今回は『注文住宅の基礎知識|住宅性能で注意すべき点』というテーマでお話をします。
家づくりはわからないことだらけだと思います。
例えば家の性能と言われても、どこのメーカーも同じように見えますし、違いを見つけようと思っても、具体的に何がどう違うのか、そしてそれが良いのか悪いのか、全くわからないという感じだと思います。
実際に建物の構造躯体の断面を見て、これがどういうつくり方で、どこが弱点なのか読み解けないと思います。

こういう構造躯体の断面は、だいたいどのハウスメーカーのカタログにも掲載されているわけですが、こんなものは、住宅に対する基礎知識がない一般の人が読み解けるわけがありません。
住宅営業マンですら、自分たちが売っている家の構造躯体を読み解けない人ばかりです。
当然お客さんにも説明できていないので、ほとんどの住宅営業マンは、雰囲気で説明できる「耐震性」「メンテナンス性」「保証」、これらばかりの説明をしてきます。
これは言い切れるのですが、知識のない営業マンほどこの3つしか話しません。
そのような状態であるがゆえにお客さん側にも伝わらず、最終的には「難しいことはよくわからないし、理解するのも面倒だからいいや」となってしまったり、「ここのメーカーならまあ安心だろう」という何となくの雰囲気で会社選びを始めてみたり、人によっては「この営業マンなら信頼しても大丈夫だろう」と人で決める方法でメーカー選びを行っていたりするわけです。
ただこれほど愚かなことはなく、どんなに住宅営業マンがいい人であっても、生殺与奪の権を他人に握らせてはダメです。
家は自分軸で検討するものです。
何でもそうだと思いますが、学びをやめた時点で確実に失敗に近づいていきます。
ですので今回は、建物の性能にまつわる重要な部分を全て解説していきます。
家づくりの本質
「家づくりは頑丈かつ健康に過ごせる住まいをつくること」、これこそが最重要ミッションであると私は考えています。
というのも、例えば昨今SNSでは「ホテルライク」と呼ばれるテイストが流行っています。

ホテルライクというのは簡単に説明をすると、ホテルっぽい雰囲気に寄せた内装のことで、非日常感を感じられる内装におしゃれさを感じることから、最近とても流行っています。
確かにかっこいいですし、私もお客さんから依頼があってプランを作成する時は、要望に合わせてホテルライク系の内装をコーディネートしています。

ただ、流行りだからといって、わざわざ予算を割いてまで内装をホテルに寄せに行く必要性はないと思っています。
なぜなら、家は見た目よりも機能の方が重要だからです。
どんなにおしゃれでかっこいい内装に仕上げたとしても、夏は暑くて冬は寒い、しかも収納も足りなくて生活動線も悪い、そんな家だったら明らかに日々の満足度は下がります。
注文住宅は、ずっとそこに住み続ける前提の建物です。
ですので、あくまで機能優先でなくてはならないですし、無理に予算を割いてまでおしゃれでかっこいい内装に寄せる必要はないのです。
しかも、ホテルは時々行くからいいのであって、家がホテルっぽかったら、いざホテルに行った時の感動もなくなってしまいます。
これは、ホテルっぽい内装をつくった人のあるあるかと思います。
最近ではSNS映えする家の写真や動画がたくさんアップされているので、どうしてもおしゃれな家づくりをすることばかりに頭が行ってしまいます。

その気持ちはわかるのですが、本質を見失って見た目ばかりにこだわらないよう、まずは頑丈かつ健康に過ごせる住まいをつくること、これを意識してもらい、お金に余裕があったら最後にデザインに力を入れる、この順序を覚えておいてください。
これを無視してデザインにばかり力を入れた住宅を、「デザイナーズスカスカ住宅」と言っています。
この手の話をすると「今どきどこのハウスメーカーで建てても性能なんて変わらないんでしょ?」「有名どころだったらどこも安心なんじゃないの?」と思う人が多いのです。
しかし、歴史から紐解いていくとその考え方が間違っているということがわかり、ハウスメーカーで建てる家というのは、どの家も基本的に100均のような家だというのに気づかされることになります。
そのため、ハウスメーカー全般、疑いの目から入った方がいいのです。
これがどういうことなのか、歴史から遡って説明をしていきます。
そもそも日本は、戦後の人口は3,000万人くらいだったのですが、そこから約50年で人口が1億2,700万人にまで増えました。
ですので、家が足りないという時代に突入し、家に対する需要が高まることとなったのです。
また、1950年代は、住宅金融公庫が年収の5倍まで住宅ローンを貸してくれるという流れだったのですが、当時の年収は、300万円くらいが平均だったと言われています。
そのため、1,500万円までしか借りることができない状況だったのです。
それが、1960年に打ち出された所得倍増計画によって、大体10年で年収が倍になり、今まで年収300万円だった人が、年収600万円になったのです。
そして、ベースの年収が上がるということは、住宅金融公庫が貸せるお金も大きくなるということを意味していて、これにより家を安く大量生産できれば儲けられるというのがわかってきました。
こうして、家の需要が高まったことと国の後押しによって、これまで職人が家をつくっていた時代から、企業が家をつくる時代に変わっていくことになります。
そしてこの時に、
- 積水ハウス
- 住友林業
- ダイワハウス
- ヘーベルハウス
- ミサワホーム
- 三井ホーム
- パナソニックホームズ
- セキスイハイム
- トヨタホーム

これらのハウスメーカーが誕生することになったわけです。
今ではこれらのハウスメーカーは「ブランド系」と呼ばれていますが、当時は「プレハブ系」と呼ばれていて、とにかく早く、そして安くつくること、これを優先した家づくりを行ってきたのです。
そしてそれを真似して、後に様々なハウスメーカーが誕生することになります。
ただ、結局のところ、どのハウスメーカーの家であろうと、早く安くつくることが優先になっていて、何かしらの弱点や足りない部分があったのです。
これが今の日本の家づくりのベースとなっていて、「住宅会社の家は基本100均のような家だ」と言った理由になります。
実際、どのハウスメーカーもよく「30年保証します」「保証を延長すれば最大で60年保証します」など、いろいろなことを言ってきますが、保証制度自体、できて日が浅い制度になります。
さらに、どんなハウスメーカーであっても、何でもかんでも保証してくれるわけではなく、経年劣化による建物の傷みや自然災害による建物の損傷などは保証の対象外です。

つまり、いくら保証されていようとも、本来持ち合わせている建物のスペック以上の耐久性は発揮できず、時間とともに朽ちていくだけということです。
建物の耐久性は、保証ではどうすることもできないのです。
ですので、保証という甘い言葉に惑わされるのではなく、本質的に耐久性の高い建物をつくらなければ、まともな家づくりにならないのです。
事実、この表は日本人が家に対してかけてきたお金と、その家の資産性をまとめたものですが、本当に価値のある家、つまりは耐久性の高いきちんとした家をつくっていたら、こんなに日本人の資産が目減りするということはありません。

