注文住宅で失敗しない重要ポイント10選

はじめての注文住宅ノウハウ
この記事は約27分で読めます。

今回は『注文住宅で失敗しない重要ポイント10選 』というテーマでお話をしていきます。

というのも注文住宅の購入は本当に難しくて、いろいろなことを勉強しなければ真っ当な家は建たないのです。

例えば、建物の断熱性能、気密性能、換気性能、空調設計、これらの基本的な知識がなければ、各ハウスメーカーの強みと弱みが読み解けません。

さらにその上で、デザイン的にどう美しくつくるのか、歴史的な背景や素材感が与える影響とは何なのかなどなど、それら全てを網羅的に覚え、アウトプットしていかなければならないわけです。

今回は絶対クリアしたい重要ポイントを10個に厳選してお伝えします。

これからお話する10個のポイントは、注文住宅をつくる上で最低限抑えてもらいたいポイントになります。

ですのでぜひとも最後までご覧いただき、皆さんの家づくりにお役立ていただければと思います。

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注文住宅で失敗しない重要ポイント1:モダニズム

モダニズム

最初に、注文住宅を建てる上で絶対にクリアしてもらいたいポイントがモダニズムです。

ただ中には「モダニズム?」「何それ?」「なんのこと?」と思われている人もいると思うので、難しくならない程度に、簡単にかつわかりやすく解説していきます。

モダニズムとは、建築業界において「装飾のない建築」を意味する言葉です。

そして今現在の建築のベースにあるのがこの考え方でもあるのです。

もう少し大枠から掘り下げて説明すると、産業革命以前の海外の建物は、とにかく装飾性のあるゴテゴテした建物が主流でした。

装飾性のあるゴテゴテした建物

日本も開国を機にその文化が入ってきて、装飾性のある建物がどんどん建つことになるのですが、戦後、装飾性のある偉そうな建物を建てるのをやめようぜ!という流れになり、家具は埋め込み式に、照明はダウンライトになっていきます。

装飾性のないシンプルな建物

そして生産しやすく、それでいて装飾性のないシンプルな建物が世界的に流行していくことになります。

ただモダニズムを突き詰めるとどれも似たような画一的な建物にしかならなくなることから、途中で「モダニズムをベースに、その地域の特性を加え、個性のある建築をつくろう!」という流れに変わっていったのです。

例えば皆さんも和モダンという言葉を聞いたことがあると思うのですが、あれは装飾のない建築を意味するモダニズムに、日本独自の和という要素を加えた様式のことを言っているのです。

和モダン

そのため和モダン系の住宅をつくるのであれば、まずはモダニズムを突きつめ、その後最後に和の要素をアクセントで加えると、きれいな和モダン系の住宅に仕上げることができます。

また、最近時々耳にするジャパンディという和の空間に北欧家具を合わせたテイストに関しても、基本はモダニズムがベースで、そこにアクセントとして、和と北欧家具の要素を足し合わせてつくるものになるわけです。

ジャパンディという和の空間に北欧家具を合わせたテイスト

ですので、全ての原点であるモダニズムが何なのかがわかっていれば、いくらでも応用が効くのです。

では、その肝心のモダニズムを追求するための具体的な手段とは何なのか、皆さんも疑問に思っていると思います。

ですのでここからは私が思いつく限り、全てのモダニズムに寄るために必要な手段をお伝えしていきます。

  1. 照明を間接照明にする
  2. ダウンライトは最低限に止める
  3. 収納をすべて埋め込み式にする
  4. テレビボードは使わない
  5. ハイドアを使う
  6. ドアの枠を無くす
  7. タレ壁を排除する
  8. 巾木/幕板を無くす
  9. 家全体の壁の色を1色にする
  10. 窓枠を目立たせないようにする
  11. 照明のスイッチ・コンセントを目立たせないようにする
  12. カーテンを使わない設計にする
  13. ロールスクリーンを埋め込み式にする
  14. キッチンを目立たない位置に配置する
  15. レンジフードを目立たせないようにする
  16. エアコンを目立たせない位置に設置する
  17. 換気設備を目立たせない位置に設置する
  18. 玄関土間部分を打ちっぱなしにする
  19. 階段部分のささら桁を無くす
  20. 階段手すりをシンプルな形状のものにする
  21. 床材は基本的に1種類のみ使う
  22. 内装の壁材は基本的に1種類のみ使う
全てのモダニズムに寄るために必要な手段22個

