今回は『椅子の歴史と世界の名作チェア10選|選び方も解説』というテーマでお話をします。
これから注文住宅で家を建てようと思っている人からすると「インテリアは家づくりの最後に決めるものでしょ、特に椅子なんて座れれば何でもいいじゃん」と思われる方が多いと思います。

事実、ハウスメーカーでの家づくりも、インテリアを決めるのは最後の最後です。
そのため、インテリアは最後に決めるのが正しいと思っている人が多いのです。
ただし、本来の建築において、インテリアは最初に決めるものなのです。
実際に世界初の家具デザイナーとして名をはせた建築家兼家具デザイナーのマルセル・ブロイヤーも、「家具こそが空間の質を決める」という言葉を残しているくらいです。
その中で椅子に関しては、空間を象徴する個性を表すものであり、用途が多岐にわたることからも、インテリアの中でも特に重要な位置づけとなっているのです。
もう少し具体的にお伝えをすると、産業革命以降、建物はシンプルな形状のものへと変化していきました。
ただ、シンプル過ぎたがゆえに、どれも画一的な内装になってしまったのです。
そこで空間に個性を付け加えることのできるインテリアが注目され、様々な形状のインテリアが続々と世に誕生することになったのです。
そしてその中で椅子は、座れる、物を置ける、飾れるという複数の役割をもっている唯一無二のインテリアとして重宝されることとなったのです。
ですので、世界の名作チェアなるものが、世の中にはたくさん存在します。
ただ、何がどう違うのか、それをどう使えばいいのかは、わからないと思います。
ですので今回は、『椅子の歴史と世界の名作チェア10選|選び方も解説』と題して、知っておくべきポイントを歴史から紐解いてお伝えします。
最後までご覧いただき、知識を身につけていただければと思います。
デザインとは?
「リデザイン」という思想のもと、継承されていくものこそが、本来のデザインになります。
これがどういうことかというと、例えば少し前にやっていた映画で、木村拓哉さん主演の『グランメゾン・パリ』という映画がありましたが、あの映画でフランス料理にはプロトタイプとなるレシピがあって、それをつくったのがギヨーム・ティレルという人物であるということ、そして彼がつくったレシピが、今現在もフレンチのベースとなっているという説明がありました。

これが、リデザインの考え方そのものなのです。
すべてのものには、今現在すでにベースとなるものがあるのです。
そしてそのベースとしてあるものに、その時代に生まれたテクノロジーを積極的に導入し、質的向上を目指す、さらには経済性も考えて、高品質でありながら安価になるように考える、このようにベースとなるものを継承しつつ、その時代に合わせたスパイスを加えていくのが、デザインという言葉の本当の意味になります。
料理以外でも服もそうです。
例えば、ジャケットの起源は「フロックコート」と呼ばれているもので、これはヨーロッパの農民が農作業や外出の際に着ていた服が原型となっています。

また、ジャケットの襟に関しては、乗馬をする時に、襟を立てて首元の寒さを守るためにつけられたものになります。
それが今現在は、正装という形でスーツとして使われていたり、カジュアルに着てジャケットスタイルとして楽しまれていたりするのです。
あとは、ジーンズの起源は作業着です。