それだけ日本の家は価値のないものになってしまっているということです。
ほぼ、お金を捨てているようなものです。
ですので、ハウスメーカーが建てる家は、どの家も基本100均のような家だという話をしているわけです。
一方でアメリカは、とりあえず家を買っておけば資産性が上がるという状態になっています。

こういうグラフを見ると、日本の家づくりが日本人を貧乏にした1つの要因になっているのではないかなとも思うのですが、だからこそいい加減、日本も変わらなければならないと思います。
とにかくこれまで職人が家をつくっていた時代から企業が家をつくる時代に変わったことから、早く安くつくることが優先になってしまい、質も低下することになりました。
ここで押さえておいてもらいたいポイントは2つです。
- 家は頑丈かつ健康的な住まいをつくることが目的で、余ったらデザインにお金を振る
- ハウスメーカー全般、疑いの目線から入った方がいい
ということです。
不安を煽っているわけではないですし、ハウスメーカーのことをディスっているわけでもありません。
きちんと現在値を把握して、その上で対策をしていきましょうという話をしたいだけです。
建物における頑丈さとそれを構成する要素
頑丈かつ健康に過ごせる住まいをつくること、これこそが家づくりにおける本質的な考え方になりますという話をしましたが、建物における頑丈さとは何なのか、健康に過ごせる住まいとは何なのか、これを分解してそれぞれ説明をしていきます。
建物を頑丈にさせるためには、
- 構造材の質と釘の種類
- コンクリートの強度、劣化対策
- 工法の違い
- 耐震等級3の確保
最低でもこの4つの要素を確認しなければなりません。
今回は木造住宅中心の話にはなりますが、基本的な考え方は鉄骨住宅も同様です。
木造住宅、鉄骨住宅両方に通用する話だと思ってください。
構造材の質と釘の種類
注文住宅を購入する時に、多くの人たちは自分たちの家にどんな木材が使われているのかわからないまま家を購入していると思います。

また、構造材を気にして軽く調べたとしても、ホームページやカタログに記載されている「寸法の狂いのない材を使っている」「JIS規格に適合したものを使っている」といったこれらの文言だけを見て、「まあ多分大丈夫だろう」という浅い理解のまま、深く考えずに家の購入に踏み切ってしまっていると思います。
イメージとは真逆のもの
日本の化粧品は海外に持ち出すことが難しいというのは、海外によく行く方でしたら知っていると思います。

なぜかというと、日本の化粧品は毒まみれだからです。
日本の化粧品は安心安全というのはイメージなのです。
あとは、日本のイチゴも海外へ輸出禁止になっていることがほとんどです。
なぜなら農薬まみれで、海外では禁止になっている薬物が使われていることが多いからです。
日本が誇るおいしいイチゴというのはイメージであって、海外からは違う見られ方をしているのです。
さらに、除菌や消臭のイメージで使っている方が多い超有名なFのつく消臭剤、あれは殺虫剤になります。
ゴキブリが出た時に吹きかけると、速攻で殺せます。
このような感じで、日本には一般的には知られていないだけで、イメージとは真逆の裏の部分が多く存在しています。
こういう情報はなかなか表に出てこないですし、印象だけで判断して進めてしまうことが多いのです。
そして実は、住宅に使われている構造用の木材も同じです。
構造材の種類
そもそもの大枠として、構造材には2種類存在します。
それが、木を重ねて1つの柱材にしている「集成材」、本物の木でできた「無垢材」、この2つになります。
そしてさらに無垢材の中には「人工乾燥材」と「天然乾燥材」、この2種類があります。
ほとんどの場合、どのハウスメーカーも工務店も、集成材という方を使っていることが多いです。
なぜなら、集成材は品質にばらつきがなく、初期的な強度も高い、それでいて安いからです。
これだけ聞くと、ものすごくいい材です。
しかし、いいことばかりではありません。
集成材のデメリット
集成材のデメリットとして、
- 日本の気候に合わないことが多い
- 継続的に薬物まみれにさせる必要がある
- 木材が酸性化している
これら3つの代表的なデメリットがあります。
日本の気候に合わないことが多い
集成材で主に使われているのは、ホワイトウッドやレッドウッドと呼ばれているものです。
どちらも欧州で取れる木ですが、欧州は基本的に寒くて乾燥しています。
そしてそれもあって、シロアリがいない地域でもあるのです。
一方で日本は、高温多湿でシロアリもたくさんいます。
つまりは、ホワイトウッドやレッドウッドは、日本と真逆の気候で育った木になるわけです。
ホワイトウッドやレッドウッドは、湿気やシロアリに耐性をもっていないのです。
例えばこちらの画像をご覧ください。

こちらはシロアリの食害度を表しているグラフになりますが、上からホワイトウッド、レッドウッド、国産のスギの人工乾燥材、国産のスギの天然乾燥材を表しているものになります。
このグラフを見れば一目瞭然ですが、圧倒的にホワイトウッドがダメで、その次にレッドウッドとなっています。
実際の写真もこのような感じで、1番右がホワイトウッドで、1番左がレッドウッド、真ん中が国産のスギです。

実験結果からもわかるとおりで、外国から仕入れてくる木は日本の環境には適していないのです。
しかし安いため、ほとんどのハウスメーカーで使われているのです。
ただこの話をすると、「ハウスメーカーから強度的に問題ないっていう説明を受けたし、実際のところ問題ないんでしょ?」と思われる方もいると思いますが、これは確かにそのとおりではあります。
というのも、建築業界には「機械等級」というものがあります。
機械等級とは、木材の変形しにくさを表すヤング係数E値を機械で測定して、JAS、つまり日本農林規格で定められた等級に区分したものです。
具体的にはE50からE150までの6段階に分かれていて、数字が大きいほど強度が高いとされています。
また、一般的に木材の変形のしにくさであるヤング係数E値は、木材の壊れにくさを表すF値に対して高い相関関係があることが知られています。
この相関関係を利用して、機械で測定したヤング係数をもとにJASで定められた基準に照らし合わせてF値が決定されます。
どういうことかというと、例えばヤング係数E値は
- E50
- E70
- E90
- E95
- E105
- E120~150
この6段階が存在していて、機械で測定した結果、この中のどこに該当するのかが決まります。