以上になります。

このように見てみるとわかりますが、ネット上にあふれている家をおしゃれに見せるテクニックは、全てモダニズムという基本的な考え方がベースにあって、その上でこれらの手段があるということがわかると思います。

ですので、おしゃれでかつ美しい空間をつくりたいのであれば、今お伝えした22個の要素をなるべく取り入れていただければと思います。

ちなみに、モダニズムや今お伝えした22個と真逆のことをやっていくと、洋風寄りの住宅になっていきます。

また、もし仮にこれらモダニズムを意識しないで家づくりをすると、工業化住宅らしい工業化住宅になってしまいます。

要は、建売や賃貸のような家になってしまいますよ、ということなのですが、そもそも工業化住宅は日本独自の文化で、今までとにかく家をつくることを目的にしてきたわけです。

そのため、油断するとどうしても建売や賃貸のような内装になってしまいますし、おしゃれとは程遠い家になってしまいます。

気にしないという人はいいかもしれませんが、気にする方はご注意ください。

注文住宅で失敗しない重要ポイント2:比率(黄金比・白銀比)

比率

多くの方が、高級な内装材を使えばおしゃれな空間に仕上がると思っているのですが、実はそれは違うのです。

確かにいいものを使えばそれ相応に雰囲気のあるいい感じの空間に仕上がると思うのは当然のことだと思います。

しかしイメージしてみてください。

例えば全身ブランドもので固めた服装は、おしゃれというよりかは一周回って品がないようにも感じますよね。

全身ブランドもので固めた服装

要はそれと同じ感覚で、ただ高級な建材を使えばおしゃれになるわけではないのです。

結局のところバランスが重要なのです。

では、建築においてのバランスとは何なのかというと、それが比率です。

比率を無視した空間づくりは、どんなに高級な建材を使ったとしても、おしゃれになることはありません。

裏を返せば、比率さえ意識してしまえば、そこまで高級な内装材を使わなくてもおしゃれに感じる空間をつくり上げることができます。

これについて、もう少し詳しく説明をしていきます。

実は、建築には美しい形状をつくるための比率というのが存在します。

では、その比率とは何なのかというと、具体的には2つあります。

  • 西洋で使われていた比率で、ル・コルビジェも使っていた黄金比
  • 日本で誕生した比率で、ヤマト比という別名もある白銀比

この2つです。

実は皆さんがSNSでおしゃれだなと思う物件のほとんどが、黄金比か白銀比が使われていて、一流の設計士と呼ばれる人達は、このどちらかの比率を多用しています。

なぜなら、そもそも論として建物の箱、それ自体の形状がダサかったら、どんなに箱の中身で使う素材をよくしても意味がないからです。

立体ではなく平面的な話になってしまいます。

正方形で作った名刺

例えば名刺、これを正方形で作ったらダサいですよね?

いくら紙質やら字体やらにこだわったとしても、長方形の名刺には美しさでは勝てませんよね?

それもそのはずで、実は名刺には黄金比が使われて作られているのです。

ですので、人間が自然と美しいと思えるバランスのいい形状になっているのです。

このような感じで、美しいと感じることのできる比率が使われているのか、使われていないのかで、建物のデザイン性が大きく異なってきます。

ル・コルビジェ

ですので、ル・コルビジェも黄金比を使って建物をつくっていたのです。

では、それぞれの比率について簡単に説明をしていきます。

まずは黄金比です。

黄金比は1:1.618の割合のことを言います。

正式な式は1:1+√5/2になるのですが、おおよそ1:1.618だという解釈で問題ありません。

この比率は身近なものですと、先ほど例に出した名刺やクレジットカードが黄金比で、1:1.618になっています。

黄金比は1:1.618の割合のことを言う

その他、有名なものとして

  • アップルのロゴ
  • ミロのビーナス
  • モナリザの顔
  • ピラミッドやパルテノン神殿
  • 日本の金閣寺

なども黄金比でつくられています。

このような感じで、作成されたものも国も地域もバラバラなのに、現代でも共通して美しいと感じるこの比率、それが黄金比なのです。

ですので例えば、目安として尺モジュールと呼ばれる910mmX910mmのマス目を積み上げて家づくりをするハウスメーカー、具体的には

  • 住友林業
  • ダイワハウスの鉄骨
  • ダイワハウスの木造 xevo BeWood
  • ヘーベルハウス
  • パナソニックホームズ
  • 三井ホーム
  • セキスイハイム
  • ミサワホーム
  • 一条工務店