これはわかりやすいと思います。
ただ、ジャケットにしてもジーンズにしても、その時代によって太めのシルエットが流行ったり、細めのシルエットが流行ったり、その時々によって若干サイズ感や素材感が異なってくるわけです。
これも原型をベースにしたリデザインです。
要はこのような感じで、「リデザイン」という思想のもと継承されていくものこそが本来のデザインになるわけです。
そして、インテリアも同様です。
ベースとなるインテリアがあって、そこから派生して数々のインテリアが誕生することになります。
椅子の歴史
実は、4つの椅子が、ほぼすべての椅子の原点となっています。
その4つの椅子は何なのかというと、
- 明式家具
- ウィンザーチェア
- シェーカーチェア
- トーネットチェア
です。
これら4つの椅子のことを「近代椅子の四大潮流」といいます。
もちろん厳密に言えば、この4つの椅子以外にも原型となっている椅子はあるのですが、大体この4つの椅子がベースとなっていると思ってください。
明式家具
明式家具は、中国で椅子に座って生活するのが庶民に定着したと言われる1368年〜1644年で使われていた椅子の総称です。
総称なので、明式家具は1種類だけではなく複数の種類が存在していて、具体的には
- クァン・イ
- シィ・チュ・トゥ・グァン・マォ・イ
- ナン・グァン・マォ・イ
です。
クァン・イ
この椅子はおもしろい経歴の持ち主で、19世紀末に、シノワズリーという中国風のデザインがトレンドとなり、ヨーロッパで大流行するということが起きました。

そしてそのシノワズリーの流れで、このクァン・イもヨーロッパへ渡ることになるのですが、それにより、クァン・イをベースとした椅子が次々と誕生することになるのです。
ただ、その次々と誕生した椅子の中でも特にベースとなっているものが、チャイニーズチェアです。

チャイニーズチェアは、ハンス・ウェグナーがクァン・イをベースにリデザインした椅子で、座枠に彫りを入れ、アームから背にかけての部材は、曲木ではなく「フィンガージョイント」という方法で接合しました。
フィンガージョイントというのは、指をがっちり組むように木材を組み合わせる接合方法です。
そしてここからチャイニーズチェアの形状、思想、技術をリデザインしてつくられたのが
- ザチェア
- Yチェア
- FNチェア

になります。
比べてみるとわかりますが、どことなく形状が似ています。
このフィンガージョイントはザチェア特有のものではなく、実は根本となる技術は、チャイニーズチェアから来ていたわけです。
ザチェア
ザチェアはチャイニーズチェアと同様に、ハンス・J・ウェグナーの作品となります。
発売当初はデンマークであまり人気が出なかった椅子なのですが、1960年のアメリカ大統領選挙のテレビ討論会で、ジョン・F・ケネディ大統領が座ったことで爆発的人気が出た椅子になります。
Yチェア
こちらもハンス・J・ウェグナーの作品です。
Yチェアは一見するとつくりが複雑そうで、非常に価値の高い椅子に見えるのですが、実は機械により大量生産されている、低コストかつ高品質な椅子になります。
というのも、背もたれ部分を支えている後ろの足は曲木によってつくられていると思われがちなのですが、実際は板材から切り出されてつくられていて、それにより加工を容易にしているという特徴があります。
また、立体商標を唯一取得している椅子としても有名です。
「椅子といえばとりあえずYチェア」のような感覚が日本にはあって、Yチェアを選ぶ方が非常に多い気がします。
FNチェア
こちらは結構マイナーで、ヤコブ・ケアという人がつくった椅子です。
ヤコブ・ケアは、デザイナーというよりかは家具職人です。
これがどういうことかというと、家具でも服でも何でもそうですが、デザイナーと職人は別々です。
デザイナーと職人を兼任している人はそういません。
ただヤコブ・ケアは、職人とデザイナーを兼任していた珍しい人物で、チャイナチェアをベースに、Yチェアのような部材の細かさを追求してつくられたというのがこのFNチェアなのです。
ということで、ザチェア、Yチェア、FNチェア、これら3つの椅子の元をたどるとチャイナチェアであり、さらにその元をたどると「クァン・イ」という椅子にたどり着くということでした。

他にもクァン・イベースの椅子は、コーア・クリントの「ファーボーチェア」、そしてさらにそこからリデザインされたポール・ケアホルムの「PK11」もあります。
シィ・チュ・トゥ・グァン・マォ・イ
この椅子の最大の特徴は、背もたれ上部の部分で、この背もたれは、昔牛を引く時に利用された「くびき」をかたどってつくられたものになります。