そしてヤング係数E値がわかりさえすれば、相関関係があることから、壊れにくさを表すF値が自動で決まるというイメージです。
例えば、
- E値が50であればF値は105
- E値が70であればF値は225
- E値が90であればF値は270
- E値が95であればF値は315
- E値が105であればF値は345
- E値が120であればF値は390
- E値が150であればF値は481
といった感じで、壊れにくさを表すF値が自動で決まってくるわけです。
これがいわゆる機械等級と呼ばれるもので、JAS認定を取っている木材には「E95-F315」、つまりは「変形しにくさ95、壊れにくさ315」という表記で柱に印字してあるわけです。
そして柱に関しては、多くのハウスメーカーがE値95、F値315、この強度の材さえ使っていれば問題ないとしているのです。
樹種に関しては気にしていないのです。
そのため、初期的な強度はあっても、長期耐久性はないという話になってきます。
ましてや外国の木となると、余計にその影響は大きくなります。
この辺は、実は住宅業界の闇でして、同じハウスメーカーであっても強度さえ一緒であればいいとしていることから、樹種ガチャになっていることがかなり多いです。
当然、外国の木を使うのであれば、ホワイトウッドよりもレッドウッドの方がまだマシなので、そちらなら当たりかなと思います。
しかし、場合によってはホワイトウッドになっている可能性も十分にあります。
配送コストの関係で、建築地からなるべく近いところで木材を購入して加工した方がいいわけですが、それを考えると、安定して同じ樹脂を供給し続けるのはものすごく難しいのです。
そのため実際、ハウスメーカーのホームページに掲載されている情報と、現場で使われている木材が全然違うということも平気であります。
実際、とある有名なハウスメーカーでは、ツギハギだらけの木を使って家を建てていることもあります。

いくら強度が一定数獲得できているとはいえ、なかなかひどいです。
一方で、ホームページには普通に「良質なレッドウッドを使っています」と書いています。
この業界はこういう業界なので、1から全部紐解いていかなければ、本当に安心安全な住まいをつくれません。
ということで、確かにハウスメーカー側の言うとおり、強度的に問題ない集成材を使っているのだと思います。
ただしそれは初期的な強度の話であって、長期耐久性、こちらはまた別の話です。
強度と耐久性、これは全くの別物です。
そして樹種に関しても考慮されていないのです。
この辺は落とし穴なのでご注意ください。
継続的に薬剤まみれにさせる必要がある
「ホワイトウッドやレッドウッドが日本の気候に合わない木なのはわかったけれど、どうしたらいいの?」と思われた方もいると思います。
確かにレッドウッドやホワイトウッドは安いですし、多くのハウスメーカーで使われている材なので、それを否定する形になってしまったら、多くの人が家を建てられなくなってしまいます。
とはいえ、「どうすればいいの?」という気持ちもわかるので、その答えをお伝えすると、非常にシンプルです。
薬を使えばいいのです。
例えば、ホワイトウッドやレッドウッドがシロアリに対して耐性がないのであれば、薬剤を散布することを前提に考えて家づくりをすれば、一応その欠点を補うことができるわけです。
ですので、ハウスメーカー各社は、薬剤散布による防蟻対策や土壌改良などによって、地面に薬剤を注入する形で防蟻対策を行っていて、5年や10年に1回薬剤散布をすることになっています。
そうすることで、シロアリを寄せつけないようにしているわけです。
このような感じで、デメリットがあるのであれば、何かしらで補ってあげればいいわけなのですが、日本の気候に合わない外国産の木を使った場合、そのデメリットを補うためには薬剤でどうにかすればいいわけです。
しかし「薬剤って本当に大丈夫なの?」と思うと思います。
ここに関しては、日本では大丈夫とされているものが、海外では使用禁止になっているということも非常に多いのが実態です。
建材に関して言うと、業界では「F☆☆☆☆(エフフォースター)」という称号が与えられているものであれば安心安全な建材として使えるという認識があります。
ただし「F☆☆☆☆」のFは、ホルムアルデヒドのFです。
つまりホルムアルデヒドだけは低減されていますよという表記なのです。
それ以外の発がん性物質であるアセトアルデヒドなどは、全く検査されていないというのが日本の建材です。
しかもこういった事実があるにも関わらず、特に対策されていないというのが、日本の住宅事情です。
ですので、思考停止で安心安全と思っていると、将来痛い目を見る可能性が高いです。
一方で、法隆寺や五重塔はそこまで薬剤まみれにせずとも、1,000年近い耐久性をもっているわけです。

これがなぜかというと、法隆寺や五重塔は無垢の天然乾燥材が使われているため、薬剤を散布せずとも1,000年経っても朽ちない耐久性をもち合わせているのです。
というのも実は、無垢の天然乾燥材は、人の手でゆっくりじっくり木の中の水分を抜いていく手法でつくられているものでして、大量につくることはできないのです。
ただその分、木の中の油分が残っていることや、角材中央の芯の部分が焼けただれていないことから、木材自体がシロアリを寄せつけない抗体をもち合わせているのです。
一方で、集成材や無垢の人工乾燥材は、人工窯で急速に水分を飛ばすので、木の中の油分が残っておらず、割り箸のようなカサカサな状態になってしまっているのです。
さらに、無垢の人工乾燥材に関しては、高温で水分を飛ばす都合上、角材中心部の芯材の部分まで焼けただれて、真っ赤に変色してしまっていたりします。
実際に左が人工乾燥材でつくった柱材の中身の部分で、右が天然乾燥材でつくった柱の中身の部分になります。

比べてみると全然違います。
このような状態なので、集成材よりはマシですが、無垢の人工乾燥材は無垢の天然乾燥材には耐久性では勝てません。
そして、無垢の天然乾燥材を使っていることで、法隆寺や五重塔は、非常に高い耐久性をもつ建物となっていて、薬剤を散布せずとも1,000年経っても朽ちない建物となっているのです。
ただこの話をすると「法隆寺や五重塔だってシロアリに食べられてるって話を聞くし、メンテナンスだってしてるじゃん!」と言ってくる人がいます。
確かにどんなにいい材料であっても、いつかは朽ち果てます。
どこかのタイミングでメンテナンスが必要になってはきます。
これは事実です。
しかし、1,000年経ってからメンテナンスが必要になってくるのと、数年でメンテナンスが必要になってくるのは、全然違います。
無垢の天然乾燥材を使って建物を建てても、いつかはメンテナンスが発生してきます。
メンテナンスが必要になるまでの期間が長くて、さらに本当の意味でメンテナンスが少ない家をつくるのであれば、無垢の天然乾燥材がいいですよという話です。
ぜひとも、表面的なところで思考を止めるのではなく、もう1つ深いレイヤーにまで思考を落として考えてみてください。
木材が酸性化している
木材は強制的に乾燥させると、中性から酸性に切り替わるという論文が発表されています。