これらのハウスメーカーで、幅4モジュール、つまりは910mm×4モジュールで幅3,640mmの大きさで1つの空間をつくる場合、幅3,640mmを1とするので、その1.618倍の約5,890mmがもう一辺となります。

ですので、尺モジュールで間口が4モジュール幅の空間をつくる場合、3,640mm×5,890mm、この大きさがちょうどよく、そして美しく見える形だということになります。

一方で、メーターモジュールと呼ばれる1,000mm×1,000mmのマス目を積み上げて家づくりをするハウスメーカー、具体的には

  • 積水ハウス
  • ダイワハウスのxevoGranWood
  • トヨタホーム

これらのハウスメーカーで幅4モジュール、つまりは1,000mm×4モジュールで幅4,000mmの大きさで1つの空間をつくる場合、幅4,000mmを1とするので、その1.618倍の約6,472mmがもう一辺となります。

ですので、メーターモジュールで間口が4モジュール幅の空間をつくる場合、4,000mmX6,472mm、この大きさが黄金比でちょうどよく、そして美しく見える形だということになります。

続いて白銀比についてです。

白銀比は先ほどもお伝えしたとおり、日本で誕生した比率でヤマト比とも呼ばれているもので、

白銀比は日本で誕生した比率でヤマト比とも呼ばれている

比率としては1:√2、つまりは1:1.414となります。

白銀比が使われているものとして、具体的には、法隆寺や五重塔の屋根の最下層と最上層の比率、スカイツリー、畳、A4用紙、ドラえもんの寸法など、これらで使われています。

少し変わり種も例え話で出しましたが、基本的に白銀比は日本建築の美しさを出すために用いられる比率です。

これがどういうことかというと、日本は西洋と比べて、もののつくり方が特殊でした。

例えば昔、海外では木材を切り出す時に丸太状にして、それをそのまま山から降ろすということをしていたのですが、日本は川などを用いて様々な運搬方法を使って木材を運んでいたのです。

運びやすくするために、ある程度山の中で木を切って丸太状にする

ですので運びやすくするために、ある程度山の中で木を切った上で運んでいたのです。

しかし適当なサイズで木を切ったら、使えない木材が出てきます。

ですので、木を切っても無駄なく使える寸法として、白銀比が誕生したと言われています。

そういった背景もあって、日本建築や和モダン系の住宅を設計する時は、白銀比が多く用いられるわけです。

ですので例えば、こちらも黄金比と同様に、一応目安を計算すると、尺モジュールで幅4モジュール、つまりは910mm×4モジュールで幅3,640mmの大きさで1つの空間をつくる場合幅3,640mmを1とするので、その1.414倍の約5,147mmがもう一辺となります。

ですので尺モジュールで間口が4モジュール幅の空間をつくる場合、3,640mm×5,147mm、この大きさがちょうどよく、そして美しく見える形だということになります。

一方で、メーターモジュールで幅4モジュール、つまりは1,000mm×4モジュールで幅4,000mmの大きさで1つの空間をつくる場合、幅4,000mmを1とするので、その1.414倍の5,656mmがもう一辺となります。

ですのでメーターモジュールで間口が4モジュール幅の空間をつくる場合、4,000mm×5,656mm、この大きさが白銀比でちょうどよく、そして美しく見える形だということになります。

これが黄金比と白銀比、それぞれの説明になるのですが、ここで1つ皆さんにお伝えしたいポイントがあります。

それが「黄金比あるいは白銀比を意識してLDKをつくりましょう!」ということです。

おしゃれで美しいLDK

全部おしゃれですし美しいですよね?

これがどうしてかと言ったら、黄金比か白銀比のいずれかが使われているため、というのが理由なのですが、これらの比率でつくった空間が最大限きれいに見えるようにモダニズムを意識しつつ、LDKが一直線になるようにつくられているのです。

間取りによってはキッチンがノイズになるので、キッチンだけクランクさせ、LとDは黄金比や白銀比を意識して一直線に配置するというパターンもあります。

LとDは黄金比や白銀比を意識して一直線に配置するパターン

ただなんにせよ、モダニズムと比率を意識して、横一直線、あるいは縦一直線にLDKもしくはLDを配置することで、きれいな箱をつくり上げることができるのです。

しかしその逆で、モダニズムを無視して、さらには比率までも無視した空間構成にしてしまうと、いわゆる賃貸のようななんのおもしろみもない空間に仕上がってしまうのです。

賃貸のような空間

そうならないようにするためにも、箱のクオリティを上げるべく、黄金比もしくは白銀比は必ず意識してください。

これさえわかっていれば比率を計算するだけなので、自分達で簡単にチェックできるはずです。

注文住宅で失敗しない重要ポイント3:採光

採光

恐らく多くの方が「有名どころのハウスメーカーであれば提案された間取りに対してどれだけ光が入ってくるのか、そのシミュレーションは絶対にしてくれるはずだし、大丈夫でしょ。」と思われていると思います。