このくびきを模した部分が、安定感と共に威圧感を与える要素となっていて、当時の権力者が好んで使っていたと言われています。
そんなシィ・チュ・トゥ・グァン・マォ・イをリデザインしてつくられたのが
- レッドチェア
- OW No149
- NV45

これらの椅子です。
レッドチェア
レッドチェアは、コーア・クリントの作品の椅子で、シィ・チュ・トゥ・グァン・マォ・イがシノワズリーでイギリスに渡った際にリデザインされたチッペンデール様式の椅子、これをさらにリデザインしてつくられました。
もう少し詳しく説明をすると、1900年以前の椅子は、バロックやロココに代表されるような伝統的な装飾が施されたものが主流でした。

当時は、装飾といえば権威や威厳性を表すものであって、王族や貴族が好んで使っていたわけです。
そして、そういった装飾こそが、伝統的で美しいとされていたわけです。
庶民は椅子を使えなかったのかというとそうではなく、中流階級くらいの人に向けて、廉価版の椅子をつくっていた人がいました。
それがトマス・チッペンデールです。

バロックやロココほどの派手さはありませんが、似たような装飾がされています。
これによって、王族貴族が使うものは高すぎて買えないけれど、それに憧れをもっていた中流階級の人たちは、好んでこの椅子を使うようになります。
これがいわゆる「チッペンデール様式」と呼ばれる椅子です。
これをコーア・クリントがリデザインして、よりシンプルに仕立てたのがレッドチェアです。
ちなみにレッドチェアのレッドは、この椅子の初号機が褐色の革でつくられていたことに由来します。
OW No149
この椅子は、オーレ・ワンシャーという人がつくった椅子です。
ですので、OWなのです。
オーレ・ワンシャーはコーア・クリントの弟子で、世界の家具の古典に精通していたデザイナーと言われています。
彼の家具は「イギリスモダン」と呼ばれていて、細身の中に微妙な曲線を設けることが特徴です。
オーレ・ワンシャーのコーヒーテーブルの脚は、猫脚になっています。
ここからも、オーレ・ワンシャーの特徴がわかるかと思います。
NV45
これは、フィン・ユールがつくった椅子です。
アーム部分の形状が世界で最も美しいとされている椅子で、「椅子好きが最後にたどり着く椅子」と言われています。
このアーム部分は、今もなお数多くの椅子が真似している部分なので、バターナイフのような形状のアームの椅子を見たら、フィン・ユールのNV45を真似しているのだなと思っていただければと思います。
ちなみに今現在ハウス・オブ・フィンユールというところから、NV45のリプロダクトが出ています。
比較的買いやすい価格になってはいるのですが、アーム部分が極太の大根かなと思うくらい太くて、魔改造されています。
ですので、オリジナルのものとは完全に別物です。
NV45のオリジナルとアーム部分の細さが全然違います。
ただ、NV45がどういった形状なのか、その形状を見るくらいなら、リプロダクトでも参考になると思うので、1度探してみるのはありかと思います。
ナン・グァン・マォ・イ
こちらは、形状よりも技術面で他の椅子に影響を与えた椅子です。

というのも、ナン・グァン・マォ・イには「ほぞ継ぎ」と呼ばれる接合が使われていて、それにより一体感のある形状がつくられているのです。
実際に背もたれ上部を見ればわかりますが、これがほぞ継ぎです。
この技術は、OW No149、チャイニーズチェア、レッドチェア、NV45、これらにも使われています。
ですので、ナン・グァン・マォ・イは、形状よりも技術面で他の椅子に影響を与えた椅子ということになります。
ウィンザーチェア
ウィンザーチェアは、細い丸棒状に加工した部材を縦に並行して並べて背もたれを形成する椅子で、これを「スピンドル」あるいは「スポーク」と呼びます。