これを「木酸」と言ったりします。
そして実は法律的にこれを使っておけば大丈夫とされている釘に、防錆性のあるNZ釘というのがあるのですが、この木酸と呼ばれる酸は非常に強力でして、防錆性のあるNZ釘すらも錆びさせてしまうのです。
ここからが問題で、法律を遵守しているということを建前に対策をしていないハウスメーカーと、きちんと対策をしているハウスメーカーとに分かれます。
当然釘が錆びてしまえば、計算上は耐震等級3があって地震に強い家になっていたとしても、本来の建物の性能を出すことができなくなってきます。
ですので、法律を遵守しているということを建前に対策をしていないというのはどうかと思います。
ちなみにこの件に関して、有名な大手系のハウスメーカーで対策をしているのは2社だけです。
他のメーカーは対策していません。
こういう事実もあるので、集成材を活用する時や、無垢の人工乾燥材を使う時というのは、注意が必要なのです。
使う構造材を判断する順番
「結局のところ、無垢の天然乾燥材が最強というのはわかったけれど、どのような順番で判断すればいいんだ?」という話だと思うので、見解をお伝えさせていただきますと、
- 無垢の天然乾燥材
- 無垢の人工乾燥材
- 国産木材の集成材
- 外国産木材の集成材
この優先順位で検討していただくといいかと思います。
さらに2番から4番である無垢の人工乾燥材、国産木材の集成材、外国産木材の集成材、これらに関してはNZ釘ではなく、木酸に耐えられる特殊なコーティングが施してある釘がきちんと使われているか、これを確認した上でハウスメーカーを選んでもらうことをおすすめします。
そうしなければ、どんなに耐震性のある建物をつくったとしても、それは机上の空論であって実際は大きく異なってしまいます。
いろいろな商材と同様に、建築においても一般的に知られていないだけでイメージとは真逆の裏側が多く存在しているので、自分たちの家はどんな木材が使われているのかしっかりと把握して家を建てるようにしてください。
この辺を考えるのが面倒だと思われる場合は、断熱性能や気密性能は取りにくいですが、鉄骨住宅にするというのも1つの手段かもしれません。
コンクリートの強度、劣化対策
家づくりのことをわかっていない住宅系のインフルエンサーは、基礎の立ち上がり幅や配筋、これを比べることで、そのハウスメーカーの地震に対する強さがわかりますという話をしますが、それは違います。

確かにハウスメーカー各社、カタログやホームページで基礎のコンクリート部分の立ち上がり幅や配筋の太さに関して言及していたりします。

それを見ると、基礎は太い方がいいですし、配筋もたくさん入っていて太い鉄が使われている方がいいと思ってしまいます。
ただ、実のところ基礎というのは、その建物で耐震等級3を取るために必要な基礎の太さと配筋の量を計算して出すのです。
ですので例えば、壁の断熱材の厚みが厚くなればなるほど、それに乗じて基礎の幅が増えていきますし、基礎の上に建てる家の構造躯体がどんな構造躯体でどんな形状の建物なのかによって、配筋の太さや本数が変わるのです。
結局ケースバイケースで、大体どのハウスメーカーも耐震等級3が取れるように基礎のコンクリート部分の立ち上がり幅や配筋の太さを調整しています。
そのため、比較する意味が全くないのです。
ただその中で、基礎の強度に関しては別です。
基礎は強度によって対応年数が変わってきます。
こちらの表をご覧ください。

一般的に住宅で使われている基礎というのは24N/㎟の基礎で、これは1㎟の面積あたり約2.4kgの力に耐えられる強度の基礎だということなのです。
この対応年数が大体65年です。
ただ、ハウスメーカーによっては100年耐久の30N/㎟で基礎をつくっているところもありますし、200年耐久の34N/㎟で基礎をつくっている化け物のようなところもあるのです。
そのため、どんなにハウスメーカー側が「うちは保証がすごいんです」「うちはメンテナンスがかかりません」「うちは地震に強い建物をつくっています」など、そういう訴求をしてきたとしても、基礎のコンクリート強度がいまいちだったら無意味です。
大手ハウスメーカーの中には24N以下の基礎のところもあるので、普通に危ないです。
ですので、ここは絶対に確認するようにしましょう。
基礎のコンクリートの劣化対策について、実はコンクリートの基礎部分は毎年約0.2mmずつ中性化が進むとされています。

というのも本来コンクリートは、pH12~13程度の強アルカリ性を示します。
ただし酸性雨の影響などで、大気中の二酸化炭素がコンクリート内に侵入することでpHが低下し、酸性から中性に近づいていきます。
この過程で鉄筋の不動態皮膜が破壊され、鉄筋が腐食し、構造物の耐久性が低下していくのです。
これもあって基礎の耐久年数は、仮に65年でつくったとしても、約50年程度が限界であると言われています。
ですので、基礎の中性化が進むというのがわかっているメーカーは、基礎の表面に仕上げ材を塗って対策をしていたり、基礎外断熱と呼ばれる基礎の外周部分に断熱材を巻きつける方法をとって、基礎自体が外気に触れないように保護していたりします。
このような感じで、きちんとわかっているメーカーは、何かしらの基礎の劣化対策をしているので、こちらも確認ポイントになります。
工法の違い
床部分のつくり方は3つあります。
- 根太工法
- 根太レス工法
- 剛床工法
この3つです。
根太工法
根太工法は、大引きと呼ばれる部材に直行するように根太という部材をはり、その上に床材が置かれます。

これにより、地震・台風など天災時の揺れや家全体にかかる荷重を、根太と大引きで吸収、拡散することで、耐震性や強度が高まるというつくり方です。
また、床下に空間ができるので、床下の通気性が優れているというのも特徴です。
木材を多く使用し、施工時間もかかるので、費用は少し高めになります。
また、根太の太さ分床が高くなるので、天井が低くなって、居住空間が若干ですが、狭く感じるというのが欠点です。
根太レス工法
根太工法から根太をなくした工法を根太レス工法と言います。

根太をなくすことで木材が減り、施工時間も短縮されるので、費用が軽減されます。
また、根太と呼ばれる部材がない分、床の高さが低くなり、天井が高く、居住空間が広くなるというメリットがあります。
しかし、天災時の揺れや家全体の重みを床材と大引だけで支えなければならないため、負担が大きくなり、床材や大引の寿命が短くなる恐れがあります。
この根太レス工法を使っているハウスメーカーは、ほとんどありません。
剛床工法
剛床工法も根太レス工法の1つなので、根太がありません。

根太レス工法との違いは、床板の厚さです。
床板の厚さを増すことで強度を上げます。
また、根太工法の時は、揺れや重さを吸収、拡散する場合、根太と大引が交わる点からしか力を流すことができないので、その点どうしても負担が集中してしまいます。
しかし、剛床工法にすることで、揺れや重さを床板の面全体で吸収拡散することができるのです。
1箇所にかかる負担を軽減することができるわけです。
その結果、構造材の寿命が伸びる効果が期待できたり、住環境の長期安定維持が見込めたりします。
また、根太工法よりも材料費や施工時間の短縮が見込めるので、費用を少しだけ抑えることができます。
このような感じで、床のつくり方には
- 根太工法
- 根太レス工法
- 剛床工法
この3つがありますが、現在一般的には、地震に強く、早くて安いということから、ほとんどのメーカーで剛床工法が採用されています。
剛床工法の場合、床面に貼る合板の厚さは、一般的に24mmとなっているのです。
ただし、これが28mmのメーカーもあるのです。
当然24mmと28mmであれば、28mmの方が強度は高くなります。
ですので、地震に強い家を建てるのであれば、合板の厚みを比較検討するのがポイントとなります。
耐震等級3の確保
いろいろと細かく比較検討ポイントをお伝えしましたが、いちいち覚えるのも面倒、比較するのも面倒、そんなにこだわっていられないという人もいるかと思います。
確かに、家に対してそこまでこだわりがないという人もいます。
ですので、わかりやすい指標として絶対に守ってもらいたいのが、耐震等級3を取るということです。
阪神淡路大震災の1.5倍の地震が来ても耐えられる建物に付与されるのが、耐震等級3です。