しかし声を大にして言いたいのですが、ハウスメーカーは皆さんが思っている以上に採光を気にして家づくりをしていないのです。

「いやいや、本当かよ。」と思われると思うのですが、イメージしてみてください。

北側立地の土地で、かつ南側に既に建物が建っている場合、本来そのまま家を建ててしまったら南側から光は入ってきません。

目の前に建物があるため光が入ってこない

これは誰でもイメージできるはずです。

それにも関わらず、日本の家はなぜか南側に開口を設けて建っていることが多いです。

これが全てを物語っていて、日本の家づくりはとにかくつくることを前提にしてきた家づくりなので、こういうわけのわからない家づくりが当たり前になってしまっているのです。

しかも皆さんご存知だとは思いますが、太陽の光は季節によって入り方が異なるのです。

ですので、きちんと考えなければ、必要な時期に必要な日差しが入ってこなくなるのです。

きちんとした設計担当者が自分の担当になれば話は別なのですが、ほとんどの場合、ハウスメーカーが出してくる採光シミュレーションは、精度が低くて雑なものだと思った方がいいです。

『Sun Seeker』というスマホアプリ

ではどうすればいいの?という話だと思うのですが『Sun Seeker』というスマホアプリがあります。

これを活用しましょう。

ちなみに企業案件でも何でもありません。

私が絶対に活用した方がいいと思っておすすめしています。

建設地に対して1年間を通じてどの角度で日差しが入るのかがわかる

Sun Seekerとは何なのか、簡単に説明をすると、建設地に対して1年間を通じてどの角度で日差しが入るのかがわかるアプリです。

このアプリを使えば、今の窓の位置で日差しが入ってくるのかどうかがわかりますし、それに伴って間取りの調整や窓の位置、窓の大きさの調整もできるわけです。

こんなに便利なアプリはなかなかないので、これから家づくりをする方は絶対にダウンロードしてください。

ただしこのアプリは、ダウンロードするのに2,000円くらいかかります。

買い切りタイプのアプリなので、それ以上にお金がかかることはないですし、2,000円払って家づくりで失敗する確率を減らせるのであれば、安い買い物だとは思います。

間違いないアプリなので、だまされたと思って、一度ダウンロードしてみてください。

注文住宅で失敗しない重要ポイント4:広さ感、距離感

広さ感・距離感

注文住宅をつくる上で、誰しもが「できるだけ広い空間をつくりたい」「狭いと感じる空間にはしたくない」そう考えるはずです。

そのため、「LDKは20畳以上ほしい!」「建坪は40坪以上じゃないと嫌だ!」など、物理的に空間を広くすることを要望として出しがちです。

ただ少し冷静に考えてみてください。

例えば体育館をイメージしてもらいたいのですが、体育館は確かに広いものの、あの空間が落ち着くか?と言われれば落ち着かないですよね?

