注文住宅で理想の玄関間取り・デザインを叶えるポイント

注文住宅で理想の玄関間取り・デザインを叶えるポイント はじめての注文住宅ノウハウ
この記事は約14分で読めます。

最近、私が作った住宅営業マンマッチングサービスの「メグリエ」をご活用いただいているお客さんからの依頼で、けっこう間取りをつくっています。

例えば、このような感じです。 

間取り①
間取り②
間取り③

サービスを活用してくださった方にはこういう間取りをつくっていて、最近では住友林業やダイワハウス、一条工務店など、これらのハウスメーカーに合わせて間取りをつくることが多くなっています。

もちろん、その他のセキスイハイムやトヨタホームのユニット工法で間取りをつくることもできますし、ミサワホームや三井ホームの枠組み壁工法ベースのハウスメーカーでも間取りをつくることはできます。 

ですので「メグリエ」のサービスをご活用いただいた方には、その辺のサポートもさせてもらっています。 

ただ最近、間取りをつくっている中で「玄関」について思うことがあったので、皆さんに共有したいなと思ったのです。 

玄関

玄関に何を思ったのかというと、それが玄関を「人を招きつつもプライバシーを守れる動線としての玄関」として考えるのか「人を招き入れない居場所をつくるための玄関」として考えるのかという問題です。 

この辺が整理されていない状態で、けっこうぐちゃぐちゃな間取り提案をしている住宅営業マンが多いような印象です。 

今回は、玄関について皆さんが失敗しないように、玄関づくりの本質の部分をお話していこうと思います。 

本記事を最後まで読んでいただければ、自分たち家族はどのような玄関をつくるべきなのか、大まかな方向性を見出すことができるはずです。

大まかな方向性を見出すことができれば、住宅営業マンや設計士から提案された間取りに対して「これは違う。」「これはもっとこうしてほしい。」など、そういう要望を解像度高く伝えられますし、間取りの良し悪しもある程度自分で判断できるようになります。 

ぜひ自分たちの家づくりの参考にしていただければと思います。 

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玄関の間取り・デザインは2パターン

先ほど冒頭で、玄関を「人を招きつつもプライバシーを守れる動線としての玄関」として考えるのか、それとも「人を招き入れない居場所をつくるための玄関」として考えるのかという話をしました。

玄関はパターン分けをすると、今お伝えした2つのパターンのどちらかしかありません。

そのため、自分たちは家づくりをするにあたって、どちらの玄関を採用した方がいいのか、また本質を理解しておらずぐちゃぐちゃな間取りを提案されていないかどうか、自分で判断できるようになりましょうという話です。

それを理解するために「人を招きつつもプライバシーを守れる動線としての玄関」とはなんなのか、「人を招き入れない居場所をつくるための玄関」とはなんなのか、これをそれぞれ順番に説明していきます。

玄関の間取り・デザインのパターン1: 人を招きつつもプライバシーを守れる動線としての玄関

「人を招きつつもプライバシーを守れる動線としての玄関」についてです。 

来客前提の玄関(例:のび太くんの家の玄関)

こちらの玄関がどのような玄関なのか、それをわかりやすいようにイメージをお伝えするなら、ドラえもんに出てくる「のび太くんの家の玄関」です。

のび太くんの家の玄関は、玄関を開けたら靴を脱ぐところがあって、靴を脱いで上がったらその先に廊下や階段、LDK、水回りがある一般的に誰もがイメージする、いわゆる「ザ・玄関」というような玄関像だと思います。

のび太君の家の間取り

この玄関こそが「人を招きつつもプライバシーを守れる動線としての玄関」なのです。

ただここで、のび太くんの家の玄関のイメージは湧いたけれど「あの玄関のどこが人を招きつつもプライバシーを守れる動線としての玄関なの?」と思った方も多いと思います。

確かに、のび太くんの家の玄関は、一般的に「玄関」という言葉を耳にすると思い浮かぶような普通の玄関なわけですが、普通だからこそ、あの玄関のどこが人を招きつつもプライバシーを守れる動線としての玄関なのか、意味がわからないですよね。

ですのでここからは、のび太くんの家のような「人を招きつつもプライバシーを守れる動線としての玄関」とはそもそもどういう成り立ちで今現在私たちが使っているのか、そして「人を招きつつもプライバシーを守れる動線としての玄関」を自宅に取り入れる場合の攻略方法はなんなのか、その部分を歴史からさかのぼって紐解いていこうと思います。