もう少し詳しく説明をすると、日本には、建物の耐震性能を表すランクとして耐震等級というのが存在していて、具体的には
- 阪神淡路大震災の地震が来ても倒壊しない程度の耐震性能の建物…耐震等級1
- 病院や学校など避難所となる建物と同レベルの耐震性能がある建物…耐震等級2
- 消防署や警察署など防災の拠点となる建物と同レベルの耐震性能がある建物…耐震等級3
このような感じで、3つのランクに分けられています。

そして、熊本地震が起きる以前までは、耐震等級1の建物であっても十分と言われていましたが、観測史上初となる震度7が2回連続で発生した熊本地震によって、耐震等級1と2の建物が軒並み壊れてしまったのです。
実際に熊本県のホームページに、当時の被害状況をまとめた資料がアップされているのですが、震源地付近であっても、耐震等級3で設計された建物はほぼ無傷、または軽微な被害状況だったということが報告されています。
そんなこともあり、多くの専門家たちは、今後の大きな地震に備えて、これから建てる建物に関しては全て耐震等級3にするべきであるとしているのです。
ですので、頑丈な家を手に入れるのであれば、耐震等級3が取れているかどうか、ここは必ず確認しなければなりません。
そしてさらにこのことから言えるのは、鉄骨造の家であっても木造の家であっても、耐震等級3さえ取れていれば、どちらも変わらないということです。
頑丈な家、つまりは耐震等級3の家をつくることこそが目的なわけです。
ですので、木造であろうと鉄骨だろうと、はたまた制振装置が入っていようといなかろうと、ベタ基礎だろうと、布基礎だろうと、それは耐震等級3の家をつくるための1つの手段にしか過ぎないわけです。
わかりやすく例えるなら、カレーをつくる時はカレールーを使うと思いますが、カレールーはいろいろな種類があります。
それこそ、ジャワカレーやバーモンドカレー、ゴールデンカレーなどなど、数えたらキリがないくらいです。
少し雑な言い方になりますが、正直カレーさえつくれれば、別にカレールーなんて何でもいいと思います。
もちろん特定のメーカーに共感するしないという感情面での選択を抜きにしての話にはなりますが、目的はカレーをつくることなので、カレールーはそれをつくるための手段でしかないわけです。
どのカレールーを使ってもカレーはつくれるのです。
つまりこのことからもわかるように、手段の比較は本質的な比較になっていないということです。
住宅もこれと全く同じです。
頑丈な家、つまりは耐震等級3の家をつくることこそが目的なので、そのメーカーの家づくりの仕方に対して共感するしないという感情面の選択はあれど、無垢の天然乾燥材を使っていなきゃダメ、細かい数値を比較してここがどうだああだ、そんなものは1つの手段でしかないのです。
もちろん素材選びが完璧で何1つ欠点のない家づくりができればいいですが、そもそもそこまで家に興味がない、予算的に厳しいなど、そういうこともあると思います。
ですので、木造であろうと鉄骨であろうと、はたまた細かいところがどうであろうと、とにかく耐震等級3の家をつくること、これこそが目的であり、それさえ達成していれば、とりあえずは問題ないということです。
注文住宅の購入は鉄骨造と木造どちらがいい?
「耐震等級3を取ったとしても、木と比較して鉄骨の方が強度が高いんだから、どう考えても鉄骨住宅の方が強いでしょ?」と思われている方もいるかと思います。

確かにそれはそのとおりです。
ただ、鉄骨住宅には鉄骨住宅向きの立地というものが存在しますし、木造住宅には木造住宅向きの立地というのがあるのです。
ですので、家を建てる立地によって構造躯体を選ぶというのがベストな選び方になります。
この考え方は、どんな家を建てるのかを考える上で重要な部分なので、
- 鉄骨住宅向きの立地
- 木造住宅向きの立地
- 鉄骨住宅と木造住宅のメリットデメリット
こちらについて掘り下げてお話をしていきます。
鉄骨住宅向きの立地
鉄骨住宅向きの立地、それは都心部や隣の家との距離が短い住宅密集地、そういう立地で家を建てる場合には、鉄骨住宅の方が有利になります。
その理由についてですが、イメージしてみてください。
地震が来た時、自分の家だけが耐えられればいいかと言われれば、そうではないと思います。

もしかしたら隣の家が倒れかかってくるかもしれません。
2024年1月に起きた石川県の地震や、阪神淡路大震災のように、地震の後の2次災害の火災で自分の家が燃えてしまうかもしれないわけです。
ですので、自分たちの家が地震に耐えられるのはもちろんですが、さらに近隣からの被害から身を守らなければならないのです。
これが都心部や住宅密集地で家を建てる時に必要な考え方になります。
そう考えると、都心部や住宅密集地、具体的には隣の家との距離が60cmくらいしか離れていないぎっちぎちな立地に家を建てる時は、やはり素材自体に強度がある鉄骨住宅の方が有利なのです。
木造住宅向きの立地
木造住宅は先ほどとは逆で、割と敷地にゆとりがあるところで家を建てる場合に向いています。

やはり素材の強度というところを考えると、災害時周辺被害が少ないであろう立地で建てた方が、木造住宅は安心です。
ですので、都心部や隣の家との距離が短い住宅密集地で家を建てる場合は鉄骨、敷地にゆとりがあるところで家を建てる場合は木造、このような感じで立地によって構造躯体を選ぶということがポイントで、この考え方は自分たち家族の命を守ることに直結してきます。
そのため、できることなら家を建てる立地に合わせて、鉄骨住宅にするのか木造住宅にするのかを選んでいただければと思います。
鉄骨住宅と木造住宅のメリットデメリット
鉄骨住宅のメリットは、
- 繰り返しの地震に強い
- 近隣住宅からの被害から身を守れる
- リフォーム時骨組を再利用できる
一方で、鉄骨住宅のデメリットは、
- 断熱性能は木造住宅に劣る
- 気密性能は木造住宅に劣る
- デザインの自由度は木造に劣る
- 地震時に建物が揺れやすい
となります。
木造住宅のメリットは、
- 断熱性能・気密性能が高い
- デザインの自由度は鉄骨住宅よりも高い
- 地震時に建物が揺れにくい
一方で、木造住宅のデメリットは、
- 強度面は鉄骨造の方が有利
- 大規模リフォームは不向き
となります。