体育館

一方でトイレや

トイレ

電車の席の端っこは、

電車の席の端っこ

スペースとしては狭いですが、落ち着きますよね。

ここからもわかるとおりで、ただだだっ広い空間は逆に落ち着かなくなるだけなのです。

では、間取りをつくる上で何が重要なのかというと、それが「広さよりも広さ感」「距離よりも距離感」これらを感じられる間取りづくりが重要になってくるわけです。

これについてそれぞれもう少し具体的に説明をしていきます。

広さよりも広さ感

まずは広さよりも広さ感ということに関してですが、実は縦に大きい開口よりも、横に広い開口の方が広さを感じやすいのです。

一般的に天井を高くすることで広い空間をつくれそうな気がするのですが、実は違って、天井が低くても横に大きい開口をつくった方が、広々とした空間をつくれるのです。

天井の高い空間

イメージ的には神社仏閣のような感じで、神社仏閣は天井高は低いですが、開口が横に大きく開けていますよね。

開口が横に大きく開けている神社仏閣

そのため狭いと思わないはずなのです。

そのような感じで、ここからもわかるとおり、広さよりもどう広く感じるのかである広さ感の方が重要なのです。

距離よりも距離感

次に距離よりも距離感ということなのですが、これは主に外構工事で使う内容になります。

というのも、距離感を感じるために植栽を配置することで、限られた庭であっても広く見せることができるのです。

例えば空気遠近法というものの応用で、リビングの窓の近くには緑の色が濃くて、そこそこ背丈のある木を配置します。

庭が広く見える植栽

そしてその木の後ろには緑の色が薄めで、かつ背丈が低めの木を配置します。

そうすることで、リビングから見たときに植栽によって遠近感を感じることができ、庭が広く見えるのです。

実際に私の家の庭はそこまで幅がないのですが、リビングから見た時に手前に青木という木を植えて、奥に真弓という木を植えることで遠近感を出し、広さを演出しています。

遠近法を使って上手く広さを演出している庭

これが正に距離よりも距離感ということで、遠近法を使って上手く広さを演出しているわけです。

ということで、簡単にここまでの話をまとめますが、ただただ物理的な広さを取るよりも広く感じる工夫、距離を感じる工夫を取り入れることで居心地のいい空間をつくれますという話でした。

ただし、この話をすると決まって「それはわかったけど、物理的な広さだってある程度は必要じゃん。それってどうやって見極めるんだよ!」そう思われる方がいます。

確かにその気持ちもわかるので、1つポイントをお伝えします。

それは、実例見学を通じて自分たちが必要とする広さを体感し、それを担当の営業マンとの共通言語にしてください、ということです。

結局のところ必要な広さは体感しなければわからないのです。

そして自分たちにとって「これくらいの広さならいいかな」と思う広さの家が見つかったら、あとはその家の大きさを担当の営業マンとの共通言語として使いつつ、先程お伝えした広さ感や距離感を出すための工夫を盛り込むといった感じです。

家の大きさを担当の営業マンと共有する

イメージして見ていただければわかると思いますが、漠然と「LDK20畳で」とオーダーするよりも「実際に見学した〇〇さんの家と同じLDKの広さにしてほしい」と言った方が確実に伝わりますよね。

ですので、机上の空論で何となくの畳数を担当の営業マンとの共通言語にするのではなく、実際に見学した先の家の大きさ、こちらを共通言語にしてください。

そうすることで自分たちが必要としている物理的な空間の大きさをきちんと把握して、さらには担当者にも伝えることができます。

1つポイントとして覚えておいてください。

注文住宅で失敗しない重要ポイント5:居場所の多さ

居場所の多さ

家づくりをする時に、なんとなくLDKを取って、なんとなくそこに椅子とテーブルとソファを置いて完成させるというようなイメージをもっている人が多いと思いますが、それだけですと居場所はものすごく限られます。

ソファの上か、もしくはダイニングテーブルにしか居場所がないわけです。

そういう住まい方でも問題ないという方はそれでもいいと思うのですが、個人的には型にはめられた住まい方よりも、もっと自由にいろんな空間の使い方ができる方法を模索した方がいいと思います。

例えば窓際に腰掛けスペースをつくる、あえて段差をつくってそこに座れる場所をつくるなどです。

窓際に腰掛けスペースをつくる、あえて段差をつくってそこに座れる場所をつくる

これは一見すると「そんなの必要?普通でよくない?」と思われるかもしれませんが、少し気分を変えたい時に場所を選ばずのんびりできるのは非常に快適なのです。

皆さんも気分を変えてカフェで勉強したり、いつもと違う場所で仕事をしたりすると思うのですが、それと同じ感覚です。

カフェで勉強したり、いつもと違う場所で仕事をしたりする

決められた行動パターンは、過ごしていくうちに何となく窮屈になっていきますし、シンプルに飽きてくるのです。

居場所が複数あると飽きがきませんし、飽きがこないからこそ家を長く使い倒せるので、家に対する愛着も湧いてくるのです。

あと、最近ですと物価の高騰に伴って住宅のコンパクト化が進んでいます。

私の紹介案件でも30坪以下の家が増えていますし、時代の流れ的にもそうなるのは当然のようにも思えるのですが、一方でコンパクトな家は家具の配置がものすごく難しいのです。

なぜなら、既製品の家具は多くの場合コンパクトな家を想定してつくられていないからです。

ですので「これいいな!」と思った家具でも実際にそれを家に入れてみると

既製品の家具は多くの場合コンパクトな家を想定してつくられていない

思ったよりも家具のサイズが大きくて、家具だけで空間、LDKを占領してしまうというようなことになりかねません。

家具のサイズが大きくて、家具だけで空間、LDKを占領してしまう

これだと感覚的にはそこそこ人数が乗っているエレベーターの中、というような感覚で、居場所は一応あるものの、どこか窮屈な空間になってしまうわけです。

要は何を言いたいのかというと、コンパクトな家になればなるほどただ家具を配置するというだけで終わらせるのではなく、きちんと考えて居場所をつくらなければ窮屈で過ごしにくい空間になってしまいますよということです。

実際に私は居場所がたくさんある家とそうでない家をたくさん見てきました。

その上で皆さんにお伝えしますが、LDKにおける居場所の多さ、これは必ず確認してください。

注文住宅で失敗しない重要ポイント6:素材感

素材感

皆さんは経年劣化と経年美化という言葉は聞いたことありますか?