20世紀初頭には、世界中の家具メーカーがこぞってこの技術を習得して椅子の生産性向上を図ったことで、長年にわたりウィンザーチェアはリデザインされ続けることになります。
また一説によると、このスポークをつくる際に、土器をつくる「ろくろ」を使っていたということがあったそうです。
では、なぜろくろを使っていたのかというと、ろくろは持ち運びができたからです。
ですので、職人が各地を点々としながらろくろでスポークをつくり、そこで椅子を組み上げることで生計を立てられたからだそうです。
そんなウィンザーチェアですが、リデザインされて有名な椅子が
- ハンス・J・ウェグナーの「ピーコックチェア」
- ジョージ・ナカシマの「コノイドチェア」
- イルマリ・タリオ・ヴァーラの「ファネットチェア」

になります。
どれもスポークが印象的な椅子です。
ただスポーク部分が印象的なだけに「これらのデザインの椅子を採用するのはどうなの?」と思われると思いますが、狭小地など空間が限られている部屋にはこういったスポーク系の椅子を入れると非常にいいのです。
なぜなら、視線が抜けるからです。
視線が抜けることで、広さ感や距離感を演出することができます。
ですので、都心部や東京都内など、限られた敷地で家を建てる方にこそ採用してもらいたい椅子です。
ファネットチェアは、ヴィンテージ品だったとしても10万ちょっとくらいです。
そんなに高くないので、状態がいいものであれば、オリジナルを買ってもいいのではないかと思います。
シェーカーチェア
シェーカーチェアは他の原点となる椅子とは異なり、曲線部分がほとんどない直線のみで形成された椅子です。

というのもシェーカーチェアは、元々誰かに売るための椅子ではなく、自分たちで使うようにつくられた椅子なので、かなり質素な見た目をしているのです。
また、使い勝手を重視していたということもあり、軽さにこだわってつくられたという特徴もあります。
そんなシェーカーチェアをリデザインした椅子というのは
- デザイナー不明の「ストレートチェア」
- ボーエ・モーエンセンの「シェーカーチェアJ39」
- ハンス・J・ウェグナーの「ロッキングチェア」
- ジオ・ポンティの「スーパーレジューラ」
- チャールズ・レニー・マッキントッシュの「ヒルハウスチェア」

これらが該当してきます。
その他にもたくさんあるのですが、とにかくシェーカーチェアはシンプルな形状であるがゆえに、他の椅子よりも多くリデザインされている椅子になります。
トーネットチェア
トーネットチェアは癖が非常に強い椅子なのですが、これはデザインを追求して生まれたものではなく、いかにして木を曲げられるのか、これを考えてつくられた椅子なのです。

そして、その木を曲げるというところから転じて鉄を曲げた椅子が誕生し、そこからさらに成形合板、FRP、硬質発泡ポリウレタンなど、それら新素材を加工した椅子へとリデザインされていくことになるわけです。
超癖強なのですが、その癖が後に多くの椅子に影響を及ぼすことになった、まさに近代椅子の4大潮流にふさわしい一脚となっています。
実際にトーネットチェアがリデザインされて誕生したのが、
- ミヒァエル・トーネットの「カフェチェア」
- ゲブリューダ・トーネットの「ウィーンチェア」
- マルセル・ブロイヤーの「ワシリーチェア」
- ル・コルビュジエの「グランコンフォートチェア」
- ル・コルビュジエの「バスキュラントチェア」
- マルセル・ブロイヤーの「チェスカチェア」
- ミース・ファン・デル・ローエの「MR20」
- ミース・ファン・デル・ローエの「バルセロナチェア」