このような感じで、それぞれ得意不得意があります。
鉄骨住宅の人気が落ちている理由
特に鉄骨住宅のデメリットは、皆さんが思っている以上に深刻です。
それもあり、最近では鉄骨住宅の人気が落ちてきています。
それがなぜなのか、この辺をそれぞれ説明していきます。
断熱性能は木造住宅に劣る
鉄は木の400倍熱を伝えやすいという素材自体の性質があるため、その400倍の熱の伝わりやすさを埋める工夫が必要なのです。

ですので、鉄骨系の住宅を建てることを検討しているのであれば、各ハウスメーカーの構造躯体、これがどれだけ外気の熱の影響を受けないような「熱橋対策」がされているのか、確認しなければなりません。
また、確認するだけではなく、きちんと自分の知識として使うことができなければ意味がないので、「ここって熱橋になっていますよね?」というのを自分たちで指摘できるくらい、きちんと落とし込んで理解した上で、その構造躯体を見極めていく必要があるわけです。
気密性能は木造住宅に劣る
気密とは、家にどれだけ隙間が空いているのかを一言で言い表した言葉になるのですが、
- 鉄骨という素材自体が温度によって伸び縮みする
- 気密施工をする場合、建物の室内側に気密シートを貼るための木枠が別途必要であり、施工が複雑になる
- 外壁を引っかけているだけなので気密が悪くなる
これらの理由から、鉄骨住宅は気密が取りにくいのです。
もう少し詳しく説明をすると、例えば線路があります。
あれは1本の鉄でできているわけではなく、いくつかのレールが等間隔に置かれて1つの線路を形成しているのです。

ではなぜ1本の鉄で線路ができていないのかというと、それは鉄骨が温度によって伸び縮みするため、最悪その影響で線路が歪んでしまい、その結果、線路の上を走っている電車が脱線する可能性があるからです。
そのため線路は、1本の鉄でできているのではなく、いくつかのレールが等間隔に置かれて1つの線路を形成しているわけです。
電車に乗ると、ガタンゴトンと音が鳴るのは、そういう理由があるからです。
これと同様に鉄骨住宅も、少なからず鉄骨が伸び縮みするので、どんなに丁寧に施工したとしても、多少隙間ができてしまうと言われています。
そのため気密が取りにくいのです。
また、隙間を埋める気密施工をする場合に関しては、室内側に気密シートと呼ばれるビニールシートを貼ることになるのですが、このシートは、タッカーと呼ばれる大きいホチキスのようなものを使って止めていきます。

木造住宅なら柱が木なので、その大きいホチキスの芯も通るのですが、鉄骨住宅は柱が鉄骨なので、ホチキスの芯が通らないのです。
そのため、内側に木枠を組んで気密シートを貼るように工夫しなければならないのですが、その作業工程が複雑なのです。
作業工程が複雑であるということは、それだけヒューマンエラーが起きやすく、さらに完璧に隙間を埋めるということ自体も難易度が高いので、どうしても木造住宅に比べて気密が劣ってしまうわけです。
また、鉄骨住宅は木造住宅と比べて重いということもあり、地震が来た時に揺れやすいという特性をもっている構造躯体です。
この時に外壁をがっちり固めてしまうと、外壁自体が割れてしまいます。

そのため、大体どの鉄骨系のハウスメーカーも、地震が来た時に構造躯体と一緒に外壁も揺れるようになっているのですが、これも建物の気密性能を悪くしている1つの要因となっています。
それ以外にも鉄骨住宅は、ボルトを使って骨組を組み立てていきますが、そのボルトを通す穴、これも気密を悪くします。
ですので、鉄骨住宅で気密性能を高めるとなると、そういうボルトの穴までしっかりとウレタンを吹いて隙間を埋めていかなければなりません。
こういった諸々の背景もあり、鉄骨系のハウスメーカーの多くは、建物の隙間を埋める、いわゆる気密施工と呼ばれるものを放棄しています。
完全に諦めているのです。
ですので、気密施工を全く行っていなかったりします。
もちろん、鉄骨系のハウスメーカーの中でも気密施工をやっているハウスメーカーもあるにはありますが、数は少ないです。
これも知っているか知らないかで、大きな差が生まれてくる部分になります。
デザインの自由度は木造住宅に劣る
ある程度であれば鉄骨住宅でもデザイン性のいい建物はつくれます。
ただ、ある程度以上となると、鉄骨住宅では対応できないことが増えてきます。
というのも、ハウスメーカーは、戦後家のない時代に住宅を大量生産するという名目のもとできた企業になります。
特に戦後は木材もなかったことから、鉄骨を使った住宅を世に普及するべく、
- 積水ハウス
- セキスイハイム
- パナソニックホームズ
- ダイワハウス
- トヨタホーム
- ヘーベルハウス
これらのなだたる大手ハウスメーカーが誕生し、その後続々と他のハウスメーカーも誕生することになったわけです。
平たく言ってしまえば、同じものをコピー&ペーストで量産するユニクロやGUのような企業が、そもそものハウスメーカーだということです。
ただし、物を大量生産するためには、大量生産に適した形にしなければなりません。
具体的には、人の手を介在させる必要がないように、シンプルで直線的なものにしなければなりませんし、画一的でなければ大量生産することも難しくなります。
こういった背景があって、住宅の大量生産をすることを前提につくられたハウスメーカーという業態を象徴する鉄骨住宅という建物は、小回りが効かないのです。
小回りの効く木造住宅と比較すると、鉄骨住宅はデザイン性に劣ることが多いのです。
地震が来た時に建物が揺れやすい
おそらく多くの方が、鉄骨住宅は地震に強いというイメージをもっていると思います。
確かにそのイメージは間違っていないのですが、鉄骨住宅は重くて揺れやすいのです。
揺れることで地震の力を逃すという特性をもち合わせているのですが、その特性上、内装被害が出やすくなります。

これは、どこのハウスメーカーだからという話ではなく、鉄骨住宅全般に言えることです。
例えば3.11の地震の時は、東京タワーの先が曲がったというニュースがありましたが、それだけ鉄骨造の建物は、揺れの影響が大きいということなのです。