玄関は「人を招く場所」としての歴史的背景

まず「玄関」という言葉は、元々は仏教から来ている言葉で、正式には「玄妙な道に入る関門」といい、これが省略されて「玄関」になったのです。 

もう少し詳しく説明をすると「玄妙な道に入る関門」とは、仏教の世界に入るための入り口を意味しているのです。

ですので最初は場所ではなく、仏教徒になるための入り口といったような、ある種概念的な意味合いで使われていた言葉だったのです。

ただそれがいつからか「社寺仏閣に入る入り口=玄関」というよばれ方になり、社寺仏閣から玄関という考え方が世の中に広まっていくのです。

そして後に、公家や武家屋敷にも玄関が取り入れられるようになりました。

当時、お偉いさんの家の玄関に町の人が集まり、何か揉めごとがあったらそこで解決をする、そのような場所として使われていたのです。

厳密には違いますが、イメージ的には「鬼滅の刃」の産屋敷邸で炭治郎や柱が親方様と話しているシーンを想像してください。

そのようなイメージで、何か揉めごとがあったら家の玄関に町の人が集まり、そこで解決していたわけです。

そんな歴史的な経緯から、今私たちがイメージする一般的な玄関、つまりはのび太くんの家のような玄関の形が完成し、現在にいたるわけです。

実は玄関ひとつとっても、けっこう奥深い歴史があるのです。

ただこのよう考えてみると「人を招きつつもプライバシーを守れる動線としての玄関」の攻略方法がなんとなく見えてきませんか?

例えば、玄関は先ほどもお伝えしたように、元々はお偉いさんの家の玄関に町の人が集まり、何か揉めごとがあったらそこで解決をする、そのような場所だったわけです。

つまりその当時の玄関とは「人を招く場所」だったのです。

来客前提の玄関

人を招いたら招いたで、そこに住む人のプライバシーが確保できなくなります。

ですので、プライバシーを守るために廊下をつくったのです。

のび太くんの家のような、いわゆる玄関と言われて誰もが想像する一般的な玄関とは、言い換えると「人を招きつつもプライバシーを守れる動線としての玄関」であり、来客前提の玄関だったのです。

敷地がものすごく広ければどうとでもなるので、限られた空間で「人を招きつつもプライバシーを守れる動線としての玄関」をどうつくればいいのか、そこに焦点を当てて具体例を出すとします。

例えば、玄関部分にFIX窓やシューズインクロークを設けて、玄関をきれいにすっきり整える、そうすることでお客さんを出迎えることができるように設計したり、

玄関部分にFIX窓やシューズインクローク

玄関部分に大きな階段を設けることで擬似的な吹き抜けをつくり、お客さんを出迎える場所として設計してみたり。

玄関部分に大きな階段を設けることで擬似的な吹き抜け

こうした来客前提の工夫を取り入れることで、限られた空間でもきれいでスッキリとした玄関に仕上げることができます。

また、通り道、つまり廊下をあえてつくることで、人を招き入れること前提の玄関であっても、自分たちのプライバシーが守られるのです。

プライバシーが守られた玄関

そういったわけで、玄関扉を開けたら靴を脱ぐところがあり、靴を脱いで上がったらその先に廊下や階段、LDKや水回りがあるといったのび太くんの家のような「人を招きつつもプライバシーを守れる動線としての玄関」をつくる場合、来客前提の玄関であるということが攻略の糸口になります。

ですので、いかにして玄関をきれいにおしゃれにつくれるのか、そしてその中でいかにしてプライバシーを守ることができるのか、これがポイントになってくるわけです。

ということで、ここまでの話をまとめると、のび太くんの家のように玄関扉を開けたら靴を脱ぐところがあって、靴を脱いで上がったらその先に廊下や階段、LDKや水回りがある一般的な玄関像の玄関をつくる場合、これは来客が多いご家庭向けの玄関になります。

そのため、この手の玄関をつくる場合は、明るくおしゃれな玄関にするために、玄関部分に開口を設けてみたり、玄関部分をすっきり広く見せるためにシューズインクロークを設けたり、それ以外にも玄関部分に大きな階段を設けて擬似的な吹き抜けをつくってみたり、とにかく玄関をきれいにおしゃれにつくること、そしてそれと同時に、いかにしてプライバシーを守るのかがポイントになってきます。