時間が経つに連れて劣化していくものを経年劣化、時間が経つに連れて美しくなっていくものを経年美化と言います。

家は長い期間、自分たち家族と共に歩んでいくものなので、途中でダメになってしまう素材ですとどうしても後々後悔することになるのです。

例えばシート系床材、最近はだいぶマシになってきましたが、それでも本物の木でできている床材である無垢床と比較すると、圧倒的に持ちが悪いわけです。

シート系床材

薄いシートの下は合板ですからね。

また、ビニールクロスもそうです。

ビニールクロス

ビニールクロスは確かに安いですし簡易的に施工できるのですが、貼り方によっては、縮んだりクロスに亀裂が入ったりするのです。

私が見てきた中で貼り方が雑な家ですと、だいたい住み始めて1年後くらいには、もうクロスに亀裂が入っている家もありました。

ですので、途中でダメになってしまう素材ですと、どうしても後々後悔することになりますし、実は費用対効果を考えるとあまりよくなかったりもするのです。

一方で、無垢床や塗り壁といった自然素材系の建材は、自然素材であるがゆえに金額は高めですが、劣化するというよりかは風合いが増していくのです。

無垢床や塗り壁

何でもそうですが、建物も、家具も、お酒も、洋服も、アクセサリーも、全てにおいて時間が経過していくと風合いがよくなったり、価値が上がったりします。

それと同じなのです。

ですので家づくりをする時も、なるべく自然素材を入れてあげた方が初期コストは高くなるものの、長期的に見ると非常に満足度の高いものになるわけです。

実際に私の自宅の内装は全て無垢床、全て塗り壁にしていますが、非常に風合いがいいです。

内装は全て無垢床、全て塗り壁

ただとはいえ「家に対してそんなにお金をかけられないよ!」という方もいると思います。

そのような方は、自然素材のような風合いをもっている建材、これの活用を視野に入れてみてください。

例えば床材で言えば、突板や挽き板でもいいですし、

突板や挽き板

壁材であれば、振りまき壁紙や和紙壁紙、織物壁紙というものを使うのでもいいと思います。

振りまき壁紙や和紙壁紙、織物壁紙

こういった建材はそこまで極端に高くはないものの、風合いは非常にいいので採用する価値は大いにあります。

ぜひとも検討してみてください。

絶対に材質を無視して何となくで内装材を決めないようにしてください!

注文住宅で失敗しない重要ポイント7:クロス1枚貼り

クロス一枚貼り

さっきの話に付随してくる内容になるのですが、中には「じゃあ、普通のビニールクロスは使うなってことかよ。」「予算的にも厳しいし、何か安く済ませられて、かついい方法ってないの?』そう思われている方もいると思います。

確かにその気持ちもわかるので、特別に必殺技を皆さんに伝授します!

その必殺技とはクロス1枚貼りです。

これがどういうものなのかというと、普通クロスは職人さんが適当に分割して壁面に貼っていくのです。

普通クロスは職人さんが適当に分割して壁面に貼っていく

ただそれをあまり分割せずに、巨大な一面でクロスを貼ってもらう、という方法があります。

これなら継ぎ目がなくなりますし、普通のクロスでもきれいな壁一面をつくり上げることができるのです。

実際に私の紹介で一部の地域ではこれをやってもらっていますし、仕上げが本当にきれいになるので、とてもおすすめの方法でもあるわけです。

継ぎ目がなくなり普通のクロスでもきれいな壁一面をつくり上げることができる

ぜひとも皆さんにも取り入れてもらいたいのですが、一方で難点もあります。

それはシンプルに、職人さんの技術力に依存するということです。

クロスを施工する職人さんにも、当然腕の良し悪しがあるのです。

そのため腕の悪い職人さんに当たると、当然こんなクロス1枚貼りなんてことはできません。

「むしろ何言ってるの?」という感じで怒られることすらあると思います。

しかし反対に腕のいい職人さんであれば、こちらからオーダーせずともきれいな仕上げをやってくれるのです。

実はこういうところに細かい地域格差というのがあるのですが、オーダーすればもしかしたら皆さんの地域でもクロス1枚貼りをやってくれるかもしれません。

1つ参考にしてみてください!