などになります。
このような感じで、トーネットチェアほど影響を与えた椅子はないのです。
椅子の選び方
それぞれの椅子の選び方についてお伝えします。
視線の抜けを意識する場合はウィンザーチェアの系譜
狭小地などのコンパクトな敷地で家を建てる場合は、ウィンザーチェアのような視線が抜ける家具を入れることで、空間の圧迫感を減らすことができます。
この理屈は椅子だけではなく、収納ラックやブックシェルフにも使えます。
ハウスメーカーの提案ですと、家具をあまり置かない簡素な提案が多いと思います。
実際に住宅営業マンは「最近は家具なんて入れません、備え付けの家具で十分です」「むしろ備え付けで済ませた方が、空間を無駄なく広く使えます」などと言ったりするのですが、それはただただ家具の選び方がわからず提案できないため、逃げでそのようなトークをしているだけで、原理原則がわかれば、別に家具を入れても空間を広く有意義に使うことはいくらでもできるのです。
その1つの手段として、視線の抜けを意識する、そのために圧迫感の少ないウィンザーチェアの系譜の椅子を使うわけです。
ただし、ウィンザーチェアの系譜を使うと、物によりますが、北欧系の内装に寄ってしまったり、和系の内装に寄ってしまったりします。
特にジョージ・ナカシマの「コノイドチェア」などは、ものすごく扱いが難しいです。

この辺は注意していただき、採用してもらえればと思います。
椅子をその空間のオブジェとする
これまでいろいろな椅子を紹介してきましたが、「どこで使うの?」という形状の椅子もあったと思います。
もっともっと尖った椅子となると「レッド&ブルー」や「ラシェーズ」など、そういった椅子もあります。

こういう癖のある椅子は、その空間のオブジェとして飾りつつ座る、そのために置くという考え方があります。
椅子は座るためだけのものではないということです。

特にモダニズムが主流の現代において、無個性な空間に椅子は個性を与えるものなのです。
ですので、シンプルな空間を間取りでつくったなら、冒険して少し癖の強い椅子を選んでみるといいかと思います。
素材のリレーション
椅子単品だけ選んだところで「他の内装と合わなかったらどうするんだ?」という疑問があるかと思います。
統一感がないのは嫌だという人もいると思うので、これは重要な問題だと思うのですが、そんな時に必要な考え方がリレーションです。
リレーションは、素材、形状、色などを同じもので揃えていくという手法です。
例えば、ダイニングテーブルの脚が黒のスチールだったら、他の家具の脚もすべて黒のスチールにする、

その逆でダイニングテーブルの脚が木だったら、それに合わせて他の家具の脚も木にするなどです。

今お伝えしたことは非常に簡単なリレーションの1つなのですが、これができるかどうかで内装に統一感が出るかどうかが決まります。
さらにリレーションの上級テクニックとして、歴史から紐解いたリレーションと、連想から来るリレーションというのがあります。
例えば歴史から紐解いたリレーションの場合、北欧家具は本来スチールの脚の家具はないのです。
ほぼ木の脚なのです。
もちろん北欧家具の中でもスチールの脚を使っている家具も少しだけあるにはあるのですが、それは北欧家具の中でも割と後期につくられたもので、本来の北欧家具とは少し系統が違う家具になります。
つまりジャパンディや北欧系のテイストをつくるのなら、スチール系の脚の家具は入れてはいけないということです。
反対に、スチール系の脚の家具を入れたいなら、北欧系の家具ではなく、モダン系の家具を入れる方がいいのです。
こういうのが、歴史から紐解いたリレーションになります。
他にも歴史から紐解いたリレーションとして、例えば「ジャパンディ」というテイストがあります。
あれは、日本と北欧の共通項を軸にテイストをつくっていくものになります。
どういうことかというと、そもそも日本は、昔は座卓の文化でした。

家具も、タンスやちゃぶ台くらいしかなく、余白の多い空間で過ごしていたわけです。
また、障子には和紙が使われていたり、和紙を使って提灯がつくられていたりで、紙の文化があったのも日本の特徴です。
一方で北欧はというと、引っ越しの多い文化圏で、それゆえにあまり物を持たない文化でした。

ですので、北欧は必然的に余白のある空間が多くなる傾向にあったのです。
また、北欧は1年を通じて日照時間の少ない地域です。
そのため、常に太陽光を欲している文化圏でもあったのです。
ただ、どうしても北欧という地域柄、太陽の光を浴びることが難しいので、現地の人たちは室内に疑似的な太陽をつくるという目的で、拡散光型の照明を考案しました。
具体的には、ルイスポールセンの「PH5」がわかりやすいかと思います。