このことをぜひ覚えておいてください。

玄関の間取り・デザインのパターン2:人を招き入れない居場所をつくるための玄関

「人を招き入れない居場所をつくるための玄関」についてお話をしていきます。 

玄関を「来客前提としていない」歴史的背景

元々お偉いさんの家の玄関に町の人が集まり、何か揉めごとがあったらそこで解決をする場所、それが玄関だったという話をしました。

ただ、この話には続きがあり、実は身分制度が廃止されるまで、庶民は玄関をつくることができなかったという経緯もあるのです。

ですので玄関は、その当時はお偉いさんだけがつくることを許された、ある種特権階級的な場所だったのです。

ただ、身分制度が廃止され、その後に誰もが玄関をつくれるようになるわけですが、お偉いさんたちとは違って、一般の人たちはそこまで多くの来客がありませんでした。

ですので、広い玄関をつくる必要性がなかったのです。

一般の人たちは、玄関を広くとって土間という形にして、通り土間というものをつくってみたり、あとは土間自体に台所をつけて玄関とキッチンを兼ねてみたり、玄関をただ動線としての玄関では終わらせないようにするために、様々な活用方法で生活をしていたのです。

土間

これに関しては「鬼滅の刃」の炭治郎の家がまさにそれです。

玄関を入ってすぐに台所があります。

そのようなイメージです。

このような感じで、お偉いさんたちとは違って一般の人たちはそこまで多くの来客がなかったので、広い玄関を作る必要性がなく、玄関をただ動線としての玄関では終わらせない様々な工夫を取り入れていたのです。

ただ、ここからもわかる通り、こういう来客が少ないからその分自分たち家族のスペースにしてしまうという考え方は、言い換えると、人を招くことを前提に考えていない「人を招き入れない居場所をつくるための玄関」だということなのです。

プライバシー重視の玄関

「人を招き入れない居場所をつくるための玄関」を一言で言い換えると、プライバシー重視前提の玄関です。

何度もお話をしているように、昔は町の人が集まって玄関で揉めごとを解決していたわけです。

歴史的経緯からもわかる通りで、いつ人が来てもいいように、玄関を整えておかなければならなかったのです。

ただ、身分制度が廃止され、誰もが玄関をつくれるようになったものの、一般の人たちはそこまで多くの来客がありませんでした。

これと同じような状況が今のご時世でも起きていて、そもそも今の時代、ご近所付き合いが希薄であったり、置き配もあったりして、不特定多数の人を玄関に入れないことの方が多くなってきています。

そのため、自分の家にそこまで人が入ってこないのであれば、玄関をのび太くんの家のような「人を招きつつもプライバシーを守れる動線としての玄関」にするのではなく、思い切って「人を招き入れない居場所をつくるための玄関」として活用してしまった方が、限られたスペースを有効活用できるのです。

