするハウスメーカーについて解説しました。

戸建てに全館空調を設置すれば、家中を快適な温度に保てる、間取りの自由度が上がるといったメリットがある一方、設置費用が高く断熱性や気密性の高い家でないと効果が実感できないといったデメリットがあります。

また、三井ホームのようにメンテナンス契約を結ぶことが設置の条件になっているケースもあるため、注文住宅に全館空調の設置を検討している方は、利用するハウスメーカーが提供する全館空調の特色を把握し、設置費用と維持費を確認してみてください。

満足する家づくりをするためには、施主も知識を蓄える必要があります。「まかろにお」が運営するYouTubeチャンネル「まかろにお【大手ハウスメーカー攻略法】」内の動画をチェックして、しっかりと知識を身につけしましょう。それぞれのハウスメーカーについての深掘り動画だけでなく、間取りや設備に関する動画も豊富にあります。

家づくり無料相談「メグリエ」

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さらに、メグリエ(MEGULIE)」に登録すると、掲載されている豊富な建築実例から気になる施工事例を選び、その施工を担当したハウスメーカーや営業担当者に直接依頼することも可能です。

満足する家づくりには、情報収集や相談が重要です。まずは「メグリエ(MEGULIE)」に登録して、しっかりと知識を身につけましょう。

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