この照明は光源が直接見えず、シェードの光が当たった上で拡散し、室内を照らすランプになっています。
これが拡散光と呼ばれるもので、実は太陽光もオゾン層で光が拡散して地球に降り注いでいるのです。
これを照明で表現しているわけです。
このように、日本と北欧の文化を比べてみると、類似性があるということがわかります。
日本は提灯で拡散光、北欧はシェードで拡散光、余白の文化、これらがありました。
また、北欧は「ペーパーコード」といって、紙で椅子の座面をつくる文化があります。

日本にも和紙の文化がありますが、そこにも類似性があるのです。
ですので、日本の要素と北欧の要素は相性がよく、互いにそれぞれの要素を加えることで「ジャパンディ」というテイストをつくり上げることができるわけです。
ちなみに、ジャパンディテイストにしたければ、照明を「イサムノグチ」のような和紙で日本を感じられる照明を入れて、座面にペーパーコードが使われている北欧系の椅子を入れると、この時点でジャパンディテイストになってきます。

また、照明にルイスポールセンを入れるなら、その他でジャパンっぽさを出さなければならないので、障子を入れる、椅子を直線的で線の細い「ジョージ・ナカシマ」のような椅子を入れるなど、そういう工夫が必要になってきます。

理論理屈さえわかれば、非常にシンプルでわかりやすいです。
あとは「連想から来るリレーション」というのはどういうことかというと、なんとなくリゾートっぽい内装、なんとなくクリスマスっぽいカラー、そういうのがあると思いますが、それを連想させる家具や小物でリレーションをしていくという考え方です。

この考え方を応用できると、絵画もきれいに配置できるようになります。
このような感じで、歴史から紐解いたリレーションと連想から来るリレーションを駆使していただくと、より選ぶべき椅子の姿がわかってくると思いますし、どんな椅子を入れたらいいのか、それもわかってくるはずです。
ということで、ここまででいくつかの椅子を選ぶ時のポイントについても解説をしてきたのですが、これまでお話してきた基本的な内容を理解すると、高額なインテリアを買わなくても、いい感じの室内に整えることができるようになります。
ですので、これまでの内容をしっかりと理解していただき、使える知識として自分の中に落とし込んでいただければと思います。
世界の名作チェア10選
特に知っておいた方がいい名作チェアを10個紹介します。
自宅に採用するかどうかは別として、知っておいて損はない椅子ですし、ある程度デザインのリテラシーがあるお店なら、今から紹介する椅子が普通に置かれています。
ですので、是非とも覚えてみてください。
グランコンフォートチェア
グランコンフォートチェアは、ラウンジチェアと呼ばれる1人用のソファーです。

ル・コルビュジエがつくったとされる椅子で、通常ソファーの骨組みはクッション内部に入っていることがほとんどなのですが、グランコンフォートチェアの場合は骨組みが外に出ていて、クッションを包み込むような形状となっています。
これにより、お尻全体がクッションに包まれるようになり、ゆえにフランス語で最高の快適さを表す「グランコンフォート」という言葉がついているという椅子になります。
バルセロナチェア
1929年のバルセロナ万国博覧会のドイツ館のために、ミース・ファン・デル・ローエがデザインした椅子です。

脚部から背面がX状の金属でつくられていることから、座面と背面にちょっとしたスペースができ、そこがクッションの役割を果たすようになっています。
しかもこの椅子を構成するパーツの数はものすごく少ないので、生産もしやすく、コストが安くなりやすいという特徴もあります。
ワシリーチェア
ワシリーチェアは、マルセル・ブロイヤーが1925年にデザインした世界初のスチールパイプの椅子です。