実際に私は、熊本県や新潟県の被災地に足を運んでいて、リアルで被災地の状況を見ているのですが、しっかりと地震に対して対策をしていれば、鉄骨造の建物でも木造の建物でも、どちらもきれいに残ってはいました。
ただ、それは外から見た時の外観の話であって、家の中に入ってみると、やはり鉄骨系の方が被害は大きいです。
鉄骨住宅で家を建てるのなら、各ハウスメーカーがどれだけ地震時の揺れに対して対策をしているのか、こちらも確認する必要があります。
ということで、
- 断熱性能は木造住宅に劣る
- 気密性能は木造住宅に劣る
- デザインの自由度は木造住宅に劣る
- 地震時に建物が揺れやすい
これら鉄骨住宅ならではのデメリットは、鉄骨で家を建てると決めた以上、どうしても避けては通れないものになってきます。
一言で言ってしまえば仕方ないのです。
それぞれのデメリットへの理解
木造住宅の方がいいのかと言われれば、それはそれで構造躯体自体の強度面を考えると、やはり鉄骨住宅の方が安心感はあるわけです。
特にリフォームのことを考えると、例えば街中のビルのテナント工事を見かけることがあると思いますが、あのような感じで、鉄骨住宅の建物は無茶をしても割と簡単にリフォームができてしまうのです。
しかし、木造住宅は柱が木なので、柱を傷つけてしまうと耐震性能が下がる可能性があるので、あまり無茶なリフォームはできないわけです。
鉄骨住宅にも木造住宅にも、それぞれメリットデメリットがしっかり存在します。
とにかく重要なのは自分たち家族の命なので、まずは立地によって構造躯体を選ぶということが最優先になります。
しかしそんな中でも、「いやいやそんなのどうでもいい、自分の好みで家を建てるんだ」という方もいるかとは思います。
その場合に関しては、鉄骨住宅と木造住宅それぞれのデメリットを理解した上で、耐震等級3を必ず取れる間取りを提案してもらうこと、これさえ守れれば、一定の安心感は確保できると思います。
それがひいては家の頑丈さにも繋がってくるので、これらのことは覚えていただき、構造躯体の選択をしていただければと思います。
健康でいられる住まいとは?
健康的な家づくりというのは、言い換えると、高断熱・高気密な家づくりということになります。
高断熱・高気密とは、簡単に説明をすると、水筒のような家のことです。
水筒は外の気温が暑かろうと寒かろうと、水筒内部の液体は保温されています。
要はこれが断熱という概念で、家も断熱材と呼ばれるものをたくさん詰め込むことによって、水筒のような性能の家に仕上げることが可能になるわけです。
ただしどんなに性能のいい水筒であったとしても、蓋が開けっぱなしだったら意味がありません。
密閉して初めて中の液体を保温できるようになるわけです。
この密閉性を、住宅では気密と言います。
つまり気密が悪い住宅というのは、水筒の蓋が開きっぱなしの状態で、気密がいい住宅というのは、水筒の蓋がきちんと閉まっている住宅のことを言います。
そしてここからもわかるとおり、断熱と気密はセットで、初めて効果を発揮するものになります。
断熱だけ、気密だけでは、きちんとした効果を発揮できないのです。
そのため、高断熱・高気密住宅と呼ばれているのです。
「今のご時世、どのハウスメーカーで建てても高断熱・高気密な家になるんじゃないの?」と思われている方も多いと思います。
ただ残念なことに、大手ハウスメーカー各社の断熱性能・気密性能は低すぎますし、断熱方法もいろいろな種類があるので、きちんと特性を見極めなければなりません。
そのため、きちんとした知識を身につけないと、とんでもなく痛い目を見ることになります。
これは大げさではなく、本当です。
これがどういうことなのかを説明するために、そもそもの大枠から掘り下げて話をしていきます。
日本の住宅の断熱等級
実は日本の建物には、断熱等級と呼ばれるものが存在します。
これは住宅の品質確保の促進等に関する法律、通称品確法で規定された、住宅の省エネ性能を示すための基準なのですが、それが1999年に断熱等級の最高等級である等級4が制定されてから、断熱等級の上限が7まで引き上がった2022年までのおよそ23年間、日本の住宅性能は、これっぽっちも上がらなかったのです。
なぜなら、ハウスメーカー各社は型式適合認定というものを取得していて、これがあることで身動きが取れなかったというか、取らなかったのです。
具体的に説明をすると、ハウスメーカーという業態は、戦後家のなかった時代に、同じ質の家を大量生産する名目でできた企業になります。
しかし本来住宅は、大量生産に向かないのです。
その土地の大きさや法規制に合わせて間取りをつくって、お客さんと打ち合わせを重ねるわけです。
ようやく間取りが決まったら、今度は構造計算をして役所に申請、役所に受理されてから、ようやく着工になるわけですが、そこから家が完成するまでに1年くらいかかることになります。
つまり、手間と時間と労力とお金がかかるのが住宅という商材で、大量生産に向かない理由になります。
ただ時代が時代だけに、そうも言っていられなかったので、国は型式適合認定という制度をつくったのです。
この制度は簡単に説明をすると、国が認めた構造躯体であれば、構造計算などの一部の申請手順を省いてもいいですよという制度です。
これを活用することで、ハウスメーカー各社は住宅の量産化に成功しました。
ただし、この型式適合認定という制度は、その時に認められた構造躯体であれば申請手順を省いてもいいですよという枕言葉がつくのです。
建物のグレードアップをしようと思ったら、型式適合認定の再取得が必要になるのですが、それには膨大な資料や根拠が必要になるので、実験にかかる費用や人的リソース、さらには社内の生産ラインの変更からマニュアルの作り直しなどなど、とにかくとんでもない労力がかかるのです。
ですので、ハウスメーカー各社は、基本的に型式適合認定の再取得はしたくないのです。
特におよそ23年間も断熱等級は変わらなかったこともあり、各社「うちは断熱等級の最高等級が取れるので問題ありません」「断熱性能の上げすぎはオーバースペックになるのでおすすめしません」など、とにかくいろいろな言い訳をして、断熱性能を上げない方向にもっていったのです。

正直、今でもその文化は根強く残っています。
日本の住宅の性能
今までどのハウスメーカーも、
- 耐震性
- メンテナンス性
- 保証
この3つだけをゴリ押しして住宅の販売をしてきました。
その結果どうなったのかというと、海外と比較して圧倒的に日本の住宅の性能が落ちてしまったのです。
例えばこちらの画像をご覧ください。

こちらは各国の冬場の室内の平均温度を表している画像なのですが、日本の家の室内の平均温度は冬場、なんと10℃なのです。
ロシアやデンマークなど、高緯度にあって冬の寒さが厳しい国もこの画像には含まれているのですが、家の中は日本の方が圧倒的に寒いということなのです。
実際に各国の家の断熱性能を見てみると、日本が非常に遅れているというのがわかるかと思います。

これにより日本では、交通事故で亡くなるよりも、家の中で起こるヒートショックで亡くなる人の方が多いという、とんでもない状況になっています。

当然住宅の性能が低いわけなので、夏に関してもカオスな状況となっていて、外にいるよりも家の中にいる方が熱中症になる確率が高いという状況にもなっています。

こういった事実からもわかるように、これが今までの日本の住宅の実情だったのです。
これはさすがにまずいよねということで、世界にも通用する基準として、日本でもようやく2022年10月に断熱等級が4から7に引き上げになりました。
これでめでたしめでたしと思いきや、今度は数字のお遊びに走り始めている状況なのです。
これがどういうことかというと、断熱等級はUA値と呼ばれる建物全体の保温力を数値化したもの、これを基準に算出していくのですが、UA値のAは「Average」のAです。