具体例を出すなら、例えばLDKの広さが足りないのであれば玄関をあえて小さくすることでLDKをさらに広く見せるようにする、

小さな玄関

収納が足りていないのであれば玄関部分を収納にする、

収納がある玄関

玄関とリビングをつなげて土間をつくってしまうなどです。

玄関とリビングを繋げた土間

あとは土間を活用して趣味のスペースをつくる、玄関ポーチを広くしてテラスのように活用するという間取りのつくり方も存在します。

このような感じで、最初から人が入ってこない想定で家をつくるのであれば、プライバシー重視でつくって、様々な形で玄関を活用した方がよかったりします。

「玄関入ってすぐにLDK」という間取り

実際にこの手の間取りは最近増えてきていて「玄関入ってすぐにLDK」という間取りの家もあります。

これが「人を招き入れない居場所をつくるための玄関」の説明であり、言い換えるとプライバシー重視前提の玄関、これをつくる場合の本質の部分になります。

ただ「この人を招き入れない居場所をつくるための玄関というのは理解できたけれど、玄関入ってすぐにLDKってなんだか抵抗があるな。」と思われる方も多いと思います。

いくら歴史的にと言われても「今は今、昔は昔でしょ。」そう思われるのも仕方ないと思います。

しかし、ファッションでもヘアスタイルでもそうですが、歴史は繰り返すのです。

特にファッションはそれが顕著で、最近ですとやや太めのパンツが流行っていますが、10年くらい前まではスキニーが流行っていました。

やや太めのパンツが流行っている

また、さらにその10年前くらいですと、今と同様に太めのパンツが流行っていたわけです。

ファッションでもヘアスタイルでも何でもそうですが、流行りというのは基本的にはカウンターカルチャーなのです。

そして、建築もその限りではなく、実はファッションやヘアスタイルと同様に繰り返し繰り返しデザインのトレンドが変化しているのです。

ですので、玄関入ってすぐにLDKという昔のような間取りであってもなんらおかしくないですし、むしろ繰り返す歴史の中で、今現在最先端のデザインの間取りであるという捉え方もできるのです。

ただそうは言っても「玄関入っていきなり部屋」という間取りに抵抗感があるというのも事実かとは思います。

ではなぜ「玄関入っていきなり部屋」という間取りに抵抗感があるのか、なぜ区切られていないと落ち着かないのかというと、それは生活感が丸出しになってしまったり、プライベートゾーンを守れなかったりするからです。

要は一言でまとめるなら「プライバシーを確保できないから落ち着かない」ということなのです。

考えてみれば誰でも共感してくれると思いますが、玄関開けてすぐに自分たちの生活感が丸見えになってしまう、そんな間取りだったら誰だって嫌だと思いますし、

自分たちの生活感が丸見え

玄関開けてすぐに家族の誰かがゴロゴロダラダラしている姿が目に入ってきたら、それもそれで嫌だと思います。

家族の誰かがゴロゴロダラダラしている姿

そういう懸念があるため「入っていきなり部屋」という間取りに抵抗感があるのです。

そのため部屋を区切りたがるのです。

でしたら家族以外の人を家に招き入れない想定で、視線を遮る工夫を取り入れてみたり、宅配ボックスの設置を充実させるなど、絶対に人を呼ばない想定でいろいろつくり込めば、プライバシーの確保は容易にできるわけです。

視線を遮る工夫や宅配ボックスの設置

きちんとこの辺りを想定してつくり込めれば「玄関入っていきなり部屋」という間取りでも抵抗感はなくなります。

今現在価格の高騰もあって、こういうコンパクトな間取りをつくる必要性が出てきていたりもするので、もしかしたら皆さんも「玄関に入ってすぐにLDK」というような間取りを提案されるかもしれません。

その時に「あ、これは家族以外の人を家に招き入れない想定での間取りだから、こういう工夫を取り入れた方がいいな。」と、その場その時に合わせて臨機応変に動けるといいかと思うので、1つ覚えておいてください。

注文住宅で理想の玄関間取り・デザインを叶えるポイントのまとめ

玄関を「人を招きつつもプライバシーを守れる動線としての玄関」として考えるのか、それとも「人を招き入れない居場所をつくるための玄関」として考えるのか、それによって玄関としてのあり方やつくり方が変わってくるというお話をさせていただきました。

このように歴史から紐解いてみると、間取りづくりやデザインの本質が見えてきたりします。

ちなみに、日本は靴を脱ぐ文化があり、海外にはないと思うのですが、これは高床式倉庫から来ている文化なのです。

高床式倉庫

高床式倉庫は元々湿気から守るために床を高くしていたわけです。

それにならって日本の家は基礎を高くしたり、上がり框をつけたりするようになり、そこから靴を脱ぐ文化が始まったとされています。

基礎を高くしたり、上がり框をつける

あと、日本の玄関は外開きなのですが、これがなぜかというと、

日本の玄関ドアは外開き

玄関に靴が置いてあり、下手したら玄関扉を開ける時に邪魔になってしまうからです。

玄関に大量の靴

一方で、海外の玄関扉は内開きなのですが、海外は拳銃を持った人が家に入ってくる可能性があり、内開きの扉であれば、室内側から外に向かって扉に体重をかけることができます。

海外の玄関扉は内開き

防犯という観点で相手が家の中に入ってくることを防げるので、海外の玄関扉は内開きなのです。

日本のように玄関扉が外開きですと、そういう防犯対策はできません。

最後は余談になってしまいましたが、このような感じで間取りをつくる上で文化や歴史は知っておいて損はないのです。

ぜひ参考にしてみてください。

そして最後に告知です。

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