自転車のハンドルから着想を得た、シンプルなデザインというのが特徴です。
ここまで説明してきたグランコンフォートチェア、バルセロナチェア、ワシリーチェア、これら3つの椅子は、時々都心部のオフィスビルで使われています。
意識して探してみると見つかるかもしれません。
イージーチェア
20世紀の建築家であるピエール・ジャンヌレが、インドのチャンディーガル都市計画でデザインした椅子です。

ジャンヌレのイージーチェアを置いておけば、それだけでおしゃれになるという説があります。
カンガルーチェア
イージーチェアと同様に、1950年代にインドのチャンディーガル都市計画のためにデザインされた椅子で、座高の低いラウンジチェアとなっています。

特徴はその独特なZシェイプのフレームで、座面が広く、両サイドのフレームが特徴的な見た目であることから「カンガルーチェア」と呼ばれています。
これも置けばそれだけでおしゃれになるという説があります。
スタンダードチェア
スタンダードチェアは、フランスの建築家兼デザイナーであるジャン・プルーヴェがデザインしたミッドセンチュリーを代表する名作椅子です。

見た目は小学校の椅子っぽいのですが、座った時に後ろ足に大きな負荷がかかることを考慮して、細い前脚と太く幅広い後ろ脚を組み合わせて体重を効率的に床へ逃すという構造になっています。
NV45
これは、1945年にデザインされた椅子です。

デンマークのデザイナー、フィン・ユールによる代表的なイージーチェアです。
「世界で最も美しい肘掛けをもつ椅子」と評されていて、家具好きなら誰もが知っている椅子になります。
ザチェア
1949年にデンマークの家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーがデザインした椅子です。

発売当初は「醜いアヒルの子」と揶揄されていたようですが、ジョン・F・ケネディ大統領が使用したことで一躍有名になりました。
デザイン性と掛け心地のよさから「椅子の中の椅子」と呼ばれ、今現在愛されています。
Yチェア
ザチェアと同じデンマークの家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーがデザインし、1950年に発売された、背もたれのY字型が特徴の木製の椅子です。

正式名称は「CH24」です。
座り心地のよさや美しいフォルム、そして手の届く価格帯というのが理由でロングセラーになっています。
北欧デザインを代表する名作家具として、世界中で愛されています。
日本でも「とりあえず生ビール」くらいの感覚で、多くの人がYチェアを入れています。
コノドチェア
1959年に日系アメリカ人デザイナーのジョージ・ナカシマがデザインした木製の椅子です。

特徴は、彫刻のようなフォルムと、2本の脚で座面を支える片持ち梁構造の椅子となっているところです。
見た目は斬新であるものの、建築的なアプローチが感じられるデザインとなっていて、緻密な木工技術と座面への彫り込みによって安定した座り心地を実現しています。
ジョージ・ナカシマは海外でもかなり人気が高いので、知っておいて損はありません。
椅子の歴史と世界の名作チェア10選のまとめ
今回は『椅子の歴史と世界の名作チェア10選|選び方も解説』というテーマでお話をしました。
注文住宅の購入を検討していると、最後の最後になって「インテリアってどうやって選べばいいんだろう?」という疑問が絶対に出てきます。
今回お伝えした知識は、自分たちが好きなインテリアを選ぶための指標となると思うので、椅子のルーツをしっかり頭に叩き込んでいただければと思います。
これがわかるだけでも、だいぶインテリアに対する見方が変わってきます。
是非とも参考にしていただければと思います。
最後に告知です。
今現在、公式LINEに登録していただくことで、全国の優秀な住宅営業マンや設計士のご紹介、大手ハウスメーカー攻略カタログのプレゼント、これらの特典を受けることができます。

また、私が作った自ら担当者を選べるネット版住宅展示場メグリエに登録をしていただくと、無料で私との個別面談ができるようになります。

各ハウスメーカーの弱点や比較ポイントを知りたい、注文住宅を買いたいけれど何から始めればいいのかわからない、最短で自分にあったハウスメーカーを知りたい、これらに該当する方はこの機会にぜひ公式LINEとメグリエの登録を済ませておいてください。