つまりは平均値なので、屋根、壁、床下、このうちのどこかだけでも断熱材を分厚くしてしまえば、平均値をよくすることができるわけです。
「日本人の平均年収は500万円だけど中央値は300万円でした」というのと同じ理屈です。
そして住宅の場合、屋根部分の小屋裏空間に断熱材を詰め込みやすいのですが、これで平均値をよくしたとしても、真冬にニット帽をかぶって、首から下は半袖短パンになっているのと同じになっているのです。

全く意味がありません。
またUA値は、建物の開口部の比率、つまりは壁の面積に対して窓の面積がどれだけの割合を占めるのかで数値がかなり変わります。
そのため、例えば窓をなくす、あるいは窓を小さくすることでUA値はよくなるのですが、その特性上、断熱材を厚くしなくても窓の数と大きささえ調整してしまえば、UA値はいくらでもよく見せることができるのです。
また、建物が大きくなればなるほど、壁の面積に対しての窓の面積が小さくなるので、これまた断熱材を入れなくてもUA値をよく見せることができます。
このような感じで、UA値はいくらでもごまかせる数字なのです。
ですので「うちのハウスメーカーは断熱等級6が標準です」「全く問題ないです」と言われても、安易に信じてはいけないのです。
いくら建物の大きさや開口部を調整してUA値をよくしたとしても、床下の断熱材が薄かったら、真冬床は冷たくなりますし、天井の断熱材が薄かったら真夏家の中は暑くなってしまいます。
本来、断熱材を厚くして、その次に窓を強化して、最後に計算した結果、断熱等級6や7になったという流れが正解になります。
この本質に気がつかずに、表面的な断熱等級のみで判断し、家を建ててから後悔する人が最近ものすごく増えてきています。
断熱材を中心として、それに関する知識をつけておかなければ、断熱等級が高いのになんだか寒い、なんだか暑い、そういったことになりかねません。
高断熱・高気密の家をつくることの重要性
ここまでの話で「家族の健康に配慮するためにも、快適さを追求するためにも、断熱性能の強化が必要であるというのはわかったけど、そこまでして断熱性能を上げる必要ってあるの?」と思った方もいるかもしれません。
ただ、実際に高断熱・高気密を意識することで、
- 風邪をひきにくくなり医療費を削減できる
- 光熱費を削減できる
- 1年中室内の温湿度を一定に保つことができて快適に暮らせる

そんな家づくりができるとされていて、高断熱・高気密の家に住むことで、年間の医療費を削減できるというデータもあるくらいです。

さらには「健康チェックリストの暖かさに関する設問を活用した温熱環境評価方法の提案」という学術誌で、高断熱・高気密の家をつくると健康になるという論文もあるくらいです。

また、今後光熱費がどんどん上がっていくことが予想されています。
昨今の地球温暖化も原因としてあるとは思いますが、電気代は2011年に発生した東日本大震災の頃から上昇傾向にあります。

また、日本はこれまで化石燃料への依存度が高く、火力発電をメインとしてエネルギー需要を満たしていました。
そこから脱却する目的で、自然の力を活用した再生可能エネルギーというものが注目されることとなり、2012年7月からは、再生可能エネルギー固定価格買取制度、通称FIT制度が開始されることになったわけです。
この制度はざっくり説明すると、家に太陽光を乗せれば売電収入が得られるという制度です。

ただし、この売電収入の源泉は、再エネ賦課金と呼ばれるもので、皆さんが日々払っている電気代、これに上乗せされて請求されている、税金のようなものなのです。
つまりは一度全国民から再エネ賦課金を徴収して、太陽光パネルを乗せている人に対して売電収入という形式でお金を再分配しているイメージです。
ここからもわかるとおり、再生可能エネルギーの導入が進めば進むほど、全国民に対して再分配するお金が増えるので、徴収する金額も増やさないといけなくなるのです。
ベースとなる電気代の値上げはもちろんありますが、さらに再エネ賦課金の値上げも今後ますます増えてきて、電気代の上昇を招く事態となっています。
あとは今後どうなるかわかりませんが、台湾有事という話もあります。
仮に中国が台湾を武力で制圧してしまったら、日本の輸入の生命線であるシーレーンと呼ばれる海上ルートが使えなくなる可能性があるのです。
そうなると、南アフリカや南アメリカを経由した輸入ルートになってしまうので、輸送距離が一気に2倍から3倍となるのです。
そうなると原油価格は爆上がり、ガソリン1,000円/Lという世界も普通に訪れるようになります。
当然ガソリンだけでなく、火力発電の燃料も石油や天然ガスなわけです。
電気代も10倍以上に跳ね上がるなんてことは、容易に想像できます。
そのため、全てのものの値段が超高騰する世の中になってしまうのです。
そうならないことを信じたいですが、世の中何があるかわかりません。
今東京は、外国人が土地を買い占めるので、日本人が東京に住めなくなって、埼玉や神奈川や千葉に追いやられている状況です。
そして、埼玉、神奈川、千葉に住んでいた人は、もっと奥の田舎の方でないと土地が買えないという状況になっています。
これは誰も想像できなかったことだと思います。
何があるかわからない世の中なので、光熱費は上がる前提で今から家づくりをしておかなければ、後々の生活が今よりも厳しくなる可能性が非常に高いです。
それが今の時代です。
そういった状況に対応するためにも、高断熱・高気密な住宅をつくっておく必要があるのです。
では実際に、高断熱・高気密な家づくりをするためにはどうしたらいいのかというと、それは、5つのステップを段階的にクリアして家づくりを行っていく必要があります。
「段階的にクリアして」なので、例えば1つ目のステップをクリアしたからといって、ステップ2を飛ばしていきなりステップ3に行くのはNGだということです。
必ず1、2、3、4、5という順番で家づくりをしていかなければ成功しません。
その5つのステップとは何なのかというと、それが
- 断熱
- 気密
- 換気
- 空調
- その他設備

この順番で家づくりを行うことで、きちんとした高断熱・高気密の家づくりができるようになるわけです。
ちなみに、断熱、気密、換気、空調、その他設備、これこそがハウスメーカーを比較する時に必ず考慮しなければならないポイントであって、各社大きく差が出ているところでもあります。
住宅性能で注意すべき点のまとめ
今回は『注文住宅の基礎知識|住宅性能で注意すべき点』ということでお話をしました。
頑丈で健康に暮らせる住まいをつくるために、構造材の種類や釘、基礎の強度、劣化対策、工法などを確認し、最終的には耐震等級3を確保することを意識しましょう。
また、木造、鉄骨にはそれぞれメリットデメリットがあるため、建築する土地の条件や住まい方に合わせて構造を選ぶことが大切です。
最後に告知です。
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