注文住宅で失敗しない重要ポイント8:照明で個性を出す

照明で個性を出す

照明計画の正しいやり方は皆さんご存知ですか?

照明計画

恐らく多くの方がなんとなく「とりあえずダウンライトを入れておけばいいんでしょ?」「照明は別にこっちで考えなくても、ハウスメーカー側が考えてくれるでしょ。」と思っていると思います。

しかし違うのです。

ハウスメーカーは家を量産することを目的としていた企業なので、数年前まで照明計画にこだわりをもって提案するなんてことはしてこなかったわけです。

ですので、当たり前のように提案してもらえるだろうと思っていたら大間違いなのです。

実際に私のところにはいろいろなお客さんから公式LINEを通じて相談がきます。

そこで場合によっては図面のチェックや設備仕様に抜けもれがないかの確認をしているのですが、照明計画は人によって本当に提案方法が違いますし、中にはなんでこんな所に照明をつけてるの?というようなこともあります。

そういっためちゃくちゃな照明計画にならないようにするためにはどうしたらいいのか?という話なのですが、一番手っ取り早いのは、きちんと知識のある営業マンや設計士を自分の担当にするということです。

その次にそれがダメだった場合は、自分達で営業マンや設計士を先導する他ありません。

ではどのように先導するのかというと、今からお伝えする3つのステップを順番にクリアするように照明計画をしてください。

間接照明メインで空間全体の明るさを調整する

まず、間接照明メインで空間全体の明るさを調整するということです。

間接照明メインで空間全体の明るさを調整する

いきなりダウンライトなどで部屋全体の明かりを確保しがちなのですが、それは絶対にやってはいけません。

ダウンライトなどで部屋全体の明かりを確保しがち

なぜなら、空間全体が無駄に明るすぎてしまうからです。

夜中であっても白色の蛍光灯が燦々と輝いているような、例えるなら、ドラッグストアやコンビニのような空間は、明るすぎるがゆえに目が覚めますし、落ち着きません。

こういう照明計画は、昭和くらいであれば「明るさ=富の象徴」とされていたのでよかったのですが、今は令和です。

無駄に明るすぎる空間は、かえって安っぽくなってしまうのです。

ですので高級な旅館などは、あえて照明のトーンを落としています。

高級な旅館などはあえて照明のトーンを落としている

そういったところからもわかるとおり、いきなりダウンライトなどで部屋全体の明かりを確保するのではなく、まずは間接照明で空間全体の明るさを確保するようにしましょう。

ダウンライトを壁側に寄せつつ連続して設置

ただし1つだけ例外があります。

それは、ダウンライトを壁側に寄せつつ連続して設置することで、間接照明のような使い方ができる方法があるということです。

これは予算の関係で間接照明を入れられない場合などで使う方法なのですが、間取りによってはこちらの方法を使って照明計画をした方がよかったりもします。

ですので、必要に応じて採用していただければと思います。

必要な部分にダウンライト、グレイレスダウンライト、フットライトなどを入れる

必要な部分に対して、局所的にダウンライト、グレアレスダウンライト、フットライトなどを入れるということです。

ダウンライト、グレアレスダウンライト、フットライトなどを入れる

間接照明でメインの明るさを確保したら、手元や足元など必要な部分のみに対してこれらのダウンライト、グレアレスダウンライト、フットライトなどを入れていくのです。

そうすることで、無駄に天井や壁面に穴を開けてごちゃごちゃにさせずに済みますし、きれいで美しい建築をつくりやすくなるからです。

壁は最大のインテリアなので、無駄に壁面を汚さないようにしてください。

装飾としてペンダントライトを入れる

そして最後にペンダントライトを入れるということです。

ペンダントライト

ペンダントライトというのは、ダイニングテーブルの上に設置する照明のことなのですが、この照明に対して多くの方が明るさを求められるのです。

しかしそれは間違っていて、ペンダントライトはあくまで装飾、その空間に対するオブジェや個性を表すものなのです。

ペンダントライト直下の手元さえ明るくなればいいのです。

ですので例えば、ルイスポールセンのPH5という超有名な照明があるのですが、これは光源が見えないようにUFOのような傘があって、真下だけ明るくするようなデザインになっているのです。

この照明がペンダントライトの全てを物語っていると言っても過言ではないのですが、ここからもわかるように、ペンダントライトはその直下さえ明るくなればいいのです。

ですので、最後の最後での空間に対するオブジェや個性を表すものとして設置するのです。

ということで、

  • 間接照明メインで空間全体の明るさを調整する
  • 必要な部分に対して局所的にダウンライト、グレアレスダウンライト、フットライトなどを入れる
  • 装飾としてペンダントライトを入れる

以上の3つを順番にクリアしていけば間違いない照明計画ができるので、皆さんもぜひとも実践してみてください。

注文住宅で失敗しない重要ポイント9:キッチンを目立たせない工夫をする

キッチンを目立たせない工夫をする

おしゃれな建築をつくることを考えた場合、キッチンがけっこうなノイズになるので、隠した方がいいです。

キッチン

例えばLDKをL字に配置して、LDからキッチンが見えないようにつくってみたり、

LDKをL字に配置して、LDからキッチンが見えない

あとはキッチン自体を完全に個室としてつくってみたり、

キッチン自体を完全に個室

といった感じです。

そうすることで、シンプルできれいに整った空間をつくり上げることができます。

この考え方も全ては装飾のない建築という意味であるモダニズムから来ているわけなのですが、一方でどうしてもキッチンを見せる形で設置する必要がある場合もあると思います。

間取りや提案内容によっては、どうしてもそうなってしまうことはあります。

では、その場合どうすればいいのかというと、キッチンを壁と同じ色にするということです。

キッチンを壁と同じ色にする

キッチンは壁と同系色にすると、壁のように見えるのです。

そのため、キッチンが見えていても変に思わないのです。

ですので例えば、白の壁紙を採用するならキッチンは白にした方がいいですし、黒っぽい壁紙を採用するなら黒っぽいキッチンにした方がいいのです。

ただし、この方法を使う場合、キッチンに合わせて壁の色味を調整しなければいけないので、トータルコーディネート力が必要になります。

よりきれいでおしゃれな空間をつくりたい!という方は、ぜひともトライしてみてください!

注文住宅で失敗しない重要ポイント10:内装と家具を合わせる

内装と家具を合わせる

最後に内装と家具を合わせるということについてですが、これに関しては今最も皆さんに伝えたい内容になっています。

皆さんは「家具なんて後回しでいいや。」と思っていませんか?

「家具なんてどれも同じだろう。」と思っていませんか?

内装と家具を合わせる

確かにそこまで家に対してこだわりがない方でしたら、その考えでいいと思います。

ただし、より完璧な家をつくり上げたいと思っているのであれば、家具は絶対に妥協してはいけないポイントになります。

なぜなら本来の建築は、建物に合わせて家具もつくるからです。

そうすることで、建物と家具が完璧にマッチした空間をつくり上げることができるのです。

考えてみれば当たり前ですよね?

建物に合わせて家具をつくれれば、100%マッチした空間をつくれる、これは誰だって想像できるはずですし、おしゃれな家をつくりたいのであれば、家具は妥協してはいけないポイントになります。

しかしそうなっていない、家具も合わせた提案ができていないのが今の住宅業界でもあるのです。

もちろん、建物に合わせて家具をつくっていたら、コストや時間がかかるのも事実ですし、そこまでこだわっていられないという方もいると思います。

建物に合わせて家具をつくる

しかし考えてみてください。

建物に合わせて家具をつくるのも、家具に合わせて建物をつくるのも、順序は逆ですが、やっていることは同じです。

つまり既製品の家具から逆算して家づくりをする、たったそれだけのことで家のクオリティを飛躍的に上げられます。

できることなら家具をないがしろにしないでください。

注文住宅で失敗しない重要ポイント10選のまとめ

今回は『注文住宅で失敗しない重要ポイント10選』というテーマでお話をしてきました。

まとめると

  • モダニズム
  • 比率(黄金比・白銀比)
  • 採光
  • 広さ感、距離感
  • 居場所の多さ
  • 素材感
  • クロス1枚貼り
  • 照明で個性を出す
  • キッチンを目立たせない工夫をする
  • 内装と家具を合わせる

以上の10個になります。

ぜひとも参考にしてみてください。

ただし、ハウスメーカーによって、できるできないがけっこう激しいので「さらに詳しく知りたい。」「テクニックを駆使したおしゃれな家づくりをしたい!」などそう思われた方は、私が運営しているメグリエから、私との無料個別面談を申し込んでもらえればと思います。

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